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{{ Infobox 航空機
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| 名称=ボーイング767
 
| 画像=File:JA620J.jpg
 
| キャプション=[[日本航空]]の767-300ER型機
 
| 用途=[[旅客機]]
 
| 分類=[[セミワイドボディ]]民間旅客機
 
| 設計者=
 
| 製造者=[[ボーイング]]社
 
| 運用者 more=<br />
 
** {{flagicon|USA}}[[デルタ航空]]<!--のべ124機-->
 
** {{flagicon|USA}}[[アメリカン航空]]<!--のべ97機-->
 
** {{flagicon|JPN}}[[全日本空輸]]<!--のべ96機-->
 
** {{flagicon|USA}}[[ユナイテッド航空]]<!--のべ80機-->
 
** {{flagicon|JPN}}[[日本航空]]<!--のべ60機-->
 
** [[#主な運航会社|ほか]]
 
| 初飛行年月日=[[1981年]][[9月26日]]
 
| 生産数=1069機(2014年12月)
 
| 生産開始年月日=
 
| 運用開始年月日=[[1982年]][[9月8日]]([[ユナイテッド航空]])
 
| 退役年月日
 
| 運用状況=運用中
 
| ユニットコスト=<br/>'''767-200ER''': 1億1,800万-1億2,800万[[アメリカ合衆国ドル|USドル]]<br/> '''767-300ER''': 1億3,300万-1億4,900万USドル<br/> '''767-300F''': 1億4,300万-1億5,500万USドル<br/> '''767-400ER''': 1億4,600万-1億6,050万USドル
 
}}
 
 
 
'''ボーイング767'''({{lang|en|'''Boeing 767'''}})は、[[アメリカ合衆国]]の[[ボーイング]]社によって生産されている中型双発[[旅客機]]である。
 
 
 
== 概要 ==
 
アメリカの主要都市を結ぶ航空路線用として開発された中距離旅客機である。計画中に[[オイルショック|石油危機]]などが発生したことから、経済性を重視した旅客機として開発されることになった。結果、[[ワイドボディ機]]の標準から外れる、比較的細い胴体を有する旅客機として、[[ワイドボディ機#セミワイドボディ機|セミワイドボディ機]]に分類される。同時期に開発された[[ボーイング757]]とともに、[[グラスコックピット]]を装備した「ハイテク機」と呼ばれ、自動着陸を含む[[オートパイロット]]機能をもつ旅客機である。
 
 
 
本項では以下、ボーイング製の旅客機については、「ボーイング」という表記を省略し、数字のみで表記する。例えば「ボーイング747」であれば、単に「747」とする。
 
 
 
== 沿革 ==
 
=== 開発の経緯 ===
 
==== 中距離旅客機の構想 ====
 
ボーイングでは、[[1970年]]頃から[[イタリア]]の[[アエリタリア]]との共同研究として、QSH旅客機と呼ばれる、低[[騒音]]の短距離離着陸機の研究を進めていた<ref name="htj-45">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p45</ref>。このQSHは、全長が38.8m、[[翼|主翼]]幅は40.0mというもので、エンジンを主翼上に配置するものであった<ref name="htj-46">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p46</ref>。しかし、この種の旅客機が十分な市場規模となるにはそれ相応の環境整備を必要とし、またその環境整備には相当な期間がかかるとみられた<ref name="htj-45"/>ことから、まず180席から200席程度の座席数で、1800[[海里|マイル]]から2500マイルの[[航続距離]]を有する中距離旅客機を先に開発することを考えた<ref name="htj-46"/>。これは、この規模の旅客機が、次世代において大きな市場規模となると予想されたからである<ref name="htj-46"/>。
 
 
 
この計画は、ボーイング社内では「7X7」と呼ばれており、双発機(エンジンを2基搭載する航空機)と3発機(同3基搭載)の2種類が検討されていた<ref name="htj-46"/>。[[1973年]]までに「7X7」の研究が進展したことに加え、アメリカの大手[[航空会社]]である[[アメリカン航空]]が3発機に強い関心を持っていることが判明した<ref name="htj-46"/>ため、同年初頭に世界の主要航空会社に対して「7X7」の説明を行った。
 
 
 
ボーイングでは、中距離用140席クラスの双発機であるデザイン案を有力視していたが、1973年5月1日に座席数180席クラスの3発機のデザイン案「モデル751-666」が発表されると、多くの航空会社はそちらに関心を持った<ref name="htj-46"/>。「モデル751-666」では、主翼の上面にエンジンを配置することで低騒音化をねらった上、残る1基のエンジンは[[ボーイング727|727]]のように胴体最後部に配置するというものであった<ref name="htj-46"/>。また、座席配列は横6列か7列で、ハイデンシティ(高[[密度]])配置では横8列にすることも検討されていた<ref name="htj-46"/>。
 
 
 
==== 3国共同開発へ ====
 
[[file:Condor B767 D-ABUA FRA 2011-09-01 01klein.jpg|thumb|]]
 
{{main|YX}}
 
これより少し遡った1966年代後半から、[[日本]]は[[オランダ]]の[[フォッカー]]と、[[YS-11]]に続く民間航空機を共同開発するための構想を進めていた<ref name="htj-52">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p52</ref>が、1970年4月にフォッカーに180席クラスの案についての説明をした<ref name="htj-54">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p54</ref>後、ボーイングにその調査の経過を説明した<ref name="htj-54"/>。ボーイングはここで日本が航空機の国際共同開発を計画していることを知り、日本に対してボーイングとの国際共同開発について提案した<ref name="htj-54"/>。
 
 
 
これを受けて、日本の通商産業省(現・[[経済産業省]])や製造業界では、ボーイングとの共同開発のほうがより大きな市場展開が期待できるだけでなく、世界最大の航空機製造会社からの共同開発申し入れは我が国航空機産業への信認と声望を内外に印象づけるという意見が多勢を占めるようになった<ref name="htj-54"/>。日本では1973年4月1日に民間輸送機開発協会(CTDC)という社団法人を設立<ref name="htj-54"/>し、その後はCTDCが日本側の窓口となってボーイングとの交渉に当たることになった。
 
 
 
前述の通り、ボーイングではすでにアエリタリアとQSHについての共同研究を進めていたが、その研究が進むにつれて、前述の「7X7」案として固まりつつあった時期に、ボーイング・アエリタリア・CTDCの3社共同開発という方針となっていった<ref name="htj-54"/>。
 
 
 
==== 石油危機による方針変更 ====
 
ところが、[[1973年]]に[[石油輸出国機構]](OPEC)や[[アラブ石油輸出国機構]](OAPEC)が原油生産の段階的削減や石油禁輸などを相次いで決定したため、全世界的な[[オイルショック|石油危機]]が引き起こされた<ref name="htj-46"/>。石油危機は[[航空]]業界において燃料価格が2倍から3倍にもおよぶ高騰を招いただけでなく、社会的にも[[インフレーション]]と不況を招くことになったため、航空会社の経営は悪化することとなり、とても新型機の導入どころではなくなり、ボーイングの「7X7」計画の進展にも影響を与えた<ref name="htj-46"/>。
 
