「三味線」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2017年11月}}
 
[[File:KitagawaUtamaro FlowersOfEdo.jpg|right|thumb|250px|三味線を弾く女([[喜多川歌麿]]「江戸の花 娘浄瑠璃」 享和3年(1803年))]]
 
'''三味線'''(しゃみせん)は、[[日本]]の有棹[[弦楽器]]。もっぱら弾(はじ)いて演奏される[[撥弦楽器]]である。四角状の扁平な[[木]]製の胴の両面に[[ネコ|猫]]や[[イヌ|犬]]の[[皮]]を張り、胴を貫通して伸びる棹に張られた[[弦]]を、通常、[[イチョウ|銀杏]]形の[[撥]](ばち)で弾き演奏する<ref name="eisui">[http://y-eisui.com/shami4.html 高橋栄水公式サイト]</ref>。
 
  
== 概説 ==
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'''三味線'''(しゃみせん)
{{出典の明記|date=2017年11月|section=1}}
 
[[File:Shamisen.jpg|right|thumb|150px|三味線]]
 
成立は[[15世紀]]から[[16世紀]]にかけてとされ、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]に[[琉球]](現在の[[沖縄県]])から伝来したもの。他の多くの[[和楽器]]と比べ「新しい楽器」である。基本的にはヘラ状の撥を用いるが、三味線音楽の種目により細部に差異がある。[[近世邦楽]]の世界、特に[[地歌]]・[[箏曲]]の世界([[三曲]])等では「[[三弦]](さんげん)」、または「三絃」と呼称し、表記する事も多い。雅語として「みつのお(三つの緒)」と呼ばれることもある。沖縄県や[[鹿児島県]][[奄美群島]]では[[三線]](さんしん)とも呼ぶ。
 
 
 
楽器本体は「天神」(糸倉)、「棹」(ネック)、「胴」(ボディ)から成る。さらに棹は上棹、中棹、下棹の3つに分割出来るものが多く、このような棹を「三つ折れ」という。これは主に収納や持ち運びの便のため、また棹に狂いが生じにくくするためである。分割されていないものもあり、「延棹(のべざお)」と称される。逆に5つ以上に分割できるものもある。
 
 
 
素材には高級品では[[コウキ|紅木]](こうき)材([[インド]]産)を用いるが、[[シタン|紫檀]](したん)、[[カリン (マメ科)|花林]](かりん)材(タイ・ミャンマー・ラオスなどの東南アジア産)の棹もある。以前は[[カシ|樫]]、[[クワ|桑]]製も多かった。最近一部では[[スネークウッド]]を使うこともある。特殊なものとして[[ビャクダン|白檀]](びゃくだん)や[[タガヤサン|鉄刀木]](たがやさん)を使うこともある。固く緻密で比重の高い木が良いとされる。胴は全て花林製だが昔は桑、[[ケヤキ]]のものもあった。上級品では、内側の面に[[鑿]](のみ)で細かな模様を一面に彫り込む。これを「綾杉」といい、響きを良くすると言われている。
 
 
 
[[File:Japanese traditional furry art1.jpg|thumb|left|三味線の稽古をする猫([[歌川国芳]]「猫のけいこ」 天保12年(1841年))]]
 
革は一般に琉球三線の[[ニシキヘビ]]の皮と異なり、猫の腹を使用していたが、高価な事と生産量の減少により、現在は稽古用など全体の7割程度が犬の皮を使用している。 また[[津軽三味線]]は例外を除き犬革を使用する。雌猫は[[交尾]]の際、雄猫に皮を引っ掛かれてしまうため雌猫の皮を用いる場合は[[交尾]]未経験の個体を選ぶ事が望ましいと言われることもある。実際には交尾前の若猫の皮は薄い為、傷の治ったある程度の厚みの有る皮を使用することが多い。合成製品を使用する場合もあるが、音質が劣るため好まれない。三味線が良い音を出すためには、胴の大きさの範囲内で厚みのある皮を使うことが必須となる。このため[[牛]]皮では大きすぎる。小動物で入手が容易な理由で、琉球時代の[[三線]]から改変を経て猫や犬が使用され、試行錯誤の末に[[江戸時代]]に現在の形が完成された。現在は、猫や犬の皮はほとんどが輸入品である。また、皮以外の棹の材料の[[紅木]]をはじめ胴と棹の材料である[[花林]]、糸巻きに使用される[[象牙]]や[[黒檀]]、撥に使うべっ甲なども同様である<ref name="eisui"></ref>。
 
