「マッコウクジラ」の版間の差分

提供: miniwiki
移動先:案内検索
(1版 をインポートしました)
(内容を「 '''マッコウクジラ'''(抹香鯨、''Physeter macrocephalus'') クジラ目ハクジラ亜目マッコウクジラ科マッコウクジラ属。体長は雄約...」で置換)
(タグ: Replaced)
 
1行目: 1行目:
{{生物分類表
 
|省略 = 哺乳綱
 
|名称 = マッコウクジラ
 
|画像 = [[ファイル:Mother and baby sperm whale.jpg|250px]]
 
|画像2 = [[ファイル:Sperm whale male and female size.svg|250px]]
 
|画像キャプション2 = '''マッコウクジラ''' ''P. macrocephalus''
 
|status = VU
 
|status_ref = <ref name="cites">[https://cites.org/eng/app/appendices.php Appendices I, II and III]<http://www.cites.org/> (accessed November 12, 2016)</ref><ref name="iucn">Taylor, B.L., Baird, R., Barlow, J., Dawson, S.M., Ford, J., Mead, J.G., Notarbartolo di Sciara, G., Wade, P. & Pitman, R.L. 2008. ''Physeter macrocephalus''. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T41755A10554884. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T41755A10554884.en. Downloaded on 12 November 2016.</ref>
 
|status_text = [[絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約|ワシントン条約]]附属書I
 
|目 = [[偶蹄目|偶蹄目/鯨偶蹄目]]<br />[[w:Even-toed_ungulate|Artiodactyla/Cetartiodactyla]]<!-- 経緯等は省略するがクジラ目を含んでも偶蹄類が含まれるため定義が変わらない・鰭脚類を含む食肉目の前例から偶蹄目のままとする説があり、例えば英語版では鯨偶蹄目Cetartiodactylaは偶蹄類Even-toed_ungulateへのリダイレクトになっている -->
 
|亜目 = [[w:Whippomorpha|Whippomorpha]]
 
|下目 = [[w:Cetacea|Cetacea]]<!-- 分類階級と旧和名を組み合わせればクジラ下目になると思われるが、そう記述した文献がないため記述しない -->
 
|小目 = [[ハクジラ小目]] [[w:Toothed_whale|Odontoceti]]<ref>日本哺乳類学会 種名·標本検討委員会 目名問題検討作業部会 「[http://doi.org/10.11238/mammalianscience.43.127 哺乳類の高次分類群および分類階級の日本語名称の提案について]」『哺乳類科学』第43巻 2号、日本哺乳類学会、[[2003年]]、127-134頁。</ref><!-- 分類は異なるが使用例があったため代用 -->
 
|科 = マッコウクジラ科<br />[[w:Physeteroidea|Physeteridae]] [[ジョン・エドワード・グレイ|Gray]], [[1821年|1821]]<ref name="rice">Dale W. Rice, "Family PHYSETERIDAE" ''Marine mammals of the world systematics and distribution'', Society of Marine Mammalogy, 1998, Pages 82-83.</ref>
 
|属 = '''マッコウクジラ属'''<br />''Physeter'' [[カール・フォン・リンネ|Linnaeus]], [[1758年|1758]]<ref name="rice" />
 
|種 = '''マッコウクジラ'''<br />''P. macrocephalus''
 
|学名 = ''Physeter macrocephalus'' Linnaeus, 1758<ref name="iucn" /><ref name="rice" />
 
|シノニム = * ''Physeter catodon'' Linnaeus, 1758<ref name="iucn" />
 
* ''Physeter australasianus'' Desmoulins, 1822
 
* ''Physeter australis'' Gray, 1846
 
|和名 = マッコウクジラ<ref name="kasuya">[[粕谷俊雄]] 「マッコウクジラ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2001年、169-170頁。</ref><ref name="lockyer">Christina Lockyer「マッコウクジラ類」粕谷俊雄訳『動物大百科 2 海生哺乳類』大隈清治監修 D.W.マクドナルド編、[[平凡社]]、[[1986年]]、52-57頁。</ref>
 
|英名 = [[w:Sperm_whale|Sperm whale]]
 
|生息図=[[ファイル:Cetacea range map Sperm Whale 4.PNG|250px|分布域]]
 
}}
 
[[ファイル:Ambergris.jpg|thumb|230px|[[龍涎香]](りゅうぜんこう)]]
 
  
'''マッコウクジラ'''(抹香鯨、''Physeter macrocephalus'')は、[[偶蹄目]](鯨偶蹄目とする説もあり)マッコウクジラ科マッコウクジラ属に分類されるクジラ類。本種のみでマッコウクジラ属を構成する。
+
'''マッコウクジラ'''(抹香鯨、''Physeter macrocephalus''
  