 
 
こうした社会環境においては、航空機製造会社による新型機のデザインは、速度や快適性よりも省エネルギー性が優先される<ref name="htj-46"/>ことになり、ボーイングも例外ではなかった。「7X7」構想自体も変化せざるをえなくなり、[[巡航速度]]は[[マッハ数|マッハ]]0.83からマッハ0.78程度に抑えられ、主翼の[[後退翼|後退角]]や[[アスペクト比]]も[[燃費]]や空気[[抗力|抵抗]]の減少を最優先する構造に変化した<ref name="htj-46"/>。主翼の上面にエンジンを配置するというデザインも、[[1974年]]1月までにはすべて主翼下面に吊り下げる構造に変更された<ref name="htj-46"/>。その理由は、燃料消費を減らすために有利であるから<ref name="htj-46"/>というものであった。
 
 
 
ボーイングの経営状態も不振に陥ったため、ボーイングでは新型旅客機の開発には、日本が共同開発に加わることを強く期待していた<ref name="htj-56">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p56</ref>。当時のボーイング社長に至っては、事業比率を50:50とし、航空機の名称でも「ボーイング/ジャパン」とすることを提案していたほどであった<ref name="htj-56"/>。しかし、日本が意思決定に手間取っている間の1974年6月頃になると、航空会社は石油危機から立ち直る気配を見せ<ref name="htj-47">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p47</ref>、これに追随するかのように、ボーイングの経営状態も改善することになった<ref name="htj-56"/>。このため、ボーイング側の態度も次第に強気なものとなり、ついにはボーイング側から「これまで航空機開発で蓄積した貴重な[[手続き的知識|ノウハウ]]を提供する以上、日本側からは相応の利益を提供すべき」という要求まで出る状態になった<ref name="htj-56"/>。結果的に、新型旅客機の開発では、日本は15パーセントの事業分担となり、「事実上ボーイングの[[請負|下請け]]である」という意見も出る状態になったのである<ref name="htj-55">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p55</ref>。
 
 
 
=== 双発機と3発機 ===
 
ともあれ、停滞気味であった「7X7」構想も再び具体化する方向へと進み始めた<ref name="htj-47"/>。とくに[[ユナイテッド航空]]は、「7X7」構想の仕様決定に対するリーダーシップをとるようになり<ref name="htj-47"/>、ボーイングもユナイテッド航空が「7X7」に大きな期待を寄せていることを確信するようになった<ref name="htj-47"/>。1975年には、計画案として胴体中央部の幅が少し狭くなった、エリアルールを適用した計画案を立案した<ref name="htj-47"/>が、これは727の発展型のようなデザインの3発機であった<ref name="htj-47"/>。
 
 
 
ユナイテッド航空は洋上飛行のある路線への投入を考慮して3発機案を支持した<ref name="htj-47"/>が、当のボーイングは1977年10月になっても、双発機とするか3発機とするかの結論を出していなかった<ref name="htj-47"/>。ユナイテッド航空の主張を支持するのであれば3発機が好ましい<ref name="htj-47"/>が、燃料費高騰による経済性への要求を考えれば双発機が好ましいことは当然と考えられた<ref name="htj-47"/>。また、座席配列についても、横7列にするか横8列にするかで議論が続けられていたが、横7列にすることで胴体の幅が細くなることから燃料効率が最大2パーセント向上することが判明した<ref name="htj-47"/>。
 
 
 
それらの結果を受け、ボーイングはまず双発機の開発を先行させ、その後3発機を開発する方針を固めた<ref name="htj-47"/>。その上で、1977年12月22日に「7X7」のモデル案の1つである「モデル751-200」を、「ボーイング767」として開発することを決定した<ref name="htj-47"/>。この時点では、水平尾翼を垂直尾翼の上部に配置する「T字尾翼」を採用することとなっていたが、それは短距離での離着陸性能を重視したものであった<ref name="htj-47"/>。この時には、短胴型の767-100型と長胴型の767-200型を開発することになっていたが、長胴型はユナイテッド航空の要求にほぼ合致していた<ref name="htj-47"/>のに対し、アメリカン航空では短胴型に興味を示していた<ref name="htj-47"/>。しかし、ユナイテッド航空が[[エアバスA300]]などの他社機材も並行して導入検討をしており<ref name="htj-47"/>、ボーイングではユナイテッド航空を有力なポテンシャルを有する航空会社としてみていたため、短胴型を優先して開発すると、ユナイテッド航空からの受注獲得に障害になるという懸念があるとみられた<ref name="htj-48">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p48</ref>ことから、長胴型の開発を優先することになった。
 
 
 
その後もデザイン案の変更が行われ、「モデル751-2085C」というデザイン案が固まった。このデザイン案では、巡航時の飛行抵抗減少と燃費効率の向上を図り、航続距離を延伸するため<ref name="htj-48"/>、「T字尾翼」を採用せず、胴体尾部に水平尾翼を装備するデザインとされた<ref name="htj-48"/>。
 
 
 
=== ローンチ ===
 
==== 製造開始 ====
 
1978年1月5日には、ボーイングから[[ボーイング・エバレット工場|エバレット工場]]の拡張計画が発表された<ref name="htj-48"/>。これは767の製造に対応するためのもので、屋内容積は当時世界最大の航空機組立工場となるものであった<ref name="htj-49">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p49</ref>。同年7月24日、ユナイテッド航空から確定発注30機(オプション発注37機)を獲得すると同時に、正式に767-200型のローンチが発表された<ref name="htj-48"/>。一方、短胴型にこだわっていたアメリカン航空も、情勢の変化から長胴型を受け入れる方針に変化した<ref name="htj-48"/>。[[滑走路]]の短い[[ニューヨーク]]・[[ラガーディア空港]]への乗り入れを行うための必須要件をアメリカン航空が提示し、ボーイングがこれを受け入れたため<ref name="htj-48"/>、アメリカン航空は1978年11月に767-200型を30機発注、同月中には[[デルタ航空]]も15機を発注した。この時点で、短胴型767-100型は製造されないことになった。
 
 
 
また、767の3発機案として構想が立てられていた777(その後開発された双発機である[[ボーイング777|777]]とは全く別)については正式に開発を破棄し<ref name="htj-48"/>、767-200型を標準型として、その長距離仕様である767-200ER型と、さらに胴体を延長した767-300型の3機種を当面の製品ラインアップとすることも決定された<ref name="htj-48"/>。
 
 
 