 
 
現代では、胴に合成[[紙]]を張るなどした簡易版の三味線も製作されている。入門用や、動物愛護を重視する欧米観光客の日本土産として購入されている<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/local/tokyo23/news/20180411-OYTNT50101.html?from=yartcl_blist 動物皮使わない三味線/葛飾の工房開発 合成紙を代用欧米からの観光客に人気]『読売新聞』朝刊2018年4月11日(都民面)</ref>。
 
 
 
糸(弦)は三本で、絹製。津軽三味線に関しては、[[ナイロン]]や[[ポリエステル|テトロン]]製の糸を用いる事もある。太い方から順に「一の糸」「二の糸」「三の糸」と呼ぶ。それぞれ様々な太さがあり、三味線音楽の種目ごとに使用するサイズが異なる。
 
[[File:Fumie Hihara au shamisen (auditorium du musée Guimet) (5193584378).jpg|thumb|240px|right|三味線を弾く女]]
 
通常、一の糸の巻き取り部の近くに「{{仮リンク|さわり|en|Sawari}}」と呼ばれる[[シタール]]の「{{仮リンク|ジュワリ|en|Jivari}}」と同種のしくみがある。これは一の糸の開放弦をわずかに棹に接触させることによって「ビーン」という音を出させるもので、[[倍音]]成分を増やして音色に味を付け、響きを延ばす効果がある。これによって発する音は一種のノイズであるが、三味線の音には欠かせないものである。「さわり」の機構を持つ楽器は[[琵琶]]など他にもあるが、三味線の特徴は一の糸のみに「さわり」がついているにもかかわらず、二の糸や三の糸の特定の押さえる場所にも(調弦法により変化する)、共鳴によって同様の効果をもつ音があることである。これにより響きが豊かになるとともに、調弦の種類により共鳴する音が変わるので、その調弦法独特の雰囲気をかもし出す要因ともなっている。「東さわり」と呼ばれる棹に埋め込んだ、螺旋式のさわりもある。
 
 
 
== 調弦 ==
 
{{出典の明記|date=2017年11月|section=1}}
 
三味線にあっては、[[調弦]]は複数のパターンがあり、曲によって、また曲の途中でも調弦を変化させる。基本の調弦は次の通りである。調弦法が多種あるのは、異なる調に対応するためと、響きによる雰囲気の違いのためである(詳しくは「[[地歌]]」を参照)。現在では三味線の調弦に対応した[[チューニング・メーター]]も販売されている。
 
* 本調子(ほんちょうし) - 一の糸に対し、二の糸を[[音程|完全4度]]高く、三の糸を[[オクターブ]]高く合わせる。一の糸がCならば二の糸はF、三の糸は高いCとなる。
 
* 二上り(にあがり) - 一の糸に対し、二の糸を[[音程|完全5度]]高く、三の糸をオクターブ高く合わせる。本調子の二の糸を上げるとこの調子になる事から。沖縄県では「二上げ」とも言う。C-G-Cとなる。
 
* 三下り(さんさがり) - 一の糸に対し、二の糸を完全4度高く、三の糸を[[音程|短7度]]高く合わせる。本調子の三の糸を下げるとこの調子になる事から。沖縄県では「三下げ」とも言う。C-F-B♭となる。
 
 
 
== 種類 ==
 
{{出典の明記|date=2017年11月|section=1}}
 
伴奏する内容に合わせて幾つかの種類がある。一般に、細棹・中棹・太棹に大別される。
 
 
 
