「ヘヴィサイドの展開定理」の版間の差分

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'''ヘヴィサイドの展開定理'''(ヘヴィサイドのてんかいていり、{{Lang-en-short|Heaviside's expansion theorem}}<ref>{{Harv|一松 ほか|1979|p=1066}}</ref>)は、ある種の[[関数 (数学)|関数]]の[[ラプラス逆変換]]を与える[[定理]]である。[[オリヴァー・ヘヴィサイド]]はイギリスの電気技師。[[有理関数]]に関するもののみを指す場合が多いが、より一般の[[有理型関数]]に対する主張へ拡張される<ref>{{Harv|一松 ほか|1979|p=548}}</ref>。以下では、有理関数のみ扱うものとする。
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'''ヘヴィサイドの展開定理'''(ヘヴィサイドのてんかいていり、{{Lang-en-short|Heaviside's expansion theorem}}<ref>{{Harv|一松 ほか|1979|p=1066}}</ref>
  
== 概要 ==
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テイラー展開の形式的一般化に相当する公式.
''P''(''s''), ''Q''(''s'') は共通因子を持たない[[実数]]係数[[多項式]]で、次数は ''P'' の方が小さいとし、有理関数 ''F''(''s'') = ''P''(''s'') / ''Q''(''s'') のラプラス変換による原像を求めたいものとする。[[代数学の基本定理]]より、分母 ''Q''(''s'') は[[複素数]]の範囲で一次式の積に分解できて
 
:<math>F(s)=\frac{P(s)}{(s-a_1)^{n_1} \cdots (s-a_r)^{n_r}}</math>
 
となる。これを[[部分分数分解]]すれば
 
:<math>F(s)=\sum_{i=1}^r \sum_{j=1}^{n_i} \frac{A_{ij}}{(s-a_i)^j}</math>
 
の形になる。ここに、各係数は
 
:<math>A_{ij}=\frac{1}{(n_i-j)!} \lim_{s \to a_i} \frac{d^{n_i-j}}{ds^{n_i-j}}((s-a_i)^{n_i}F(s))</math>
 
で与えられる。各部分分数の原像は
 
:<math>\mathcal{L}^{-1}\left[ \frac{A}{(s-a)^n} \right] = \frac{A}{(n-1)!}t^{n-1}\exp(at)</math>
 
で与えられるので、''F''(''s'') の原像が求まる。
 
  
以上より、有理関数のラプラス逆変換は理論的には求まるが、計算しやすい[[公式]]の形で与えられたものを「展開定理」と称することが多い。その式の形は文献によって多少の差異があるが、本質的には同じものである。
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{{テンプレート:20180815sk}}
 
 
''Q''(''s'') が虚根を持つ場合、一旦は[[虚数]]が現れるが、[[オイラーの公式]]を用いて[[三角関数]]に変形すれば、実関数の範囲で原像が求まる。計算上は、複素数の範囲で一次式に分解するのではなく、実数の範囲で[[高々 (数学)|高々]]二次式にまで分解しておき、
 
:<math>\mathcal{L}^{-1}\left[ \frac{\omega}{(s-a)^2+\omega^2} \right] = \exp(at) \sin (\omega t)</math>
 
:<math>\mathcal{L}^{-1}\left[ \frac{s-a}{(s-a)^2+\omega^2} \right] = \exp(at) \cos (\omega t)</math>
 
などを用いる方が実践的である場合もある。
 
 
 
== 分母が単根のみを持つ場合 ==
 
分母が単根のみを持つ有理関数
 
:<math>F(s)=\frac{P(s)}{Q(s)}=\frac{P(s)}{(s-a_1) \cdots (s-a_r)}</math>
 
の原像は
 
:<math>\mathcal{L}^{-1}[F(s)]=\sum_{i=1}^r \frac{P(a_i)}{Q'(a_i)} \exp(a_i t)</math>
 
で与えられる。''Q''&prime;(''a''<sub>''i''</sub>) は、より具体的には
 
:<math>Q'(a_i) = \prod_{j \neq i} (a_i-a_j)</math>
 
として計算できる。
 
 
 
== 分母が重根を持つ場合 ==
 
分母が''n''重根 ''a'' を持つ有理関数
 
:<math>F(s)=\frac{P(s)}{Q(s)}=\frac{\phi(s)}{(s-a)^n}=\sum_{j=1}^n \frac{A_j}{(s-a)^j}+R(s)</math>
 
に対しては、
 
:<math>A_j=\frac{1}{(n-j)!} \lim_{s \to a} \frac{d^{n-j}}{ds^{n-j}}((s-a)^nF(s))</math>
 
であるから、
 
:<math>\mathcal{L}^{-1}[F(s)]=\exp(at)\sum_{j=1}^n \frac{\phi^{(n-j)}(a)}{(n-j)!(j-1)!}t^{j-1}+\mathcal{L}^{-1}[R(s)]</math>
 
が成り立つ。右辺第1項は
 
:<math>\frac{1}{(n-1)!}\lim_{s \to a} \frac{d^{n-1}}{ds^{n-1}}(\phi(s)\exp(st))</math>
 
と同じものである。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{reflist|2}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
*{{Cite book|和書|editor=[[一松信]] ほか編|year=1979|month=11|title=新数学事典|publisher=[[大阪書籍]]|isbn=4-7548-2009-6|ref={{Harvid|一松 ほか|1979}}}}
 
 
 
== 外部リンク ==
 
*{{高校数学の美しい物語|title=ヘビサイドの展開定理|urlname=heaviside}}
 
*{{PDFlink|[http://izumi-math.jp/sanae/MathTopic/pdf/heaviside.pdf Heaviside の展開定理]}} - 数学玉手箱
 
*{{PDFlink|[http://minami106.web.fc2.com/math/heaviside.pdf 部分分数分解のやりかた]}}
 
  
 
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2019/5/2/ (木) 00:11時点における版

ヘヴィサイドの展開定理(ヘヴィサイドのてんかいていり、: Heaviside's expansion theorem[1]

テイラー展開の形式的一般化に相当する公式.



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  1. {{#invoke:Footnotes | harvard_citation }}