ハクジラ類の中で最も大きく、[[]]のある動物<ref>『クジラは昔陸を歩いていた』 大隅清治 ISBN 4-569-53353-1</ref>では世界最大で、巨大な頭部形状が特徴。
+
クジラ目ハクジラ亜目マッコウクジラ科マッコウクジラ属。体長は雄約 18m以上,雌約 12m以上。最大体重約 57t。出生体長は 3.5~4.5m。体色は全身茶褐色か茶色がかった灰色または青灰色で,吻部や臍 (へそ) を中心に白斑を有する。体表は年齢とともに白色化する。扁平な上顎骨の上に脳油と称する体油の貯蔵部があるため,前頭部が巨大で,ときには頭長が体長の3分の1に達する。噴気孔は1個で頭部左側の先端にあり,噴気の高さは3~4mで,水面に対して斜めに上がるため識別は容易である。下顎は上顎に比べてきわめて細長く,18~25対の円錐歯が並び,上顎にはこれらの歯が収まるくぼみがある。上顎歯は歯根内に痕跡的に残る。背鰭 (せびれ) は体の後方3分の2に位置し,頂上は丸みを帯びる。背鰭後方から尾鰭前方にかけて小隆起が連なる。また肛門直後が隆起する。胸鰭はうちわ状で短く,尾鰭は幅が広く後縁中央が切れ込む。潜水時間はクジラ類中最長で,通常は 30~40分であるが大型雄は1時間をこえることもある。尾鰭を水面に上げて垂直に潜水し,この際にしばしば脱糞する。大型雄は単独で行動し,中型の個体は 15頭前後の群れをよくつくる。おもに深海性のイカ類やタコ類を捕食するが,タラ等の大型底生魚類も捕食する。腸内には[[竜涎香]]と呼ばれるろう状物質があり,香料として珍重される。両半球の熱帯から氷縁にかけて分布し,深海域を好む。成熟した大型雄は高緯度の極地方に偏在する。 1988年商業捕鯨禁止まで日本沿岸で捕獲された。インドネシアでは先住民により捕獲されている。
  
== 呼称 ==
+
{{テンプレート:20180815sk}}
=== 学名 ===
 
[[学名|属名]] {{snamei|Physeter}} は、「鯨の潮吹き」を意味する {{lang-grc|φυσητηρ|φυσητηρ}} ({{ラテン翻字|grc|ISO|physētēr}}; ピュセーテール) に由来<ref group="注釈">[[アリストテレス]]が著書『[[動物誌 (アリストテレス)|動物誌]]』において用いた用語で、本来は「[[ふいご]]」を意味する言葉であった。</ref>。
 
とりわけマッコウクジラは前方に吹き出す潮がよく目立つためか、後にその属名に冠されることとなった。英語では「ファイシター」のごとく発音する<ref group="注釈"><small>音声資料</small>:[http://howjsay.com/pronunciation-of-physeter - howjsay.com]:当該文字にカーソルを合わせれば繰り返し聴取可能。</ref>。日本語では慣用的に「フィセテル」「フィセター」などと呼ぶことが多い。
 
 
 
[[学名|種小名]] ''macrocephalus'' は{{lang-grc|μάκρος}} ({{ラテン翻字|grc|ISO|makros}}) 「長い、大きい」 + {{lang|grc|κεφαλή}} ({{ラテン翻字|grc|ISO|kephalē}}) 「頭」の合成語。
 
 
 
=== 和名と香料 ===
 
[[和名]]「マッコウクジラ」の漢字表記は「抹香鯨」である<!--
 
 
 
が、これは[[香木]]の名に由来がある
 
※普通抹香といえば「粉末状・チップ状のブレンド香」のことですが、香木の名にもあるのでしょうか?(あり得ない気がしますが)
 
 
 
-->。古代からアラビア商人が取り扱い、洋の東西を問わず珍重されてきた品に、[[香料]]であり[[医薬]]でも[[媚薬]]でもある'''[[龍涎香]]'''というものがあったが、それは海岸に打ち寄せられたり海に漂っているものを偶然に頼って見つけ出す以外、手に入れる方法が無かった。しかしその実、この香料の正体はマッコウクジラの腸内でごくまれに形成されることがあり、自然に排泄されることもあった[[結石]]であり、捕鯨が盛んに行われる時代に入ると狩ったマッコウクジラから直接採り出すことが可能になった。この、マッコウクジラの「龍涎香」が、<!--
 
 
 
香木の一種である
 
※同上
 
 
 
-->'''[[抹香]]'''(まっこう)に似た香りを持っていることから、近代日本の[[博物学]]では[[中国語]]名「抹香鯨」に倣(なら)って「抹香(のような龍涎香を体内に持つ)鯨」との意味合いで呼ばれ、そのまま生物学名として定着した。
 
 
 
=== 英語名と油脂 ===
 
英語名 [[wikt:en:sperm whale|sperm whale]] の原義は、「精液くじら」あるいは「精液(のような液体である鯨蝋が採れる)鯨」である(「[[#脳油(鯨蝋)]]」の節を参照)。別名に Cachalot (キャシャロット)があり、これは[[アメリカ海軍]]の艦名にもなっている(別項「[[カシャロット (潜水艦)|潜水艦カシャロット]]」を参照)。
 
 
 
== 分布 ==
 
北極から南極まで世界規模で分布しており、深海沖に最も多くが生息している。社会的単位は安定していて、雌と子は部分的に母系の集団で暮らす。雄は高緯度の寒流域にも進出するが、メスと子が暖流域の外に出ることは滅多にない。
 
 
 