=== 細棹 ===
 
* [[長唄]]三味線:細棹。[[象牙]]製の撥を用いる。[[歌舞伎]]音楽等で使用。
 
 
 
=== 中棹 ===
 
* [[常磐津]]三味線:中棹。
 
* [[清元]]三味線:中棹。
 
* [[地歌]]三味線:中棹。高いポジションを多用するため、棹の胴との接合部が他の三味線とは異なっている。「津山撥」という象牙製の撥を用いる。
 
: 地歌の三味線自体は「[[三弦]](三絃)」と呼ばれる事が多い。「[[三曲]]」とも呼ばれ、地歌及び[[箏]]・[[胡弓]]・[[尺八]]との合奏に使用。
 
* [[新内節|新内]]三味線:中棹。爪を用い、立って演奏する「新内流し」が有名。
 
 
 
=== 太棹 ===
 
* [[義太夫]]三味線:太棹。大きく厚い撥を用いる。[[浄瑠璃]]等で使用。
 
* [[浪曲]]三味線:太棹。
 
* [[津軽三味線]]:太棹。先端が[[鼈甲]]製の小ぶりの撥を用いる。津軽民謡の伴奏に使用。
 
 
 
=== その他 ===
 
* 柳川三味線(京三味線):三味線の最も古い形。細棹より更に細い。
 
* [[三線]](サンシン):沖縄県と鹿児島県奄美群島で用いられる。日本本土のものより小型でスケールも短く、インドネシア[[ニシキヘビ]]の皮と、[[黒檀]]製漆塗りの棹に特徴がある。撥も本土のものとは異なり、[[スイギュウ|水牛]]の角で作られた爪(沖永良部島以南)や、竹を薄く削った細い棒状のもの(奄美大島・喜界島・徳之島)で弾く。
 
* [[ゴッタン]]:[[薩摩藩]]の影響下にあった[[宮崎県]][[都城市]]に残る楽器。杉板で作られ、皮を張らずに板張りされている。
 
 
 
 
 
{{要出典範囲|これ以外に、大正時代につくられたセロ三味線というものがある。また、近代ではロックバンドなどといった大音量電気楽器との競演のために[[ピックアップ (楽器)|ピックアップ]]を内蔵した「[[エレアコ三味線]]」も製作されている([[中村梅雀]]が製作したものがはじまり)。|date=2017年10月}}
 
 
 
== 歴史・関連楽器 ==
 
三味線は[[楽器分類学]]上「[[リュート]]属」に属し、その中でも胴に長い棹を差し込んだ形状をしており、このような楽器は世界各地に見られ、[[ギター]]や[[シタール]]も同じ仲間と見なされている。いっぽう同じリュート属でも琵琶やリュートなど棹と胴が一体化もしくはそれに近いものとは別の系統とされる。
 
 
 
楕円形の胴に革を張り、棒状の長い棹を取り付けたリュート属弦楽器は、すでに[[古代エジプト]]の壁画に見られる。しかしこれが三味線の直接的な祖先かどうかは分からない。一方同じような楽器が[[中国]][[秦代]]にも現れ、やがて奚琴となり、[[トルコ]]族によって[[中東]]に伝えられてラバーブになった。このラバーブが後に中東及び[[イラン]](ペルシャ)の[[シタール|セタール]]となったという説がある(胡弓演奏家・原一男による「[[擦弦楽器]]奚琴起源説」)。これは「3つの弦(糸)」の意であり、これが三味線の祖先とされる。のち中国に入り、三弦(サンシェン)が生まれる。
 
[[琉球王国]]と中国(福州)との貿易により[[琉球]]にもたらされ、宮廷音楽に採り入れられて[[三線]](サンシン)となった。そのため、[[沖縄県]]では「サンシン」と「シャミセン」との二つの呼称が併存している。
 
 
 
