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(内容を「 '''水'''(みず) 化学的には酸素と水素の化合物で,無色,無臭,無味の液体。天然には海水,湖水,河川水,井水,温泉…」で置換)
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{{Otheruses}}
 
[[ファイル:Water droplet blue bg05.jpg|thumb|250px|水面から跳ね返っていく水滴]]
 
[[ファイル:LightningVolt Deep Blue Sea.jpg|thumb|250px|海水]]
 
'''水'''(みず)とは、化学式 '''H{{sub|2}}O''' で表される、[[水素]]と[[酸素]]の化合物である<ref name="kojien_5">広辞苑 第五版 p. 2551 【水】</ref>。特に[[湯]]と対比して用いられ<ref name="kojien_5" />、温度が低く、かつ[[凝固]]して[[氷]]にはなっていないものをいう。また、[[液体|液状のもの]]全般を指す<ref name="kojien_5" /><ref group="注">エンジンの「冷却水」など水以外の物質が多く含まれているものも水と呼ばれる場合がある。日本語以外でも、しばしば液体全般を指している。例えば、[[フランス語]]では[[:fr:eau de vie|eau de vie]](オー・ドゥ・ヴィ=命の水)が[[ブランデー]]類を指すなど、eau(水)はしばしば液体全般を指している。そうした用法は、様々な言語でかなり一般的である。</ref>。
 
  
この項目では、H{{sub|2}}O の意味での水を中心としながら、幅広い意味の水について解説する。
+
'''水'''(みず)
 
 
== 概説 ==
 
水は人類にとって最もありふれた[[液体]]であり、基本的な[[物質]]である。また、人が[[生命]]を維持するには必要不可欠であり、さまざまな[[産業]]活動にも不可欠の物質である。
 
 
 
古代ギリシャでは[[タレス]]が「万物の[[アルケー]]は水」とし、[[エンペドクレス]]は[[四大元素]]のひとつで基本的な[[元素]]として水を挙げた。古代インドでも[[五大]]のひとつとされ、中国の[[五行説]]でも基本要素のひとつと見なされている。18世紀の後半まで、洋の東西を問わず人々はそうした理解をしていた。それが変わったのは、わずか200年ほど前のことであり、[[19世紀]]前半に、ドルトン、ゲイリュサック、フンボルトらの実験が行われ、アボガドロによって分子説が唱えられたことによって、H{{sub|2}}Oで表すことができる水素と酸素の[[化合物]]と理解されるようになった。(→[[#水の知識の歴史概略]])
 
 
 
常温常圧では[[液体]]で、[[透明]]ではあるが、ごくわずかに青緑色を呈している(ただし、[[重水]]は無色である)。また無味無臭である。日常生活で人が用いるコップ1杯や風呂桶程度の量の水にはほとんど色がないので、水の色は「[[無色]][[透明]]」と形容される。詩的な表現では、何かの色に染まっていないことの[[象徴]]として水が用いられることがある<ref group="注">ただし、これは[[メタファー]]であって、物理学的な言葉の使い方とは異なる。</ref>。しかし、[[海]]、[[湖]]、[[ダム]]、大きな[[川]]など、厚い層を成して存在する大量の水の[[色]]は[[青色]]に見える。このような状態で見える水の色を、日本語ではそのまま[[水色]]と呼んでいる。(→[[水の青|水の色]])
 
 
 
化学が発展してからは[[化学式]] '''H{{sub|2}}O''' で表され、「水素原子と酸素原子は共有結合で結びついている」と理解されている。(→[[#化学的性質]])
 
 
 
また水は、かつて1[[キログラム|kg]]や1[[カロリー|cal]]の[[単位]]の基準として用いられた。(→[[#物理的性質]])
 
 
 
すべての既知の[[生命体]]にとって、水は不可欠な物質である。生物体を構成する物質で、最も多くを占めるのが水である。[[細胞核|核]]や[[細胞質]]で最も多い物質でもあり、細胞内の物質[[代謝]]の媒体としても利用されている。通常、質量にして生物体の70〜80%が水によって占められている。[[人体]]も60〜70%程度が水である。(→[[#生物と水]])
 
 
 
[[地球]]表面、特に[[海洋]]に豊富に存在する。水は人類にとって身近であって、[[生物]]の生存に必要な物質であるが、宇宙全体では[[液体]]の状態で存在している量は少ない。(→[[#水の分布]])
 
 
 
現代の人類の水の使用量の約7割が[[農業用水]]である。現代の東京の家庭での水の使用量を多い順に並べると、[[トイレ]]、[[風呂]]、[[炊事]]である。(→[[#水の使用量]])
 
 
 
下記では、水に関する人類の知識の歴史概略を解説し、続いて現代物理学での水の理解などを解説する。  
 
 
 
== 呼称 ==
 
日常的な[[日本語]]では、同じ[[液体]]の水でも温度によって名称を変えて呼び分ける。低温や常温では'''水'''と呼ぶが、温度が高くなると'''湯'''(ゆ)といい<ref group="注">特に温度の高いものは'''熱湯'''(ねっとう)という(理・工学的な分野では'''熱水'''(ねっすい)という語も用いられる)技術用語では高い温度の湯に相当するものも水と呼ぶ(例:冷却水)。アイヌ語では、低温の水のことをワッカ、高温の水(湯)のことをウセイという。</ref>、別の漢字を宛てる。しかし、[[英語]] (water) や[[フランス語]] (eau) などでは、液体であれば温度によらず名称は不変である<ref group="注">英語では、温度が高い場合でも名詞 (water) は変わらず、形容詞を付加する (hot water)。</ref>。
 
 
 
日本語では、(湯などから立ち上った)水蒸気が凝結して空気中に細かな粒として存在する水は、[[水蒸気|湯気]]という。
 
 
 
用途、性質、存在する場所などによる呼び分けも行われている。例えば、水の中でも、特に飲用に供するものを[[飲料水]]という。[[海]]にある塩分などを多く含む水は[[海水]]、地下に存在する水は[[地下水]]と呼び、地下水を汲みボトルに詰めたものを[[ミネラルウォーター]]と呼ぶ。また、用途によって、[[農業用水]]、[[工業用水]]などの呼称もある。機能と[[水質]]に基づく、[[上水]]、[[下水]]という呼称もある。
 
 
 
=== 自然科学での呼び分け ===
 
水の概念を自然科学的に拡張して、化学式で H{{sub|2}}O と表現できるものをすべて広義の「水」とすれば、[[固体]]は[[氷]]、液体は'''水'''、[[気体]]は[[水蒸気]]、ということになる。
 
 
 
[[IUPAC命名法|IUPAC系統名]]は'''オキシダン''' (oxidane) であるがほとんど用いられない。また、'''一酸化二水素'''、'''酸化水素'''、'''水酸'''、'''水酸化水素'''といった呼び方をすることも可能である。(→[[水素化物]])
 
 
 
[[不純物]]をほとんど含まない水を「[[純水]]」と呼ぶ(たとえば、加熱してできた水蒸気を[[凝結]]した[[蒸留水]]など)。特に純度の高いものは「[[超純水]]」という呼称もある。
 
 
 
水の化学式 H{{sub|2}}O の[[水素]]が二つとも[[同位体]]の[[重水素]]である水を[[重水]]と呼び、化学式 D{{sub|2}}O で表す。水素の一つが重水素であり、もう一つが軽水素である水は、半重水と呼び、DHO で表す。水素の一つが[[三重水素]](トリチウム)である水は、[[トリチウム水]](または三重水素水)と呼び、HTO で表す。重水・半重水とトリチウム水を併せ、さらに酸素の同位体と水素の化合物である水も含めて、単に重水と呼ぶこともある。この広義の重水に対して、普通の水は、[[軽水]]と呼ばれる。
 
 
 
軽水と重水は[[電子状態]]が同じなので、化学的性質は等しい。しかし、質量が2倍、3倍となる水素の同位体の化合物である水では、結合や[[解離 (化学)|解離]]反応の速度などの[[物性]]に顕著な差が表れる。(→[[速度論的同位体効果]])
 
 
 
=== 気象用語 ===
 
[[気象]]に関する用語では、水の粒の大きさによって、[[霧]]や[[靄]](もや)と呼ぶ(これらを総称した一般用語として[[霞]]もある)。それらが上空にある状態では、[[雲]]と呼ぶ。雲から[[凝縮]]して大きめの水滴となって地上に落ちてくる水は[[雨]]と呼ぶ。上空で水蒸気が凝固して結晶となった氷は[[雪]]と呼ばれ、一体の結晶になっていない粒は、大きさによって[[霰]](あられ)や[[雹]](ひょう)と呼ぶ。それらが水と混合した状態になっていれば、[[霙]](みぞれ)と呼ばれる。
 
 
 
== 水の知識の歴史概略==
 
=== 古代から18世紀まで ===
 
[[古代ギリシア]]の哲学者、一般に最初の哲学者とされる、[[紀元前6世紀]]ころの人物[[ミレトス]]の[[タレス]]は、万物の根源[[アルケー]]を探求する中で「アルケーは水である」と述べたと伝えられている<ref name="h_pedia_knowledge">平凡社『世界大百科事典』第27巻、pp.&nbsp;342–343【水】>【水の科学】</ref><ref group="注">これを伝えているのは、[[アリストテレス]]の書などである。</ref>。
 
 
 
同じく[[古代ギリシア]]の[[エンペドクレス]]は、'''水'''、'''空気'''、'''土'''、'''火'''を4つのリゾーマタ([[元素]])とし、それの集合や離散によって自然界のできごとを説明する、いわゆる'''[[四元素説]]'''を唱えた<ref name="h_pedia_knowledge" />。これは[[アリストテレス]]に継承された。
 
