ボンネットバス

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ファイル:Classic Bus 1945.jpg
ボンネットバス 1945年

ボンネットバスは、バスの形態の1つで、運転席より前、客室外のフロント部にエンジンを設けた構造である。

概説

ファイル:Blue Bird IMG 9721.JPG
現代のボンネットバスの一例
ブルーバード・ビジョン(アメリカ)

バスにおいては古くから存在する形態である。

この構造では、エンジンの保守、放熱と客室の安静化に効果があるが、エンジンの上も客室として利用可能なリアエンジンバス等と比較すると、ボンネット部の空間は単なる機器スペースということになり、その分輸送効率は低下する。 しかし、ボンネット部が衝突事故の際の緩衝作用を担ってくれるため、乗務員の安全性を確保する上でも利点がある。また騒音や振動の面でも有利である。

先進国の多くではボンネット型 = 旧式のイメージがあるが、アメリカでは大型トラックに見られるようにボンネット型が好まれる傾向もあり、現在も新型車の開発と生産が続けられている。スクールバスをはじめ、国家機関や州政府などにも採用されているほか、中南米アフリカなどに輸出されている[1]

日本のボンネットバス

1950年代頃までは大多数のバスがボンネットを持った形状であったため「ボンネットバス」の呼称は無かったが、キャブオーバーリアエンジン車の台頭と共にそれらと区別するため、ボンネットを持った形状のバスは「ボンネットバス」と呼称されるようになっていった。 なお、民間においては、ボンネットバスを「鼻高バス」、箱形車体のバスを「鼻ペチャバス」と称する地方もあった。

山間部で残存した理由

日本においては、大量輸送時代とともにボンネットバスの導入例が減少し、1971年には量産タイプのボンネットバスの製造は中止されることになった。しかし、製造中止後も、ボンネットバスは山間部の路線を中心に使用されていた。

ボンネットバスの特徴は、その構造上、前輪が運転手より前に位置していることである。そのため、山間部の狭隘道路に許認可された狭隘路線では、運転手が路肩の位置を把握しやすく、そのことが運転のしやすさにつながっていた。

また、昔の山間部の集落においては、通常の箱型車体ではオーバーハングとなる前頭部が民家に支障を来すケースもあったが、ボンネットバスでは軒下にボンネット部分をくぐらせることにより通過可能であった。このため、ボンネットバスを箱型車体のバスに置きかえるにあたっては、バス会社が民家にお願いして、軒を切り詰めてもらったという逸話もある。しかし、これらも道路の整備とともに改善され、ボンネットバスである必然性は失われていった。

なお実際の小回り性能は、全長に対しホイールベースの比率が小さくなる箱型車体が有利である(運転しやすい)。

1982年には江若交通の、1984年には呉市交通局路線車が運用から外れたことで、定期運用されるボンネットバスは、いったん日本の路上からは消えることとなった。

期間限定の運行では、岩手県北自動車松川温泉線で厳冬期アイスバーン対策として、四輪駆動のボンネットバスを路線バスとして運用している。

観光用・話題作りの方策へ

その一方で、1970年代後半以降は、観光路線において目玉車両として運行する例も登場する。その嚆矢となったのが、1976年6月より運行を開始した、東海自動車の「伊豆の踊子号」である。以後、観光用の路線バスとして運行されているものが増加してゆくことになる。

最後までボンネットバスを製造していたのがいすゞだったため、現在残っている車両もいすゞ車が多い。

また、1987年上毛電気鉄道で運行を開始した日野BH15型は、バス利用促進のための話題作りとして、廃車になっていたバスをレストアしたもので、ダイヤ限定ながら通常の生活路線で利用されていた。上毛電気鉄道での運行終了後は、日野自動車の企業博物館である日野オートプラザで保存車両として展示されている。

以後、廃車になっていたボンネットバスをレストアして、営業運行に使用するケースも散見されるようになっているが、これには高度なレストア技術を持つ福山自動車時計博物館の功績も大きく、同館経由で入手した車両が非常に多い。

排出ガス規制への対応

しかし、いかに観光用としての保存車両とはいえ、営業用として運行する以上、排出ガス規制から逃れることはできない。また、製造中止から相当な年月が経過し、部品の確保も困難となり、運行継続が困難となった。このため、上毛電気鉄道のボンネットバスは1993年に運行を中止(同社はバス事業からも撤退、バスは日野に引き取られた)、その後も西東京バス「夕やけ小やけ号」のように、ボンネットバスの運行を終了するケースが多くなった。

その一方、神戸市交通局こべっこII世号」のように、排出ガス規制に対応したトラック用のシャーシをベースにして、ボンネットバスのレプリカを作成したり、磐梯東都バス「森のくまさん号」のように廃食用油を原料としたバイオディーゼル燃料を使用して、環境に優しいバスをアピールする方策も見られるようになっている。なお、「こべっこII世号」については、2006年CNGバスへの改造が行なわれている。

また近年では、マイクロバスをレトロ調ボンネットバスとして仕立て上げ、定期観光バスなどに使用されるケースも多数ある。詳細はファンタスティックバスを参照のこと。

コミュニティバス

いわゆる一般的なボンネットバスの概念からは外れるが、FFミニバン(ミニバス、商用バン)系のコンポーネンツを利用した超低床ミニバスも、構造的にはボンネットを持つ車両である。

欧州のバス製造メーカーを中心にこの形状が採用された。オムニノーバ・マルチライダークセニッツなどのボンネットを持つノンステップミニバスは、多くのFF車と同様、フロント部分にエンジンを横置き搭載している。

これらの車両は、使用目的が地域コミュニティ路線向けであることから、必ずしも大量輸送に最適化されている必要はなく、バリアフリーの観点から乗降性を優先し、この構造が採用されている。

フォルクスワーゲン・トランスポルターメルセデス・ベンツ スプリンターPSAボクサー / ジャンパー等のデリバリーバンをベースとして改造し、超低床バスに仕立てて販売されている。主な車種としてクセニッツオムニノーバ・マルチライダー日野・ポンチョ(初代)が挙げられる。

1990年代後半から2000年代前半に多数のコミュニティバスにおいて導入され、その多くが日本国外メーカー製であったが、不安定な自動車ディーラー網などが露呈したことや、日野・ポンチョ(2代目)三菱ふそう・エアロミディMEなど純日本国産のボンネットを持たない小型ノンステップバスが登場したことによって、そちらへの置き換えが徐々に進行しているため、ボンネット形状を持つ車両の採用が漸減しつつある。

ボンネットバスを観光の目的に所有する日本の会社

関連項目