「東京方言」の版間の差分

提供: miniwiki
移動先:案内検索
(1版 をインポートしました)
(内容を「{{テンプレート:20180815sk}} __NOINDEX__」で置換)
(タグ: Replaced)
 
1行目: 1行目:
'''東京方言'''または'''東京弁'''、'''東京語'''とは、[[東京]]で話される[[日本語の方言]]である。定義は諸説あるが、主なものは次の通り。
+
{{テンプレート:20180815sk}} __NOINDEX__
# 古くからの「[[東京]]」の範囲(「[[東京市街の変遷]]」も参照)に存在する方言の総称。
 
# 「[[東京都]]」に存在する方言の総称。1に加えて、[[多摩弁]]、[[八丈方言]]、[[小笠原方言]]、[[北部伊豆諸島方言]]など。
 
# 現代の東京で主流になっている[[新方言]]。[[首都圏方言]](「新東京方言」などとも)。
 
# 以上をすべて包括した概念。
 
 
 
本記事では上記「1」について記述する。
 
 
 
----
 
[[ファイル:Karte Tokia MKL1888.png|thumb|right|200px|明治中期の東京市街の範囲]]
 
'''東京方言'''(とうきょうほうげん)とは、[[江戸]]・[[東京]]で用いられてきた[[日本語の方言]]である[[山の手言葉]]と[[江戸言葉]]が含まれる<ref>リイド社『べらんめぇ大江戸講座』[[緒方鏡]]著、[[武光誠]]監修</ref>。
 
 
 
[[共通語]]・[[標準語]]の大部分は東京山の手の中流階層の言葉を基に構築されたという説や、共通語・標準語と東京方言が同義に捉えられることもあるが、東京方言特有の発音や表現も少なくない。アクセントに関しても、標準アクセントの規範となる山の手と、下町あるいは多摩とで異なる場合がある。
 
 
 
== 概要 ==
 
東京方言の前身である江戸方言は、[[徳川家康]]入城後の江戸の発展に伴って成立した方言である。土着の[[西関東方言]]を基盤としているが、「江戸は諸国の入り込み」の諺どおり、日本各地から人々が集まったことから、様々な方言の影響を受けている。とりわけ文法面では、当時の中央語であった[[近畿方言|上方方言]](主に[[京言葉|京都方言]])や[[徳川氏]]ゆかりの[[三河弁|三河方言]]など[[西日本方言]]の要素が多く混合した。また世界有数の人口を誇る巨大都市であったことから、町人や武家など階層別に様々な言葉遣いの違いが生まれた。こうした経緯から、東京方言は周辺の関東方言から孤立した[[言語島]]となっている。
 
 
 
江戸方言は、上方から取り入れた敬語の体系を発達させるなど洗練を深め、江戸時代後期には京都方言に代わる中央語としての地位を固めていった。特に[[明治維新]]以降、日本の首都が京都から東京に遷ったことで、東京方言は首都の言葉として「[[標準語]]」と位置づけられ、文芸活動を担う口語文体([[言文一致]]も参照)の基盤となり、第二次世界大戦後は近代国家を支える共通語として整備されていった。一方で、近世都市「江戸」から近代都市「東京」に変貌するなかで、階層ごとの言葉遣いの違いが衰退し、また京都や[[薩長土肥]]を始めとする他地方からの大量の人口流入によって、東京方言自体が大きく変質させられることとなった。
 
 
 
== 発音 ==
 
東京方言に特徴的な音声現象には次のようなものがある。
 
* 母音よりも子音が強く発音され、無声子音にはさまれた、または無声子音に続く狭母音({{ipa|u}}, {{ipa|i}})が無声化する傾向がある。とりわけ語尾の[[母音弱化]]が顕著である。この特徴は共通語や首都圏方言にも継承されている。(例)ネクタイです {{ipa|nekutai desu}} は通常、 〔nektai des〕 のように聞こえる。
 
* 伝統的な東京方言では語中・語末のガ行音は[[鼻濁音]]で発音される。共通語にも継承されていたが、衰退しつつある。
 
 
 