 
 
[[古代インド]]でも、地、水、火、風 およびこれに空を加えた'''[[五大]]'''の思想が唱えられていた<ref name="h_pedia_knowledge" />。また中国においても、万物は'''木'''・'''火'''・'''土'''・'''金'''・'''水'''の5種類の元素から成るとする'''[[五行思想|五行説]]'''が唱えられた。
 
 
 
つまり、洋の東西を問わず、水は、基本的な4~5種の[[元素]]のひとつだと考えられていたのであり、こうした水の理解は、2,000年以上にわたって人々の間で一般的であった。18世紀後半の時点でも、ごく一般的であった。
 
 
 
こうした理解に変化が生じはじめたのは18世紀末のことであり<ref name="h_pedia_knowledge" />、人類の歴史の中に位置づけると、ごく最近のことである。18世紀末に、[[ヘンリー・キャヴェンディッシュ|キャベンディッシュ]]が、金属と酸とが反応を起こすときに、軽い謎の気体(現在では[[水素]]と呼ばれているもの)が発生し、それは簡単に燃えて水になることを発見した<ref name="h_pedia_knowledge" />。また、[[アントワーヌ・ラヴォアジエ|ラボアジエ]]が、この燃焼で化合する相手が空気中の酸素であることを確かめた<ref name="h_pedia_knowledge" />。これによって、(実は)水は元素ではない、という考え方が登場した。ただし、ラボアジエの実験があっても、人々の考え方がすぐに変わったわけではなく、人々は以前どおり四元素の考え方をしていた、学者らもおおむね四元素の考え方をそれまでどおり用いていた、と科学史家らから指摘されている。18世紀までの文献に現れる「aqua」、「water」、「水」などは、基本元素としての水だと理解するのが適切である。
 
 
 
=== 19世紀 ===
 
その後[[19世紀]]初頭、イギリスの[[ジョン・ドルトン|ドルトン]]が実験の結果、水素と酸素が重量比で1:7で化合するとし(後に正しくは1:8と判明)、1805年には[[ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサック|ゲイ・リュサック]]や[[アレクサンダー・フォン・フンボルト|フンボルト]]などがそれぞれ、体積比で2:1で化合することを見出した<ref name="h_pedia_knowledge" />。さらに1811年に、[[アメデオ・アヴォガドロ|アボガドロ]]が[[分子説]]を唱え、その枠組みの中で水の分子がH{{sub|2}}Oと定められた。このころ(19世紀の初頭)に西欧の学者たちの水の理解が変わったと科学史家らによって指摘されており、同世紀を通して一般の人々の理解も変化していったと考えてよい<ref group="注">「共通に支持されている理論体系と矛盾する断片的な発見がいくつあっても人々の考え方の体系(理論体系)は基本的に変化せず、それが変わるのは、あくまで別の理論体系が現れた時だけである」とする考え方は、[[20世紀]]の科学哲学者[[トーマス・クーン|クーン]]が[[パラダイムシフト]]という用語を用いて提唱した。</ref>。
 
 
 
分子説の成立とともにあったという点などで、水は近代[[化学]]の発展のきっかけを作ったものである<ref name="h_pedia_knowledge" />。この時期は、おおむねphilosophia([[哲学]])を母胎としてscientia([[科学]])が生まれつつあった時期と一致している。こうした新しい独特の哲学を行う人の数が徐々に増え、彼らが自分たちのことを他の哲学者から区別するためにscientist([[科学者]])という用語が[[ウィリアム・ヒューウェル|ヒューウェル]]によって[[1833年]]に造語され その使用が提唱された。
 
 
 
=== 水と氷の近代以降の主要な研究の年譜 ===
 
<div class="NavFrame" style="border: none; text-align: left; font-size: 100%">
 
<div class="NavHead" style="background: transparent; text-align: left; font-weight: normal">''年譜を読むには右の[表示]をクリック''
 
</div>
 
<div class="NavContent">
 
* [[17世紀]]初頭 ベルギーの[[ヤン・ファン・ヘルモント|ファン・ヘルモント]]は植物成長に関する実験により、水を元素と結論づけた。あらかじめ重量を測定した鉢植えに水だけを与え、4年後に重量を測定すると重量が増加していた。すなわち水元素が木元素に変換したことになる。ヘルモントは[[気体|ガス]]という用語を作り出している。ビールの発酵、石炭の燃焼、炭酸塩から発生するガスが全て同じものであり、命名もしていたが、彼自身の実験と彼のガスの関係には気づいていなかった。
 
* [[1765年]] イギリスの[[ヘンリー・キャヴェンディッシュ|キャベンディッシュ]]、水を材料に熱の研究を行ない、蒸発熱や潜熱を測定している。
 
* [[1766年]] キャベンディッシュ、「人工空気の実験を含む三論文」を発表。第一論文で「可燃性空気」すなわち水素の発見を発表。ただし、水素の燃焼物が何であるかを理解していなかった。
 
* [[1781年]] 酸素の発見者の一人イギリスの[[ジョゼフ・プリーストリー|プリーストリー]]は水素の燃焼物が水であることを見いだし、キャベンディッシュに確認を求める。
 
* [[1784年]] キャベンディッシュが「空気に関する諸実験」を発表。水の組成を確認する実験について記述されている。実験には2年を要した。水素と酸素を電気火花によって反応させると大量の反応熱を出すため、生成物にどうしても窒素の酸化物である硝酸が混入してしまうためであった。彼の論文では水素と酸素を可燃性空気と脱[[フロギストン]]空気としているものの、水素2容積と酸素1容積から水が生成することを確認している。フロギストンによらない説明を最初に与えたのは酸素という名を命名した[[アントワーヌ・ラヴォアジエ|ラボアジェ]]であった。
 
* [[1785年]] ラボアジェが赤熱した鉄管に水を通すと水素が発生することを示し、水素、酸素こそが元素であって、水は化合物であることを最終的に確認した。
 
* [[1791年]] イタリアの[[アレッサンドロ・ボルタ|ボルタ]]が酸素と水素が一定の比率で化合する性質を利用し、逆にこれらの気体の分量を測定するユージオメーターを開発した。
 
* [[1800年]] [[アレッサンドロ・ボルタ|ボルタ]]、化学反応による電流の発生に成功。「ボルタの電堆」と呼ばれる(電池)。
 
* [[1801年]] イギリスの[[ウィリアム・ニコルソン (化学者)|ウィリアム・ニコルソン]]、「ボルタの電堆」を用いて、初めて水を[[電気分解]]した。[[陰極]]に水素が2容積、[[陽極]]に酸素が1容積発生することを示した。
 
* [[1920年]] この頃までに[[水素結合]]の概念が提唱される。
 
* [[1933年]] [[ジョン・デスモンド・バナール|バナール]]が、水の[[X線構造解析]]を行う。
 
* [[1935年]] [[ライナス・ポーリング|ポーリング]]、氷の残余[[エントロピー]]の理論。
 
* [[1936年]] [[中谷宇吉郎]]、雪の[[結晶]]を人工的に世界で初めて作成する。
 
* [[1958年]] [[アイゲン]]、水中の[[水素イオン|プロトン]]移動に関するモデルを提唱する。
 
* [[1971年]] [[ラーマン]]<!-- Aneesur Rahman -->により、水の[[分子動力学法]]によるシミュレーションが行われる。
 
* [[1971年]] [[ペイジ]]が、水の[[中性子]]による構造解析を行う。
 
* [[1994年]] [[三島修]]が、2 つの[[アモルファス]]氷の間(低密度⇔高密度)の一次相転移を発見。
 
* [[2005年]] R. J. D. Miller らにより、水にレーザーパルス照射で生じさせた構造変化は 50 フェムト秒以内に失われることが報告された<ref>{{
 
cite journal | journal = Nature | issn = 0028-0836 | volume = 434 | issue = 7030 | title = Ultrafast memory loss and energy redistribution in the hydrogen bond network of liquid H2O | first1 = M. L. | last1 = Cowan | first2 = B. D. | last2 = Bruner | first3 = N. | last3 = Huse | first4 = J. R. | last4 = Dwyer | first5 = B. | last5 = Chugh | first6 = E. T. J. | last6 = Nibbering | first7 = T. | last7 = Elsaesser | first8 = R. J. D. | last8 = Miller | url = http://dx.doi.org/10.1038/nature03383 | date = 10 Mar 2005 | month = Mar | pages = 199–202 | doi = 10.1038/nature03383 | ref = harv
 
}}</ref>。
 
</div>
 
</div>
 
 
 
== 物理的性質 ==
 
=== Vienna標準平均海水 ===
 
水の物理的性質は、その構成要素である[[水素]]と[[酸素]]の[[同位体]]の構成割合によって顕著に異なる。したがって、[[同位体]]の構成割合が厳密に定められた水についての測定が必要であり、これによって得られた測定結果でなければ、現代の科学においては意味がない。
 
 
 
例えば、「水の[[三重点]]」は温度の定義である[[ケルビン]]の記述に用いられる重要な定義定点であるが、この「水」は、下記により、厳密に定義された水である。
 
 
 
厳密な測定に用いられる国際的標準物質となっている水は、「Vienna標準平均海水([[:en:VSMOW]])」<ref group="注">「ウィーン標準平均海洋水」とも訳される。</ref>である。VSMOWは同位体比が次のように規定されている<ref>『[[#理科年表2016|理科年表(平成28年)]]』、p. 411 脚注2</ref>。なお、「海水」(Ocean Water) の文字が使われているが、[[純水]]であることに注意。
 
 
 