日本では[[小笠原諸島]]近海に雌と子供の群れが定住し、[[知床半島]]近海には雄が見られる(成熟に近い雄が群れを成し、[[ツチクジラ]]、[[オウギハクジラ]]等深海性の種類が陸上からの観察が可能なほど陸に接近するという点で特有である)。カイコウラ沖や[[イオニア海]]など地中海にも完全なあるいは季節的定住群が存在する。通常マッコウクジラは回遊することが多いので、これは特異な事例である。
 
 
 
世界規模で多く生息している個体群には不明確なものもあり、地中海にてクリック音の観測や目撃情報などの分析から、詳細は不明ながらも、想定以上に多く生息しているであろう事実が確認された事もある(詳細は「深海への適応」参照)。ただし、北米西海岸沖やイギリス周辺、オーストラリア南西部やニュージーランド周辺([[フィヨルドランド]]沿岸など)など、捕鯨の影響から回復が遅れ、個体数の低い海域も存在する。
 
 
 
== 形態 ==
 
[[ファイル:SpermWhaleLyd3.jpg|thumb|245px|マッコウクジラの全身骨格図]]
 
<!--[[ファイル:Sperm whale skeleton.jpg|thumb|245px|マッコウクジラの全身骨格図]]-->
 
[[ファイル:Sperm whale size.svg|thumb|245px|マッコウクジラとヒトの大きさ比較]]
 
[[ファイル:Sperm Whale blowhole.jpg|thumb|245px|マッコウクジラ 2頭 (噴気孔が見える)]]
 
本種は全てのクジラ類の中で最も大きな性差をもつ。標準的なオスの体長は約16- 18mであり(<small>長さの比較資料</small>:[[1 E1 m]])、メスの約12- 14mと比べて30-50%も大きく、体重はオス50t に対しメス25t と、ほぼ 2倍の差異がある。なお、誕生時は雌雄いずれも体長約4m、体重 1t 程度である。[[ハクジラ]]の中では最大種であり、成長したオスには体長が20mを越えるものもいる。
 
 
 
本種を特徴づける著しく肥大化した頭部は、その長さがオスで体長の3分の1に達する。これは、クジラ類の中でも例外的に巨大である。[[脳]]は、おそらく全ての動物の中でも最大・最重量であり、成体のオスでは平均 7kg に達するが、身体サイズに比べれば決して大きな脳ではない。
 
 
 
背中の色は一様に灰色だが、日光の下では褐色に見えるかもしれない。背中の皮膚は通常凸凹(でこぼこ)で、他の大きなクジラのほとんどが滑らかな皮膚をしているのとは対照的。
 
 
 
[[噴気孔]](呼吸孔、鼻孔)の位置は頭部正面に集中しており、遊泳方向に向かって左側にずれている。そのため、[[潮吹き (くじら)|潮吹き]]は前方に向かった特徴的なものとなる。背鰭(せびれ)は背骨に沿って前から3分の2の場所に位置し、通常は短い二等辺三角形の形状をしている。尾は三角形で非常に厚い。クジラが深い潜水を始める前には、尾は水面から非常に高く引き上げられる。
 
 
 
== 分類 ==
 
[[ファイル:Zahn Pottwal.jpg|thumb|190px|マッコウクジラの歯]]
 
マッコウクジラ属のみでマッコウクジラ科を構成する説もある<ref name="rice" />。MSW3(Mead & Brownell,2005)ではマッコウクジラ科にコマッコウ属''Kogia''を含め亜科は認めていない<ref name="mead brownell">Games G. Mead & Robert L. Brownell Jr., "[http://www.departments.bucknell.edu/biology/resources/msw3/browse.asp?id=14300126 Physeteridae]". ''Mammal Species of the World'', (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Page 737.</ref>
 
 
 
== 生態 ==
 
=== 歯と食性 ===
 
[[ファイル:Physeter macrocephalus(jaw).jpg|thumb|245px|マッコウクジラの下顎の骨格<br/>([[神戸市立須磨海浜水族園]]での展示)]]
 
[[下顎]](したあご)に20-26対の[[円錐]]形の歯を有する。それぞれの歯は約1kgもの重量を持っている。[[ヤリイカ]]や[[ダイオウイカ]]など主な食性はイカ類であり、[[スケソウダラ]]や[[メヌケ]]、[[フリソデウオ科]]や[[ツノザメ科]]のような大型の[[深海魚]]類も餌となる。
 
 
 
丸呑みが可能なイカ類を食べるために歯は不要と考えられており、本種が歯を備えている理由ははっきりとは分かっていない。歯を持たないにもかかわらず健康に太った野生の個体も、実際に観察されている。現在では、同種のオス同士で争う際に歯が使用されるのではないかと考えられている。この仮説は、成熟したオス個体の頭部に見つかる傷の形状が歯形にあっていたり、歯が円錐形で広い間隔を空けて配置されている理由も説明できる。上顎の中にも未発達の歯が存在するが、口腔内まで出てくることはまれである。似た食性を持つ[[ハナゴンドウ]]もマッコウクジラと同じく下顎にのみ歯を有している。この種は[[マイルカ科]]に属すが、多くの部分でマッコウクジラと酷似している。
 
 
 
