講談社学術文庫

提供: miniwiki
2018/8/5/ (日) 21:30時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索

講談社学術文庫(こうだんしゃがくじゅつぶんこ)は、講談社刊の文庫判・学術書レーベル、1976年(昭和51年)に発足[1][2]。シンボルマークは、古代エジプトで知識や学問の象徴とされていた「トキ」(アフリカクロトキ)の姿をした神トートである。

単行判・選書新書の(改訂・改題も含む)再刊、古典新訳のみならず、文庫書き下ろしでの出版も多い。約40年間で2000冊代を刊行、重版多数の書目がある一方で、初版のみで品切絶版となった書目も多い[3]

2011年(平成23年)より、電子書籍版を購入できるiOS用のアプリケーション「選書メチエ&学術文庫」をApp Storeを配信している。

概要

岩波文庫1970年代当時)は、評価の定まった古典を軸に出版を行っていたが、学術文庫は「学術をポケットに入れることをモットーにして生まれた文庫」[4]という言葉から明確に、人文・社会科学系の学術書を[5]軸に刊行を行っている。創刊以来、装幀は蟹江征治が一貫して行っている。

1980年代以降は、講談社文庫1971年(昭和46年)発足)で刊行した哲学・思想系の書目を学術文庫へ移行。自社単行判では、『中国の歴史』(旧版)や『世界の歴史』(いずれも1970年代の刊行)、『日本の歴史』(1990年代 - 2000年代に刊行)、『興亡の世界史』(2000年代)、『人類の知的遺産』(1980年代、一部)、『20世紀の思想家たち』(1990年代、一部)といった歴史・思想系叢書、現代新書選書メチエなどの教養系叢書に加え、他社刊の文庫・新書・選書の品切書目も多く再刊している。

発足時からの方針で、国文学関係では久松潜一池田亀鑑今泉忠義といった国文学者による古典文学作品を、現代語訳・注釈を入れ積極的に多く刊行したことも特徴である。『今昔物語集』(天竺・震旦篇)、『大鏡』、『今鏡』、『とりかへばや物語』、『雨月物語』などの作品が容易に入手できる。

哲学思想・社会科学系では、創刊時より初期は、天野貞祐訳のカント純粋理性批判』を復刊し、小泉信三矢部貞治に代表される、旧制高校出身の学歴貴族に近い保守中道やオールド保守寄りと目されていた著者陣に加え、明治・大正・昭和に渡る教養主義の伝統とその現代へと通じる価値を探求提示する刊行書目だったが、創刊から三十数年を経て廣松渉高橋哲哉といったラディカルレフトを含むまでにラインナップが広がっている。加えて東西の古典哲学(プラトンアリストテレス論語などの諸子百家)や、20世紀クラシックスの改訂版や新訳も刊行している。

徳富蘇峰近世日本国民史』(十数年で全50巻)を刊行した。イザベラ・バードなど幕末明治期の日本紀行や、第二次世界大戦太平洋戦争史)・昭和史関連も多数刊行している。

人文科学が軸ではあるが、朝永振一郎の『鏡の中の物理学』や、湯川秀樹の『物理講義』などロングセラーになっている自然科学入門書、アルフレート・ヴェーゲナーの『大陸と海洋の起源』のような自然科学の古典翻訳も刊行されている。また特殊な例では、加地伸行漢文法基礎』など、他社(増進会出版社)で出版されていた受験参考書や辞典・辞書類の再刊も行っている。

関連項目

脚注

  1. 講談社サイトでは「学術文庫」と表記している。
  2. 担当者(出版部長)による回想記に、池永陽一『学術の森の巨人たち 私の編集日記』(熊本日日新聞社、2015年)と、宇田川眞人『日本に碩学がいたころ』(三恵社、2013年)がある。
  3. 合本改版、改訂再刊された書目もある。
  4. 各文庫の巻末に記載している、野間省一による《「講談社学術文庫」の創刊に当たって》、1976年
  5. ただし専門書だけではなく、高級アマチュア的な内容の書目刊行も特色にある
  6. 講談社学術文庫と同じく、科学分野での古典や受験参考書の改訂版を刊行

外部リンク