古典ラテン語

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古典ラテン語(こてんラテンご)とは、紀元前1世紀頃から紀元2世紀頃までの古代ローマ共和政ローマローマ帝国)で実際に使われていたラテン語古典期ラテン語とも言う。のちの中世、また現代において人々が学ぶラテン語とは、通常この古典ラテン語のことをいう。

概要

古典期においては、scriptio continua(スクリプティオー・コンティーヌア、続け書き)といって、分かち書きにする習慣がなかった(碑文などでは、小さな中黒のようなもので単語を区切った例もある)。また、大文字のみを用いた。

古典期のアルファベットは下記の23文字である。キケロの時代までの古ラテン語では X までの21文字だったが、紀元の初めにギリシア語起源の外来語を表記するために YZ[1] の2文字が使われるようになった。

A, B, C, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, O, P, Q, R, S, T, V, X, Y, Z (23文字)

古典ラテン語では C および G はそれぞれ常に [k] および [g] であり、現代のロマンス諸語とは違って [s] や [tʃ], [ʒ], [dʒ] などのように発音されることはなかった。 Y を含めた六つの母音字は長短両方を表したが、ごく一時期を除き表記上の区別はされなかった。

古典ラテン語のアクセントは、現代ロマンス諸語に見られるような強勢アクセントだけではなく、古典ギリシア語から伝えられたと思われる、現代日本語のようなピッチアクセント高低アクセント)もあった。文法面では、古ラテン語依格(処格、地格)は一部の地名などを除いて消滅し、呼格を含めれば六つのが使用された。また以前の時代の語尾 -os や -om は、古典期には -us, -um となった。

この時代の話し言葉俗ラテン語)では、文末の -s は後ろに母音が続かない限り発音されない場合があった。また au は日常では ō と読まれた。このように古典期には、話し言葉と古風な特徴を残した書き言葉の乖離が起きていた。現在古典ラテン語と呼ばれるものはこの時期の書き言葉である。

当時の代表的な作家としては、ユリウス・カエサルキケロウェルギリウスオウィディウスホラティウスなどがいる。黄金期、白銀期として扱われている。

脚注

  1. ラテン語に不要な/z/の音を表す古ラテン語初期のZの使用は断絶していたが、古典ラテン語の時期に使用が復活した。

関連項目