近年の研究により、子を海面に残したまま深海へ獲物を獲りにいった親が、捕らえた獲物を子の餌としてくわえたまま持ち帰る姿が確認されている。映像に収められているものはダイオウイカで、一匹丸ごとではなく、一部だけを持ち帰ってきた。これにより、歯の存在理由が獲物をかみ切ること、深海から海面へ運ぶときの滑り止めなどとしての仮説も出てきた。
 
 
 
=== 食事量 ===
 
試算では、マッコウクジラの摂餌量は年間で9千万トン - 2億2千8百万トンと推計される<ref name=zen-ika/>。この95%がイカとすれば、およそ8千万トン - 2億トンのイカがマッコウクジラに食べられ、それは世界中の年間漁獲量の30倍 - 66倍になるという<ref name=zen-ika/>。もっとも、マッコウクジラが食するイカは、主に中深層に生息するクラゲイカといった大型イカ<ref group="注釈">ニュウドウイカ、アカイカ、ヒロビレイカ、ツメイカ、ウロコイカ、サメハダホウズキイカ、テカギイカ、ダイオウイカなどが代表的な種である。(『マッコウクジラの自然誌』加藤秀弘 平凡社 1995年 ISBN 4582527205 246頁)ダイオウイカ属のイカはマッコウクジラにとって重要な餌である(250頁)、もっとも北半球から南半球まで幅広く分布する本種において、生息海域でその内訳は大幅に異なる点には留意したい。</ref>と考えられ、それらのイカは人間の食用には用いられない<ref name=zen-ika>[http://www.zen-ika.com/ika/ika-to-nipponjin.html イカと日本人 - 2. イカの資源と漁場] 全国いか加工業協同組合 </ref>。
 
 
 
=== 子育てと社会形成 ===
 
本種は家族の絆がとても強い。子は生まれてすぐには深海に潜ることができない。母親は子が深海へ潜ることができるようにするため、しばしば訓練をするが、子がなかなか潜ろうとしない場合は[[母乳]]を飲ませながら潜る。最近の研究では頻繁に深海と海面を行き来することが分かっている。
 
 
 
成熟した雄は、通常は独り立ちし、雌や子供が進出しない極海に至るまで広範囲を回遊する。若い雄同士で独自のグループを形成する。また、雌や子供の群れが[[シャチ]]や捕鯨船などに襲われた際に救出にくる事もある<ref>栗田壽男, 2010, 『シャチに襲われたマッコウクジラの行動』, 日本セトロジー研究会ニューズレター25号</ref>。群れを守るために[[捕鯨船]](大型[[帆船]])を雄が攻撃して沈没させた例<ref group="注釈">この「マッコウクジラに逆襲されて沈没した捕鯨船」エセックス号の乗組員のその後は「悲惨な漂流[[サバイバル]]の例」として有名で<small>([[:en:Essex_(1799_whaleship)|英語版]])</small>、[[ハーマン・メルヴィル]]の『[[白鯨]]』のモデルにもなっている。</ref>も存在する。
 
 
 
=== その他の行動 ===
 
近年、[[ホエールウォッチング]]業務が世界中に盛んになり、比較的個体数の多い本種も観察の対象とされる事も非常に多い。特に[[カイコウラ]]など、様々な地域がマッコウクジラを対象としたホエールウォッチングで発展してきた事は特筆すべき事である。また、捕鯨を知らない若い世代が増えてきた事もあって、人間や船舶などに対する警戒心が薄れ、より人懐っこくなりつつある<ref>https://www.youtube.com/watch?v=c0FzLZnah1o</ref>。また、花形の円陣を組んで捕食者への抵抗を見せることがあるが、これは本種以外では[[セミクジラ]]でも確認されたことがあるし、天敵がいない状況でも見せることがある。<ref> Ponnampalam S.L., 2016, [https://drive.google.com/file/d/0B682wgTUA8QiWHFYYmhBdWJWWm8/view No Danger in Sight? An Observation of Sperm Whales (Physeter macrocephalus) in Marguerite Formation off Muscat, Sultanate of Oman]</ref>
 
 
 
他の中~大型種([[ザトウクジラ]]や[[ナガスクジラ]]、[[ミンククジラ]]、[[シャチ]]など)と行動を共にする事もある。日本では、[[根室海峡]]<ref>知床ネイチャークルーズ. 2008. http://plaza.rakuten.co.jp/shiretokorausu/diary/200806300001/. 羅臼町観光協会{{出典無効|date=2016年11月}}</ref>や[[伊豆諸島]]等でこれらの交流が観察された事がある。
 
 
 