[[16世紀]]末、琉球貿易により[[堺市|堺]]に中国の[[三弦]]がもたらされ、短期間の内に三味線へと改良された<ref>[http://doraku.asahi.com/entertainment/stagenavi/info/120921.html?ref=comtop 三弦-海を越えてアジアから日本へ]Do楽(朝日新聞ホームページ)</ref>。現存する[[豊臣秀吉]]が[[淀殿]]のために作らせた三味線「淀」は、華奢なもののすでに基本的に現在の三味線とほとんど変わらない形状をしている。伝来楽器としての三弦は[[当道座]]の盲人音楽家によって手が加えられたとされ、三弦が義爪を使って弾奏していたのを改め彼らが専門としていた「平曲(平家[[琵琶]])」の撥を援用したのもそのあらわれである。彼らは琵琶の音色の持つ渋さや重厚感、劇的表現力などを、どちらかといえば軽妙な音色を持つ三味線に加えるために様々な工夫を施したと思われる。とくに石村検校は三味線の改良、芸術音楽化、[[地歌]]の成立に大きく関わった盲人音楽家であろうと言われる。
 
 
 
こうして軽重哀楽の幅広い表現可能にした三味線には、[[江戸時代]]に入るとすぐ石村検校らにより最初の三味線音楽種目である地歌が生まれる。また語り物である浄瑠璃にも取り入れられ、三味線音楽は「[[歌いもの]]」「[[語りもの]]」の二つの流れに大きく分かれ、更に分化を繰り返して大きく発展していく。都市の芸術音楽から流行歌、やがて地方の民謡にまで盛んに使われるようになり、様々な[[近世邦楽]]をリードし支え、更なる改良が加えられ、日本を代表する弦楽器となった。
 
 
 
日本音楽史上、一般民衆が手にすることの出来た楽器は、[[篠笛|神楽の笛]]、太鼓、鈴であり、ついで三味線であった。
 
[[文政]]年間の[[オランダ]]の商館長メイランは日本の音楽事情について「楽器の中では三味線が一番ひろく用いられる」と記している<ref>{{Cite journal |和書 |author = [[倉田喜弘]] |title = 民衆歌謡:近世末期から近代への流れ |journal = 日本の音楽・アジアの音楽 |date = 1994 |publisher = 東京書籍 |series = 岩波講座 | volume = 2 |edition = 2 |isbn = 4000103628 |ref = harv }}</ref>。
 
 
 
== 三味線に関する言葉 ==
 
* 相手に「調子を合わせて」油断させることを「三味線を弾く」という。スポーツの予選における駆け引きで、本来の実力を隠してライバルを油断させることなど。よく似た表現の「口三味線」は、口で三味線の音色を真似る事から相手を騙す、偽物、虚言という意味。
 
* [[シャミセンガイ]]は腕足動物門腕足綱無穴目シャミセンガイ科に属する動物。殻を胴、長い尾を棹に見立てたもの。
 
* [[ナズナ]](アブラナ科の植物)の俗名として「ペンペン草」がある。これは果実が三味線の撥に似ているため、三味線音の擬音「ペンペン」を冠したもの。
 
* [[漁業]]従業者や[[釣り]]の愛好家の間では、[[疑似餌]]の材料に使用される猫の皮を「シャミ」と呼ぶ。
 
* [[三味線橋]] 東京都中野区にある「なごり橋」。いつもこの近くで三味線の音色がしていたから「三味線橋」の名称になったと言われる。
 
*[[三味線島]] 香川県坂出市にある三味線の形をした島。
 
*[[三味線堀]] 東京都台東区にあった堀。<ref>http://tokyotaito.blog.shinobi.jp/%E5%B0%8F%E5%B3%B6/%E4%B8%89%E5%91%B3%E7%B7%9A%E5%A0%80%E8%B7%A1</ref>
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite journal |和書 |author = [[倉田喜弘]] |title = 民衆歌謡:近世末期から近代への流れ |journal = 日本の音楽・アジアの音楽 |date = 1994 |publisher = 東京書籍 |series = 岩波講座 | volume = 2 |edition = 2 |isbn = 4000103628 |ref = harv }}
 
* 三木稔『日本楽器法』音楽之友社,1996年,ISBN 4-276-10695-8
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Wiktionary|三味線}}
 
{{Commonscat|Shamisen}}
 
* [[石村近江]] - 江戸時代の三味線製作者
 
* [[ワッシー・ヴィンセント・ジュニア]] - 富士松ワッシーの名で黒人初の名取りとなる。
 
* [[風が吹けば桶屋が儲かる]]
 
* [[ジャンジャン横丁]]
 
* [[三味線屋の勇次]]
 
* [[スコップ三味線]]
 
* [[唱歌 (演奏法)]](しょうが)
 
* [[吉田兄弟]]
 
* [[浄瑠璃三味線方一覧]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.shamimaster.com/gakufu.html 三味線楽譜サイト]
 
  
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日本の撥弦楽器。三弦 (絃) ,三玄とも書き,「さんげん」とも「さみせん」とも読まれる。中国の三弦,琉球の三線などと同属の3弦のリュート楽器であるが,それらが蛇皮線 (じゃびせん) と呼ばれるように胴に蛇皮を張るのに対して,日本の三味線には猫皮または犬皮などを張る。伝来は永禄 (1558~70) 頃以前と推定され,改良者はそれまで琵琶を扱っていた,盲人音楽家たちと考えられ,琵琶のそれに似た大きな撥 (ばち) で弾くのが特色となった。現在では,種目によって使用する三味線の形状や撥,駒などに相違があり,特に義太夫節浄瑠璃に用いられるものが棹も最も太く大型で,これを太棹 (ふとざお) ということもある。最近これに対して,長唄,河東節などに用いるものを細棹,地歌,常磐津節,清元節などのものを中棹と分類したりすることもあるが,棹の太さは,たとえば同じ中棹を使用する種目でも演奏者の好みにより多少変えうるもので,本来一定していない。音色上の相違は,むしろ駒の重さや撥によって左右される。その他新内では小撥で演奏したこともあり,小唄では撥を用いず爪 (つま) 弾きをする。常磐津節,清元節,新内節あるいは長唄でも曲によっては,枷 (かせ) をつけた[[上調子]] (うわぢょうし) が用いられる。明治以後,特殊な三味線として,大三味線,豪弦,高音三味線,電気三味線,ピアノ三味線などが考案されたが,一般的には使用されていない。
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2018/10/20/ (土) 13:41時点における最新版

三味線(しゃみせん)

日本の撥弦楽器。三弦 (絃) ,三玄とも書き,「さんげん」とも「さみせん」とも読まれる。中国の三弦,琉球の三線などと同属の3弦のリュート楽器であるが,それらが蛇皮線 (じゃびせん) と呼ばれるように胴に蛇皮を張るのに対して,日本の三味線には猫皮または犬皮などを張る。伝来は永禄 (1558~70) 頃以前と推定され,改良者はそれまで琵琶を扱っていた,盲人音楽家たちと考えられ,琵琶のそれに似た大きな撥 (ばち) で弾くのが特色となった。現在では,種目によって使用する三味線の形状や撥,駒などに相違があり,特に義太夫節浄瑠璃に用いられるものが棹も最も太く大型で,これを太棹 (ふとざお) ということもある。最近これに対して,長唄,河東節などに用いるものを細棹,地歌,常磐津節,清元節などのものを中棹と分類したりすることもあるが,棹の太さは,たとえば同じ中棹を使用する種目でも演奏者の好みにより多少変えうるもので,本来一定していない。音色上の相違は,むしろ駒の重さや撥によって左右される。その他新内では小撥で演奏したこともあり,小唄では撥を用いず爪 (つま) 弾きをする。常磐津節,清元節,新内節あるいは長唄でも曲によっては,枷 (かせ) をつけた上調子 (うわぢょうし) が用いられる。明治以後,特殊な三味線として,大三味線,豪弦,高音三味線,電気三味線,ピアノ三味線などが考案されたが,一般的には使用されていない。




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