* <sup>2</sup>H/<sup>1</sup>H = 155.76 ± 0.1 ppm、
 
* <sup>3</sup>H/<sup>1</sup>H = (1.85 ± 0.36)×10<sup>−11</sup> ppm、
 
* <sup>18</sup>O/[[酸素16|<sup>16</sup>O]] = 2005.20 ± 0.43 ppm、
 
* <sup>17</sup>O/<sup>16</sup>O = 379.9 ± 1.6 ppm
 
 
 
以下の物理的性質は、このVSMOWについてのものである<ref>『[[#理科年表2016|理科年表(平成28年)]]』、p. 364 温度の欄および脚注1</ref><ref>{{Cite web |url=http://www1.lsbu.ac.uk/water/water_properties.html |title=List of physicochemical data concerning water |work=Water Structure and Science |publisher=London South Bank University |language=英語 |accessdate=2015-06-21 |qupte=脚注 a The Vienna Standard Mean Ocean Water (VSMOW) is pure '''salt-free''' water used as a standard water material for determining the physical properties of water and the Kelvin and Celsius temperature scales (using the triple point of water, 0.01{{℃}}, 273.16 K). It is made by mixing purified ocean waters. It contains 99.984426 atom % 1H, 0.015574 atom % 2H (D), 1.85 x 10-15 atom % 3H (T; equivalent to about one disintegration min-1 mol-1 water), 99.76206 atom % 16O, 0.03790 atom % 17O and 0.20004 atom % 18O</ref>。
 
 
 
[[ファイル:Phase_diagram_of_water.svg|thumb|200px|'''水の三態''' 273.16 K、610.6 Paでは三態が共存する。この温度を水の三重点と呼ぶ]]
 
{{Chembox
 
|  Name = 水 (H{{sub|2}}O)
 
|  ImageFileL1 = Water-2D-labelled.png
 
|  ImageSizeL1 = 120px
 
|  ImageNameL1 = The water molecule has this basic geometric structure
 
|  ImageFileR1 = Water molecule 3D.svg
 
|  ImageSizeR1 = 100px
 
|  ImageNameR1 = Space filling model of a water molecule
 
|  IUPACName = 水、オキシダン(系統名)
 
|  OtherNames = 酸化水素<br />水酸化水素<br /><!--アンモニアをアミノ酸というに等しい。ヒドロキシ基のあるカルボン酸を指す名でもあって、紛らわしい。ヒドロキシ酸<br />-->一酸化二水素<br />[[軽水]]<br/>[[DHMO]]
 
| Section1 = {{Chembox Identifiers
 
|  CASNo = 7732-18-5
 
|  PubChem = 962
 
|  KEGG = C00001
 
|  JGlobalID = 200907026730798651
 
|  日化辞番号 = J43.587B
 
|  ChEBI = 15377
 
|  RTECS = ZC0110000
 
}}
 
| Section2 = {{Chembox Properties
 
|  Formula = H{{sub|2}}O, HOH or OH{{sub|2}}<ref>[http://www.acdlabs.com/iupac/nomenclature/93/r93_185.htm Table 2 Mononuclear hydrides] 2018-04-12</ref>
 
|  MolarMass = 18.01528(33) g/mol
 
|  Appearance = 常温でわずかに青緑色を呈す透明の液体(ただし重水は無色)
 
|  Density = 999.974 95 kg{{JIS2004フォント|·}}m{{sup|−3}}, 液体 (3.984 {{℃}})<br /> 916.72 kg{{JIS2004フォント|·}}m{{sup|−3}}, 固体 (0 {{℃}})
 
|  MeltingPt = 0.002 519 {{℃}}, (273.152 519 [[ケルビン|K]])<ref name="VSMOW">[[ITS-90]]による[[Vienna標準平均海水]][[:en:Vienna Standard Mean Ocean Water]] ([[:en:VSMOW]])のもの</ref>
 
|  BoilingPt = 約99.9743 {{℃}},(373.1243 K)<ref name="VSMOW"/>
 
|  pKa = 15.74<br />p''K''{{sub|a2}}~35–36
 
|  pKb = 15.74
 
|  Viscosity = 0.001 Pa{{JIS2004フォント|·}}s at 20 {{℃}}
 
}}
 
| Section3 = {{Chembox Structure
 
|  MolShape = 曲線状
 
|  CrystalStruct = 六方晶系
 
|  Dipole = 1.85 D
 
}}
 
| Section4 = {{Chembox Thermochemistry
 
|  DeltaHf = –285.830 kJ mol{{sup|−1}}(l)<br />–241.818 kJ mol{{sup|−1}}(g)
 
|  DeltaHc =
 
|  Entropy = 69.91 J mol{{sup|−1}}K{{sup|−1}}(l)<br />188.825 J mol{{sup|−1}}K{{sup|−1}}(g)
 
|  HeatCapacity = 75.291 J mol{{sup|−1}}K{{sup|−1}}(l)<br />33.577 J mol{{sup|−1}}K{{sup|−1}}(g)
 
}}
 
| Section7 = {{Chembox Hazards
 
|  MainHazards = [[水中毒]], [[水死]]
 
|  NFPA-H = 0
 
|  NFPA-F = 0
 
|  NFPA-R = 0
 
}}
 
| Section8 = {{Chembox Related
 
|  Function = [[溶媒]]
 
|  OtherFunctn = [[アセトン]]<br />[[メタノール]]
 
|  OtherCpds = [[水蒸気]]<br />[[氷]]<br />[[重水]]
 
}}
 
}}
 
 
 
=== 同位体の割合 ===
 
天然の水には、約 0.031 146% の[[重水]]が含まれている<ref>{{Cite web |url=http://www1.lsbu.ac.uk/water/water_properties.html |title=List of physicochemical data concerning water |language=英語 |accessdate=2015-06-21 }} Molar isotopic compositionの欄、HD<sup>16</sup>OとHD<sup>17</sup>OとHD<sup>18</sup>OとD<sub>2</sub><sup>16</sup>Oの割合の合計 }}</ref>。その大部分である 0.031 069% が HDO(正確には HD<sup>16</sup>O)分子である。
 
 
 
=== 水の色 ===
 
[[水の青|水の色]]は一般に無色透明といわれることが多いが、実際には水分子の[[赤外吸収]]スペクトルが可視領域に裾野を引き、赤色光をわずかに吸収するので、ごくわずかな青緑色を呈する。海などの厚い層を成す水および巨大な氷が青いのはこれによる。ただし、重水(D<sub>2</sub>O)は無色である([[水の青#重水の色]])<ref>{{Cite web |url=http://www1.lsbu.ac.uk/water/water_properties.html |title=List of physicochemical data concerning water |language=英語 |accessdate=2015-06-21 }} Colorの欄</ref>。
 
 
 
=== 融点 ===
 
[[融点]]は 273.152 519 K、すなわち 0.002 519{{℃}} である<ref group="注">[[温度#国際温度目盛(ITS-90)|国際温度目盛]](ITS-90)による、Vienna標準平均海水([[:en:VSMOW]])についてのものである。</ref><ref>{{Cite web |url=http://www1.lsbu.ac.uk/water/water_properties.html#c1 |title=List of physicochemical data concerning water |language=英語 |accessdate=2015-06-13 |quote=Water Structure and Science、Melting point, 101.325 kPaの欄および脚注c2による。「c2  The melting point of water (cold --> hot) used to be defined as 0{{℃}} (32°F) under standard atmospheric pressure (101.325 kPa), but we now use the International Temperature Scale (ITS-90). 0{{℃}} is now defined as 273.15 K but does not exactly equal the melting point of water, 273.152519 K.」}}
 
</ref>。しかし、[[過冷却]]状態になる環境下では、99.9743{{℃}} 以下の[[水蒸気]]も、0.002 519{{℃}} 以下の水も存在する。
 
 
 
=== 沸点 ===
 
[[標準気圧]](101 325 [[Pa]])での[[沸点]]は、約99.9743[[セルシウス度|{{℃}}]]<ref group="注">[[温度#国際温度目盛(ITS-90)|国際温度目盛]](ITS-90)による、Vienna標準平均海水([[:en:VSMOW]])についてのものである。</ref>{{refnest|group="注"|理科年表では、約99.974{{℃}}としている<ref>『[[#理科年表2016|理科年表(平成28年)]]』、p. 397 注</ref>。}}<ref>{{Cite web |url=http://www1.lsbu.ac.uk/water/water_properties.html#c1 |title=List of physicochemical data concerning water |language=英語 |accessdate=2015-06-13 |quote=Water Structure and Science、Boiling point, 101.325 kPaのH2Oの欄および脚注c1による。「c1  The boiling point of water used to be defined as 100{{℃}} (212 °F) under standard atmospheric pressure (101.325 kPa), but we now use the International Temperature Scale (ITS-90) where the boiling point is about 99.9743{{℃}} for VSMOW a . The boiling point and critical point on the thermodynamic temperature scale have been estimated at 99.9839{{℃}} and 647.113 K respectively [469].」 }}熱力学温度における沸点は、99.9839{{℃}}と見積もられている。なお、熱力学温度 (T) と国際温度目盛り (ITS-90) (T<sub>90</sub>) との差の見積もりについては、[http://www.bipm.org/utils/en/pdf/Estimates_Differences_T-T90_2010.pdf Estimates of the Differences between Thermodynamic Temperature and the ITS-90] Table 1 を参考にされたい。</ref>である。
 
 
 
=== 密度 ===
 
3.984{{℃}} のとき最大[[密度]] 999.974 95 kg{{JIS2004フォント|·}}m{{sup|−3}}である<ref>[http://www1.lsbu.ac.uk/water/water_properties.html Water Structure and Science] Density maximum and molecular volume at the temperature of maximum density の欄</ref>。[[氷]]は液体の水よりも密度が小さく([[異常液体]])、0 °C かつ標準気圧(101.325 kPa)において、[[氷]]の密度は916.72 kg{{JIS2004フォント|·}}m{{sup|−3}} である<ref>[http://www1.lsbu.ac.uk/water/water_properties.html Water Structure and Science] Density of ice at melting point の欄</ref>。したがって、固体である氷は液体の水に浮き、氷に[[圧力]]をかけると融ける。これは多くの他の[[分子]]とは異なる水の特性であり、氷の結晶構造が水[[分子]]間での[[水素結合]]によってかさ高いことによる。氷が融解して水になると、その体積は約11分の1減少する。詳細については[[氷]]の項も参照。
 
 
 
=== 亜臨界水・超臨界水 ===
 
{{出典の明記|section=1|date=2016年5月5日 (木) 13:29 (UTC)}}
 
水の臨界点は圧力22.12MPa、温度374.15{{℃}} (647.30K) である。水は臨界点まで蒸気圧曲線に従い、ある温度である圧力以上をかけると液体の状態を保つ。この状態の水(下限は大気圧、100{{℃}})を亜臨界水という。さらに、臨界点以上の圧力・温度条件の水を[[超臨界水]]という。亜臨界水では[[イオン積]]が常温常圧の水より高く、オキソニウムイオンおよび[[水酸化物イオン]]の濃度が高くなる。一方、超臨界水では[[イオン積]]が常温常圧の水より低くなる。また、超臨界水は[[比誘電率]]が低くトルエンと同程度までになるため、常温常圧水と異なり、油との混合が可能となる。亜臨界水および超臨界水はそれぞれが持つ性質を利用した技術の研究が行われている。
 
 
 
=== 過冷却水 ===
 
{{出典の明記|section=1|date=2016年5月5日 (木) 13:29 (UTC)}}
 
[[凝固点]](1気圧では{{Val|0|u = degC}})以下でも凍っていない、[[過冷却]]状態の液体の水のこと。不安定であり、[[振動]]などの物理的ショックにより[[結晶化]]を開始して[[氷]]に[[転移]]する。過冷却水の入っている容器にビー玉などを落とすと、物体が底に着く前に着水点から凍結が広がり、全体がシャーベット状に凍りつく。特別な実験装置などは必要なく、家庭の冷凍庫でも実験可能。ペットボトル等の容器に水(不純物のないものが望ましい)を入れ、{{Val|-5| - |-10|u = degC}}ほどの温度を維持して冷却する。急激に冷やさず時間をかけること、振動を与えずに水全体が均一に冷やされる状況を作り出す(保冷剤やタオル等で包むなど)ことが成功のカギ。
 
 
 
=== アモルファス氷 ===
 
通常の氷は[[結晶]]であるが、液体からの急冷、結晶氷を加圧、あるいは気相からの[[蒸着]]などの方法により、非結晶の氷が生成される。密度の違う2つの状態が存在し、それぞれ、高密度[[アモルファス]]氷、低密度アモルファス氷という<ref>O. Mishima, L. D. Calvert, and E. Whalley, Nature 310, 393 (1984).</ref>。
 
 
 
=== その他 ===
 
{{出典の明記|section=1|date=2016年5月5日 (木) 13:29 (UTC)}}
 
水は[[比熱容量]]が非常に大きい。
 
 
 
[[反磁性]]の性質を示す代表的な物質でもあり、強力な磁石を近づけると水が反発して逃れるように動く現象<ref>[http://www.nims.go.jp/publicity/digital/movie/mov1708090.html 磁石から逃げる果物 ! - ムービーライブラリ] - [[物質・材料研究機構]]による実験</ref>は、[[旧約聖書]]の逸話にちなみ「[[モーセ|モーゼ]]効果」と呼ばれている(俗称ではなく正式な学術用語)。
 
 
 
また、水分子の[[回転]]のエネルギー準位が[[マイクロ波]]のエネルギーに対応するので、水はマイクロ波を吸収しやすく、[[電子レンジ]]はそれを利用して加熱をしている。
 
 
 
液体の状態では 10{{sup|−7}} (mol/dm{{sup|3}}) (25{{℃}}) が[[電離]]し、[[水素#水素イオン|水素イオン]](正確には[[オキソニウムイオン]])と[[水酸化物イオン]]となっている。
 
 
 
一般的に水は電気絶縁性が低いといわれるが、これはイオンなどの不純物が含まれる場合の水の性質である。純粋な水は電気(電流)をほとんど通さない[[絶縁体]]である<ref group="注">[[自己解離]]によりわずかに電気を通す。6.40×10{{sup|−8}}Ω{{sup|−1}} cm{{sup|−1}} (25{{℃}})。</ref>。これを利用して、超純水の純度測定に電気伝導度を用いることがある。
 
 
 
== 化学的性質 ==
 
水は化学的には化学式 '''H{{sub|2}}O''' で表される、[[水素]]と[[酸素]]の化合物である。水分子の[[酸素]]原子と[[水素]]原子は[[共有結合]]で結びついており、<!--原子価結合法の考え方では-->その結合は水素原子と酸素原子から[[価電子]]を1つずつ供給されてできている。さらに酸素原子の最外殻には共有結合に使われていない[[孤立電子対]]が2つ存在する。水素と酸素の[[電気陰性度]]の違いから、O-H 結合においては酸素原子側が電気的に負、水素原子側が正となり、局所的に[[電気双極子]]を作っている。分子全体でも H-O-H 結合角が約104.45°と分子が曲がっていることから極性を持つ。以上の理由から水の比誘電率は 79.87 (20℃) と高い。このためイオン間の[[静電気力]]を弱め[[塩化ナトリウム]]などの[[イオン結晶]]の結合格子を破壊して溶解させる、すぐれた[[溶媒]]として働く。複数の水分子の間では水素原子と酸素原子の間に[[水素結合]]を作る。水に限らず、最外殻に孤立電子対を持つ窒素や酸素やフッ素などの原子やイオン、あるいは電気陰性度が高い原子に結合している水素原子は水分子と水素結合を作ることができる。したがって水は、[[糖]]など[[イオン]]性ではない分子に対する溶解性も示す。一方、[[シクロヘキサン]]などの炭化水素はイオン性でなく、水素結合も形成しないため、水には溶解せずに寄り集まって油滴を作る。このように水に溶けない[[疎水性]]の化合物同士が水の中で見かけ上親和性を示す現象を[[疎水効果]]と呼ぶ。
 
 
 
複数の水分子の間に水素結合が働くことで、[[クラスター (物質科学)|クラスター]]状の高次構造([[水クラスター]])が生じる。水の高次構造は寿命がピコ秒からフェムト秒オーダーと非常に短く、一度形成してもすぐ別の高次構造に移り変わる<!--[[水クラスター]]参照-->。
 
 
 
水分子は水素イオン (H{{sup|+}}) の供給源として[[酸]]としての性質を示す。水分子の酸素原子上に孤立電子対があることから、水は[[塩基]]、[[配位子]]としてもはたらく。水分子を配位子とする[[錯体]]は[[水和物]]、もしくはアクア錯体と呼ばれる。[[酸と塩基]]の定義のうち、アレニウスによる定義は水溶液中を前提にしたものである。
 
 
 
水は、[[使い捨てカイロ]]での鉄粉の酸化、[[6-ナイロン]]の合成など、[[化学反応]]の[[触媒]]としても用いられることがある。また、酸や塩基などを触媒として[[エステル]]や[[アミド]]などの[[加水分解]]や、[[アルケン]]への[[付加反応]]([[水和反応]])の基質となる。
 
 
 
生化学反応でも水は頻繁に現れる。[[光合成]]では水が4電子酸化を受けて[[酸素]]となる。
 
 
 
===液相における分子構造のモデル化===
 
液相の水の中では分子同士が[[水素結合]]により緩やかに結合していると考えられるが、その構造の詳細は知られていない。ケンブリッジ大学の教授が1930年代「連続体モデル」を提唱、氷の時と同じように4個の分子が正四面体を作って固まっており、それが若干のゆがみがあっても同じ構造が続く連続体であるという考え方である。
 
 
 
「ミクロ不均一モデル」は、つながった状態とつながりが切れた状態の2つが入り交じっているという考え方である。水が4{{℃}}で最も比重が大きくなる理由を説明するために、1892年に[[ヴィルヘルム・レントゲン]]によって提唱され、考えられた。
 
 
 
2008年、理化学研究所のチームが[[Spring-8|SPring-8]]を使った軟X線による発光分光実験で不均一モデルとの対応を示す2つのピークを観察した<ref>{{Cite web|url=http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/press/2008/20080612_2/20080612_2.pdf|title=「水に潜む氷の影-水の連続的な状態変化を唱えた常識を覆す」|accessdate=2016-08-28|publisher=理化学研究所}}"</ref><ref>"High resolution X-ray emission spectroscopy of liquid water: The observation of two structural motifs", Chemical Physics Letters 460 (4), 387–400 (2008).  http://dx.doi.org/10.1016/j.cplett.2008.04.077</ref>。この実験では、液体構造が連続体モデルで説明できる場合、観測されるピークは1つであるが、実験結果には2本のピークが現れた<ref>{{Cite news |url=http://www.nikkei.com/article/DGKDZO65521130Y4A110C1MZ9000/ |title=(ナゾ謎かがく)水分子はどうつながっている 100年前の「レントゲン説」脚光 |newspaper=[[日本経済新聞]] |date=2014-01-19 |accessdate=2014-01-26 }}(会員限定記事)</ref>。この後、X線小角散乱による実験結果などと合わせてから氷によく似た構造と水素結合に欠損のある構造の2種類の成分からなる秩序構造が水の中に存在しているという仮説が提唱されている<ref>{{Cite web |url=http://www.riken.jp/pr/press/2009/20090811/ |title=均一と考えられていた液体の水に不均一な微細構造を発見 |date=2009-08-11 |work=プレスリリース(研究成果)2009 |publisher=[[理化学研究所]] |accessdate=2014-01-26 }}</ref><ref>"Selective probing of the OH or OD stretch vibration in liquid water using resonant inelastic soft-x-ray scattering", Physical review letters 111 (19), 193001 (2013) http://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.111.193001</ref><ref>"The inhomogeneous structure of water at ambient conditions", Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol. 106 No. 36,  15214–15218 (2009). http://www.pnas.org/content/106/36/15214.short</ref><ref>{{Cite news |url=http://news.mynavi.jp/news/2013/11/13/229/ |title=東大、液体の水の水素結合は「ミクロ不均一モデル」であることを確認 |newspaper=マイナビニュース |date=2013-11-13 |accessdate=2014-01-26 }}</ref>。
 