エバレット工場の拡張が完成した後の1979年7月6日より767の製造が開始された<ref name="htj-48"/>。
 
 
 
==== 共通化とハイテク化 ====
 
[[File:AeroMexico Boeing 767-3Q8ER cockpit.jpg|thumb|250px|767のコックピット。中央の2つの画面がEICASモニター]]
 
757と767は同時期に開発する旅客機であることから、開発費を節約するためにも、両機種に多くの共通点を持たせることが考慮されていた<ref name="htj-51">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p51</ref>。それは[[補助動力装置]] (APU) や[[アビオニクス]]、さらには操縦資格まで共通化することを目指していた<ref name="htj-51"/>。通常、旅客機の操縦資格は機種ごとに取得することになるが、1つの操縦資格で2機種に乗務できることになれば、航空会社側でも[[パイロット (航空)|操縦士]]の勤務割り当てに自由度が増すことになり、メリットは大きく<ref name="htj-70">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p70</ref>、販売上も有利になると考えられたからである。この共通資格認定は1983年7月22日に認められ、地上講習(座学)により757と767の相違について学習することで、双方の機種への乗務が認められることになったのである<ref name="htj-70"/>。
 
 
 
また、757と767ではコクピットの共通化を図るだけでなく、計器類を合計6個の[[ブラウン管|CRT]]に表示する[[グラスコックピット]]と航空機の機器状況などを容易に把握できる[[エンジン計器・乗員警告システム]](EICAS)を搭載して自動化を進めることで直接運航コストが低減されることを目指した<ref name="htj-147">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p147</ref>。これにより、これまで操縦士2人と[[航空機関士]]1人の計3人で乗務する必要があったものを、操縦士2人のみで安全な運航が可能になることを目標としていた<ref name="htj-70"/>。この当時、まだ[[グラスコックピット]]という言葉自体がなく<ref name="htj-51"/>、むしろ757と767の登場によって初めて使用されるようになった言葉であった。
 
 
 
なお、757と767の操縦規格を共通化したことと2名のみでの運航を可能にしたことは、不運にも[[アメリカ同時多発テロ事件]]の遠因のひとつを作ることになってしまった<ref>[[アメリカ同時多発テロ事件#ハイジャックされた旅客機]]参照。</ref>。
 
 
 
==== 2人乗務と3人乗務 ====
 
ところが、767を2人乗務とすることに対しては、「航空機関士の役目を軽視している」「航空機関士の仕事を奪う」「4つの目で見るより6つの目で見るほうが安全性が高い」などの理由により、アメリカの航空会社各社の乗員組合から反対の声が上がった<ref name="htj-147"/>。このため、ボーイング側でも乗員組合に配慮し、ローンチ当初は2人乗務仕様と3人乗務仕様という2種類のコックピットを製造すると表明した<ref name="htj-148">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p148</ref>。このため、アメリカのほとんどの航空会社は3人乗務機として発注していたのである<ref name="htj-70"/>。
 
 
 
とはいえ、ボーイングは「767のハイテク・コックピットは2人乗務だからこそ本領を発揮する」と考えていた<ref name="htj-148"/>ため、2人乗務の実現を求めて、政府機関まで巻き込んだ駆け引きが続いた。最終的に1981年に、アメリカ政府の諮問委員会が「2人乗務であっても安全性は損なわれない」と結論を出した<ref name="htj-148"/>ことによって、最終的にはすべての航空会社が2人乗務機としての発注に切り替えた<ref name="htj-148"/>。
 
 
 
しかし、これは767の製造ラインにも影響を及ぼした。すでに30号機までは3人乗務機として製造を進めていた<ref name="htj-70"/>ため、まず3人乗務機として完成させた上で機器のチェックを行い、その後2人乗務機に改修するという手順を採らなければならなかったのである<ref name="htj-70"/>。
 
 
 
ともあれ、767は最初から2人乗務機として営業運航が行われることになり、1982年7月30日に型式証明を取得、同年8月19日にはローンチカスタマーであるユナイテッド航空への引渡しが行われたのである<ref name="htj-70"/>。
 
 
 
=== 販売不振と巻き返し ===
 
==== 受注の伸び悩み ====
 
当初の販売実績は決して順調ではなかった。1981年から1984年までの受注数の合計は35機という状況で、とくに引渡しが開始された1982年にはわずか2機の受注しか獲得できなかったなど、苦戦が続いた<ref name="htj-78">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p78</ref>。結局、767の受注数の合計が200機となるまでには実に6年以上の期間を要することになった。
 
 
 
アメリカのフラッグ・キャリアであった[[パン・アメリカン航空]](パンナム)からの受注を獲得できなかったのは、航空業界でも大きな話題となった<ref name="htj-81">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p81</ref>。パンナムは[[ボーイング707|707]]や[[ボーイング747|747]]などのローンチカスタマーとしてその開発にも強い影響を及ぼしており、ボーイングとの関係も強かったことから、パンナムは767がローンチすれば当然発注するものとみられていた<ref name="htj-81"/>。ところが、パンナムは767ではなく、エアバスA300・[[エアバスA310|A310]]の発注を行ったのである。前述のように、燃料効率の向上のために胴体の太さをやや細くすることになったが、これは後述するようにそれまでのワイドボディ旅客機に搭載していたLD-3型[[コンテナ#航空貨物用コンテナ|貨物コンテナ]]の搭載ができず、767専用のLD-2型コンテナしか使用できなくなった。LD-2型を747に搭載することは可能であるが、貨物室に無駄なスペースが発生することが、パンナムに敬遠されたのである<ref name="htj-81"/>。
 
 
 
1983年1月から、ボーイングでは767の航続距離延長型である767-200ER型の開発を開始した。767-200ER型の詳細は後述するが、これにより767の航続距離は、767-200型の5,852kmから9,445kmと飛躍的に延長された。さらにその後も改良が進んだことにより、最終的には767-200ER型の航続距離は12,352kmと、767-200型の2倍以上に延長された。しかし、767の受注数は伸び悩み、1984年9月の時点での767-200ER型の受注数は25機にとどまっており<ref name="htj-48"/>、767-300型に至ってはわずか8機しか受注を獲得できていなかった<ref name="htj-48"/>。
 
 
 
==== 洋上飛行制限の緩和 ====
 
一方、この時期には、[[ETOPS|双発機の洋上飛行制限]]が緩和されてゆく気運が高くなっていた<ref name="htj-72">イカロス出版『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』p72</ref>。まず1983年12月には[[エア・カナダ]]がそれまでの60分以内という洋上飛行制限を若干緩和した75分規定によりトロントとバミューダを結ぶ路線に767を投入<ref name="htj-72"/>、1984年3月には[[エル・アル・イスラエル航空]]が60分規定を遵守しながらもテルアビブとモントリオールを結ぶ大西洋横断路線(以下「大西洋線」と記述する)に767を就航させ<ref name="htj-72"/>、1985年2月には[[トランス・ワールド航空]] (TWA) がボストンとパリを結ぶ路線に75分規定によって767を使用するなど<ref name="htj-72"/>、双発機を用いた洋上飛行が増えていった。1985年5月には、767の洋上飛行制限は120分まで(これは「ETOPS-120」と呼ばれている)と大幅に緩和された<ref name="htj-72"/>。
 
