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{{Otheruses|代数的構造|微分方程式の半群法|C0-半群}}
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'''半群'''(はんぐん、{{lang-en-short|''semigroup''}}
[[数学]]における'''半群'''(はんぐん、{{lang-en-short|''semigroup''}})は[[集合]] ''S'' とその上の[[結合法則|結合的]][[二項演算]]とをあわせて考えた[[代数的構造]]である。言い換えれば、半群とは演算が結合的な[[マグマ (数学)|マグマ]]のことをいう。半群の名は、既存の[[群 (数学)|群]]の概念に由来するものである。半群は、各元が必ずしも逆元を持たないこと(さらに、単位元すら持たないかもしれないこと)が、群と異なる。
 
  
半群の演算はほとんど乗法的に書かれる(順序対 (''x'', ''y'') に対して演算を施した結果を ''x'' • ''y'' などで、あるいは単に ''xy'' で表す)。
+
結合法則をみたす二項演算のある代数系. 演算として積を考えるときの偶数の集合がその例.
  
半群についてきちんとした形での研究が行われるようになるのは20世紀の初めごろからである。半群は、「無記憶」系 {{lang|en|("memoryless" system)}} すなわち各反復時点でゼロから開始される時間依存系 {{lang|en|(time-dependent system)}} の抽象代数的な定式化の基盤であるので、数学の各種分野において重要な概念である。応用数学においては、半群は{{仮リンク|線型時間不変系|en|linear time-invariant system}}の基本モデルである。また[[偏微分方程式]]論では、半群は空間発展的かつ時間非依存な任意の方程式に対応している。有限半群論は1950年代以降、有限半群と[[有限オートマトン]]との間の自然な関連性から、[[理論計算機科学]]の分野で特に重要となった<!-- ({{harvnb|Eilenberg|1973}}, [[#CITEREFEilenberg1976|1976]])-->。[[確率論]]では半群は[[マルコフ過程]]に関連付けられている {{harv|Feller|1971}}。
+
{{テンプレート:20180815sk}}
 
 
== 定義 ==
 
[[集合]] ''S'' とその上の[[二項演算]] &bull; : S × S → S が与えられたとき、組 (''S'', &bull; ) が以下の条件を満たすならば、これを'''半群'''という。
 
; [[結合法則|結合律]]: ''S'' の各元 ''a'', ''b'', ''c'' に対して、等式 (''a'' &bull; ''b'') &bull; ''c'' = ''a'' &bull; (''b'' &bull; ''c'') が満たされる。
 
手短に言えば、半群とは結合的[[マグマ (数学)|マグマ]]のことである。''S'' を半群 (''S'', &bull;) の台集合とよび、また誤解の虞が無いならば「半群 ''S''」のように台集合と同じ記号で半群そのものを表す。
 
 
 
台集合が有限集合であるような半群を'''有限半群''' {{lang|en|(''finite semigroup'')}} または位数有限な半群、有限位数を持つ半群 {{lang|en|(semigroup with finite order)}}、無限集合であるような半群を'''無限半群''' {{lang|en|(''infinite semigroup'')}} または位数無限な半群、無限位数を持つ半群 {{lang|en|(semigroup with infinite order)}}という。
 
 
 
== 半群の例 ==
 
* [[空半群]]: 空集合は空写像を演算として半群を成す。半群の定義に台集合が空でないことを課して、空半群を除外することもある。
 
* [[一元半群]]: [[一元集合]] {''a''} に ''aa'' = ''a'' で演算を定めたものは、ただひとつの元からなる半群となる。これは(同型の違いを除けば)本質的に一つしか存在しない。しばしばこれを'''自明半群''' {{lang|en|(''trivial semigroup'')}} と呼ぶ。
 