 
 
== 標準としての水 ==
 
{{出典の明記|section=1|date=2016年5月5日 (木) 13:29 (UTC)}}
 
水は生活において大変手頃で重要な存在だったので、かつては単位の基準として重要な役割を果たしていた。日常生活においては高い精度は問題にされないので、(温度や純度をあまり気にせず)水1cm{{sup|3}}が1gとして便利に使われたり、「比重が1よりも大きい物質は水に沈み、1よりも小さい物質は水に浮く」と言われるなど、生活に密着した基準として水は依然として重要な存在である。
 
 
 
=== 温度の標準 ===
 
水の[[融点]]が0{{℃}}(精密には、0.002 519[[セルシウス度|{{℃}}]])、[[沸点]]が100{{℃}}(精密には、約99.9743[[セルシウス度|{{℃}}]])という切りのよい値であったのは、水の融点と沸点を基準として[[セルシウス度]]の目盛りを定義したからである。
 
 
 
現在では、水の[[三重点]]の[[熱力学温度]]の1/273.16 が K([[ケルビン]])と定められている。しかし、[[新しいSIの定義]]では、ケルビンは[[ボルツマン定数]]によって定義することが提案されている。
 
 
 
=== 質量 ===
 
1g([[グラム]])の元々の定義は4{{℃}}のときの1cm{{sup|3}}の水の[[質量]]であった。
 
しかし、水に[[質量]]の基準として高い精度を要求するとなると、必然的に高純度の水、高精度の[[体積]]、[[圧力]]、温度が要求されることになり、これらはいずれも技術的に困難である<ref group="注">特定の物質を出発点にして質量の基準を定めようとすると、純度、[[体積]](=寸法{{sup|3}})、[[圧力]]、[[温度]]、[[同位体]]の割合が関わってくるので、これらを同時に高精度に維持しつつ質量を決定することは、水に限らずどのような物質であろうが容易ではない。なお、ケイ素は不純物が非常に少ない単結晶を作りやすいので、次世代の質量の基準となる物質として候補にあげられているが、やはり体積、温度の精度も上げる必要があり、アボガドロ定数と組み合わせるなどの工夫も考えられている。</ref>。このため現在の質量の定義は1870年代に製作された[[国際キログラム原器]]を1キログラムとしている([[キログラム]]を参照)。現在では、水が最大密度となる3.984{{℃}}のときの1cm{{sup|3}}の水の質量は、0.999 974 95gである<ref group="注">質量は国際キログラム原器によって定義されたが、これから逆に物質の密度を高精度に求めようとすると、その物質の純度や、体積、圧力、温度、などの精度と[[同位体]]の割合が関わってくるので、質量の基準を求めるときと全く同じ理由によって、やはり容易ではない。</ref>。また、従来は密度 (g/cm{{sup|3}}) と[[比重]]が完全に一致していたが、この定義を境に一致しなくなった。
 
 
 
なお、[[新しいSIの定義]]では、[[キログラム]]は[[プランク定数]]によって定義することが提案されている。
 
 
 
=== 熱量 ===
 
1cal([[カロリー]])の元々の定義は、1gの水を1{{℃}}(1K の温度差)上げるのに必要な[[熱量]]であった。しかし、現在では、[[カロリー]]はJ([[ジュール]])によって定義されている(日本の[[計量法]]体系では、1 cal = (正確に)4.184 J である)。
 
 
 
== 水の分布 ==
 
{{右|
 
[[ファイル:The Earth seen from Apollo 17.jpg|thumb|180px|地球の表面の約71%は海水に覆われている。(→[[海]])]]
 
[[ファイル:Aletschgletscher.jpg|thumb|180px|淡水のほとんどは[[氷河]]、[[氷床]]、[[氷山]]として存在する]]
 
[[ファイル:Watercyclejapanese.jpg|thumb|180px|[[水循環]]のモデル図]]
 
}}
 
 
 
=== 地球上の水 ===
 
地球上には多くの水が存在しており、[[生物]]の生育や[[熱]]の[[循環]]に重要な役割を持っている。[[気象学]]や[[海洋学]]などの[[地球科学]]、[[生態学]]における大きな要因の一つである。水蒸気は最大の[[温室効果ガス]]でもある<ref>Kielh, J. T.; Trenberth, K. E. (1997). "{{PDFlink|[http://ams.allenpress.com/archive/1520-0477/78/2/pdf/i1520-0477-78-2-197.pdf Earth's annual global mean energy budget]}}." ''Bull. Am. Meteorol. Soc.'' '''78''': 197 - 298 によると、温室効果のうち60%が水蒸気に由来する。第2位が二酸化炭素 (26%) である。</ref>。
 
 
 
地球の水の総量は約14億 km<sup>3</sup>(= 1.4×10<sup>18</sup> m<sup>3</sup>)と言われ、その97%が[[海水]]として存在し、[[淡水]]は残り3%にすぎない。そのほとんどが[[氷河]]や[[氷山]]として存在している。氷の状態の淡水の大部分は南極大陸とグリーンランドが占めている<ref name="jemai">{{cite|和書 |editor=環境保全対策研究会 |title=二訂・水質汚濁対策の基礎知識 ||publisher=社団法人産業環境管理協会 |edition=8 |year= 2008 |isbn=4-914953-41-2}}</ref>。
 
 
 
{| class="wikitable"
 
|-
 
! 位置
 
| [[淡水湖]] || [[河川]]水 || [[地下水]]浅 || [[地下水]]深 || [[土壌]]水 || [[氷河]] || [[大気]] || [[塩水湖]] || [[海洋]]
 
|-
 
! 存在比 (%)
 
|| 0.009 || 0.0001 || 0.31 || 0.31 || 0.005 || 2.15 || 0.001 || 0.008 || 97.2
 
|}
 
 
 
このなかで、'''淡水湖'''・'''河川水'''・'''地下水浅'''が、人間が直接に利用可能な水で、総量の1%未満である。[[飲料水]]として利用できるものはさらに少ない。海水は天然および人工の全ての汚れを合わせ高濃度に汚染されているため、[[水資源|資源]]としての利用価値はほとんどない<ref name="jemai"/>。
 
 
 
地球における継続的な水の循環は'''[[水循環]]'''と呼ばれている。[[太陽]][[エネルギー]]を主因として、[[固相]]・[[液相]]・[[気相]]間で相互に状態を変化させながら、[[蒸発]]・[[降水]]・[[地表流]]・[[土壌]]への浸透などを経て、地球上を絶えず循環している。また、この循環の過程で地球表面の熱の移動や[[浸食]]・運搬・[[堆積]]などの[[地形]]を形成する作用が行われる。
 
 
 
=== 太陽系の水 ===
 
*[[太陽系]]の[[惑星]]および[[衛星]]の表面に存在する水のほとんどは[[氷]]または[[水蒸気]]であり、[[地球]]以外で液体の水が存在する場所は少ない。相図からわかるように、液体の水が存在できる温度範囲は高圧ほど広くなる。逆に、火星のように気圧の低い環境では、液体の水は安定に存在することはできない。
 
 
 
*[[火星]]の表面にはかつて液体の水があったことが判明している。
 
 
 
*[[木星]]の[[衛星]][[エウロパ (衛星)|エウロパ]]は、内部に液体の水からなる海があるのではないかと言われている。
 
 
 
=== 太陽系外の水 ===
 
[[太陽系外惑星]]には、大量の液体の水を保持している可能性のある惑星がいくつか見つかっている。例えば[[ケプラー22b]]や[[グリーゼ581d]]、[[HD 85512 b]]といった惑星は、[[地球]]と同じような環境で水の海を持つと推定されている。しかし、[[GJ 1214 b]]や[[かに座55番星e]]といった惑星は、地球とは異なり、高温高圧の[[超臨界流体|超臨界水]]の海を持つとされている。
 
 
 
[[2012年]]、[[ハッブル宇宙望遠鏡]]の観測により、[[GJ 1214 b]]が高温の水蒸気の大気を持つことが確認された。大気の下には超臨界水の海が存在する可能性がある<ref>{{Cite news |url=http://www.space.com/14634-alien-planet-steamy-waterworld-gj1214b.html |title=New Type of Alien Planet Is a Steamy 'Waterworld' |publisher=Space.com |work=Search for Life |language=英語 |date=2012-02-21 |accessdate=2016-05-05 }}</ref>。
 
 
 
[[2011年]]、[[クエーサー]][[APM 08279+5255]]の[[降着円盤]]に、地球の水の140兆倍という膨大な量の水が発見された。APM 08279+5255は、宇宙誕生から16億年後の時代に存在する天体であり、このことは、既にこの時代に大量の水が存在していた事を示している<ref>{{Cite web |url=http://www.nasa.gov/topics/universe/features/universe20110722.html |title=Astronomers Find Largest, Most Distant Reservoir of Water |publisher=[[アメリカ航空宇宙局|NASA]] |work=Mission News |language=英語 |date=2011-07-22 |accessdate=2012-05-19 }}</ref>。
 
 
 
== 生物と水 ==
 
{{右|
 
[[ファイル:African waterfall.jpg|thumb|200px|水は生命の維持に欠かせない]]
 
[[ファイル:Blue Linckia Starfish.JPG|thumb|200px|様々な生命が宿る[[サンゴ礁]]]]
 
[[ファイル:H2O.jpg|thumb|200px|right|極地の風景]]
 
}}
 
<!--すべての既知の[[生命体]]にとって、水は不可欠な物質である{{要検証|date=2011年4月|}}。-->
 
 
 
生物体を構成する物質で、最も多くを占めるのが水である。[[細胞核|核]]や[[細胞質]]で最も多い物質でもあり、細胞内の物質[[代謝]]の媒体としても使用されている。通常、質量にして生物体の70% - 80%が水によって占められており、そのうちわずか数%でも不足するとのどの渇きや熱中症など生命活動に不都合があらわれる。
 
 
 
生きている[[細胞]]には(理想的な[[溶媒]]である)水が多く含まれており、生命現象を司る[[化学反応]]の場を提供し、また水そのものが種々の化学反応の[[基質 (化学)|基質]]となっている。[[体液]]として、体内の物質輸送や分泌物、[[粘膜]]に用いられる。また高分子鎖と[[ゲル]]化することで体を支える構造体や[[レンズ]]にも利用されている。クマムシのように厳しい環境にも耐えられる生物は、体内の水分を放出し、不活性な状態をつくり出すことができる。
 
 
 
なお、「生物は太古の海で誕生した」とされることがある。生物の[[化学組成]]と[[海水]]の組成が似ていることもその説の根拠の一つである。地上の生物もその先祖をたどれば水中生活をおくっていた、とされる。
 
 
 
陸上のように、常に水につかっていない環境では、[[生物]]にとって最も重要な問題の一つが水の確保である。陸上の[[無脊椎動物]]では、周囲が湿っていなければ活動できないものも多い。[[陸上生物]]に見られる進化的形態の多くが水の確保や[[自由水]]のない環境への適応である。[[クマムシ]]の場合も、頻繁に乾燥にさらされる環境への適応として、休眠の能力が発達したと考えられている。
 
<!--
 
{{要出典範囲|
 
=== 水素結合による利点 ===
 
水分子間における[[水素結合]]を生物は様々な形で利用し、またその恩恵を受けている。
 
* 生体に不可欠な構成要素である[[蛋白質|タンパク質]]が必要な立体構造を作る際([[フォールディング]])に、各[[アミノ酸]]同士にはたらく水分子を仲立ちとした水素結合が重要な役割を演ずる。
 
* 生物環境という立場から見れば、水はその(水素結合に起因する)比熱が大きいことによって温度を安定させる緩衝の意味合いが大きく、恒常性の維持に貢献していると言える。
 
* 低温の[[固体]]が[[液体]]より上部にくることは、[[海]]や[[湖沼]]を完全凍結しにくくし、生物に生存のチャンスを与えている。液体である4℃の状態で最も密度が大きくなるという性質は水素結合の性質に起因している。
 
|date=2014年10月}}
 
-->
 
 
 
== 人間と水 ==
 
=== 人体と水 ===
 
[[人体]]における水分量は年齢・性別によって異なり、[[新生児]]で約80%、[[成人]]で60%前後、[[高齢者]]は50%台となる。また女性は男性に比べて体内の脂肪分が多い関係で水分量は同年代の男性に比べてやや少ない<ref name="example">{{Cite web |url=http://www.nissui.co.jp/academy/taste/14/index.html |publisher=ニッスイ |title=おいしさを科学する「水分」 |work=PR誌「GLOBAL」 ニッスイアカデミー |date=2008-10 |accessdate=2015-05-07 }}</ref>。そして「その人体の水のうち45%までが、[[細胞]]内に封じ込められた水{{要出典|date=2014年10月}}で、残り15%が[[血液]]・[[リンパ液]]など細胞の外にある水」と言われている{{誰|date=2014年10月}}。この[[細胞内液]]、[[細胞外液]]をあわせたものを[[体液]]と呼び、この体液が生命の維持、活動に重要な役割を果たす。
 
 
 
なおニッスイによると一日に排出される水の量は体重60kgの成人男性で2,500mLであり、内訳としては[[尿]]1,400mL、[[糞]]100mL、汗500mL、肺からの呼気500mLである。1日に必要な水の量は当然2,500mLで、一般に[[飲料水]]から1,200mL、[[食物]]1,000mL、代謝物300mLとして摂取される<ref name="example" />。
 
 
 
[[汗]]は非常に効率よく体温を下げる機能をもつ。水の[[蒸発潜熱]]が大きいのは水素結合が強いことに起因している。
 
 
 
;脱水症
 
体内の水分量が不足した状態を医学的には[[脱水 (医療)|脱水]]と呼ぶ。水分喪失量に対して水分摂取量が不足することによって起こる。水分摂取不足、あるいは水分喪失過剰、あるいは水分摂取不足と水分喪失過剰の同時進行によって起きる。具体的には、高温の環境、重作業、激しい[[スポーツ|運動]]、[[発熱]]、[[下痢]]、[[嘔吐]]などが原因となって起きる。
 
 
 
;水中毒
 
人体が過剰な水分を投与された場合、[[細胞外液]]の[[浸透圧]]が異常に下がり、[[低ナトリウム血症]]によって悪心、[[頭痛]]、間代性[[痙攣]]、[[意識障害]]等の症状を引き起こす。これを[[水中毒]]と言い、[[輸液]]ミス、心因性多飲、[[抗利尿ホルモン不適合分泌症候群|SIADH]]などの結果としてみられる。なお致死量は体重65kgの人で10 - 30リットル/日である。
 
{{Seealso|水中毒}}
 
 
 
<!--
 
(心不全の記述がここにあるのがいささか不自然。おまけに水中毒の記述の直後にタイトルも無いままに、この記述があると、見分けがつきにくくて、非常に混乱を招く。塩分量の方向性が水中毒のものと逆なのでややこしい。右の症状の原因は、本当に水の過剰とすべきなのか?それとも塩分の過剰摂取なのか?メインの項目に当たるはずの[[心不全]]の項に、これに相当する情報がなぜか記載されていない。そもそも記述内容は正しいのか? 仮に正しくても、これは[[塩]]の項目に書くべきなのでは?) {{要出典}} [[細胞]]外液の浸透圧が保たれていても、水分量が過剰な場合には[[心臓]]の負荷が大きくなり[[うっ血性心不全]]となる。原因は、[[塩化ナトリウム|塩分]]の過剰摂取であることが多い。-->
 
<!--(事件の具体例まで書くと、いかにもセンセーショナリズム的で、百科事典としては不適切) 水中毒の事例として、[[2007年]][[1月12日]]に[[アメリカ]]、[[カリフォルニア州]][[サクラメント (カリフォルニア州)|サクラメント]]の[[ラジオ局]]が主催した水飲み大会にて、7.6リットルの水をトイレに行かずに飲み干した28歳の女性が翌日に死亡し、[[検死]]の結果、[[水中毒]]であることが判った。また、これ以外にも[[マラソン]]後に水を大量に摂取し死亡した事例も報告されている。
 
-->
 
 
 
=== 人間の健康と水 ===
 
安全な水を飲めるかどうか、ということは人間の健康に大きな影響を及ぼしている。
 
汚物などに触れた不衛生な水を飲むと、[[コレラ]]・[[腸チフス]]・[[赤痢]]などで命を落とす人が出る。そしてこれらの病気は感染する。体力の弱い乳幼児は、不衛生な水と摂ると、しばしばひどい[[下痢]]を起こし[[脱水症状]]で死亡する。老人も免疫力が弱く、不衛生な水で命を落としやすい。また、不衛生な水は[[寄生虫]]の問題も引き起こす。
 
 
 
古代でも中世でも、人類のほとんどは水道無しで生きていたと考えてよい。都市で暮らすにしても上水道がなかったのである。
 
安全な水を飲む方法として古代から行われているひとつの方法は[[煮沸]](しゃふつ)してから口に入れるということである。
 
 
 
=== 水道 ===
 
[[ファイル:Pont du gard.jpg|right|thumb|250px|[[古代ローマ]]の水道橋である[[フランス]]の[[ポン・デュ・ガール]]。]]
 
 
 
[[ローマ帝国]](古代ローマ)は、土木技術に秀でており、ローマに水を引くべく[[水道]]を建設した。これのおかげでローマの住むローマ市民は公衆浴場を利用することができた。公共の水洗トイレもあった。石でできたベンチ状のものの下を水が流れており、ベンチには穴があいており、そこにこしかけて用をすれば、排泄物が流れてゆくのである。ローマのように水がふんだんにある都市生活は世界的に見て例外的であり、他に類をみない状態であった。<!--{{誰|date=2014年10月}}「{{要出典範囲|水道が建設された理由は、水の利用は都市生活の維持にとって重要なためだ|date=2014年10月}}」--> ローマ帝国の時代、ローマという都市に住む人たちは風呂に頻繁に入っていたわけだが、その後、彼ら(かつてのローマ帝国の中核的市民。今のローマ市民やイタリア人)は頻繁に風呂に入る習慣は失った<ref group="注">このあたりの経緯・事情はヤマザキ・マリなども調べており『[[テルマエ・ロマエ]]』に書いている</ref>。
 
 
 
都市では、都市で生活する者に安全な飲料水をいかにして届けるかということは、都市を治める者、政治を行うものにとって大きな問題である。
 
 
 
日本の[[江戸]]では、水不足の状態を改善するために、1652年に[[玉川上水]]の建設が計画され、翌1653年、まずは本線が建設された。難工事で幕府の用意した資金は底をついてしまい、玉川兄弟は自宅を売って建設を続行したという。承応3年(1654年)6月から、江戸市中への通水が開始された。玉川上水は江戸っ子の自慢となった。江戸の上水道は世界的に見て質が高かったと指摘されることは多い。
 
 
 
[[ファイル:Embrun - Fontaine -807.jpg|thumb|right|200px|ヨーロッパの小都市の広場などにある 「fonteフォンテ」 や「fontaineフォンテーヌ」(=「泉」)の一例]]
 
ヨーロッパではどんな状態だったかというと、ヨーロッパでは中世、各都市は外敵を防ぐべく壁をつくり(城塞都市)、[[自治]]が行われ、独立性が高く、小さな国のような様相を呈するものが多かった。ヨーロッパの都市では、街の広場などに、都市の近くの山などから水道で水を引き<ref group="注">ローマ人が実例を見せ、教えてくれた土木技術のおかげで、ヨーロッパ人にも一応それはできるようになっていた。フランスやドイツなど、つまり、かつてローマ帝国の市民からは「[[ガリア]]」と呼ばれ、辺境の地で、どうしようもない野蛮人たちが住む場所と見なされた土地にもローマ帝国の強大な軍事力を使った侵略・進出の結果、ローマ帝国の高度な土木技術が残されたのである。)</ref>、その水を出す fonte フォンテ (イタリア語、ポルトガル語。フランス語では fontaine フォンテーヌ、日本語では「泉」)を設置して、飲料水を市民に提供しているものが多かった。市民は桶を持って広場にやってきて、この「泉」で水を汲んで、水が入った重い桶を持って家まで運び、各家でそれを使うのである。つまり「水道」があるといってもそういう程度のことであったのであり、基本的に各家まで引かれていたわけではない。
 
 
 
ヨーロッパの水事情を理解するための一例として、フランスの首都の[[パリ]]の水事情について説明すると、パリの水事情はひどいものであった。16世紀・17世紀・18世紀と、パリ市民は安全な飲料水をたっぷりと確保できていたわけではない。基本的に、風呂に入る、などということは考えられない状態であった。やることと言えば、布に水や湯をふくませて、身体を拭くということだったり、せいぜいやるとしても、身体があまりに臭くなったら、[[桶]]や[[たらい]]([[金たらい]])を用意して、服を脱いでその中で立って、桶にくんだ水をチョロチョロと身体にかけて流し、数分後にはそそくさと身体を拭く、という程度のことであった。(日本人のように熱い風呂に全身をどっぷりと沈めて身体を温めるなどという発想はフランス人にはまったく無かった。)
 
汚水の扱いもひどいもので、パリに下水道が整備されていなかったものだから、市民は、汚物を家(アパルトマン)の前の街路に捨てていた。当時、パリの街路は道の端や真ん中に水が集まるようにしてあり、雨になるとそこを雨水が流れるのだが、そこに汚物が大量に流れ、街全体に悪臭が漂っていたのである。そんな状態が常態化すると、しまいには、建物の3階・4階などに住み、いちいち1階まで歩いて降りる手間を面倒に感じる者などでは桶に入った汚物を窓から直接放り投げるような不届き者すらもいた。パリの街を歩くには、足元の汚水にも気を付けなければならないし、同時に、頭上にも注意を払って汚物をかけられないように気を付ける必要すらあったのである。この状況が変わったのは19世紀のことで、オスマンが行った[[パリ改造]](オスマニザシオン)のおかげであり、オスマンは、パリ市民のために安全な水を豊富に確保するために、パリから100kmも離れた水源からパリに水を引くという決断(大英断)を行い、それが成功し、各家庭に十分に水を届けることが可能になり、その結果、当時、パリの各家庭で[[バスタブ]]を置き風呂に入るということがちょっとした流行になった。だが、今でもフランス人はあまり風呂に入らない。少なくとも日本人のように毎日風呂に入ったりするような習慣は全然無く、本当にたまにしか入らない<ref>{{Cite journal |url=http://www.seijo.ac.jp/pdf/faeco/kenkyu/196/196-oomori.pdf |author=大森弘喜 |title=19世紀パリの水まわり事情と衛生 |journal=成城大學經濟研究 |publisher=[[成城大学]] |issue=196 |pages=1-58 |date=2012-03 |format=PDF |naid=110009576266 |accessdate=2014-10-02 }}</ref>。<!--「水」の記事には不要では?コメントアウト。 なお、フランス人は、日本人のようには風呂に入らないかわりに、(風呂に入らない身体のひどい体臭をごまかすために)[[香水]]を用いるという文化が発達した。-->
 
 
 
途上国などでは現代でも水道が無い国が多い。毎日水をバケツ等で家まで運ぶ地域もある。さらに、水源が遠いため自力で長距離を歩かなければならず、その労働にあたる子供が通学さえままならない地域もある{{要出典|date=2016年5月5日 (木) 13:29 (UTC)}}。
 
 
 
産業利用を目的とした水利は、[[用水路]]と呼ばれる([[農業用水]]・[[工業用水]])。
 
[[ファイル:Wasserhahn.jpg|thumb|180px|現代の[[水道]]の[[蛇口]]]]
 
 
 
=== 水の使用量 ===
 
==== 世界の水の使用量 ====
 
世界の水の使用量は、1995年の段階で年間約35,700億m{{sup|3}}で、内訳としては、[[農業用水]]が約25,030億m{{sup|3}}/年で約7割を占め最大、[[工業用水]]が約7,150億m{{sup|3}}/年、生活用水が約3,540億m{{sup|3}}/年だった、とも推定されている。水使用量は1950年から1995年までで2.6倍になっているともされ、2025年には30億人以上が水の量と質の限界(水ストレス)に直面する、とも予想されている<ref>{{Cite journal |format=PDF |url=http://www.aric.or.jp/03_book/61_70/no67/topics/67.pdf |title=世界の水危機と第三回世界水フォーラム 2. 水危機の現実 (3) 世界の水利用 |page=p. 12 |author=進藤惣治 |journal=ARIC情報 |publisher=農業農村整備情報総合センター |issue=67 |date=2002-10 |accessdate=2008-03-09 |deadlink=2016-05-05 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110917020507/http://www.aric.or.jp/03_book/61_70/no67/topics/67.pdf |archivedate=2011-09-17 }}</ref>。[[仮想水]]という指標で水の使用量が計算されている。
 
 
 
==== 家庭での水の使用状況と用途 ====
 
[[家庭]]での水の使用量は、国ごとに著しく異なる。[[開発途上国|途上国]]の中には「一日一人あたり数リットル」という国がある。その一方で、先進国では「一日一人あたり数百リットル」という国が多く、途上国と先進国の間には大きな差がある。日本の家庭の使用量も他の先進諸国と同様、最も高い部類に属する<ref group="注">家庭での水の使用状況と用途についての関連資料。
 
 
 
* INAXニュースリリース[http://www.inax.co.jp/company/news/2006/060_eco_0331_48.html 『日本人は、一人一日に1,460リットルの水を輸入していることを知っていますか?「ヴァーチャルウォーター(仮想水)」という考え方』]<!--2008年3月9日 (日) 04:18 (UTC)-->
 
* 大阪ガス{{PDFlink|[http://www.osakagas.co.jp/cel/pdf/cel_83_16.pdf 「生活者ができる地球温暖化防止のために」]}}<!--2008年3月9日 (日) 02:42-->
 
* 三宅基文、沖大幹、虫明功臣 [http://hydro.iis.u-tokyo.ac.jp/Info/Press200207/Doc/MiyakeMizuFinal.doc 「日本を中心とした仮想水の輸出入」](第 6 回水資源に関するシンポジウム論文集, 2002)MS Word文書。<!--2008年3月9日 (日) 04:18 (UTC)-->
 
* [http://www.greenfacts.org/en/water-resources/figtableboxes/3.htm AQUASTAT, FAO 2005, 「Water availability information by country」]
 
</ref>。<!--2008年3月9日 (日) 04:18 (UTC)-->
 
 
 
日本での使用状況の一例として[[東京]]の家庭でのそれを挙げると、1日で1人あたり242Lの水を使っている(2005年現在、[[東京都水道局]]調べ)。家庭での水の使用量のうち、28%が[[便所|トイレ]]、24%が[[風呂]]、23%が[[炊事]]、17%が[[洗濯]]となっている(2002年、[[東京都水道局]]調べ)<ref>{{Cite web |url=http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/pp/syuukan/s02.htm |title=水を大切にする習慣 |work=PR情報 節水の習慣 |publisher=東京都水道局 |accessdate=2007-10-15 |deadlinkdate=2016-05-05 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20071029194442/http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/pp/syuukan/s02.htm |archivedate=2007-10-29 }}</ref>。
 
 
 
=== さまざまな水の利用法 ===
 
{{右|
 
[[ファイル:MH-60S Helicopter dumps water onto Fire.jpg|right|thumb|180px|水はもっとも基本的な[[消火剤]]でもある]]
 
[[ファイル:A girl in a swimming pool - underwater.jpg|thumb|180px|[[水泳|スイミング]]をする少女]]
 
}}
 
<!-- この小さな章全体が独自の研究 -->
 
{{出典の明記|section=1|date=2014年10月}}
 
* 生命維持のための摂取。植物は[[根]]などから吸収。動物は直接飲用または[[食物]]より摂取
 
* 冷却([[熱交換器|熱交換]]、[[蒸発熱|気化熱]]の利用) - [[内燃機関|エンジン]]・[[エア・コンディショナー|エアコン]]の[[水冷]]式、[[ラジエーター]]、[[かき氷]]、[[かち割り]]、[[冷却水]]、[[打ち水]]
 