次の特徴は、東京方言のなかでも江戸言葉に強く現れる。
 
* {{ipa|ai}} (アイ)と {{ipa|oi}} (オイ)が 「エー」になる。(例)甘い→あめえ、あるまい→あるめえ、遅い→おせえ、行きたい→行きてえ
 
* 強調の接頭語や複合語を中心に、促音が多用される。(例)おっぱじめる、ぶっぱなす、川っぷち、落っこちる、乗っける
 
* 「じゅ」が「じ」、「しゅ」が「し」に転訛する。(例)準備→じんび、[[美術]]→びじつ、[[新宿]]→しんじく、趣向←→嗜好
 
* 「ひ」と「し」の発音が混同される。特に「ひ」から「し」になる傾向が強く、その逆はしばしば過剰矯正の結果である。
 
:(例)[[潮干狩り]]→ひおしがり、人→しと、[[必然]]→しつぜん、[[広島県|広島]]→しろしま、必要←→執拗、羊←→執事、熾烈←→卑劣
 
== アクセント ==
 
山の手・江戸言葉ともに[[東京式アクセント]]の体系であるが、一部の語彙ではアクセントの異なるものがある。以下はその主な例である。
 
 
 
左が山の手、右が江戸言葉のもの
 
* 坂<ref name=A>[[玉川大学出版部]]『金田一春彦著作集 第9巻』「移りつく東京アクセント」</ref>(さ'''{{下げ核|か}}''' 尾高型)←→('''{{下げ核|さ}}'''か 頭高型)
 
* 次<ref name=A/>(つ'''{{下げ核|ぎ}}''' 尾高型)←→('''{{下げ核|つ}}'''ぎ 頭高型)
 
* 鮨<ref name=A/>(す'''{{下げ核|し}}''' 尾高型)←→('''{{下げ核|す}}'''し 頭高型)
 
* 露<ref name=A/>(つ'''{{下げ核|ゆ}}''' 尾高型)←→('''{{下げ核|つ}}'''ゆ 頭高型)
 
* 砂<ref name=A/>(す'''{{高線|な}}''' 平板型)←→(す'''{{下げ核|な}}''' 尾高型)
 
* 皺<ref name=A/>(し'''{{高線|わ}}''' 平板型)←→(し'''{{下げ核|わ}}''' 尾高型)
 
* 卵<ref name=A/>(た'''{{下げ核|ま}}'''ご 中高型)←→(た'''{{高線|まご}}''' 平板型)
 
* 刀<ref name=A/>(か'''{{高線|た}}{{下げ核|な}}''' 尾高型)←→(か'''{{下げ核|た}}'''な 中高型)
 
* 頭<ref name=A/>(あ'''{{高線|た}}{{下げ核|ま}}''' 尾高型)←→(あ'''{{下げ核|た}}'''ま 中高型)
 
* 鋏<ref name=A/>(は'''{{高線|さ}}{{下げ核|み}}''' 尾高型)←→(は'''{{下げ核|さ}}'''み 中高型)
 
* 心<ref name=A/>(こ'''{{高線|こ}}{{下げ核|ろ}}''' 尾高型)←→(こ'''{{下げ核|こ}}'''ろ 中高型)
 
* 国<ref name=B>玉川大学出版部『金田一春彦著作集 第9巻』「東京語アクセントの再検討」</ref>(く'''{{下げ核|に}}''' 尾高型)←→(く'''{{高線|に}}''' 平板型)
 
* 虹<ref name=B/>(に'''{{下げ核|じ}}''' 尾高型)←→(に'''{{高線|じ}}''' 平板型)
 
* 坂東<ref>国立国語研究所『東京方言および各地方言の調査』</ref>('''{{下げ核|ば}}'''んどう 頭高型)←→(ば'''{{高線|んどう}}''' 平板型)
 
* 朝日<ref>江端義夫著「最新ひと目でわかる全国方言一覧辞典」</ref>('''{{下げ核|あ}}'''さひ 頭高型)←→(あ'''{{下げ核|さ}}'''ひ 中高型)
 
* 兄貴{{要出典|date=2012年11月}}('''{{下げ核|あ}}'''にき 頭高型)←→(あ'''{{下げ核|に}}'''き 中高型)
 
* 何時も{{要出典|date=2012年11月}}('''{{下げ核|い}}'''つも 頭高型)←→(い'''{{下げ核|つ}}'''も 中高型)
 
* 話{{要出典|date=2012年11月}} (は'''{{高線|なし}}''' 平板型)←→(は'''{{下げ核|な}}'''し 中高型)
 
 
 
また、戦前においては[[足立区]]・[[江戸川区]]・[[葛飾区]]で埼玉・千葉両県と接する外縁部に[[埼玉弁#アクセント|埼玉東部特殊アクセント]]が分布していた<ref>玉川大学出版部『金田一春彦著作集 第9巻』「埼玉県下に分布する特殊アクセントの考察」</ref>。
 
 
 
== 表現 ==
 
* 伝統的な[[関東方言]]、[[東北方言]]では意思・同意・推量の語尾は「べ(え)」であり、「行くべ」や「これだべ」「これだんべ」「これだっぺ」などと言うが、東京方言では「行こう」や「これだろ(う)」と言う。「う・よう」の使用が広まる以前は江戸でも「べ(え)」を多用し、当時上方の人間から「関東べい」と呼ばれていた。
 
* 方向を示す格助詞は関西方言などと共通する「へ」であり、東北方言に多い「さ」とは異なる。
 
* 「怖い」「ふすま」「うろこ」「じゅうやく(ドクダミ)」「つゆ(梅雨)」「塩辛い」「つらら」「けむり」「しあさって」など、語彙の面でも関西方言から輸入されたとみられるものが複数ある<ref>飯豊毅一・日野資純・佐藤亮一編『講座方言学1 ―方言概説―』[[国書刊行会]]、1998年、166頁。</ref>。
 
* 謙譲語「おる」、丁寧な否定形「ません」、「ごきげんよう」や「お寒うございます」のような形容詞ウ音便など、敬語表現は京都方言の影響が強く残っている。
 
* 尊敬の助動詞「れる、られる」の使用頻度が、東京都区部では他地域にくらべて低い<ref>{{Cite 敬語指針2007}}51頁。</ref>。
 
* 否定の助動詞は「ない」または「ねえ」が一般的であるが、近世には西日本的な「ぬ」または「ん」も多用され、その名残りとして格言や慣用句では現在も「ぬ」または「ん」が使われる。
 
* 「してしまう」が「しちまう」「しちゃう」になる。どちらも明治になって東京近郊の方言から取り入れられたとされる。
 
* 間投助詞として「ね」「さ」「よ」を多用する。(例)あのさ、こんなこと言っちゃあなんだけどさ。
 
* 明治以降、「わ」「こと」「てよ」など独自の[[女性語]]が発達した(てよだわ言葉)。
 
* 近年、東京周辺の方言が[[若者言葉]]として東京で広まることが増えている。例えば甲州街道・東海道経由で中部地方(静岡・山梨・三河方面)から伝わり、長年多摩でも使われてきた「〜じゃん・じゃんか(〜じゃないか)」、北関東方面から伝わった「ちがかった(違った)」「〜よか(用言に接続して:〜するしか、体言に接続して:〜よりも)」、東北方面から伝わった「〜みたく(〜みたいに)」「〜した時ある(〜したことある)」など。
 
 
 
== 現状 ==
 
地域の曖昧化、[[関東大震災]]や[[東京大空襲]]による旧来住民の減少、地方出身者の大量流入(特に戦後[[高度経済成長]]期)などにより、東京における言語事情はかなり変質してきている。江戸言葉はもちろん、明治時代の標準語成立に大きな影響を与えた山の手言葉も消滅寸前まで追い詰められているのが現状である。
 
 
 
現在の東京では、[[学校教育]]による共通語の普及により、共通語を基盤に関東各地の方言が混合して新しく形成された[[首都圏方言]]が主流になっている。
 
 
 
==出典==
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* 飛田良文 (1992)『東京語成立史の研究』([[東京堂出版]])
 
 
 
{{日本語の方言}}
 
{{DEFAULTSORT:とうきようほうけん}}
 
[[Category:東京都の文化]]
 
[[Category:関東方言]]
 

2019/6/18/ (火) 09:28時点における最新版



楽天市場検索: