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{{参照方法|date=2016年2月}}
 
  
 
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}}
 
}}
'''ラテン語'''(ラテンご、{{lang-la|lingua latina}} リングア・ラティーナ)は、[[インド・ヨーロッパ語族]]の[[イタリック語派]]の[[言語]]の一つ。[[ラテン・ファリスク語群]]。漢字表記は拉丁語・羅甸語で、'''拉語'''・'''羅語'''と略される。
+
'''ラテン語'''(ラテンご、{{lang-la|lingua latina}} リングア・ラティーナ)
 
 
== 概要 ==
 
元々は[[古代ローマ]]共和国の[[公用語]]として広く普及した古代言語である。[[西ローマ帝国]]滅亡後もラテン語はローマ文化圏の古典文学を伝承する重要な役割を果たした。勢力を伸ばすキリスト教会を通して[[カトリック教会]]の公用語としてヨーロッパ各地へ広まり、[[典礼言語|祭祀宗教用語]]として使用されるようになると、[[中世]]には、中世ラテン語として成長した。[[ルネサンス]]を迎えると、[[自然科学]]・[[人文科学]]・[[哲学]]のための知識階級の言語となった。さらに、読書き主体の文献言語や[[学術用語]]として[[近世]]のヨーロッパまで発展・存続した。現在もラテン語は[[バチカン]]の公用語であるものの、日常ではほとんど使われなくなったといえる。しかし、各種学会・医学・自然科学・数学・哲学・工業技術など各専門知識分野では、世界共通の[[学名]]としてラテン語名を付けて公表する伝統があり、新発見をラテン語の学術論文として発表するなど、根強く用いられ続けている{{refnest|特に[[植物学]]の論文においては2011年12月までラテン語で記述することが正式発表の要件であった<ref>{{Cite journal|和書|url=http://www.jsmrs.jp/journal/No27_2/No27_2_89.pdf|format=PDF|author=仲田崇志,永益英敏,大橋広好|publisher=日本微生物資源学会|title=第4回「第18回国際植物学会議(メルボルン)で変更された発表の要件:電子発表の意味するところ(Changes to publication requirements made at the XVIII International Botanical Congress in Melbourne: What does e-publication mean for you. Knapp, S., McNeill, J. & Turland, N.J. Taxon 60: 1498-1501, 2011)」 の紹介と日本語訳|work=連載「微生物の命名規約と関連情報」|journal=日本微生物資源学会誌|volume=27|issue=2|date=2011-12|accessdate=2016-05-06}}</ref> ⇒ [[国際藻類・菌類・植物命名規約]]。}}。また、略号として午前午後のa.m.(ante meridiem)p.m.(post meridiem)や、ウイルス(virus)やデータ(data)など、日常的に用いられる語のなかにも語源がラテン語に由来するものがある。
 
 
 
== ラテン語の使用・時代・地域・関係の深い言語 ==
 
[[ファイル:Rome Colosseum inscription 2.jpg|thumb|200px|[[コロッセオ|コロッセウム]]のラテン語の碑文]]
 
もともと、[[イタリア半島]]中部の[[ラティウム]]地方([[ローマ]]を中心とした地域、現[[イタリア]]・[[ラツィオ州]])において[[ラテン人]]により用いられていた言語であったが、[[ローマ帝国]]の[[公用語]]となったことにより、ヨーロッパ大陸の西部や南部、アフリカ大陸北部、アジアの一部といった広大な版図に伝播した。この過程で[[ギリシア語]]から多くの語彙を取り入れ、[[学問]]・[[思想]]などの活動にも使用されるようになった。ただしラテン語が支配的な地域はローマ帝国の西半分に限られ、東半分はギリシャ語が優勢な地域となっていた。やがてローマ帝国が東西に分裂し、ゲルマン民族の大移動によって[[西ローマ帝国]]が滅び西ヨーロッパの社会が大きく変動するのに従い、ラテン語は各地で変容していき、やがて各地の日常言語はラテン語と呼べるものではなくなり、ラテン語の流れをくんだロマンス諸語が各地に成立していった。[[東ローマ帝国]]においても7世紀に公用語は[[ギリシア語]]に転換された。
 
 
 
こうした中、今日の西ヨーロッパに相当する地域においてはローマ帝国滅亡後も[[カトリック教会|ローマ・カトリック教会]]の公用語となり、長らく[[文語]]の地位を保った。現在でも[[バチカン市国]]の公用語はラテン語である。たとえば[[典礼]]は[[第2バチカン公会議]]まで、ラテン語で行われていた。今日に至るまで数多くの作曲家が典礼文に曲をつけており、[[クラシック音楽]]の中では主要な歌唱言語の1つである。ただし、実際の使用は公文書や[[ミサ]]などに限られ、日常的に話されているわけではない。また、バチカンで使われるラテン語は、古典式とは異なる変則的なラテン語である。なお、多民族・多言語国家である[[スイス]]ではラテン語の名称 {{lang|la|Confoederatio Helvetica}}([[ヘルヴェティア]]連邦)の[[頭字語]]を自国名称の略 (CH) としている。
 
 
 
[[中世]]においては公式文書や学術関係の書物の多くはラテン語([[中世ラテン語]]、教会ラテン語)で記され、この慣習は現在でも残っている。例えば、[[生物]]の[[学名]]はラテン語を使用する規則になっているほか、[[元素]]の名前もラテン語がほとんどである。また[[法学]]においても、多くの[[ローマ法]]の格言や[[法用語一覧|法用語]]が残っている。[[19世紀]]までヨーロッパ各国の[[大学]]では学位論文をラテン語で書くことに定められていた。
 
 
 
今日の[[ロマンス諸語]](東ロマンス語:[[イタリア語]]・[[ルーマニア語]]、西ロマンス語:[[フランス語]]・[[スペイン語]]・[[ポルトガル語]]など)は、[[俗ラテン語]]から派生した言語である。また、[[英語]]・[[ドイツ語]]・[[オランダ語]]などの[[ゲルマン諸語]]にも[[文法]]や語彙の面で多大な影響を与えた。
 