* [[二元半群]]: 台集合が二元からなる半群は同型を除いて五種類の異なったものが存在する。
 
* [[自然数|正の整数]]の全体の成す集合 '''N''' は加法に関して半群を成す。
 
* [[非負行列|非負正方行列]](すべての成分が非負であるような正方行列)の全体に行列の積を与えたものは半群を成す。
 
* 任意の[[環のイデアル]]は[[環 (数学)|環]]の乗法に関する半群である。
 
* 文字集合 &Sigma; を固定して、その上の有限[[文字列]]の全体を考えれば、[[文字列の連接]]を演算とする半群を得られる。これを &Sigma; 上の[[自由半群]]という。[[空文字列]]をも含めて考えるならこの半群は &Sigma; 上の[[自由モノイド]]となる。
 
* [[確率分布]] ''F'' に対して、''F'' の畳み込み冪全体の成す集合に畳み込みを演算として考えたものは半群を成す。これは畳み込み半群 {{lang|en|(convolution semigroup)}} と呼ばれる。
 
* 任意の[[モノイド]]は単位元を持つ半群である。
 
* 任意の[[群 (数学)|群]]は各元が[[逆元]]を持つモノイドである。
 
* [[繰り込み群]]は群ではないが、慣用されている呼称である。
 
 
 
== 基本的な概念 ==
 
=== 単位元と零元 ===
 
任意の半群(じつは任意のマグマ)が持つことのできる[[単位元]]は高々ひとつである。単位元を持つ半群は、単位的半群あるいは[[モノイド]]と呼ばれる。「必要ならば」、単位元を持たない半群 ''S'' を、単に ''S'' のどの元とも異なる元 ''e'' を添加して ''S'' &cup; {''e''} の各元 ''s'' に対して ''es'' = ''se'' = ''s'' と定めることによって、モノイドに[[埋め込み|埋め込む]]ことができる。''S'' に単位元を添加して得られるモノイドを ''S''<sup>1</sup> で表し、''S'' の単位元添加あるいは '''1-添加'''と呼ぶ(誤解の虞が無いならば、必要に応じて ''S'' の 1-添加も同じ記号 ''S'' で表すこともある)。したがって、任意の可換半群を[[グロタンディーク構成]]を通じて群に埋め込むことができる。
 
 
 
同様に、任意のマグマが持ちうる[[吸収元]]は高々一つであり、半群ではそれを[[零元]]と呼ぶ。先ほどと同様に、零元を持たない半群 ''S'' に ''S'' に属さない元 0 を添加して、零元付き半群 ''S''<sup>0</sup> に ''S'' を埋め込むことができる。''S''<sup>0</sup> を ''S'' の零元添加あるいは '''0-添加'''と呼ぶ。
 
 
=== 部分半群とイデアル ===
 
 
 
半群演算はその部分集合の全体における演算を誘導する。半群 (''S'', &lowast;) の部分集合 ''A'', ''B'' が与えられたとき、''A'' &lowast; ''B'' あるいはよく ''AB'' で表される ''S'' の部分集合を
 
: <math> AB := \{ab \mid a\in A,\,b\in B\}</math>
 
で与える。この演算の語法に従えば、半群 ''S'' の部分集合 ''A'' について
 
 
 
* ''A'' が ''S'' の'''部分半群''' {{lang|en|(''subsemigroup'')}} であるとは、''AA'' &sub;  ''A'' が満たされるときに言う。
 
* ''A'' が ''S'' の'''右イデアル''' {{lang|en|(''right ideal'')}} であるとは、''AS'' &sub;  ''A'' となるときに言う。
 
* ''A'' が ''S'' の'''左イデアル''' {{lang|en|(''left ideal'')}} であるとは、''SA'' &sub; ''A'' が成り立つことを言う。
 
 
 
''A'' が左イデアルかつ右イデアルであるならば、''A'' を'''両側イデアル''' {{lang|en|(''two-sided ideal'')}} あるいは単に'''イデアル''' {{lang|en|(''ideal'')}} と呼ぶ。
 
 
 
''S'' が半群ならば、''S'' の部分半群からなる(任意濃度の)族の交わりは、再び ''S'' の部分半群となる。すなわち、''S'' の部分半群の全体は[[完備束]]を成す。
 
 
 
極小イデアル(包含関係に関して極小なイデアル)を持たない半群の例は、正の整数全体が加法に関して成す半群 '''N''' である。可換半群の極小イデアルは(存在するならば)群を成す。
 