* あたため・加熱(熱交換) - [[入浴]]・[[温泉]]、[[サウナ]]、[[床暖房]]装置、[[蒸し料理]]
 
* [[溶媒]]としての利用 - [[点滴]]、[[水割り]]
 
** 溶媒として溶かし、かつ溶かした物質を除去するため - [[洗濯]]、[[洗車]]
 
* [[摩擦]]([[摩擦力]])の軽減(特異な[[相転移]]の利用) - [[スキー]]、[[スケート]]
 
* 位置エネルギー・運動エネルギーの利用 - [[水力発電]]、[[水車]]、[[波力発電]]、[[ししおどし]]
 
* [[水蒸気]](スチーム)の圧力の利用 - [[蒸気機関]]、[[火力発電]]・[[原子力発電]]の[[蒸気タービン]]
 
** 水の粒を利用した映像作品やスクリーンとしての応用
 
* 重みをかけるため([[重し]]としての利用) - 船舶の[[バラスト水]]、ビーチパラソル・旗・[[幟|のぼり]]・看板などの重し
 
** 水の重みによる[[浮力]]の利用 - [[船舶]]、[[水泳]]
 
* [[消火器|消火剤]] - [[消火栓]]、[[消防用水]]
 
<!--
 
* [[放射線]]等の障壁・吸収 - [[使用済み核燃料]]の貯蔵プール、[[カミオカンデ]]等
 
* 水圧洗浄、高水圧洗浄
 
* 爆発物を用いた物理的圧力を強化するための触媒 - 対障害物・対危険物処理用水爆弾など
 
** 噴射物に対しての反動抑制用のカウンターマスとしての使用
 
* ものを切る一種の刃として - [[ウォーターカッター]](ウォータージェット)
 
* 罪穢れを清める。禊ぎ祓いとして使用する。
 
* 末期の水、手向けの水、供養の水。
 
* [[若水汲み]]で新しい年を迎える。[[東大寺修二会]]の [[お水取り]]も再生や更新の意味が籠められる。
 
* 古代インドで宇宙は五つの要素([[五大]]。パンチャ・マハ・ブータ)の空・風・水・地・火から構成されると考えた。
 
* 中国の [[五行]]思想は木・火・土・金・水からなる。
 
-->
 
 
 
=== 農業 ===
 
世界のそれぞれの地域における水の状況は、地域による差、気候の差の影響を大きく受ける。その水の状況が、[[農業]]に影響を与え、社会構造にも影響を与えている。
 
 
 
== 水と芸術 ==
 
[[ファイル:Versalles.jpg|thumb|180px|[[噴水]]]]
 
水は[[人類]]にとって最も身近で重要な物質であり、かつ様々な態様を見せることから、水をモチーフとした数々の芸術作品が生み出されている。
 
 
 
水そのものを取り入れたものに[[庭園]]における池や[[噴水]]がある。
 
 
 
== 代表的な慣用句 ==
 
* 水掛け論 - 双方が主張を言い合い解決しない議論のこと。[[田]]に水がほしい双方が水を掛け合ってまで争うところからきているといわれる。
 
* 湯水のように(ごとく) - 大量に使うことを指し、通常は無駄遣いや乱費の表現として用いられる。[[日本]]ではかつて「水と安全はタダ」など言われ、水は非常に安価または無料の代名詞であった。[[茶道]]の[[点前]]で[[茶道具]]を清めるために大量の湯水を使うことに由来する。
 
* [[水商売]](またはその略称「お水」) - [[飲食業]]または[[風俗業]]の別称。一日の客数が安定しない(水物である)から。一説に、酒の水割り用の水道水に値段を付ける(金を取る)ことから。
 
* 水に流す - 過去の因縁を忘れること。汚れ物は水に溶かして流れ去るに任せるのが古来の流儀である。実際に、多くの汚物は水中における自然の[[浄化槽|浄化]]作用とその人工的応用である[[汚水処理]]によって処理される。
 
 
 
他にも、世間や市場に普遍的なもの([[貨幣]]や[[情報]]など)を水にたとえて、「[[洪水]]のような」、「[[氾濫]]する」などと表現されることがある。
 
 
 
== 脚注 ==
 
=== 注釈 ===
 
<references group="注"/>
 
 
 
=== 出典 ===
 
<references />
 
 
 
== 参考文献 ==
 
<!--この節には、記事本文の編集時に実際に参考にした書籍等のみを記載して下さい。書籍の宣伝は禁止します-->
 
* {{Cite book |和書 |editor=[[国立天文台]]編 |title=[[理科年表]] 第89冊(平成28年) |edition=机上版 |date=2015-11-30 |publisher=[[丸善]] |isbn=978-4-621-08966-8 |ref=理科年表2016 }}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{sisterlinks|commons=Water|commonscat=Water|d=Q283}}
 
<!--呼称-->
 
* [[海]] - [[海洋深層水]]
 
* [[川]] - [[滝]]
 
* [[湖]] - [[池]] - [[水たまり]] - [[オアシス]]
 
* [[雨]] - [[地下水]]
 
* [[水分]] - [[水蒸気]]
 
* [[過冷却水]] - [[氷]] - [[ムペンバ効果]]
 
<!--性質-->
 
* [[純水]] - [[超純水]] - [[軽水]] - [[重水]]
 
* [[硬水]] - [[軟水]] - [[ミネラルウォーター]]
 
* [[機能水]]
 
* [[海水]]
 
** [[電解水]] - [[強酸性水]] - [[アルカリイオン水]]
 
** [[磁気活性水]]
 
<!--物理化学-->
 
* [[水モデル]] - [[水クラスター]]
 
* [[ポリウォーター]]
 
* [[セルシウス度]]
 
<!--利用-->
 
* [[海水淡水化]]
 
* [[飲料水]]
 
* [[水道]] - [[上水道]] - [[中水道]] - [[下水道]]
 
* [[井戸]]
 
* [[水質汚濁]] - [[地下水汚染]] - [[公害]]
 
* [[水の危機]] - [[世界水会議]] - [[世界水フォーラム]] - [[アジア太平洋水サミット]]
 
* [[仮想水]]
 
* [[ウォータースポーツ]] - [[潜水]] - [[水泳]]
 
* [[ウォーターカッター]]
 
* [[打ち水]]
 
* [[水害]]
 
* [[DHMO]]
 
* [[水部]] - 漢字の部首
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.env.go.jp/water/mizu.html 水環境関係] 環境省<!--2008年12月14日 (日) 10:06 (UTC)-->
 
* [http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/ 水資源] 国土交通省<!--2008年12月14日 (日) 10:06 (UTC)。2016-05-05にurl差し替え-->
 
* [http://www1.lsbu.ac.uk/water/water_structure_science.html Water Structure and Science] {{en icon}} ― [[:en:London South Bank University]] 水についてのあらゆる科学的情報が得られる。<!--2015年6月13日 (土) 14:33 (UTC)-->
 
* [http://www1.lsbu.ac.uk/water/water_properties.html Water Properties (including isotopologues)] 上記のHPのうち、水の性質についての一覧表
 
* {{EoE|Physical_properties_of_water|Physical properties of water|水の物理的性質}}
 
* [http://ga.water.usgs.gov/edu/watercycle.html The Water Cycle:水循環のページ] 日本語訳あり。―USGS米国地質調査所
 
  
 +
化学的には酸素と水素の化合物で,無色,無臭,無味の液体。天然には[[海水]],湖水,河川水,井水,温泉水,[[雨]],[[雪]],[[氷]],[[水蒸気]]などとして多量に存在する。融点0℃,沸点 100℃。化学式は H<sub>2</sub>O で表わされる。比重 1.000000 (4.08℃) 。融点,沸点,気化熱などの値は硫黄,セレンなど酸素の同族体の水素化合物に比し著しく大きい。比熱,潜熱も大きく,表面張力は水銀に次いで大きい。これらは水の分子が強い極性をもつので,分子間に強い水素結合が生じ,水分子の会合が起って擬結晶構造をとることが原因とされている。イオン性物質に対する良好な溶媒である。水は生命の維持に不可欠の物質であるが,間接的にも食糧 (農水産物) の生産,気候の調節,自然界における輪廻に基づくエネルギーの蓄積などを通して人間の生活を支えている。
 +
 
{{水素の化合物}}
 
{{水素の化合物}}
{{Authority control}}
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{{テンプレート:20180815sk}}
 
{{デフォルトソート:みす}}
 
{{デフォルトソート:みす}}
 
[[Category:水|*]]
 
[[Category:水|*]]

2018/10/22/ (月) 23:03時点における最新版

(みず)

化学的には酸素と水素の化合物で,無色,無臭,無味の液体。天然には海水,湖水,河川水,井水,温泉水,水蒸気などとして多量に存在する。融点0℃,沸点 100℃。化学式は H2O で表わされる。比重 1.000000 (4.08℃) 。融点,沸点,気化熱などの値は硫黄,セレンなど酸素の同族体の水素化合物に比し著しく大きい。比熱,潜熱も大きく,表面張力は水銀に次いで大きい。これらは水の分子が強い極性をもつので,分子間に強い水素結合が生じ,水分子の会合が起って擬結晶構造をとることが原因とされている。イオン性物質に対する良好な溶媒である。水は生命の維持に不可欠の物質であるが,間接的にも食糧 (農水産物) の生産,気候の調節,自然界における輪廻に基づくエネルギーの蓄積などを通して人間の生活を支えている。




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