 
 
現代[[医学]]においても、[[解剖学]]用語は基本的にラテン語である。これは、かつて誰もが自由に造語して使っていた解剖学語彙を、BNA(バーゼル解剖学用語)、PNA(パリ解剖学用語)などで統一した歴史的経緯が関連している。つまり、用語の統一にラテン語が用いられたのである。そのため、日本解剖学会により刊行されている『解剖学用語』も基本的にはラテン語である(ラテン語一言語主義)。ただし、[[臨床]]の場面では、医師が患者に自国語で病状説明をするのが当然であるため、各国ともラテン語の他に自国語の解剖学専門用語が存在する(ラテン語・自国語の二言語主義)。近年では、医学系の学会や学術誌の最高峰が英語圏に集中するようになったため、[[英語]]の解剖学用語の重要性が上がった。日本では、ラテン語(基本)・英語(学会用)・[[日本語]](臨床現場用)の三言語併記の解剖学書も増えている(ラテン語・英語・自国語の三言語主義)。
 
 
 
「[[ウイルス]] ({{lang|la|virus}})」など、[[日本語]]でも一部の語彙で用いている。[[森鴎外]]の[[小説]]『[[ヰタ・セクスアリス]]』は、ラテン語の {{lang|la|vita sexualis}}(性的生活)のことである。ただし日本語では、元の母音の長短の区別が意識されない場合がほとんどである<ref>一例を挙げれば「[[我思う、ゆえに我あり|cogito ergo sum]]」の発音は「コーギトー・エルゴー・スム」が正しいが、三省堂刊大辞林には「コギトエルゴスム」の項目に掲載されている。</ref>。
 
 
 
{{main2|日本語版Wikipedia内での表記については[[Wikipedia:外来語表記法/ラテン語]]を}}
 
 
 
== 歴史 ==
 
[[ファイル:Errare humanum est.jpg|thumb|「誤るのが[[人間]]である」([[古代ローマ]]の金言)]]
 
 
 
=== 古ラテン語 ===
 
{{main|古ラテン語}}
 
ラテン語が属する[[イタリック語派]]は、[[インド・ヨーロッパ語族]]内では[[ケントゥム語派]]に分類され、[[インド・ヨーロッパ祖語]]の <nowiki>*k</nowiki> および <nowiki>*g</nowiki> はラテン語でも [[K]], [[G]] として保たれた。イタリック語派の話者が[[イタリア半島]]に現れたのは[[紀元前2千年紀]]後半と見られており、ラテン語の話者が[[ラツィオ州|ラティウム地方]](現在の[[イタリア]]、ラツィオ州)で定住を開始したのは[[紀元前8世紀]]だった。現在発見されているラテン語の最も古い[[金石文|碑文]]は[[紀元前7世紀]]に作られたものである。この時期から[[紀元前2世紀]]頃までのラテン語は、のちの時代のラテン語と区別され'''[[古ラテン語]]'''と呼ばれる。この時代のラテン語は、[[語彙]]などの面で隣接していた[[エトルリア語]]などの影響を受けた。
 
 
 
古ラテン語では以下の21文字の[[アルファベット]]が使われた。
 
 
 
: [[A]], [[B]], [[C]], [[D]], [[E]], [[F]], [[Z]]<ref name="Z">「Z」はラテン語に不要だがギリシア語の {{IPA|[z]}} の音を表す必要があった。</ref>, [[H]], [[I]], [[K]], [[L]], [[M]], [[N]], [[O]], [[P]], [[Q]], [[R]], [[S]], [[T]], [[V]], [[X]](21文字)
 
 
 
このうち、[[C]] は {{IPA|[ɡ]}} の音を表し、[[I]] は {{IPA|[i]}} と {{IPA|[j]}}、[[V]] は {{IPA|[u]}} と {{IPA|[w]}} の音価を持った。五つの母音字は長短両方を表したが、文字の上で長短の区別はなかった。[[紀元前3世紀]]になると [[C]] は {{IPA|[k]}} の音も表すようになり、[[K]] はあまり使われなくなった。また {{IPA|[ɡ]}} の音を表すために [[G]] が使われるようになり、{{IPA|[z]}} の音と共に使われなくなっていた [[Z]]<ref name="Z"/> の文字の位置へ置き換えられた。
 
 
 
古ラテン語は、[[古典ラテン語]]に残る[[主格]]、[[呼格]]、[[属格]](所有格)、[[与格]](間接目的格)、[[対格]](直接目的格)、[[奪格]]に加え、[[位置|場所]]を表す[[処格|所格]](処格、地格、位格、依格、於格などともいう)があった。名詞の曲用では、第二変化名詞の単数与格および複数主格が oī だった。古典ラテン語における第二変化名詞単数の語尾 -us, -um はこの時代それぞれ -os, -om だった。また、複数属格の語尾は -ōsum(第二曲用)であり、これはのちに -ōrum となった。このように、古ラテン語時代の末期には母音間の s が r になる「[[ロタシズム]]」という変化が起きた。
 
 
 
=== 古典ラテン語 ===
 
{{main|古典ラテン語}}
 
[[紀元前1世紀]]以降、数世紀にわたって用いられたラテン語は'''[[古典ラテン語]]'''('''古典期ラテン語''')と呼ばれる。のちの[[中世]]、また[[現代]]において人々が学ぶ「ラテン語」は、通常この古典ラテン語のことをいう。この古典ラテン語は[[書記言語|書き言葉]]であり、多くの文献が残されているが、人々が日常話していた言葉は'''[[俗ラテン語]]'''('''口語ラテン語''')と呼ばれる。この俗ラテン語が現代の[[ロマンス諸語]]へと変化していった。
 
 
 
[[古典ラテン語|古典期]]においては、scriptio continua(スクリプティオー・コンティーヌア、続け書き)といって、[[わかち書き|分かち書き]]にする[[習慣]]がなかった([[金石文|碑文]]などでは、小さな[[中黒]]のようなもので[[語|単語]]を区切った例もある)。また、[[大文字]]のみを用いた。さらに、[[マルクス・トゥッリウス・キケロ|キケロ]]([[紀元前2世紀|前106]] – [[紀元前1世紀|43]])の時代までは [[X]] までの21文字だったが、紀元の初めに[[ギリシア語]]起源の[[外来語]]を表記するために [[Y]] と [[Z]] が新たに使われるようになった。以下が古典期の[[アルファベット]]である。
 
 
 
: [[A]], [[B]], [[C]], [[D]], [[E]], [[F]], [[G]], [[H]], [[I]], [[K]], [[L]], [[M]], [[N]], [[O]], [[P]], [[Q]], [[R]], [[S]], [[T]], [[V]], [[X]], [[Y]], [[Z]](23文字)
 
 
 
ただし、[[K]] は KALENDAE 等の他は[[固有名詞]]に限定されて常用されることはなくなった。{{IPA|[k]}} の音については、[[Q]], [[U]] で表記される場合を除いて [[C]] が常用された。
 
 
 
古典ラテン語では [[C]] および [[G]] はそれぞれ常に {{IPA|[k]}} および {{IPA|[ɡ]}} であり、現代の[[ロマンス諸語]]とは違い、{{IPA|[s]}} や {{IPA|[tʃ]}}、{{IPA|[ʒ]}}、{{IPA|[dʒ]}} などのように発音されることはなかった。[[Y]] を含めた6つの母音字は長短両方を表したが、ごく一時期を除き表記上の区別はされなかった。
 
 
 
古典ラテン語の[[アクセント]]は、現代ロマンス諸語に見られるような[[強勢アクセント]]ではなく、[[日本語|現代日本語]]のような[[高低アクセント|ピッチアクセント]](高低アクセント)だった。文法面では、[[古ラテン語]]の[[処格|所格]](処格、地格、位格、依格、於格などともいう)は一部の地名などを除いて消滅し、六つの[[格]]([[主格]]、[[呼格]]、[[属格]]、[[与格]]、[[対格]]、[[奪格]])が使用された。また以前の時代の[[語尾]] -os, -om は、古典期には -us, -um となった。
 
 
 
この時代の[[口語|話し言葉]]([[俗ラテン語]])では、文末の -s は後ろに[[母音]]が続かない限り発音されない場合があった。また au は日常では {{IPA|[oː]}} と読まれた(現代の[[フランス語]]と同じ)。このように古典期には、話し言葉と古風な特徴を残した書き言葉の乖離が起きていた。現在古典ラテン語と呼ばれるものはこの時期の[[書記言語|書き言葉]]である。
 
 
 
==== ラテン文学の黄金期 ====
 
[[紀元前1世紀]]頃。
 
* [[マルクス・トゥッリウス・キケロ]]
 
* [[ガイウス・ユリウス・カエサル]]
 
* [[ウェルギリウス]]
 
* [[オウィディウス]]
 
 
 
==== ラテン文学の白銀期 ====
 
[[1世紀]]頃。
 
* [[セネカ]]
 
* [[タキトゥス]]
 
* [[マルティアリス]]
 
 
 
=== 俗ラテン語 ===
 
{{main|俗ラテン語}}
 
[[古典ラテン語|古典期]]が終わると、人々が話すラテン語は古典語からの変化を次第に顕著に見せるようになっていった。この時代に大衆に用いられたラテン語は'''[[俗ラテン語]]'''('''口語ラテン語''')と呼ばれる。[[2世紀]]、あるいは[[3世紀]]頃から俗ラテン語的な特徴が見られるようになっていたが、時代が下るにつれ変化は大きくなり、地方ごとの分化も明らかになっていった。
 
 
 
古典ラテン語には [[Y]] を除けば5母音があり、長短を区別すれば10の母音があったが、俗ラテン語になるとこれらは以下の7母音になった。
 
 
 
: {{IPA|[a]}} {{IPA|[ɛ]}} {{IPA|[e]}} {{IPA|[i]}} {{IPA|[ɔ]}} {{IPA|[o]}} {{IPA|[u]}}
 
 
 
古典期の[[長母音]] {{IPA|[eː]}} は {{IPA|[e]}} に、{{IPA|[oː]}} は {{IPA|[o]}} に変化した。また[[短母音]] {{IPA|[e]}} と {{IPA|[o]}} は、俗ラテン語ではそれぞれ {{IPA|[ɛ]}} と {{IPA|[ɔ]}} になった。古典期の [[V]] は、[[子音]]としては {{IPA|[w]}} と発音されたが、俗ラテン語の時代には {{IPA|[v]}} に変化していた。さらに[[アクセント]]は[[高低アクセント|ピッチアクセント]]から[[ロマンス諸語|現代ロマンス諸語]]と同様の[[強勢アクセント]]に置き換えられていった。古典期の {{IPA|[k]}} と {{IPA|[ɡ]}} も変化を起こした。これらは[[前舌母音]]({{IPA|[i]}} や {{IPA|[e]}})の前では軟音化して口蓋音化(硬口蓋音化)し、それぞれ {{IPA|[tʃ]}}、{{IPA|[dʒ]}} の音になった。
 
 
 
俗ラテン語では[[動詞]]などの屈折にも変化が起きた。動詞の未来時制では、古典期の -bo に代わり habere(持つ)の活用形を語幹末に付した形式が用いられ始めた。[[指示詞]] ille は形が変化し、次第に[[冠詞]]として用いられるようになっていった。[[名詞]]の曲用では[[格変化]]が単純化され、[[主格]]と[[対格]]は同一(特に[[女性名詞]])になり、[[属格]]と[[与格]]も統合された。単純化した名詞の[[格]]に代わって[[前置詞]]が発達していった。例えば[[属格]]に代わり de が、[[与格]]に代わり a が用いられ始めた。
 
 
 
[[イタリア]]や[[イベリア半島]]ではやがて[[名詞]]の[[格変化]]は消滅し、[[フランス]]でも[[12世紀]]頃には使われなくなり、[[ダキア]]で使用されたのちの[[ルーマニア語]]を除いて格変化はなくなった。このような文法的特徴のみならず、音韻面や語彙でも地方ごとの違いを大きくしていった俗ラテン語は、やがて[[ロマンス諸語]]と呼ばれる語派を形成した。
 
 
 
=== 中世ラテン語 ===
 
{{main|中世ラテン語}}
 
かつてのローマ帝国の版図で用いられたラテン語は一般大衆には使われなくなり、それぞれの地域でラテン語から変化した[[俗ラテン語]]がそれに置き換えられた。一方で[[古典ラテン語]]は、旧ローマ帝国領内のみならず西ヨーロッパ全域において近代諸語が[[書記言語|文語]]として確立するまでは、学術上の共通語として使用された。カトリック教会でも同じく、古典ラテン語の伝統の下にあるラテン語が教会ラテン語と呼ばれて使用されたが、こちらはその後もなお使用され続けた。
 
 
 
=== 近代および現代 ===
 
[[ファイル:George VI Farthing.jpg|thumb|200px|left|1951年に発行された、[[ジョージ6世 (イギリス王)|ジョージ6世]]の肖像が刻まれたファージング硬貨。肖像の周りの"GEORGIVS VI [[:w:Dei Gratia Regina|D:GR]]:[[ブリタンニア|BR]]:OMN:[[:w:Fidei defensor|FIDEI DEF]]:"はラテン語で「ジョージ6世、神の恩寵ある全ブリタンニアの王にして[[信仰の擁護者]]」と刻まれている。]]
 
 
 
[[ファイル:Akihitum-et-michikam.jpg|thumb|[[サラマンカ大学]]の記念銘。「本学は、日本帝国の皇太子同妃両殿下なる[[明仁]]と[[皇后美智子|美智子]]を喜びをもって迎えたり。[[1985年]][[2月28日]]」と刻まれている。ラテン語がヨーロッパで教養と格式を保持している例。<!-- SERENISSIMOS PRINCIPESは皇太子同妃両殿下(http://www.kunaicho.go.jp/ の用語)を以て訳出 -->]]
 
ヨーロッパではラテン語は長い間教会においても学問の世界においても標準的な言語として用いられてきたが、[[ルネサンス]]と共に[[古典古代]]の文化の見直しが行われ、古典期の文法・語彙を模範としたラテン語を用いようとする運動が[[人文主義者]]の間で強まった。これにより中世よりもむしろ「正しい」ラテン語が教育・記述されるようになる。共通化が進んだラテン語は、近代においても広く欧州知識人の[[公用語]]として用いられた。
 
 
 
この近代ラテン語で著述した主な思想家としては[[トマス・モア]](『[[ユートピア]]』)、[[エラスムス]]のような人文主義者だけでなく、[[ルネ・デカルト|デカルト]]、[[バールーフ・デ・スピノザ|スピノザ]]などの近代哲学の巨人も挙げられる。有名なデカルトの「[[我思う、ゆえに我あり]]」という言葉の初出は『[[方法序説]]』フランス語版であるが、後にラテン語訳された {{lang|la|Cogito, ergo sum.}}(コーギトー、エルゴー・スム)の方が広く知られている。自然科学では[[アイザック・ニュートン|ニュートン]]の[[自然哲学の数学的諸原理|プリンキピア]]がある。ただしフランスの啓蒙思想家、ドイツの[[イマヌエル・カント|カント]]以降は母語で著述するのが主流になった。
 
 
 
学問的世界においては、ラテン語はなお権威ある言葉であり世界的に高い地位を有する言語である。現在でも学術用語にラテン語が使用されるのには、学術用の[[語彙]]が整備されており、かつ死語であるために文法などの面で変化が起きない(現実には中世・近世を通して多少の変化はあったが)という面、あるいは1つの近代語の立場に偏らずに中立的でいられるという面も見逃すことはできない。無論これは他の古典語でも同じであるが、ラテン語が選択されたのは近現代におけるそうした学問が、良し悪しは別として、欧州中心のものであったことが反映している。現在も活用されている場面として、たとえば[[生物]]の[[学名]]はラテン語もしくは[[ギリシア語]]単語をラテン語風の綴りに変えたものがつけられるのが通例である。
 
 
 
また、現在においてもラテン語の知識は一定の教養と格式を表すものであり、国(例[[アメリカ合衆国の国章|アメリカ合衆国]]、[[スペイン]]、[[スイス]]、[[カナダ]]およびカナダの各州など)や団体([[アメリカ海兵隊]]、[[イギリス海兵隊]]など)のモットーにラテン語を使用する例や、1985年に[[サラマンカ大学]]が日本の皇太子夫妻の来学の記念の碑文を、[[スペイン語]]ではなくラテン語で刻んだことや、[[イギリス]]の[[エリザベス2世]]が[[1992年]]を評して {{lang|la|Annus Horribilis}}([[アンヌス・ホッリビリス]]、ひどい年)とラテン語を使ったこともその現れといえる。日本でも高校野球の初代優勝旗には{{lang|la|VICTORIBUS PALMAE}}(ウィクトーリブス・パルマエ、「勝利者に栄冠を」)と刺繍されていた。だが、ラテン語が今日の欧州で重視されているとまでいうことはできない。欧州諸国では[[第二次世界大戦]]前までは[[中等教育]]課程でラテン語必修の場合が多かったが、現在では日本での「古典」「古文」ないし「漢文」に相当する科目として存在する程度である。
 
 
 
日常会話という観点からみると、現代ではラテン語での会話そのものがほとんど存在しないため、[[死語 (言語学)|死語]]に近い言語の1つであるともいえるが、ラテン語は今でも欧米の知識人層の一部には根強い人気がある。近年は[[インターネット]]の利用の拡大に伴ってラテン語に関心のある個人が連携を強めており、[[ラテン語版ウィキペディア]]も存在する({{Lang-la|Vicipaedia}})ほか、ラテン語による新聞やSNS、メーリングリスト、ブログも存在する。さらに、[[フィンランド]]の国営放送は定期的にラテン語でのニュース番組を放送している。
 
 
 