マッコウクジラは基本的には深海性だが、たとえばアジア圏では[[千島列島]]や[[コマンドルスキー諸島]]、[[知床半島]]や[[金華山]]沖、東京湾や房総半島周辺([[館山湾]]、[[三浦半島]]<ref>https://www.youtube.com/watch?v=t5xVIc5zCts</ref>、[[白浜]]沖<ref>https://www.youtube.com/watch?v=6JZaXzhfK4s</ref>、[[千倉町]]<ref>http://www.asahi-net.or.jp/~it6m-sbym/marine/9509kuji.html</ref>など)、[[伊豆半島]]周辺<ref>https://sv361.xserver.jp/~tes-sev/kohkaimaru.com/?photo_gallery&l=1</ref><ref>https://www.youtube.com/watch?v=purfxbOkkk0</ref>から伊豆諸島、[[火山列島]]、[[屋久島]]・[[奄美諸島]]から[[南西諸島]]<ref>http://monodon.jimdo.com/ryukyu-islands/</ref><ref>http://blogs.yahoo.co.jp/kujirabaka/48480791.htmlAnimal</ref>、[[台湾]]、[[マリアナ諸島]]<ref>https://www.youtube.com/watch?v=YJw6xwNueYY</ref>など、沿岸近くに見られる海域も数多く存在する。これらの海域では積極的な観察の対象になることも多い。特に成熟雄などは満足な遊泳ができないほどの浅い湾などに入り込み、しばらく休息してから外洋に出ていくこともある。[[スコットランド]]沖や[[フィリピン]]沿岸になど、沿岸性の特殊な個体群なども存在する<ref>http://www.wildlifeextra.com/go/news/scotland-sperm-whales.html#cr</ref>。
 
 
 
=== 潜水 ===
 
[[ファイル:Sperm whale fluke.jpg|thumb|245px|潜水しようとするマッコウクジラの尾鰭 <br />([[メキシコ湾]]にて撮影)]]
 
また、その生涯の3分の2を深海で過ごす。軽く2,000mは潜ることができ、集団で狩りをすると考えられている。光の届かない深海においては[[イルカ]]等に代表される[[反響定位]](エコーロケーション)を用いている。家族同士での会話にも音を利用していると考えられている。
 
 
 
本種の潜水能力はクジラの中で群を抜いている。[[ヒゲクジラ]]類の潜水深度は200- 300m程度とされる。マッコウクジラの場合は、全身の[[筋肉]]に大量の[[ミオグロビン]]を保有し、これに大量の[[酸素]]を蓄えることが可能である。このため、1時間もの間を呼吸することなく潜っていられることが可能で、さらに、これによって肺を空にして深海の水圧を受けないことも明らかとなった。通常では、約1,000m近くの深海に潜ってから息継ぎをするために水面に上がり始めるまでの20分ほどの間、深海にて捕食などの活動を行っていることが分かっている。また、3,000mを潜ったとする記録もあり(<small>長さの比較資料</small>:[[1 E3 m]])、[[深海#深海の構造|深海層]]での[[原子力潜水艦]]との衝突事故や、[[海底ケーブル]]に引っかかって溺死したと見られる死骸の発見などの実例が、この記録を裏づける。しかし2,000m以上の深さまで潜ると捕食すべきイカなどの数も少なくなるため、それ以上はあまり積極的に潜ろうとするとは考えにくいとも言われている。マッコウクジラと衝突した場合、大型船は船体を破損させることはないが、ヨットや木造船であった場合には多大な損傷をこうむることが予想される。
 
 
 
=== 深海への適応 ===
 
マッコウクジラは、ハクジラの中でも特殊な'''深海潜行型'''として高度に進化適応を遂げた種である。この進化がどのような条件下で引き起こされたものであるかについては未だ詳らかにされないものの、彼らの祖先にあたるクジラが、他の大小多様なハクジラ類や大型サメ類との浅海域での生存競争に敗れ、食いはぐれての結果的選択であるとの推論は成り立つ<ref>[[日本放送協会|NHK]] 『ダーウィンがきた!』より</ref>。そのような動物も他所に活路を見出して、その上で新たな環境への的確な適応を遂げられた場合に限って、新しい種として子孫を残し、進化を次の段階へ進めていくことが可能となる。しかしまた、優勢種であるがためにその一部が分布域を拡大していくうちに、異なる形質を獲得していき、遂には別の種として分化した、との考え方もあり得る。いずれにしても、彼らの祖先は、何らかの条件の下でクジラ類にとっては未踏の海域であった深海という環境に挑み、長い時間をかけて現在の高度に適応したマッコウクジラの形質を獲得していったと考えられ、ダイオウイカ等の巨大無脊椎動物の生息によって深海という環境の生物量が決して貧しくはないことが、彼らの祖先の進化を下支えしつつ促したといえる。ハクジラ類が持っている反響定位の能力も深海にあって大いに威力を発揮し、彼らを優勢種に押し上げている。
 
 
 
ハイドロフォン([[:en:Hydrophone|Hydrophone]])による[[ニュートリノ]]検出を目的とした海洋ノイズ検出実験において、[[カターニア]]東方にある深度2000メートルのテスト海域でマッコウクジラのクリック音が観測された。また目撃情報や海面近くの音響記録に基づいた調査によって、分布は稀だと思われていた海域においても予想以上にマッコウクジラが棲息していることが明らかになった。観測されたクリック音のパターンが二種類あることから、[[地中海]][[海盆]]の外から一時的に入ってくる通りすがりのクジラの存在が示唆されたが、地中海のマッコウクジラが1つの閉鎖個体群なのか、それとも外海の個体群とのやりとりがあるのかは判明しておらず、生態には未知な部分が残されている<ref>{{cite journal |url=http://www.nature.com/news/2009/091202/full/462560a.html |title=Underwater acoustics: The neutrino and the whale |author=Nicola Nosengo |journal=Nature |date=2009 |volume=462 |issue= |pages=560-561 |doi=10.1038/462560a }} [http://www.natureasia.com/japan/ndigest/special/index.php?v=7&n=2&a=76282 News Features: ニュートリノとクジラ]</ref>。
 
[[File:Pénis de cachalot.jpg|thumb|200px|マッコウクジラのペニス]]
 
[[ファイル:Marguerite formation.png|thumb|200px|仲間を助ける様子]]
 
 
 
=== 繁殖と寿命 ===
 
本種は低い出生率と遅い成熟と長命を獲得している。メスは4歳から6歳で成熟し、メスの[[妊娠]]期間は少なくとも12か月、最長で18か月。そして、子育ては2-3年続く。マッコウクジラの家族は、母系家族でメスが中心となる。オスは単独行動、もしくは若い雄同士が小さな群れを造る。オスの[[繁殖]]適齢期は10歳ごろから20歳ごろまでの約10年間続き、40歳を超えても成長は止まらず、約50歳で最大に達する。また、出産は5年に一度しか行わない。
 
 
 
雄は一体で複数の雌を獲得する[[ハーレム]]によって子孫を残す性質で、複数の雌と交尾した後には子育てには参加しない。成熟した雄の[[ペニス]]の長さは1mを軽く超す程のものとなる。
 
 
 
群れを造る雌と子供達は結束が強く、弱って傷ついた仲間を囲って天敵であるシャチやサメなどの攻撃から守ったり、その囲いを解かずにそのままの姿勢で安全地帯へと押しやるような行動も観察されている。
 
[[ファイル:A piece of sperm whale skin with Giant Squid sucker scars.JPG|thumb|200px|ダイオウイカによって刻み付けられた[[吸盤]]の傷あとが残るマッコウクジラの皮膚。イカの吸盤には硬いノコギリ状の歯が付いており、マッコウクジラは獲物として捕らえながらもこのような傷を負う。]]
 
 
 
大型の老熟したマッコウクジラの体表には多くの傷が見受けられる。特に雄個体には頭部に前述の歯によって噛み合った傷が多く、これは繁殖期で雌をめぐって雄同士争う後によく見られるといわれる。なお傷は時間と共に白く変色していって体表にそのまま残るか、皮膚に埋もれていく。
 
 
 
成熟した個体には、リング状の傷が帯状に付いていて、特に口と顔周りに多いが、これはダイオウイカの必死の抵抗により、強力な触腕にしがみつかれ、皮膚に傷を負ったものである。南極近くに住む個体には、[[ダイオウホウズキイカ]]によって付けられたと思われる鉤爪が刺さったままのものも見受けられた。
 
 
 
泳ぎが遅く、深海性の為に、暖かい海にいる個体は[[ダルマザメ]]の標的にもされている。
 
 
 
=== 天敵 ===
 
人間のほかには、[[シャチ]]が[[天敵]]で<ref>http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1748-7692.2001.tb01000.x/abstract</ref>、幼獣だけでなく成体も、シャチの群れに襲われ殺されることがある<ref>http://www.nytimes.com/1997/11/09/us/scientists-report-rare-attack-by-killer-whales-on-sperm-whales.html</ref>。
 
 
 
 
 
== 脳油(鯨蝋) ==
 
{{独自研究|date=2017-5|section=1}}{{出典の明記|date=2017-5|section=1}}
 
[[蝋#動物系蝋|鯨蝋]](げいろう)とは頭部から採取される白濁色の脳油の別名である。脳油は精液に似ているため、精液と誤解されていたことがあり、英語では spermaceti (原義:「鯨-精液」)と呼ばれている。英名の sperm whale はこのことに由来する。
 
 
 
脳油はイルカやシャチなどのハクジラ類にみられる反響定位(エコーロケーション)の際に音波を集中する[[レンズ]]の機能を持つ[[メロン (動物学)|メロン]]と呼ばれる頭部器官を満たす[[ワックスエステル]]である。尚、一部で脳漿油と呼ぶ向きもあるが、[[脳漿]]は脳の髄液を指す為、全く無関係である。反響定位による音波は他のハクジラ類同様に、遊泳時の障害物の探知や獲物の捜索に使われるが、マッコウクジラの脳油であれば、獲物に対して高い指向性を持った強力な音波を放つことで失神あるいは麻痺に陥らせ、捕らえる事が可能であるという説もある、実際には確認されていない。
 
 
 
脳油は他のハクジラ類のメロンと異なり、マッコウクジラの体温下では液状であるが、約25℃で[[凝固]]することが知られている。鯨類学者クラークはこの性質に着目し、潜水の際には鼻から海水を吸い込み冷やすことで脳油を[[固化]]させ比重を高め、浮上の際には海水を吐き出し血液を流し温めることで[[液化]]させ比重を小さくすることで、急速な潜水および浮上を可能にしているという説を唱えている。潜水・浮上はほぼ垂直に、かつ、急速に行われることが確認されているが、[[減圧症|潜水病]]に陥ることが無いことも確認されている。
 
=== 捕鯨 ===
 
鯨蝋は高級[[蝋燭]]や[[石鹸]]の原料、[[灯油]]、機械油として利用された。特に精密機械の[[潤滑油]]としては代替品が無く、[[1970年]]代まで需要があった。かつてはこの鯨蝋を目的に大量のマッコウクジラが乱獲された。
 
特に[[アメリカ合衆国|米国]]では18世紀から19世紀にかけて盛んにマッコウクジラを捕獲した。米国が[[日本]]に[[開国]]を迫った理由の一つに捕鯨船の中継基地の設置が挙げられるが、[[アメリカ大陸]]近海のマッコウクジラを捕り尽くし、日本に近い西[[太平洋]]地域に同じマッコウクジラの大規模な群れがあるのを発見してのことである。今でも同海域には数万頭のマッコウクジラがいるといわれる。
 
 
 
マッコウクジラは肉にも蝋を含むため、食用の際に油抜きをする。日本では主に[[大和煮]]に用いられたり、大阪では油抜きをした皮(コロ)を[[おでん]](関東煮)で食すのが一般的である<ref>[http://www.zukan-bouz.com/sonota/kujira/makkoukujira.html マッコウクジラ 市場魚貝類図鑑]</ref>。[[鮎川]]{{要曖昧さ回避|date=2017-5}}や[[小スンダ列島]]のレンバタ島では[[干物]]にする([[鯨肉#鯨種と食味]]も参照)。油抜きをしないで大量に食べると[[下痢]]をする恐れがあり、アメリカ人捕鯨船員の鯨肉には毒があるという迷信もあり、肉は捨てられたというのは、この様に食用に不向きであった点もある。また、このマッコウクジラを最高の目標としたアメリカ式捕鯨の時代において、冷蔵技術もない当時、3年以上が標準であった捕鯨航海の間、肉を商品価値のある状態で保管するのは不可能であった。
 
 
 
あくまで小説中の話ではあるものの、捕鯨船員のキャリアを持つ[[ハーマン・メルヴィル]]が書いた『[[白鯨]]』の中では、欧米においても鯨食は強くタブーとしていなかったため、同時代人から見ても「船員の食肉とすらしない」というのは疑問であったようである。これに対して「眼の前の数十トンの肉塊を見て食欲を催すことはない」「捕鯨船では商品にならない絞り粕を油として使うが、鯨の肉を鯨自身の油で焼くのはさすがに縁起が悪い」と言った主旨のことが述べられている。一方無価値と見られた故に食べたいという船員に対して止めることもなかったようであり、マッコウの尾のステーキなども紹介されている。
 
 
 
尚、前述の鮎川においても余剰鯨肉が捨てられており、後に鯨肥に活用するようになった([[クジラ#鯨の利用]]のその他、残滓の利用も参照)。
 
 
 
食料として見た場合、マッコウクジラの体内に含まれる微量の[[水銀]]に注意する必要がある。厚生労働省は、マッコウクジラを[[妊婦]]が摂食量を注意すべき魚介類の一つとして挙げており、2005年11月2日の発表では、1回に食べる量を約80gとした場合、マッコウクジラの摂食は週に1回まで(1週間当たり80g程度)を目安としている<ref>{{Cite web |author=厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 |date=2003-6-3 |url=http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/051102-1.html |title=妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて(Q&A)(平成17年11月2日) |work=魚介類に含まれる水銀について<!-- http://web.archive.org/web/20130213050625/http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/index.html , http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/index.html --> |publisher=厚生労働省 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130319141411/http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/051102-1.html |archivedate=2013年3月19日 |accessdate=2013-4-15 |deadurldate=2017年9月 }}</ref>。
 
 
 
== 文化的側面 ==
 
=== フィクション ===
 
;白鯨 モビー=ディック
 
:マッコウクジラを題材とした創作物として最も著名なものは[[ハーマン・メルヴィル]]の小説『[[白鯨]]』であり、そこに登場するクジラ「モビー=ディック」であろう。
 
:また、この白鯨としてのマッコウクジラは、[[二次創作物]]的なかたちをとって多くの娯楽作品([[映画]]、[[漫画]]、[[アニメ]]、[[ゲーム]]等)に登場している(それについては「白鯨」本項が詳しいので参照のこと)。
 
;白鯨以外のマッコウクジラ
 
:白鯨ではないマッコウクジラは、それほど多くの創作物で大きく<ref group="注釈">目立つ外観などの特徴からアニメや漫画などの短編で眼にすることはある。ただし、下顎にしかない歯が上下に生えていたり、マッコウクジラの形態を忠実に再現したものですらない場合も多い。</ref>扱われてこなかったようであるが、それでも以下の作品を挙げられよう。一つは生物としての本種と人間の関わりを描き、一つは発想の原点として本種の存在感を活かそうとしている。
 
:* アニメ『[[ドラえもん のび太の宇宙小戦争]]』 - マッコウクジラ型の敵戦艦「ドラコルル」が出演する。なお、原作でも「スーちゃん」という愛称を付けたマッコウクジラが登場。
 
:* 小説『[[海底二万里]]』 - 別種の鯨を集団で襲うどう猛な生物として登場し、ネモ船長に虐殺される。姿の描写は確かにマッコウクジラだが、行動はシャチに近い。
 