 
 
元をそれが生成する[[主イデアル]]の言葉で特徴付ける、五つの[[同値関係]]からなる{{仮リンク|グリーンの関係式|en|Green's relations}}は半群のイデアルや関連する構造概念を調べる重要な道具である。
 
 
 
=== 半群準同型と半群合同 ===
 
 
 
'''半群の準同型''' {{lang|en|(''semigroup homomorphism'')}} とは半群構造を保つ写像のことである。二つの半群 {{mvar|S, T}} の間の写像 {{math|''f'': ''S'' &rarr; ''T''}} が[[準同型]]であるとは、等式
 
: {{math|1=''f''(''ab'') = ''f''(''a'')''f''(''b'')}}
 
が {{mvar|S}} の各元 {{mvar|a, b}} に対して成立するときに言う。つまり({{mvar|S}} の中で)積をとってから {{mvar|f}} で写しても、{{mvar|f}} で写してから({{mvar|T}} のなかで)積をとっても同一の結果が得られる。(半群が[[単位元]]を持ち、[[モノイド]]となる場合であっても)半群準同型は必ずしも[[モノイド準同型]]とならなくてもよい。
 
 
 
ふたつの半群 {{mvar|S, T}} が互いに[[同型]]であるとは、[[全単射]]な半群準同型(すなわち半群同型写像){{math|''f'': ''S'' &harr; ''T''}} が存在することを言う。同型な半群は、半群として同一の構造を持つ。
 
 
 
'''半群合同''' {{lang|en|(''semigroup congruence'')}} {{math|&sim;}} は、半群演算に両立する[[同値関係]]である。つまり、半群合同 {{math|&sim; (&sub; ''S'' &times; ''S'')}} は {{mvar|S}} 上の同値関係であって、かつ
 
: {{math|[''x'' &sim; ''y'' かつ ''u'' &sim; ''v'']}} ならば {{math|''xu'' &sim; ''yv''}}
 
が {{mvar|S}} の任意の元 {{mvar|x, y, u, v}} に対して成立するものを言う。任意の同値関係と同じく半群合同 {{math|&sim;}} は[[同値類|合同類]]
 
: <math>[a] = \{x\in S\mid x\sim a\}</math>
 
を定めるが、さらに合同類の間の二項演算 {{math|∘}} を
 
: <math>[u]\circ [v] = [uv]</math>
 
で定めるとこれは[[well-defined|矛盾無く定義できて]]半群演算となる。これにより、半群合同 {{math|&sim;}} による合同類の全体 {{math|''S''/&sim;}} は {{math|∘}} を演算として半群を成す。この半群を'''剰余半群''' {{lang|en|(''residue class semigroup'')}}、'''商半群''' {{lang|en|(''quotient semigroup'', ''factor semigroup'')}} などと呼ぶ。自然な写像
 
: <math>S\to S/{\sim}\,;\; x \mapsto [x]</math>
 
は全射な半群準同型であり、[[商写像]]などと呼ばれる。{{mvar|S}} がモノイドならばその剰余半群は {{mvar|S}} の単位元の属する合同類を単位元とするモノイドを成す。逆に、任意の半群準同型の[[核 (代数学)|核]]は半群合同を与える。これらの結果は、[[普遍代数学]]における[[第一同型定理]]の特別な場合にほかならない。
 
 
 
半群の任意のイデアル ''I'' は、
 
: <math>x\,\rho\, y \iff  x = y \text{ or } x, y \in I</math>
 
で定まる半群合同 {{mvar|&rho;}} に関する{{仮リンク|リース剰余半群|en|Rees factor semigroup}}として部分半群を誘導する。
 
 
 
{{seealso|正規部分群|剰余群|環のイデアル|剰余環}}
 
 
 