[[ファイル:2008 Xmas Urbi Orbi Pope Benedict XVI.jpg|250px|thumb|ウルビ・エト・オルビを行う[[ベネディクト16世 (ローマ教皇)|ベネディクト16世]]]]
 
現在、ラテン語を公用語として採用している国は[[バチカン|バチカン市国]]のみである。これは、現在でもラテン語が[[カトリック教会]]の正式な公用語に採用されているためであるが、そのバチカン市国でもラテン語が用いられるのは回勅などの公文書、[[コンクラーヴェ]]の宣誓、「[[ウルビ・エト・オルビ]]」などの典礼文などに限られ、2013年の教皇[[ベネディクト16世の退位]]に際しては、退位の意思表明と理由は、教皇本人が作成したラテン語の文章の朗読で行われた。日常生活では[[イタリア語]]が用いられる(バチカンは[[ローマ]]市内にある)。
 
 
 
== 発音 ==
 
ヨーロッパの各地で長期にわたって用いられていたため、国や地域、時代によって発音は異なるが、現代には大きく分けて'''古典式'''、'''イタリア式'''、'''ドイツ式'''の3つがある。イタリア式には、現代イタリア語の原則にのっとって発音するものと、それをもとにした'''教会式'''(ローマ式)の2つがある。後者は、フランスのソレム修道院で提唱された発音法であり、[[ピウス10世 (ローマ教皇)|ピウス10世]]が推奨したことで広まった。
 
 
 
日本の大学で学ぶ発音は、原則として古典式である。一方、ラテン語の楽曲の歌唱においてはイタリア式、ドイツ式が主流である。どのように異なるか、いくつか例を示す(実際には、地域や人によって発音の揺れがある)。
 
 
 
{| class="wikitable"
 
!発音!!古典式!!イタリア式!!ドイツ式
 
|-
 
!ae (æ)
 
|{{IPA|[ae]}}||{{IPA|[e]}}||{{IPA|[ɛ]}}
 
|-
 
!oe (œ)
 
|{{IPA|[oe]}}||{{IPA|[e]}}||{{IPA|[ø]}}, {{IPA|[œ]}}
 
|-
 
 
 
!c
 
|{{IPA|[k]}}||a, o, u の前では {{IPA|[k]}}、ae, e, i の前では {{IPA|[tʃ]}}||a, o, u の前では {{IPA|[k]}}、e, i の前では {{IPA|[ts]}}
 
|-
 
!gn
 
|{{IPA|[gn]}}||{{IPA|[ɲ]}}|| {{IPA|[gn]}}
 
|-
 
 
 
!s
 
|{{IPA|[s]}}||{{IPA|[s]}}、母音間で {{IPA|[z]}}<ref>教会式では{{lang|la|Kyrie elei'''s'''on}}(主よ憐れみ給え、もともとギリシャ語)は s {{IPA|[s]}}。</ref>||{{IPA|[s]}}<ref>母音間、あるいは単に s + 母音 の場合に {{IPA|[z]}} と発音することもある。</ref>
 
|-
 
!sc
 
|{{IPA|[sk]}}||a, o, u の前では {{IPA|[sk]}}、e, i の前では {{IPA|[ʃ]}}||a, o, u の前では {{IPA|[sk]}}、e, i の前では {{IPA|[sts]}}
 
|-
 
!z
 
|{{IPA|[z]}}||{{IPA|[dz]}}||{{IPA|[ts]}}
 
|-
 
|colspan=4|{{smaller|三ヶ尻正『ミサ曲・ラテン語・教会音楽ハンドブック—ミサとは・歴史・発音・名曲選』(ショパン、2001年)を元に作成}}。cとgnを後にWikipediaドイツ語版などを基に追記。
 
|-
 
|}
 
 
 
上の3つの方式に加えて、[[文章]]レベルのラテン語まではいかないが[[単語]]および[[句|フレーズ]]レベルでは'''英語式'''が広まっている。もともと英語で''etc.''([[その他]])がエトセトラ(''et cetera''、英語ではe、i、yの前のcはsと発音)、''Et tu Brute''([[ブルータス、お前もか]])がエト・テュー・ブリュータと発音されるなどの延長で <ref> ''Merriam-Webster's Collegiate Dictionary'', Tenth Edition (1999) "Foreign Words and Phrases" </ref>、英語が[[国際語]]になった現在特に[[科学]]用語に英語式発音が多い。例えば[[天文学]]関係では[[星座]]名は[[英語]]文章内でもラテン語を使い、[[恒星]]名も[[ギリシャ文字]]名にラテン語星座名の[[属格#星の名前|属格]]([[所有格]])を添えるので、ラテン語が英語式に発音される。
 
 
 
日本語では古典式またはドイツの音をカタカナ表記するのが慣習となっている。ただし、古典式によっていると思われる場合でも、母音の長短の別を表記しない場合がほとんどである。
 
<!--
 
「ユリウス・カエサル」はイタリア式では「ジュリオ・チェーザレ」、「[[スキピオ]]」は「シピオ」、「キケロ」は「チチェロ」にそれぞれ変わる。
 
  ↑
 
※これは「イタリア式のラテン語発音」ではなく「イタリア語そのもの」ではないでしょうか。
 
 agnus の -us は [us] と発音するのに Julius の -us は [o] と発音するというのはどうも信じられません。
 
-->
 
その一方、宗教音楽の題名を表記する際は、イタリア式に近い表記が多い。例えば、{{lang|la|Agnus Dei}} の {{lang|la|Agnus}} は、古典式とドイツ式では「アグヌス」と発音するが、イタリア式では「アニュス」(厳密には、gn は [[硬口蓋鼻音|{{IPA|[ɲ]}}]] という鼻音)となる。{{lang|la|Magnificat}} も「マグニフィカト」ではなく、「[[マニフィカト]]」と表記される傾向が強い。
 
 
 
=== アクセント ===
 
前述の通り、アクセントは時代によりピッチアクセントだったり強勢アクセントだったりするが、単語のどの位置にアクセントが置かれるかについては一定の法則を持つ。
 
 
 
その法則は以下の通りである。
 
 
 
# 後ろから二番目の音節が[[閉音節]]である場合、および、[[長母音]]もしくは[[二重母音]]を含む音節である場合、アクセントは後ろから二番目の音節に置かれる。
 
# 上記以外の場合、後ろから三番目の音節に置かれる。但し、二音節しか持たない単語の場合は後ろから二番目の音節に置かれる。
 
 
 
1.の例:pu'''el'''la 少女(閉音節)。mer'''cā'''tor 商人(長母音)。
 
 
 
2.の例:'''īn'''sula 島。'''do'''minus 主人。
 
 
 
== 文法 ==
 
{{see|ラテン語の文法}}
 
 
 
== 表現 ==
 
{| class="wikitable"
 
|+ 挨拶
 
!ラテン語!!意味
 
|-
 
|lang="la"|[[wikt:ja:salve#ラテン語|salve]](単数)/[[wikt:ja:salvete#ラテン語|salvete]](複数)||こんにちは
 
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|lang="la"|vale(単数)/valete(複数)||さようなら
 
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|lang="la"|ut vales?||御機嫌いかが?
 
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|lang="la"|optime valeo, gratias ago||とても良いです。有難う。
 
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|lang="la"|bonum diem||今日は
 
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|lang="la"|bonum vesperum||こんばんは
 
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|lang="la"|bonam noctem||お休みなさい
 
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|lang="la"|mihi ignoscas||ごめんなさい
 
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{| class="wikitable"
 
|+ 食べ物
 
!ラテン語!!意味
 
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|lang="la"|[[wikt:ja:aqua#ラテン語|aqua]], aquae (f.)||[[水]]
 
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|lang="la"|botulus, botuli (m.)||[[ソーセージ]]
 
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|lang="la"|butyrum, butyri (n.)||[[バター]]
 
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|lang="la"|caseus, casei (m.)||[[チーズ]]
 
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|lang="la"|cervisia, cervisiae (f.)||[[ビール]]
 
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|lang="la"|citreum, citrei (n.)||[[レモン]]
 
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|lang="la"|lactuca, lactucae (f.)||[[レタス]]
 
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|lang="la"|oryza, oryzae (f.)||[[米]]
 
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|lang="la"|panis, panis (m.)||[[パン]]
 
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|lang="la"|perna, pernae (f.)||[[ハム]]
 
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|lang="la"|[[wikt:ja:piscis#ラテン語|piscis]], piscis (m.)||[[魚]]
 
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|lang="la"|placenta, placentae (f.)||[[ケーキ]]
 
<!--|lang="la"|scriblita, scriblitae (f.)||[[タルト]]-->
 
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|lang="la"|[[wikt:ja:uva#ラテン語|uva]], uvae (f.)||[[ブドウ|葡萄]]
 
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|lang="la"|[[wikt:ja:vinum#ラテン語|vinum]], vini (n.)||[[ワイン]]
 
|}
 
 
 
== 現代も使われる表現、日本語への影響 ==
 
[[ファイル:Moon nearside LRO 5000 (reflectance).jpg|thumb|150px|[[月の海]]は[[ヨハネス・ケプラー]]以来、ラテン語で命名されている(例、Mare Fecunditatis:[[豊かの海|豊饒の海]])。]]
 
古典ラテン語の慣用表現は、現代の西洋諸語においても使われることが少なくなく、そのうち一部は日本語にも入っている。ラテン語起源の英語などの単語が日本語でも使われる例は、もちろん数多くある。
 
 
 
* {{lang|la|ad hoc}} アド・ホク:暫定の、臨時の([[アドホック]])
 
* {{lang|la|ad lib.}} アド・リブ({{lang|la|ad libitum|アド・リビトゥム}}の略):即興([[アドリブ]])
 
* {{lang|la|alius ibi (alibi)}} アリウス・イビ:「他の場所で」の意([[アリバイ]])
 
* {{lang|la|a priori}} ア・プリオリ:先天的に、(哲学)[[超越論哲学|先験]]的に(ただし古典ラテン語法ではない)([[アプリオリ]])
 
* {{lang|la|cum}} (<math>\overline{c}</math>) クム:ともに、英語の {{lang|en|with}}
 
* {{lang|la|de facto}} デ・ファクト:事実上の(対義語は {{lang|la|de jure}}(法律的には))、defact は誤り([[デファクト]])
 
* {{lang|la|exempli gratia (e.g.)}}:たとえば
 
* {{lang|la|et alii (et al.)}} エト・アリイ:その他の者([[論文]]の著者名省略などでしばしば用いられる)
 
* {{lang|la|et cetera (etc.)}} エト・ケテラ:その他([[エトセトラ]])
 
* {{lang|la|ego}} エゴ:私、[[自我]]
 
* {{lang|la|facsimile}} ファクスィミレ:似せて作れ([[ファクシミリ]])
 
* {{lang|la|id est (i.e.)}}:すなわち
 
* {{lang|la|[[in situ]]}}:本来の場所で
 
* {{lang|la|[[in vitro]]}}:試験管内で
 
* {{lang|la|[[in vivo]]}}:生体内で
 
* {{lang|la|Pacta sunt servanda}} パクタ・スント・セルウァンダ:合意は守らるべし ([[Pacta sunt servanda]])
 
* {{lang|la|persona non grata}} [[ペルソナ・ノン・グラータ]]:外交上好ましくない人物
 
* {{lang|la|Quod Erat Demonstrandum ([[Q.E.D.]])}} クオド・エラト・デモンストランドゥム:[[証明]]終わり(直訳は「証明されようとしていたもの」)
 
* {{lang|la|sine}} (<math>\overline{s}</math>) スィネ:~なしに、ともなわず、英語の {{lang|en|without}}
 
* {{lang|la|virus}} [[ウイルス|ウィルス]]:毒
 
* {{lang|la|missile}} ミッスィレ:投げられるもの([[ミサイル]])
 
* {{lang|la|Requiescat in Pace}}:「安らかに眠れ」。墓碑に刻まれる文字。
 
* {{lang|la|Memento mori}}:死を記憶せよ([[メメント・モリ]])
 
* {{lang|la|Carpe diem}}:[[その日を摘め]]。[[いまを生きる]]([[ホラティウス]])
 
* {{lang|la|Amor Vincit Omnia}}:愛はすべてを征服する。[[愛の勝利]]([[ヴェルギリウス]])
 
* {{lang|la|Veritas Vincit}}:真実は勝つ([[ヤン・フス]])
 
* {{lang|la|Justitia Omnibus}}:すべてに正義を(アメリカ合衆国[[ワシントンD.C.]]の標語)
 
* {{lang|la|Plus Ultra}}:[[プルス・ウルトラ (モットー)]]、さらなる前進([[スペイン]]の標語)
 
*{{lang|la|Fiat justitia ruat caelum}}:[[正義はなされよ、たとえ天が落ちるとも]]
 
* {{lang|la|primus inter pares}}:「[[:en:Primus inter pares|同輩中の首席]]」。[[大日本帝国憲法]]下の[[内閣総理大臣]]の位置づけや[[スイス]]の[[連邦大統領 (スイス)|連邦大統領]]の位置づけをあらわす語。もともとは中世ドイツにおける[[ドイツ王|王]]と諸侯との対等の位置づけを現した([[ハインリヒ1世 (ドイツ王)|ハインリヒ1世]]参照)。
 
 
 
ラテン語由来の商号や固有名詞としては、例えば以下のようなものがある。
 
* [[月の海]]:名前はラテン語で綴られる。
 
* [[星座]]の名前もラテン語で綴られる。特に黄道12星座は占星術で使用されるときはヨーロッパ諸語では翻訳されない。
 
* [[Audi]](ドイツの自動車メーカー):{{lang|la|audi}} は「聞け」の意。創業者ホルヒ(Horch, 聞け)に因む
 
* 『[[AERA]]』([[朝日新聞社]]の雑誌):{{lang|la|æra}} は「時代」の意。英語の {{lang|en|era}}
 
* 『[[SAPIO]]』([[小学館]]の雑誌):{{lang|la|sapio}} は「私は考える」の意(現在分詞は {{lang|la|sapiens}})
 
* 『[[テルマエ・ロマエ]]』(ヤマサキ・マリ原作のマンガの題名):{{lang|la|thermae romae}}は「ローマの浴場」の意。
 
* [[ニベア]]:{{lang|la|nivea}} は「雪」ないし「雪のように白い」の意
 
* [[プリウス (曖昧さ回避)|プリウス]]([[トヨタ・プリウス]]および[[日立製作所]]の[[パーソナルコンピュータ]]):{{lang|la|prius}} は「~に先立って、先駆け」の意
 
* [[プロペ]]:{{lang|la|prope}}は傍に、近くにの意
 
* [[ベネッセコーポレーション]]:{{lang|la|bene}} + {{lang|la|esse}} で「良く存在すること」の意の造語
 
* [[りそな銀行]]([[大和銀行]]と[[あさひ銀行]]が合併してできた[[金融機関]]):{{lang|la|resona}} は「共鳴せよ、響き渡れ(命令形、単数)」の意
 
* [[ユヴェントス]]:[[イタリア]]の著名なサッカークラブ。{{lang|la|juventus}} は「青春、青年」の意
 
* [[湘南ベルマーレ]]:[[湘南]]をホームタウンとする[[日本プロサッカーリーグ|Jリーグ]]クラブ。{{lang|la|bellum}}(美しい)+ {{lang|la|mare}}(海)で {{lang|la|Bellmare}}
 
 
 
== ラテン語由来の記号 ==
 
* [[アンパサンド|&amp;]]([[アンパサンド]]) - ラテン語の {{lang|la|et}} の[[合字]]が記号になったものである。
 
* [[感嘆符|!]]([[感嘆符|感嘆符、エクスクラメーション・マーク]]) - ラテン語の {{lang|la|io}} の、2字を縦に重ねた[[合字]]が記号になったものである。
 
* [[疑問符|?]]([[疑問符|疑問符、クエスチョンマーク]]) - ラテン語の {{lang|la|quaestio}} の最初の q と最後の o を縦に重ねた[[合字]]という説がある。
 
 
 
== 関連項目 ==
 
[[ファイル:Latin Europe.svg|250px|thumb|ヨーロッパにおける[[ロマンス諸語]]]]
 
* [[言語]]
 
* [[言語学]]
 
<!--* [[バチカン|バチカン市国]]-->
 
<!--* [[カルチェ・ラタン]]-->
 
* ラテン語
 
** [[古ラテン語]]
 
** [[古典ラテン語]](古典期ラテン語、ラテン語の[[文語]])
 
** [[俗ラテン語]](ラテン語の[[口語]])
 
** [[中世ラテン語]](教会ラテン語)
 
** [[ラテン文字]]
 
** [[無活用ラテン語]]
 
** {{ill2|ラテン語の成句の一覧|en|List of Latin phrases}}
 
* [[ギリシア語]]
 
* [[イタリア語]]
 
* [[フランス語]]
 
* [[スペイン語]]
 
* [[ポルトガル語]]
 
* [[カタルーニャ語]]
 
* [[オック語]]
 
* [[ルーマニア語]]
 
* [[レト・ロマン語]]
 
* [[サルデーニャ語]]
 
<!--* [[英語]]-->
 
* [[ラテン語とルーマニア語の音韻の変化]]
 
<!--* [[ローマ法]]-->
 
<!--* [[カノン法]]-->
 
* [[ラテン文学]]
 
<!--* [[アヴェ・マリア]](アウェー・マリア)-->
 
<!--* [[ヴルガータ]](ウルガータ)-->
 
<!--* [[カルミナ・ブラーナ]]-->
 
<!--* [[レクイエム]]-->
 
<!--** [[怒りの日]]-->
 
* [[ラテン語の地名]]
 
<!--* [[ロータシズム]]-->
 
* [[ケンブリッジラテン語講座]]
 
<!--* [[レクスィコン・ウーニウェルサーレ]]-->
 
<!--* [[法学のラテン語成句の一覧]]-->
 
* [[Wikipedia:外来語表記法/ラテン語]]
 
 
 
== 参考文献 ==
 
;導入書
 
* 小倉博行『ラテン語のしくみ』([[白水社]])
 
* 大西英文『はじめてのラテン語』([[講談社]]〈講談社現代新書〉、ISBN 4-06-149353-1)
 
* 岩崎務『CDエクスプレス ラテン語』(白水社)
 
* 有田潤『初級ラテン語入門』(白水社)
 
* [[逸身喜一郎]]『ラテン語のはなし 通読できるラテン語文法』([[大修館書店]]、ISBN 4-46-921262-8)
 
;入門書
 
* M・アモロス『ラテン語の学び方』(南窓社、ISBN 4-81-650097-9)
 
* [[田中利光]]『改訂版 ラテン語初歩』([[岩波書店]])
 
* 樋口・藤井『詳解ラテン文法』([[研究社]])
 
* [[呉茂一]]『ラテン語入門』(岩波書店)
 
* 村松正俊『ラテン語四週間』([[大学書林]])
 
* 河底尚吾『改訂新版 ラテン語入門』(泰流社)
 
* [[小林標]]『独習者のための楽しく学ぶラテン語』(大学書林)
 
* [[風間喜代三]]『ラテン語 その形と心』([[三省堂]])
 
* 土岐・井坂『楽しいラテン語』([[教文館]])
 
;文法書
 
* ジャン・コラール(有田訳)『ラテン文法』(文庫クセジュ)
 
* [[中山恒夫]]『古典ラテン語文典』(研究社、ISBN-4560067848)
 
* [[泉井久之助]]『ラテン広文典』(白水社、[[2005年]](新装復刊版)、ISBN 4-560-00792-6)
 
* [[松平千秋]]・[[国原吉之助]]『新ラテン文法』(東洋出版、ISBN 4-8096-4301-8)
 
;辞典
 
* [[田中秀央]]『[[羅和辞典 (研究社)|羅和辞典]]』([[研究社]]、ISBN 4-7674-9024-3)
 
* 水谷智洋『羅和辞典 改訂版』(研究社、ISBN-4767490251)
 
* 国原吉之助『古典ラテン語辞典』(大学書林、ISBN-4475001560)
 
* Latin Dictionary Founded on Andrew's Edition of Freud's Latin Dictionary, Oxford Univ Press , ISBN 0-19-864201-6
 
;ラテン語史
 
* 国原吉之助『中世ラテン語入門 新版』([[大学書林]]、ISBN 4-475-01878-1)
 
* ジャクリーヌ・ダンジェル『ラテン語の歴史』(遠山一郎・高田大介訳、白水社〈文庫クセジュ〉、ISBN 4-560-05843-1)
 
* ジョゼフ・ヘルマン『俗ラテン語』(新村猛・国原吉之助訳、白水社〈文庫クセジュ〉、ISBN 4-560-05498-3)
 
;その他
 
* 三ヶ尻正『ミサ曲・ラテン語・教会音楽ハンドブック—ミサとは・歴史・発音・名曲選』(ショパン、[[2001年]]、ISBN 978-4-88364-147-5)
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 外部リンク ==
 
{{Wikipedia|la}}
 
{{Wikibooks|ラテン語|ラテン語}}
 
{{Commons&cat|Latin language|Latin language}}
 
{{wiktionarycat}}
 
 
 
* [http://www.kitashirakawa.jp/~taro/latin.html ラテン語入門]
 
* [http://www.lingua-latina.org/ ラテン語 (lingua Latina)]
 
* [http://www.thelatinlibrary.com/ The latin library](古代から近代までのラテン語作品を掲載)
 
* [http://www.hs-augsburg.de/~harsch/a_chron.html BIBLIOTHECA AUGUSTANA](古代から近代までのラテン語作品を掲載)
 
* [http://www.perseus.tufts.edu/hopper/ Perseus digital library](古代のラテン語作品データベース。英訳や羅英辞典も利用できる)
 
* [http://ephemeris.alcuinus.net/index.php Ephemeris](ラテン語新聞)
 
* [http://www.yleradio1.fi/nuntii/ Nuntii Latini](ラテン語放送)
 
  
 +
[[インド=ヨーロッパ語族]]の[[イタリック語派]]に属する言語。最初はラチウム地方だけの言語であったが,ローマの発展とともにその国語として広大な地域に行われるようになった。前 600年頃のものとみられるブローチの銘が現存最古の文献である。前1世紀までには洗練された文章語をもつようになったが,この古典ラテン語は中世,近世を通じて学術語ならびにローマ教会の典礼用語としてヨーロッパ文化をになった。しかし一方,民衆の日常語は文章語とは次第にかけ離れたものになり,これを[[俗ラテン語]]というが,それが地方色を強めて分岐発達して現在のロマンス語派の諸言語になった。ラテン語は高度の曲用,活用の体系をもち,典型的な[[屈折語]]の一つである。ヨーロッパの諸言語に与えた影響は,特に語彙の面で著しいものがある。現在も,学問上の術語などに利用されている。
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[[Category:ラテン語|*]]

2018/10/27/ (土) 17:04時点における最新版


ラテン語(ラテンご、ラテン語: lingua latina リングア・ラティーナ)

インド=ヨーロッパ語族イタリック語派に属する言語。最初はラチウム地方だけの言語であったが,ローマの発展とともにその国語として広大な地域に行われるようになった。前 600年頃のものとみられるブローチの銘が現存最古の文献である。前1世紀までには洗練された文章語をもつようになったが,この古典ラテン語は中世,近世を通じて学術語ならびにローマ教会の典礼用語としてヨーロッパ文化をになった。しかし一方,民衆の日常語は文章語とは次第にかけ離れたものになり,これを俗ラテン語というが,それが地方色を強めて分岐発達して現在のロマンス語派の諸言語になった。ラテン語は高度の曲用,活用の体系をもち,典型的な屈折語の一つである。ヨーロッパの諸言語に与えた影響は,特に語彙の面で著しいものがある。現在も,学問上の術語などに利用されている。




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