:* 漫画『ビッグ・1』- [[藤子不二雄A]]作。人間と同等もしくはそれ以上の知性を持つ巨大な白いマッコウクジラが登場する。
 
:* 漫画『[[海獣の子供]]』 - [[五十嵐大介]] 作。マッコウクジラに対する信仰が残る島が登場する。
 
:* 漫画『[[ぎゅわんぶらあ自己中心派]]』 - [[片山まさゆき]]作。麻雀を打つマッコウクジラモチーフキャラクターの「マッコウ」が登場。
 
:* [[テレビゲーム|ビデオゲーム]]『[[ダライアス]]』シリーズ - 歴代の作品の大半において、本種をモチーフとした敵方の最強[[キャラクター]]、「[[グレートシング]]」が登場する。
 
:* [[テレビゲーム|ビデオゲーム]]『[[ロックマンX5]]』 - ステージボスキャラクターとして、本種をモチーフとした「タイダル・マッコイーン」が登場する。
 
:* [[ゾイド]]シリーズ - マッコウクジラ型[[超巨大ゾイド]]の[[超巨大ゾイド#ホエールキング|ホエールキング]]が登場。[[ゾイドバトルストーリー]]や、アニメなど、様々な媒体で出演。
 
 
 
=== 愛称 ===
 
* [[帝都高速度交通営団]](営団地下鉄、現・[[東京地下鉄]])が製造した[[営団3000系電車|3000系電車]]は、その姿形が似ていることから「マッコウクジラ」と[[俗語|俗称]]されていた(正式な[[列車愛称]]ではない)。
 
 
 
== 出典 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|2}}
 
* ''Cetacean Societies Field Studies of Dolphins and Whales'', Mann, Connor, Tyack and Whitehead (eds). ISBN 0226503410
 
 
 
== 注釈 ==
 
{{Reflist|group="注釈"}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Wikispecies|Physeter macrocephalus}}
 
{{Commonscat|Physeter macrocephalus}}
 
{{Wiktionary|en:sperm whale}}
 
* [[クジラ学]] - 古代ギリシア自然学の流れを汲みつつも近代的・現代的な、海生哺乳類学の一分野。
 
* [[「ブラインドセーリング」プロジェクト]] - [[金華山]]の約1,200km沖合にてマッコウクジラと衝突して船体へ浸水し沈没
 
* [[生物に関する世界一の一覧]] - 世界一(質量の)大きい肉食動物(約50t)。世界一大きい脳を持つ動物(平均約7kg)。世界一の潜水能力を持つ(最大深度約3,000m)。
 
* 長さの比較資料
 
**[[1 E1 m]] - 本種の体格、巨大イカの体格、ほか。
 
**[[1 E2 m]] - [[ペンギン]]や[[ヒト]]の潜水能力、ほか。
 
**[[1 E3 m]] - 本種と[[ミナミゾウアザラシ]]の潜水能力、ほか。
 
 
 
{{Animal-stub}}
 
 
{{デフォルトソート:まつこうくしら}}
 
{{デフォルトソート:まつこうくしら}}
 
[[Category:ハクジラ亜目]]
 
[[Category:ハクジラ亜目]]
 
[[Category:ワシントン条約附属書I]]
 
[[Category:ワシントン条約附属書I]]

2018/12/28/ (金) 00:09時点における最新版

マッコウクジラ(抹香鯨、Physeter macrocephalus

クジラ目ハクジラ亜目マッコウクジラ科マッコウクジラ属。体長は雄約 18m以上,雌約 12m以上。最大体重約 57t。出生体長は 3.5~4.5m。体色は全身茶褐色か茶色がかった灰色または青灰色で,吻部や臍 (へそ) を中心に白斑を有する。体表は年齢とともに白色化する。扁平な上顎骨の上に脳油と称する体油の貯蔵部があるため,前頭部が巨大で,ときには頭長が体長の3分の1に達する。噴気孔は1個で頭部左側の先端にあり,噴気の高さは3~4mで,水面に対して斜めに上がるため識別は容易である。下顎は上顎に比べてきわめて細長く,18~25対の円錐歯が並び,上顎にはこれらの歯が収まるくぼみがある。上顎歯は歯根内に痕跡的に残る。背鰭 (せびれ) は体の後方3分の2に位置し,頂上は丸みを帯びる。背鰭後方から尾鰭前方にかけて小隆起が連なる。また肛門直後が隆起する。胸鰭はうちわ状で短く,尾鰭は幅が広く後縁中央が切れ込む。潜水時間はクジラ類中最長で,通常は 30~40分であるが大型雄は1時間をこえることもある。尾鰭を水面に上げて垂直に潜水し,この際にしばしば脱糞する。大型雄は単独で行動し,中型の個体は 15頭前後の群れをよくつくる。おもに深海性のイカ類やタコ類を捕食するが,タラ等の大型底生魚類も捕食する。腸内には竜涎香と呼ばれるろう状物質があり,香料として珍重される。両半球の熱帯から氷縁にかけて分布し,深海域を好む。成熟した大型雄は高緯度の極地方に偏在する。 1988年商業捕鯨禁止まで日本沿岸で捕獲された。インドネシアでは先住民により捕獲されている。



楽天市場検索: