連続写像
| class = plainlist | titlestyle = padding-bottom:0.25em; | pretitle = Part of a series of articles about | title = 解析学 | listtitlestyle = text-align:center; | liststyle = border-top:1px solid #aaa;padding-top:0.15em;border-bottom:1px solid #aaa; | expanded =
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定義 |
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法則と恒等式 |
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定義 |
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定義 |
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}}位相空間論において函数や写像が連続(れんぞく、英: continuous)であるというのは、ある特定の意味で位相空間の間の位相的構造を保つある種の準同型となっていることを意味し、それ自体が位相空間論における興味の対象ともなる。数学の他の領域における各種の連続性の定義も、位相空間論における連続性の定義から導出することができる。連続性は、空間の位相が同相(位相同型)であることの基礎となる概念であり、特に全単射な連続写像が同相写像であるための必要十分条件は、その逆写像もまた連続となることである。
連続でない写像あるいは函数は、不連続であると言う。
連続性と近しい関係にある概念として、一様連続性、同程度連続性、作用素の有界性などがある。
位相空間の間の写像の連続性の概念は、それが距離空間の間の連続函数の場合のような明確な「距離」の概念を一般には持たない分、より抽象的である。位相空間というのは、集合 X とその上の位相(あるいは開集合系)と呼ばれる X の部分集合族で(距離空間における開球体全体の成す族の持つ性質を一般化するように)合併と交叉に関する特定の条件を満足するものを組にしたもので、位相空間においても与えられた点の近傍について考えることができる。位相に属する各集合は X の(その位相に関する)開部分集合と呼ばれる。
Contents
定義
位相空間の定義に複数の同値なものがあることに従って、連続写像の定義にも複数の、しかし互いに同値なものを考えることができる。
開集合を用いた定義
二つの位相空間 X, Y の間の写像
- [math]f\colon X \to Y[/math]
- [math]f^{-1}(V) = \{x \in X \mid f(x) \in V \}[/math]
が X の開集合となるときに言う。従って、f は集合 X, Y の間の写像(であってそれらの位相の元の間の写像ではない)にも拘らず、f の連続性は用いられている X, Y それぞれの位相に依存する性質であることに注意すべきである。
閉集合を用いた定義
(開集合の補集合としての)閉集合を用いても同値な定義が得られる。即ち、二つの位相空間 X, Y の間の写像
- [math]f\colon X \to Y[/math]
が連続であるとは、任意の閉集合 F ⊆ Y に対しその逆像
- [math]f^{-1}(F) = \{x \in X \mid f(x) \in F\}[/math]
が X の閉集合となるときに言う。
近傍系を用いた定義
近傍を用いて位相空間の一点における写像の連続性を定義することもできる。
位相空間 X 上で定義された写像 f: X → Y が一点 x において連続であるとは、像 f(x) の任意の近傍の f による逆像が再び x の近傍となること、即ち
- [math]\forall N\in\mathcal{N}_{f(x)}\colon f^{-1}(N)\in\mathcal{M}_x[/math]
が成立することを言う。
近傍系が上方集合系であるという性質を用いれば、
- [math]\forall N\in\mathcal{N}_{f(x)},\,\exist M\in\mathcal{M}_x\colon M\subseteq f^{-1}(N)[/math]
- [math]\forall N\in\mathcal{N}_{f(x)},\,\exist M\in\mathcal{M}_x\colon f(M)\subseteq N[/math]
などのように言い換えることもできる。後者は逆像ではなく像を使った言い換えになっている。言葉で言えば、これはどんなに小さな近傍を選んでもそれに写される近傍が必ず見つけられることを言っているのである。
またこの定義は、基本近傍系あるいは特に開近傍のみを考えるものに単純化しても、実は同値になる。
- [math]\forall V\in\mathcal{T}, f(x)\in V,\,\exist U\in\mathcal{T}, x\in U\colon U\subseteq f^{-1}(V)[/math]
- [math]\forall V\in\mathcal{T}, f(x)\in V,\,\exist U\in\mathcal{T}, x\in U\colon f(U)\subseteq V[/math]