 
 
他方、767がアメリカで本格的に運航を開始した時期、アメリカの航空業界は航空自由化政策(ディレギュレーション)によって、限られた航空会社しか運航できなかった国際線の運航へ、自由に参入できるようになるなど、その経営環境に大きな変化をもたらした<ref name="al280-52">イカロス出版『月刊エアライン』2002年10月号(通巻280号)p52</ref>。これに伴い、大西洋線には、多くの航空会社が参入することになったが、大西洋線では1便あたりの輸送力よりも複数便を設定することにより利便性を重視する傾向があり<ref name="al280-52"/>、1機あたりの輸送力が多く設定されているそれまでのワイドボディ旅客機は、必ずしも大西洋線では使いやすいとはいえず<ref name="al280-52"/>、767程度の輸送力が適正と考えられた。そこへ、前述した洋上飛行制限の緩和が行われたのである。
 
 
 
これにより、大西洋線へ767の航続距離延長型を導入する航空会社や路線が増加することになり、767の受注数は次第に増加してゆくことになる。特に1989年の受注機数は96機を数えた<ref name="htj-78"/>。767の航続距離延長型は、その後胴体延長型の767-300ER型の開発も行われ、1986年12月22日に初飛行した。また、1989年3月には、767による洋上飛行制限は180分までに緩和された<ref name="htj-72"/>。この結果、大西洋線では2002年には週あたり1800便が767により運航されるという状態になり<ref name="al280-44">イカロス出版『月刊エアライン』2002年10月号(通巻280号)p44</ref>、767は大西洋線の主力機材となった。パンナムが嫌ったコンテナ搭載の弱点も、767が大西洋線の主力機材となったために、結果的には弱点とはならなくなったのである<ref name="htj-81"/>。さらに[[日本航空]]やエア・カナダなどは太平洋線(日本 - ハワイや日本 - カナダ路線)にも導入を進めた。
 
 
 
[[冷戦]]崩壊後は[[ロシア]]の航空会社もユーザーに加わっており、リース会社経由ながら[[アエロフロート・ロシア航空]]でも就航するようになった。さらに長胴型の-400型のローンチも行われた。しかし[[2000年代]]に入り、ヨーロッパを中心に[[エアバスA330]]などの同クラスの機体に市場シェアを奪われたうえに、[[ボーイング787|787]]や777-200とも競合するケースもあり、売り上げが大きく落ち込み-400型は早々に生産を停止することとなった。
 
 
 
2011年2月に767シリーズは1000機を突破したものの、ボーイングは[[民間機]]としては787(2011年就航)に役目を譲り、767は[[空中給油機]]や[[早期警戒管制機]]など[[軍用機]]としての売り込みを強める姿勢を見せている。なお、旅客型の生産は2014年に受注残がなくなったのをもって事実上終了している。
 
{{-}}
 
 
 
== 機体の特徴 ==
 
[[File:Japan Airlines 767-300 Economy cabin.jpg|thumb|right|250px|767-300の機内]]
 
客室最大幅は4.7mあり、通路を2つ設けることが可能であるが、床下の貨物室は'''LD3'''コンテナ ([[:en:Unit Load Device]]) を2個並列に並べることができず(専用のより小さい'''LD2'''コンテナなら並列に入る)、[[ワイドボディ機]]の標準からは外れている。これらのことから767の胴体は[[ワイドボディ機#セミワイドボディ機|セミワイドボディ機]]に分類される。
 
 
 
767の座席配列は横2-3-2([[エコノミークラス]]の場合)と、それまでの旅客機には見られない珍しい配置であった。これはボーイングのアンケート調査や実験などによる結果で決定したもので、ボーイングではその実験結果を「{{要出典範囲|date=2013年9月|ミドルマンの悲劇|title=英文の出典を求めています。}}」と呼んでいる。これは、普通多くの乗客は窓側か通路側の席を好み、特に配列数が奇数になる中央席は乗客にとって悲劇である、というものである。ボーイングは2-3-2にすることで、乗客が中央席に座る確率はわずか17%ですむとしている。これは、換言すれば、搭乗率が83%を超えなければ、すべての乗客が快適な窓側か通路側の席に座れることを意味する(搭乗率が83%以上となるのは相当な繁忙期くらいである)<ref>{{Cite |和書 |author = [[谷川一巳]] |title = 世界の旅客機Top45 |date = 2013 |publisher = [[ユナイテッド・ブックス]] |isbn = |series = [[Top45シリーズ]]}}</ref>。
 
 
 
一方で、「経済効率が悪いのでは」という意見もあるが、その際ボーイングはこの「ミドルマンの悲劇」の対策であるということを強調している。とはいえ、[[スカイマーク]]のように、横座席を1列増やして2-4-2の8列配置で運航していた航空会社<!--スカイマークはLCCに非ず-->もある。なお、8列配置の767のほとんどはチャーター便に用いられている。
 
 
 
なお、7列2通路の767と、ワイドボディ機が就航できないラガーディア空港対策のために導入された6列1通路の757とでは機体外径が大きく異なる割に輸送人員の差は少なく、757の経済性は際立っている。しかし販売実績は、並行生産中は「やや757優位」程度に留まっていた。757は総生産数1,049機で販売を終えた(2005年ロットアップ)一方、767は引き渡しされていないものを含め1,122機を販売して757を上回った(2013年12月末現在)。後継機にあたる787の製造遅れもあり、日本航空や全日本空輸をはじめとするいくつかの航空会社は767を旧機の代替として発注しているため、受注は2009年3月現在も受け付けている。
 
 
 
[[ジェットエンジン|エンジン]]は3種(要目欄参照)から選択して発注することが可能である。主翼面積は重量増加型にも対応できるように、その面積にゆとりを持たせたものとなった。[[太平洋]]横断路線や、[[日本]] - [[ヨーロッパ]]間などの中長距離路線に就航できる航続距離を持っている。なお、洋上長距離路線への就航を行う際は、2発エンジン機のためにETOPSの取得が必要である。
 
 
 
また、757とは、操縦機器や操縦性をあわせるように作られており、操縦資格を共通化して両機を運用する航空会社の便を図っていることは前記した。
 
 
 
== 派生型 ==
 
=== 767-200 ===
 
[[File:The Spirit of Delta Boeing 767-200.jpg|250px|thumb|デルタ航空 767-200<br>「スピリット・オブ・デルタ」]]
 
[[1978年]]に生産が立ち上がり、[[1981年]]から[[1994年]]まで生産された767型機の最初期モデル。[[1982年]]に[[ユナイテッド航空]]が運航を始めた。
 
 
 
当初は安全上の理由から、飛行試験用の1 - 4号機の操縦乗員を3人にしていたが、1981年9月にアメリカ政府の委員会が「新型機については2人乗務でも安全運航が可能」との結論を発表。またそれと同時にライバルの[[エアバス]]も、同クラスの新型機・A310での2人運航を本格化したため、ボーイングは急遽767を2人乗務へ設計変更した。6号機からは2人運航が可能な操縦席で製造し、1982年5月27日に初飛行を行っている。
 
 
 
2000年代以降では退役する機材もあり、[[日本航空]]と[[全日本空輸]]で運航されていた767-200はすべて退役している。全日本空輸で使用されていた機体は[[貨物機]]に改造され、アメリカの[[エアボーン・エクスプレス]]で使われている。[[デルタ航空]]でも退役が始まり、とくに同社の有志により導入された「[[スピリット・オブ・デルタ]]」と呼ばれた767-232([[機体記号]]:N102DA)は2006年3月に退役し、[[ジョージア州]][[アトランタ|アトランタ市]]の同社本社に所在する[[デルタ航空博物館]]へ寄贈された。
 
 
 
=== 767-200ER ===
 
[[File:Malev B767-200ER HA-LHB takamatsu.jpg|250px|thumb|[[マレーヴ・ハンガリー航空]] 767-200ER]]
 
767-200に燃料容量増加などの改良を加え[[航続距離]]を伸ばしたタイプ。[[1984年]]に[[エル・アル・イスラエル航空]]が初運行を行った。初受注は1982年[[12月16日]]の[[エチオピア航空]]によるもの。航続距離は767-200の5,852[[キロメートル|km]]に対し12,352kmと2倍になっている。軍用の派生型(詳細は以下参照)も767-200ERをベースに造られているものが多い。
 
 
 
なお、[[コンチネンタル航空]]が運航する-200ER型には-400ERと同じ操縦席が装備されている。
 
{{-}}
 
 
 
=== 767-300 ===
 
[[File:Delta Air Lines B767-332 N130DL.jpg|thumb|250px|デルタ航空 767-300]]
 
767-200の胴体を6.43m延長し、座席数と貨物積載量の増加を行った機体。1982年9月29日発注の日本航空が[[ローンチカスタマー]]で、同年の11月7日にはデルタ航空からも発注を受けている。初号機(JA8234)は1986年1月30日に初飛行を行い、同年9月25日には初納入されている。
 
 
 
[[Amazon.com]]は貨物機へ改修された-300を自社専用機『Amazon One』として40機導入することを予定している(運行は[[アトラス航空]]などへ委託)<ref>[http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/080802356/ Amazon.com、自前の貨物航空機の運航開始:ITpro]</ref>。
 
{{-}}
 
 
 
=== 767-300ER ===
 
[[File:OE-LAE.jpg|thumb|250px|ウィングレットを装着したオーストリア航空の767-300ER]]
 
767-300に新型エンジンを搭載し、燃料容量を増加、航続距離を伸ばしたもの。767-300の航続距離は7,340kmだが、-300ERでは11,306kmとなっている。初受注はアメリカン航空によるもので、計画は1984年7月21日に正式にローンチしている。初号機は1986年12月9日に初飛行し、ローンチカスタマーのアメリカン航空へは1988年2月19日に納入されている。機体の設計変更は767-200から-200ERへ行われたものと同様であるが、重量増加の対策として客室などの素材を一部強化している。767の派生型の中では最多製造機数となった。のちに燃費低減を目的として、[[ボーイング737#737NG -600/-700/-800/-900(第3世代)|737NGシリーズ]]で採用している[[ウィングレット]]が用意され、アメリカン航空などが採用している。日本では全日本空輸が初採用となり<ref>[https://www.ana.co.jp/pr/08-0709/08-089.html 本邦初 ボーイング767-300ERにウイングレット!〜エコロジープラン2008-2011 の実現に向けて〜 ANA NEWS]</ref>、続いて2013年5月からは日本航空にもウィングレット装着改造を施した機材が登場している。
 
 
 
なお、767の標準仕様では、最大客席数は290席に制限されるが、-300ERではオプション扱いで[[非常口#旅客機|非常口]]配置を変更することを可能とし、これによって最大客席数を350席まで増加させることを可能とした<ref name="al280-44"/>。非常口配置は以下の3種類存在する。
 
; A-III-III-A
 
: 標準仕様。タイプAドアが最前部と最後部にあり、主翼上にタイプIIIの非常口が2つ並ぶ。
 
; A-A-III-A
 
: オプション仕様。タイプAドアは最前部と最後部に加えて主翼前方にも設置、主翼上にタイプIIIの非常口を1つ設置。
 
; A-A-I-A
 
: オプション仕様。タイプAドアは最前部と最後部に加えて主翼前方にも設置、主翼後方にタイプIの非常口を1つ設置。
 
 
 
<gallery widths="180px" heights="150px">
 
File:ADO-B767300ER-JA01HD-01.jpg|標準仕様「A-III-III-A」
 
File:E3-AAO FRA 20050611.jpg|オプション「A-A-III-A」
 
File:B767-36NER-VP-BAZ.jpg|オプション「A-A-I-A」
 
</gallery>
 
このように、同一機種で複数の扉配置をオプションとして設定したのは、ボーイングのジェット旅客機の中でも757と767のみである<ref name="htj-80">旅客機形式シリーズ2『ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』(イカロス出版)p80</ref>。
 
 
 
=== 767-400ER ===
 
{{Multiple image|direction=vertical|width=250
 
|image1=Continental Airlines Boeing 767-400ER Wedelstaedt.jpg
 
|caption1=コンチネンタル航空 767-400ER
 
|image2=Continental Airlines Boeing 767-424ER flight deck.jpg
 
|caption2=コックピット
 
}}
 
767-300の胴体を6.43m延長し、[[旅客機のコックピット|操縦席]]を777スタイルのものに変更した派生型。デルタ航空が運航する[[ロッキード L-1011 トライスター]]の後継機を、300席級の長距離洋上飛行路線用として導入したい、という要望に応えるため開発された。胴体延長に対応して、機種上げ時の尾部の接地(テイルコンタクト)を防ぐため、尾部にテールスキッドを装備するとともに、メインギア(主脚)の高さを46センチメートル高くしている。ただし、ノーズギア(前脚)の高さは変わらないため、地上ではやや前傾気味の姿勢となる<ref name="al280-33">イカロス出版『月刊エアライン』2002年10月号(通巻280号)p33</ref>。また、後退翼(レイクド・ウィングチップ)を設けたことにより、主翼幅は片側あたり7フィート8インチ (2.2m) 延長されている。
 
 
 
コックピットの大きな設計変更が行われたが、既存の767、757と操縦資格は共通である。
 
 
 
1997年3月20日にデルタ航空が21機確定発注したことにより、計画が正式にローンチした。1999年10月9日に初飛行し、2001年9月14日にユナイテッド航空(旧:コンチネンタル航空)に初納入されている。なお、-400ERはデルタ航空とユナイテッド航空のみが定期旅客便として運航しているほか、1機だけ[[バーレーン]]王室のVIP仕様機が在籍している。
 
 
 
なお、767-400という型式は存在しない。前述のように長距離路線用として開発されたため、構造は767-200ERや767-300ERをベースとしている。そのため767-400ERと名付けられた。ただし、-200ERや-300ERに比べ航続距離はやや劣る。
 
{{-}}
 
 
 
=== 767-300F ===
 
[[File:UPS 767.jpg|thumb|right|250px|ユナイテッド・パーセル・サービス 767-300F]]
 
767-300ERの貨物専用型。1993年1月15日に[[ユナイテッド・パーセル・サービス]] (UPS) が30機を確定発注し、計画が正式ローンチした。
 
窓やドアの一部撤去などのほか、操縦席に従来の補助席(ジャンプシート)2名分に加え、荷主用ジャンプシートも追加され計3名分を設け座れるようにしている<ref>[http://www.aviationwire.jp/archives/127643 就航15周年迎えた貨物専用機 写真特集・ANAカーゴ767-300F]</ref>。
 
 
 
一部機材で、先述のB767-300ERと同じくブレンディングウィングレット装着も行なわれている。
 
{{-}}
 
 
 
=== 767-300BCF ===
 
[[File:ANA & JP Express Boeing 767-300ERF KvW.jpg|thumb|right|250px|全日本空輸 767-300BCF]]
 
ボーイングの旅客型→貨物型への中途改修 ('''B'''oeing '''C'''onverted '''F'''reighter) プログラムで、767-300ERを基に改修される。改修は[[シンガポール]]のSASCO(STアビエーション・サービス社)のシンガポール工場が担当する。
 
 
 
ローンチカスタマーは全日本空輸で、2005年に自社の767-300ERの7機をベースに発注(当初は3機発注、4機オプションだったがその後追加装備分も正式発注)した。
 
 
 
改修第1号となったJA8286の改修作業は2007年に開始した。改修内容は、旅客型の内部機材と内装の取り外し、メインデッキ周辺機材、および貨物口の側面設置、メインデッキ床の張り替え、耐9-G 貨物障壁、貨物処理新システム、最大離陸重量の改善、およびその他の装備・性能向上である。
 
 
 
完成後初飛行は2008年4月9日で、翌4月10日に試験飛行を兼ねてアメリカ、シアトルまでの無着陸飛行をしながら、各種試験項目を実施した。その後FAAから認証を得て、5月26日再びシンガポールのSASCO(STアビエーション・サービス社)への長距離飛行を行い、6月16日に全日本空輸に引き渡された。
 
 
 
=== 軍用機型 ===
 
; E-767
 
[[File:E-767 Japan AWACS 112010.jpg|thumb|right|250px|航空自衛隊 E-767]]
 
: [[早期警戒管制機|AWACS(空中警戒管制機)]]型([[航空自衛隊]]採用)-200ERベース
 
{{Main|E-767 (航空機)}}
 
 
 
; KC-767
 
: [[空中給油機|空中給油]]・[[輸送機]]型([[イタリア空軍]]、航空自衛隊採用)-200ERベース
 
{{Main|KC-767 (航空機)}}
 
 
 
; E-10A
 
: MC2A(Multi-Sensor Command and Control Aircraft)型 [[E-3 (航空機)|E-3C]]・[[E-8 (航空機)|E-8C]]・[[RC-135 (航空機)|RC-135]]後継機(2008年4月時点、実証試作機の開発のみ継続中で、量産計画はキャンセルされている) -400ERベース
 
{{Main|E-10 (航空機)}}
 
 
 
; KC-46
 
: [[空中給油機|空中給油]]・[[輸送機]]型 ([[アメリカ空軍]]、航空自衛隊採用)-200ERベース(-2C)
 
{{Main|KC-46 (航空機)}}
 
 
 
=== 計画中止になった発展型 ===
 
; 767-100
 
: 短胴型。計画のみ。
 
; 767-400LR
 
: 航続距離延長型:767-400ERの[[水平尾翼]]に7,571 [[リットル|L]]の燃料タンクを増設することで、航続距離が900 km前後延長するというもの。
 
 
 
これらは787の開発決定により中止された。
 
 
 
== 主な運航会社 ==
 
* [[デルタ航空]]<!--のべ導入機数124-->
 
* [[アメリカン航空]]<!--97-->
 
* [[全日本空輸]]<!--96-->
 
* [[ユナイテッド航空]]<!--80-->
 
* [[日本航空]]<!--60-->
 
* [[ラン航空]]<!--57-->
 
* [[TAM航空]]
 
* [[コンチネンタル航空]]<!--26-->
 
* [[ニュージーランド航空]]<!--22-->
 
* [[ハワイアン航空]]<!--21-->
 
* [[ウズベキスタン航空]]
 
* [[ユナイテッド・パーセル・サービス]](貨物機)
 
* [[フェデックス・エクスプレス]](貨物機)
 
* [[アトラス航空]]
 
* [[エア・アスタナ]]
 
<!--
 
* [[アエロメヒコ航空]]--15--
 
* [[アリタリア航空]]--15--
 
* [[アエロフロート航空]]--13--
 
* [[ケニア航空]]--12--
 
* [[エバー航空]]--9--
 
* [[スカイマーク]]--7--
 
* [[上海航空]]--7--
 
* [[エジプト航空]]--7--
 
* [[AIRDO]]--5--
 
-->
 
 
 
== 性能・主要諸元 ==
 
{| class="wikitable" style="font-size:100%; text-align:center;"
 
|-
 
!style="background-color:#ddd;"|項目\機種
 
!style="background-color:#dff;"|767-200
 
!style="background-color:#dff;"|767-200ER
 
!style="background-color:#dff;"|767-300
 
!style="background-color:#dff;"|767-300ER
 
!style="background-color:#dff;"|767-300F
 
!style="background-color:#dff;"|767-400ER
 
|-
 
!全長
 
|colspan="2"|48.5 m
 
|colspan="3"|54.9 m
 
|61.4 m
 
|-
 
!全幅
 
|colspan="5"|47.6 m
 
|51.9 m
 
|-
 
!乗員/乗客
 
|colspan="2"|2/181-255
 
|colspan="2"|2/218-351
 
|2/0(貨物専用)
 
|2/245-375
 
|-
 
!貨物室容量
 
|colspan="2"|81.4 [[立方メートル|m<sup>3</sup>]]
 
|colspan="2"|106.8 m<sup>3</sup>
 
|454 m<sup>3</sup>
 
|129.6 m<sup>3</sup>
 
|-
 
!航続距離
 
|9,400 km<br/>(5,200 [[海里]])
 
|12,200 km<br/>(6,600 海里)
 
|9,700 km<br/>(5,230 海里)
 
|11,305 km<br/>(6,105 海里)
 
|6,050 km<br/>(3,270 海里)
 
|10,450 km<br/>(5,650 海里)
 
|-
 
!巡航速度
 
|colspan="6"|[[マッハ数|マッハ]]0.80(862[[キロメートル毎時|km/h]])
 
|-
 
!発動機
 
|colspan="6" align="left"|高バイパス比[[ターボファンエンジン]]2基搭載、エンジンは次のいずれかを装備。
 
* [[GE・アビエーション|ゼネラル・エレクトリック]]製CF6-80型(約29,500kg)
 
* [[プラット・アンド・ホイットニー]]製JT9D-7R4またはPW4062型(約28,600kg)
 
* [[ロールス・ロイス]]製[[ロールス・ロイス RB211|RB211]]型(約27,200kg)
 
|}
 
 
 
== 767の年別発注・納入数・受注残 ==
 
* [[2014年]][[1月1日]]現在のデータ
 
=== 発注数 ===
 
{| class="wikitable" style="margin:1em 0em 2em 3em; font-size:80%; text-align:right;"
 
|-style="font-weight:bold; background-color:#dfa;"
 
|2013
 
|2012
 
|2011
 
|2010
 
|2009
 
|2008
 
|2007
 
|2006
 
|2005
 
|2004
 
|2003
 
|2002
 
|2001
 
|2000
 
|1999
 
|1998
 
|1997
 
|1996
 
|-
 
|2
 
|22
 
|42
 
|3
 
|7
 
|24
 
|36
 
|10
 
|19
 
|9
 
|11
 
|8
 
|40
 
|9
 
|30
 
|38
 
|79
 
|43
 
|-style="font-weight:bold; background-color:#dfa;"
 
|1995
 
|1994
 
|1993
 
|1992
 
|1991
 
|1990
 
|1989
 
|1988
 
|1987
 
|1986
 
|1985
 
|1984
 
|1983
 
|1982
 
|1981
 
|1980
 
|1979
 
|1978
 
|-
 
|22
 
|17
 
|54
 
|21
 
|65
 
|52
 
|100
 
|83
 
|57
 
|23
 
|38
 
|15
 
|20
 
|2
 
|5
 
|11
 
|45
 
|49
 
|}
 
 
 
=== 納入数 ===
 
{| class="wikitable" style="margin:1em 0em 2em 3em; font-size:80%; text-align:right;"
 
|-style="font-weight:bold; background-color:#fda;"
 
|2013
 
|2012
 
|2011
 
|2010
 
|2009
 
|2008
 
|2007
 
|2006
 
|2005
 
|2004
 
|2003
 
|2002
 
|2001
 
|2000
 
|1999
 
|1998
 
|1997
 
|1996
 
|-
 
|21
 
|26
 
|12
 
|13
 
|10
 
|12
 
|12
 
|10
 
|9
 
|24
 
|35
 
|40
 
|44
 
|44
 
|47
 
|42
 
|43
 
|37
 
|-style="font-weight:bold; background-color:#fda;"
 
|1995
 
|1994
 
|1993
 
|1992
 
|1991
 
|1990
 
|1989
 
|1988
 
|1987
 
|1986
 
|1985
 
|1984
 
|1983
 
|1982
 
|1981
 
|1980
 
|1979
 
|1978
 
|-
 
|41
 
|20
 
|51
 
|63
 
|62
 
|60
 
|37
 
|53
 
|37
 
|27
 
|25
 
|29
 
|55
 
|20
 
|0
 
|0
 
|0
 
|0
 
|}
 
=== 受注残 ===
 
{| class="wikitable" style="margin:1em 0em 2em 2em; font-size:80%; text-align:right;"
 
|-style="font-weight:bold; background-color:#fda;"
 
|  300F 
 
|    2C 
 
|-
 
|42
 
|18
 
|}
 
*近年は増産体制にある。<ref>https://flyteam.jp/news/article/93816 </ref>
 
 
 
== 競合機種 ==
 
* [[エアバス]] ''[[エアバスA310|A310]]''
 
* エアバス ''[[エアバスA330|A330-200]]''
 
 
 
== 事故・インシデント ==
 
* アメリカ同時多発テロ
 
** [[2001年]][[9月11日]]の[[アメリカ同時多発テロ事件]]で2機の767が失われている。[[アメリカン航空11便テロ事件|アメリカン航空11便]]767-223ER型機は乗客・乗員93名とともに[[ワールドトレードセンター (ニューヨーク)|ニューヨークワールドトレードセンター]]のノースタワーに、[[ユナイテッド航空175便テロ事件|ユナイテッド航空175便]]767-222型機は乗客・乗員65名とともにサウスタワーに激突した。
 
* 機器誤作動
 
** [[1991年]][[5月26日]]、[[ラウダ航空004便墜落事故|ラウダ航空004便]]([[タイ王国|タイ]]・[[バンコク]]発[[オーストリア]]・[[ウィーン]]=[[シュベヒャート空港|シュベヒャート]]行)が、[[離陸]]25分後にタイ国内の[[熱帯雨林]]上空で、[[スラストリバーサー|逆噴射装置]]の誤作動により第1[[エンジン]]が[[逆噴射]]し、操縦不能に陥ったまま[[高度]]10000フィート以下で[[空中分解]]した。乗員乗客233名が全員死亡。墜落原因とされたエンジンはプラット・アンド・ホイットニー製であった。
 
* 燃料切れ
 
** [[1983年]][[7月23日]]、[[エア・カナダ]]143便(767-200)が[[カナダ]]のケベック州モントリオールからアルバータ州エドモントンへの飛行中燃料切れを起こし、マニトバ州ギムリーのカナダ空軍基地跡の滑走路跡地に安全に緊急着陸した。詳しくは[[ギムリー・グライダー]]を参照。
 
* 原因不明(諸説あり)
 
** [[1999年]][[10月31日]]、[[エジプト航空990便墜落事故|エジプト航空990便]]([[ニューヨーク]]発[[カイロ]]行)が離陸後まもなく[[大西洋]]に墜落した。217名死亡。アメリカ側は副操縦士の自殺行為による墜落(無理心中)と結論を下したが、エジプト・操縦士連盟は[[ミサイル]]との衝突や機体の問題、エジプト航空は767は尾翼部分に問題があると主張し、アメリカとエジプトの調査官が対立する事態となった。[[ボイスレコーダー]]には、機長がトイレに立った隙に副操縦士が「神だけが頼りだ(I rely on God.)」と繰り返し唱えながら、エンジンを切る音声が記録されていた。[[フライトレコーダー]]によれば、機体は高度35,000フィートの上空から垂直に近い状態で墜落した。機長は海面との衝突直前にコクピットに戻ることができ、自ら操縦桿を引いたが、間に合わなかった。
 
 
 
* 着陸事故(オーバーラン)
 
** [[1993年]]4月、[[TACA航空]]の767-2S1 (N767TA) が[[グアテマラ]]の[[ラ・アウロラ国際空港]]へ着陸した際に[[雨]]によるスリップで[[オーバーラン]]事故となった<ref>[http://www.youtube.com/watch?v=KqJ3XQJf9ok&feature=related 事故の映像]</ref>。
 
[[File:Taca Guatemala.jpg|thumb|オーバーランしたN767TA]]
 
* 胴体着陸
 
** [[2011年]][[11月1日]]、[[ニューアーク・リバティー国際空港]]からの[[LOTポーランド航空16便胴体着陸事故|LOTポーランド航空16便]](767-300ER)が、油圧系統の不具合により[[ワルシャワ・フレデリック・ショパン空港]]へ胴体着陸した。乗員11名、乗客220名の合計231人全員にけがはなかった<ref>イカロス出版『月刊エアライン』2012年1月号(通巻391号)p63</ref>。
 
* 機体変形
 
** [[2012年]][[6月20日]]13時20分頃、全日本空輸956便(767-300ER、[[北京首都国際空港|北京]]発[[成田国際空港|成田]]行き)が、成田国際空港への着陸時に激しく揺れ、その強い衝撃で機体の亀裂や変形が生じた。搭乗していた乗員・乗客193人のうち、7人が首の痛みや軽症を負った。事故発生当時、成田空港は前日に接近した[[平成24年台風第4号|台風4号]]の影響で、最大風速15メートルの強い横風が吹き荒れていた。[[運輸安全委員会]]の調べで、機体には4箇所の亀裂が見つかり、また天井パネルの2枚が外れかかっていた<ref>{{cite news |title=全日空機に亀裂4か所…考えられない損傷レベル |newspaper=読売新聞 |date=2012-06-21 |url=http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120621-OYT1T01220.htm |accessdate=2012-06-24}}</ref>。
 
 
 
=== 事故概略 ===
 
(2004年現在)
 
* 機体損失事故:6回、総計568人死亡。
 
* 他の原因:2回、総計0人死亡([[クウェート]]に侵攻した[[イラク]]軍に強奪された[[クウェート航空]]の2機が[[湾岸戦争]]で破壊)。
 
* ハイジャック:5回、総計282人死亡(同時多発テロ含む)。
 
 
 
== 日本における採用 ==
 
[[File:Osaka KIX JAL 767-346 JA8986 and ANA 767-381ER JA612A.jpg|thumb|right|200px|日本航空の767-300(上)と、全日本空輸の767-300ER]]
 
[[File:Boeing 767-381, All Nippon Airways - ANA AN1626288.jpg|thumb|right|200px|全日本空輸復刻塗装の767-300]]
 
2015年現在、日本の[[航空会社]]では全日本空輸([[エアージャパン]]との共通事業機材)、日本航空、[[AIRDO]](旧・北海道国際航空)の3社で使用されている。過去には[[日本アジア航空]]と南西航空(現・[[日本トランスオーシャン航空]])、スカイマークでも使用されていたほか、[[レキオス航空]]が導入を計画していたものの実現されていない。日本航空は767-300の[[ローンチカスタマー]]であり、全日本空輸は767-300BCFの[[ローンチカスタマー]]である。全日本空輸は767を大量に導入し、その数は世界第2位に達している。<!-- 事故は採用ではなく事故の項に書くべし -->
 
 
 
全日本空輸<!--25機-->、日本航空<!--3機-->、北海道国際航空<!--1機-->の-200はすでに全機が退役している。-300も初期に導入された機体は製造から20年以上経過しているものもあり、全日本空輸<!--71機-->も日本航空<!--57機-->も経年機は787などによる置き換えが順次予定されている。日本航空は2009年から、全日本空輸はAIRDO移籍分を除いて2012年から退役が始まったものの、787の製造遅れや相次ぐトラブル発生のため置き換えは遅れ、全日本空輸と日本航空はボーイングと交渉の末に-300を発注している。これは事実上のボーイングによる納期遅れに対する補償となり、全日本空輸の機材に限っては全機ウィングレットを装着して納入された。なお、このうち1機は767の製造1000機目となる機体(JA622A)である。日本航空の機材も6機に対してウィングレット装着を決めていたが、その後は9機にウィングレットを装着した<ref>[http://www.aviationpartnersboeing.com/pdf/pr/2013/130417_JAL_767_PR.pdf Japan Airlines Orders 6 767-300ER Blended Winglet Systems]</ref>。
 
 
 
 
 
エンジンは全日本空輸が[[ゼネラル・エレクトリック]][[ゼネラル・エレクトリック CF6|CF6-80]]シリーズ、日本航空が[[プラット・アンド・ホイットニー JT9D]]-7Rシリーズを採用したが、JT9Dエンジンの生産中止に伴い、日本航空も1994年以降の機体は747-400にも使用しているCF6-80シリーズに変更している。
 
 
 
一方、[[航空自衛隊]]では、767初の[[軍用機|軍用型]]として、[[早期警戒管制機]]に改造した[[E-767 (航空機)|E-767]]を4機導入した。また、[[空中給油機]]として[[KC-767 (航空機)|KC-767]]を4機導入した。
 
 
 
== 日本における主な事故 ==
 
* [[全日空機下地島オーバーラン事故]] - 767の日本における唯一の事故喪失例。
 
* [[全日空機成田空港オーバーラン事故]]
 
* [[日航機事故#日本航空322便|日本航空福岡空港急ブレーキ事故]]
 
* [[日航機事故#日本航空1002便|日本航空羽田空港かく座事故]]
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* [[イカロス出版]]『旅客機型式シリーズ2 ハイテク・ツイン・ジェット Boeing757&767』 ISBN 4871492974
 
* イカロス出版『月刊エアライン』2002年10月号(通巻280号)
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[テールスキッド]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.boeing.com/commercial/767family/ Boeing 767 Program Information(英語版)]
 
 
 
{{Commons&cat|Boeing 767|Boeing 767}}
 
{{Boeing Airliners}}
 
{{Boeing 7x7 timeline}}
 
{{Boeing model numbers}}
 
{{DEFAULTSORT:ほおいんく767}}
 
{{aviation-stub}}
 
[[Category:ボーイング767|*]]
 

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