象牙

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全形象牙。ほぼ全ての国で取引が禁止されているが、日本では自宅の押し入れや床の間から出てきた「押し入れ象牙」「床の間象牙」などの名目で流通しており、新作の根付や印鑑など幅広く活用されている
象牙を持つアフリカゾウ

象牙(ぞうげ)

 ゾウの上顎(じょうがく)門歯(切歯)が根を生ずることなく一生長く伸び続け牙(きば)になったもので、食肉類などの犬歯が牙になったものと異なる。このため年をとれば著しく長くなるはずであるが、実際は草の根を掘ったり、木の皮をはぐのに使用するため磨滅し、むやみに長くなることはない。

 象牙においては、歯の主体である堅い組織が他の動物に比べてもっともよく発達している。この部分は象牙質とよばれ、ここから一般に歯の当該部位名称として用いられる。一方、もろいエナメル質は、生え初めの象牙の先端を覆うだけである。象牙の外側はしばしば暗色であるが、内部は白またはクリーム色で美しい木目があり、きめが細かいため入念な細工に適し、縞(しま)目の変化や半透明の乳白の色調が美しい。このため古くから、牙彫(げちょう)工芸品の材料として洋の東西を問わず珍重されてきた。

 とくに20世紀に入り象牙の輸出量が増加し、関連してアフリカ全土においてゾウの乱獲や密猟が続出した。象牙の需要は現在でも世界的に高く、ロンドンとベルギーのアントウェルペンで象牙市場が開かれ、主としてアフリカゾウの牙が集められている。現在では生きたゾウから牙をとることは法律で制限され、象牙の供給はおもにアフリカの先住民が数世紀間にわたって内密に保存してきたものによる。一方、殺したばかりのゾウからとった牙は、生きた象牙live ivoryとよばれ、密猟品も含めて、市場には全体の20%ぐらいが出る。古い象牙も、保存法のよいものは新しい象牙と質は変わらない。また、象牙とよばれているが、カバ、イッカク、セイウチなどの牙が代用されていることもある。

 なお、WWF(世界自然保護基金)の調査報告は、とくに密猟が急増した1983年、年間において400~500頭のゾウが犠牲になったと告げている。このような状態では、種の保存すら危ぶまれるため、日本においても1985年(昭和60)、ワシントン条約に基づく輸入貿易管理令が改正された。

 1989年、ワシントン条約で象牙の国際取引の原則的禁止が決定され、翌1990年から実施された。日本では1992年(平成4)に「種の保存法」が制定され、このなかで違法な象牙の国内取引を防止するための管理制度が創設された。また、1995年には国内にある全形を保持した象牙の登録制度が開始された。こうした取組みとワシントン条約の管理のもとで例外的に、1999年に50トン、2009年(平成21)に39トンの象牙が日本に輸入された。この後も規制は強化され、2016年10月、ワシントン条約締約国会議で各国の国内市場閉鎖を求める決議が承認され、日本でも2017年5月に業者の登録制導入と罰則の強化を定めた改正「種の保存法」が成立した。



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