== 半群の構造 ==
 
''S'' の任意の部分集合 ''A'' に対し、''A'' を含むような ''S'' の最小の部分半群 ''T'' が存在する。この ''T'' を ''A'' が'''[[生成]]する''' {{lang|en|(''generate'')}} 部分半群という。''S'' の一つの元 ''x'' が(つまり単元集合 {''x''} が)生成する部分半群(の台集合) { ''x''<sup>''n''</sup> | ''n'' は正の整数} が有限集合であるとき、''x'' は有限な位数を持つ、あるいは'''位数有限''' {{lang|en|(''finite order'')}} であるといい、そうでないとき無限位数を持つあるいは'''位数無限''' {{lang|en|(''infinite order'')}} であるという。
 
半群が'''周期的''' {{lang|en|(''periodic'')}} あるいは'''ねじれ半群''' {{lang|en|(''torsion semigroup'')}} であるとは、その任意の元が位数有限であるときに言う。また、ただ一つの元から生成される半群は[[単項生成半群|単項生成]]または[[巡回半群]]であるという。巡回半群が位数無限ならばそれは正の整数全体が加法に関して成す半群に同型であり、位数有限かつ空でないならば少なくとも一つは[[冪等元]]を含まねばならない。したがって、任意の空でない周期的半群は少なくともひとつの冪等元を含む。
 
 
 
半群の部分半群は、それ自身が群を成すならば'''[[部分群]]'''と呼ばれる。半群の部分群と半群の冪等元の間には近しい関係が存在する。半群の各部分群はちょうど一つの冪等元を含み、それはつまり部分群の単位元である。逆に、半群の各冪等元 ''e'' に対し、''e'' を含む極大部分群が唯一つ存在する。半群の各極大部分群は必ずこのやり方で得ることができ、したがって半群の極大部分群と冪等元との間に[[全単射|一対一対応]]がとれる。ここでの、[[極大部分群]]は群論における標準的な語法とは異なる。
 
 
 
位数有限の場合にはさらにいろいろなことが言える。例えば、任意の空でない有限半群は、周期的で、極小イデアルを持ち、少なくとも一つの冪等元を持つ。さらなる有限半群の構造についての議論は{{仮リンク|Krohn-Rhodes理論|en|Krohn-Rhodes theory}}の項を参照せよ。
 
 
 
== 半群のクラス ==
 
<!--{{Main|Special classes of semigroups}}-->
 
 
 
* [[モノイド]]は単位的半群である。
 
* 部分半群は半群の[[部分集合]]であって、もとの半群の演算について閉じているようなものである。部分半群が[[群 (数学)|群]]を成すならば、それをもとの半群の[[部分群]]と呼ぶ。
 
* [[帯 (代数学)|帯]]はその演算が[[冪等]]であるような半群である。
 
* [[消約半群]]は左消約律「''ab'' = ''ac'' ならば ''b'' = ''c''」かつ右消約律「''ba'' = ''ca'' ならば ''b'' = ''c''」を満たす半群である<ref>{{harv|Clifford|Preston|1967|p=3}}</ref>。
 
* [[半束]]はその演算が冪等かつ可換な半群である。
 
* [[0-単純]]半群
 
* [[変換半群]]は何らかの集合上の変換からなる、写像の合成を積とする半群である。任意の有限半群 ''S'' は高々 |''S''| + 1 個の状態をもつ(状態)集合 ''Q'' 上の変換半群として表現することができる。''S'' の各元 ''x'' は ''Q'' をそれ自身に写す写像 ''x'': ''Q'' &rarr; ''Q'' であり、列 ''xy'' は ''Q'' の各元 ''q'' に対して ''q''(''xy'') = (''qx'')''y'' と定義される。変換の列を作る操作は明らかに結合的演算で、ここでは[[写像の合成]]と等価である。この表現は任意の[[オートマトン]]あるいは[[有限状態機械]] (FSM) に対する基本である。
 
* {{仮リンク|双巡回半群|en|bicyclic semigroup}}(実はモノイド)は、二つの生成元 ''p'', ''q'' が生成する[[自由半群]]を基本関係式 ''pq'' = 1 で割ったものとして得られる。
 
* [[C0-半群|''C''<sub>0</sub>-半群]]は[[発展方程式]]の[[解]]の時間発展を表す半群である。これは[[解析学]]における半群の代表例である。
 
* [[正則半群]]は各元 ''x'' が少なくとも一つの一般化逆元 ''y''(''xyx''=''x'' かつ ''yxy''=''y'' を満たす元)を持つ半群である。このとき元 ''x'' および ''y'' は「互いに逆である」{{lang|en|("mutually inverse")}} ということもある。
 
* [[逆半群]]は任意の原がちょうど一つの一般化逆元をもつような正則半群である。あるいは、正則半群が逆半群となるために必要十分な条件として、任意の二つの冪等元が互いに可換となることが挙げられる。
 
* '''アフィン半群'''は '''Z'''<sup>''d''</sup> の有限生成部分半群に同型な半群である。アフィン半群は[[可換環論]]に応用を持つ。
 
 
 
== 分数群 ==
 
半群 ''S'' の'''分数群'''あるいは'''商の群''' {{lang|en|(''group of fractions'')}} ''G'' = ''G''(''S'') とは、''S'' の元全体で生成され、''S'' において成立する ''xy'' = ''z'' の形の等式すべてを基本関係とするような群である<ref>B. Farb, ''Problems on mapping class groups and related topics'' (Amer. Math. Soc., 2006) page 357. ISBN 0821838385</ref>。商の群は ''S'' から群への射に対する普遍性を示す<ref>M. Auslander and D.A. Buchsbaum, ''Groups, rings, modules'' (Harper&Row, 1974) page 50.  ISBN 006040387X</ref>。
 
 
 
明らかに ''S'' の各元を ''G''(''S'') の中の対応する生成元に写す写像が存在する。重要な問題として、この写像が埋め込みとなるような半群の特徴づけの問題がある。必ずしも埋め込みとならないことの例として、''S'' をある集合 ''X'' の部分集合が[[共通部分 (数学)|交わり]]を演算として成す半群がある(実は[[半束]]を成す)。これは、''S'' の任意の元が ''AA'' = ''A'' を満たすから ''G''(''S'') の生成元もすべてそうでなければならず、したがって ''G''(''S'') は[[自明群]]となっている。問題の写像 ''S'' &rarr; ''G''(''S'') が埋め込みとなるためには ''S'' が[[簡約法則|消約律]]を満たすことが必要となるのは明らかである。''S'' が可換ならばそれは十分条件にもなり<ref>{{harv|Clifford|Preston|1961|p=34}}</ref>、かつ半群の[[グロタンディーク群]]が分数群の構成を与える。非可換半群に対するこの問題は半群について本格的にあつかった最初の論文 {{harv|Suschkewitsch|1928}} で追求されている<ref>{{cite web|url=http://www.gap-system.org/~history/Extras/Preston_semigroups.html|title=Personal reminiscences of the early history of semigroups|author=[[Gordon Preston|G. B. Preston]]|year=1990|accessdate=2009-05-12}}</ref>。{{仮リンク|アナトリー・マルチェフ (数学者)|label=アナトリー・マルチェフ|en|Anatoly Maltsev}}は1937年に埋め込み可能性についての必要条件を与えている<ref>{{cite journal | last=Maltsev | first=A. | authorlink=Anatoly Maltsev | journal=Math. Annalen | volume=113 | year=1937 | pages=686–691}}</ref>。
 
 
 
{{seealso|商体|環の局所化}}
 
== 偏微分方程式の半群法 ==
 
{{Further|[[C0半群]]}}
 
 
 
半群論は、[[偏微分方程式]]論においてもある種の問題の研究のために用いられる。大雑把にいえば、半群を使った手法というのは偏微分方程式をある種の函数空間上の[[常微分方程式]]とみなすことである。例えば、次のような空間的な[[区間 (数学)|区間]] (0, 1) &sub; '''R''' と時間 ''t'' &ge; 0 上の[[熱方程式]]の初期値/境界値問題
 
 
 
:<math>\begin{cases}
 
\partial_{t} u(t, x) = \partial_{x}^{2} u(t, x), & (x \in (0, 1), t > 0); \\
 
  u(t, x) = 0, & (x \in \{ 0, 1 \}, t > 0); \\
 
  u(t, x) = u_{0} (x), & (x \in (0, 1), t = 0)
 
\end{cases}</math>
 
 
 
を考える。''X'' を[[Lp空間| ''L''<sup>2</sup>((0, 1); '''R''')]] とし、''A'' を
 
 
 
:<math>D(A) = \{ u \in H^{2}((0, 1); \mathbf{R}) \mid u(0) = u(1) = 0 \}</math>
 
 
 
を[[定義域]]とする二階微分作用素とすれば、先ほどの初期値/境界値問題は空間 ''X'' 上の常微分方程式の初期値問題
 
 
 
:<math>\begin{cases} \dot{u}(t) = A u (t); \\ u(0) = u_{0} \end{cases}</math>
 
 
 
として解釈することができる。発見的方法のレベルでいえば、この問題の解は ''u''(''t'') = exp(''tA'')''u''<sub>0</sub> という形をしている「はず」である。しかし厳密に言えば ''tA'' の[[指数函数|冪]]とは何であるかということに意味を与えなければならない。''t'' の函数としては、exp(''tA'') は ''X'' から ''X'' への作用素からなる半群であり、時刻 ''t'' = ''t''<sub>0</sub> において初期状態 ''u''<sub>0</sub> をとり、任意の時刻 ''t'' において状態 ''u''(''t'') = exp(''tA'')''u''<sub>0</sub> をとるものである。このとき、作用素 ''A'' はこの半群の[[無限小生成作用素]]と呼ばれる。
 
 
 
== 歴史 ==
 
半群の研究は、[[群 (数学)|群]]や[[環 (数学)|環]]といったより複雑な公理から決まるほかの代数的構造からすると、随分と若い。いくつかの文献<ref>[http://jeff560.tripod.com/s.html Earliest Known Uses of Some of the Words of Mathematics]</ref><ref name=Hollings>[http://uk.geocities.com/cdhollings/suschkewitsch3.pdf An account of Suschkewitsch's paper by Christopher Hollings]</ref>によれば、半群に対応する用語が用いられた最初はフランス語で、1904年に J.-A. de Séguier の著した ''Élements de la Théorie des Groupes Abstraits''(『抽象群原論』)においてである。<!-- 英語で用いられた最初は1908年、ハロルド・ヒントンの ''Theory of Groups of Finite Order''(有限位数の群論)である。[日本語での初出用例を挙げるべきなのだろうが調べてもいないし知らん] -->
 
 
 
[[Anton Suschkewitsch]]は半群についてのそれなりに意味のある結果を得た最初の人で、1928年の論文 ''Über die endlichen Gruppen ohne das Gesetz der eindeutigen Umkehrbarkeit''(『一意可逆性の条件を外した有限群について』)で有限[[単純半群]]の構造を決定し、有限半群の極小イデアル(あるいは[[グリーンの関係式]]の ''J''-系列)が単純であることを示した<ref name=Hollings/>。そういったことからすれば、有限群論の基礎付けが行われるのは随分と後になってからのことで、[[デヴィット・リース (数学者)|デヴィット・リース]]、[[ジェイムス・アレクサンダー・グリーン]]、[[Evgenii Sergeevich Lyapin]]、[[アルフレッド・クリフォード]]および[[ゴードン・プレストン]]らによる。最後の二者は半群論に関する二巻のモノグラフを1961年と1967年にそれぞれ出版している。1970年には『[[半群フォーラム]]』という定期刊行雑誌(現在は[[シュプリンガー・フェアラーク]]が編集)が発行され、半群論全般を扱う数少ない数学雑誌の一つとなっている。
 
 
 
近年の在野の研究ではより分化が進んでおり、([[逆半群]]のような)半群の重要なクラスに焦点を当てたモノグラフや、[[代数的オートマトン理論]](特に有限オートマトン)や[[函数解析学]]における応用などに焦点を当てたものなども現れている。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
=== 全般 ===
 
*{{citation|title=The algebraic theory of semigroups|volume=volume 1|first1=A. H.|last1=Clifford|authorlink1= Alfred H. Clifford |first2=G. B.|last2=Preston|authorlink2=Gordon Preston|publisher=American Mathematical Society|year=1961|edition=2nd UK|isbn=978-0-8218-0271-7}}.
 
*{{citation|title=The algebraic theory of semigroups|volume=volume 2|first1=A. H.|last1=Clifford|authorlink1= Alfred H. Clifford |first2=G. B.|last2=Preston|authorlink2=Gordon Preston|publisher=American Mathematical Society|year=1967|isbn=978-0-8218-0272-4}}.
 
*{{citation|title=Semigroups: an introduction to the structure theory|first=Pierre Antoine|last=Grillet|publisher=Marcel Dekker, Inc.|year=1995|isbn=978-0-471-25243-6}}
 
*{{citation|last= Howie|first= John M.|authorlink=John Mackintosh Howie|title=Fundamentals of Semigroup Theory|year=1995|publisher=[[オックスフォード大学出版局|Clarendon Press]]|isbn=978-0-19-851194-6}}.
 
*{{cite book|和書|author=田村孝行|title=半群論|series=復刊|publisher=共立出版|date=2001-05|isbn=978-4-320-01676-7}}
 
 
 
=== 各論 ===
 
<!-- there's not enough here about connections with automata to use these as references.
 
*{{citation|last=Eilenberg|first=Samuel|authorlink=Samuel Eilenberg|title=Automata, Languages, and Machines (Vol.A)|publisher=[[Academic Press]]|year= 1973|isbn=0-12-234001-9}}
 
*{{citation|last=Eilenberg|first=Samuel|authorlink=Samuel Eilenberg|title=Automata, Languages, and Machines (Vol.B)|publisher=Academic Press|year= 1976|isbn=0-12-234002-7}}
 
-->
 
*{{Citation | last1=Feller | first1=William | author1-link=William Feller | title=An introduction to probability theory and its applications. Vol. II. | publisher=[[John Wiley & Sons]] | location=New York | series=Second edition | id={{MathSciNet | id = 0270403}} | year=1971}}.
 
*{{Citation | last1=Hille | first1=Einar | authorlink1=Einar Hille | last2=Phillips | first2=Ralph S. | authorlink2=Ralph Phillips (mathematician) | title=Functional analysis and semi-groups | publisher=[[American Mathematical Society]] | location=Providence, R.I. | id={{MathSciNet | id = 0423094}} | year=1974}}.
 
*{{Citation | last1=Kantorovitz | first1=Shmuel | title=Topics in Operator Semigroups.| publisher=Birkhauser | location=Boston, MA |series=Progress in Mathematics Volume 281 |year=2010 |isbn=978-0-8176-4931-9}}.
 
*{{Citation | last1=Suschkewitsch | first1=Anton | title=Über die endlichen Gruppen ohne das Gesetz der eindeutigen Umkehrbarkeit | doi=10.1007/BF01459084 | id={{MathSciNet | id = 1512437}} | year=1928 | journal=[[Mathematische Annalen]] | issn=0025-5831 | volume=99 | issue=1 | pages=30–50}}.
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Div col}}
 
*[[吸収元]]
 
*[[空半群]]
 
*{{仮リンク|弱逆元|en|Weak inverse}}
 
*[[単位元]]
 
*{{仮リンク|ライトの結合性判定法|en|Light's associativity test}}
 
*{{仮リンク|両順序集合|en|Biordered set}}
 
{{Div col end}}
 
 
 
== 外部リンク ==
 
*{{Kotobank|半群|2=ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典}}
 
*{{MathWorld|title=Semigroup|urlname=Semigroup}}
 
 
{{DEFAULTSORT:はんくん}}
 
{{DEFAULTSORT:はんくん}}
 
[[Category:関数解析学]]
 
[[Category:関数解析学]]

2019/4/28/ (日) 19:09時点における最新版

半群(はんぐん、: semigroup

結合法則をみたす二項演算のある代数系. 演算として積を考えるときの偶数の集合がその例.



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