やはり後者は逆像の代わりに像を用いた言い換えである。これは、X, Y が距離空間のときには、任意の近傍を考える代わりに x および f(x) をそれぞれ中心とする開球体全体の成す近傍系を考えるというのと同じことであって、このとき、写像の連続性は距離空間の文脈における通常の ε-δ を用いた連続函数の定義と同じであることが確かめられる。一方、一般の位相空間では近さや距離の概念を使わずに議論しなければならない。
とは言え、終域 Y がハウスドルフならば、f が一点 a において連続であるための必要十分条件を、x を a に限りなく近づけるときの f の極限が f(a) であること、と述べることができることには注意。
点列および有向点族を用いた定義
幾つかの文脈では、空間の位相を極限点の言葉で記述するのが便利なことがある。多くの場合には列の極限について述べれば十分だが、一部のある意味で大きすぎる空間に対してはより一般の有向集合で添字付けられた族(有向点族またはネットと呼ばれる)の極限まで考える必要がある。即ち、写像が(ハイネ-)連続となるには、それが列の極限を列の極限へ写すことが必要であり、前者の場合にはこれは十分条件でもあるが、後者の場合には任意の列の極限を保つ写像が連続とならないことが起こり得る。後者の場合にはネットの極限を保つことが必要かつ十分である。
詳述すれば、写像 f: X → Y が点列連続 (sequentially continuous) であるとは、X 内の点列 (xn) が極限点 x に収斂するならば像の列 (f(xn)) が f(x) に収斂するときに言う。即ち、点列連続写像は「列の極限を保つ」。任意の連続写像は点列連続である。X が第一可算かつ可算選択公理を満足するならば、逆もまた成立して任意の点列連続写像は連続になる。特に X が距離空間ならば、点列連続性と連続性は同値である。第一可算公理を満足しない空間では点列連続性は連続性よりも真に弱いことが起こり得る(これら二つの性質が同値となるような空間は列型空間と呼ばれる)。これは一般の位相空間において列の代わりにネットを考える動機を与える。連続写像はネットの極限を保ち、実はこれが連続写像を特徴づける性質である。
閉包作用素による定義
位相空間の開集合系を特定する代わりに、任意の部分集合 A ⊆ X にその閉包を割り当てる閉包作用素 cl や、任意の部分集合 A ⊆ X にその開核を割り当てる開核作用素 int によって位相を定めることもできる。これらを用いれば、位相空間の間の写像
- [math]f\colon (X,\mathrm{cl}) \to (X' ,\mathrm{cl}')[/math]
が上記の意味で連続となるための必要十分条件は、任意の部分集合 A ⊆ X に対して
- [math]f(\mathrm{cl}(A)) \subseteq \mathrm{cl}'(f(A))[/math]
が成り立つことである。これはつまり、X の与えられた元 x が任意の部分集合 A の閉包に属す限りにおいて、f(x) は必ず f(A) の閉包に属すことを言っている。これはまた X′ の任意の部分集合 A′ に対して
- [math]f^{-1}(\mathrm{cl}'(A')) \supseteq \mathrm{cl}(f^{-1}(A'))[/math]
を満足することを課すのと同値である。あるいは開核作用素を用いて、写像
- [math]f\colon (X,\mathrm{int}) \to (X' ,\mathrm{int}')[/math]
が連続となる必要十分条件を、任意の部分集合 A ⊆ X に対し
- [math]f^{-1}(\mathrm{int}'(A)) \subseteq \mathrm{int}(f^{-1}(A))[/math]
が満足されることと述べることもできる。
性質
二つの写像 f: X → Y, g: Y → Z が連続ならば、それらの合成 g ∘ f: X → Z もそうである。また f: X → Y が連続のとき、
- X がコンパクトならば f(X) もコンパクト;
- X が連結ならば f(X) も連結;
- X が弧状連結ならば f(X) も弧状連結;
- X がリンデレフならば f(X) もリンデレフ;
- X が可分ならば f(X) も可分
である。
一つ固定した空間 X 上に入れることのできる位相の全体には半順序を入れることができて、位相 τ1 が別の位相 τ2 よりも粗い (τ1 ⊆ τ2) とは、τ1 に関する任意の開集合が、必ず τ2 に関する開集合ともなるときに言うのであった。さてこのとき、恒等写像
- idX: (X, τ2) → (X, τ1)
が連続となる必要十分条件は τ1 ⊆ τ2 が成り立つことである。より一般に、連続写像
- [math](X, \tau_X) \to (Y, \tau_Y)[/math]
に対し、位相 τY をより粗い位相に取り換えても、また τX をより細かい位相に取り換えても、連続性は保たれる。
- 定義域 X に離散位相を入れるとき、任意の写像 f: X → Y は任意の位相空間 Y を終域として連続である。
- 終域 Y に密着位相を入れるとき、任意の写像 f: X → Y は任意の位相空間 X を定義域として連続である。
- 定義域が密着空間で終域が T0-空間ならば、定値写像のみが連続になる。
- 連続性は局所的な性質である。
同相写像
連続写像は開集合の逆像が開集合となる写像であったが、それと対称的に「開集合の像が開集合となる」写像は開写像と呼ばれる。実は、開写像 f が逆を持てばその逆写像は連続であり、連続写像 g が逆を持てばその逆写像は開写像である。位相空間の間の全単射な連続写像 f に対して、その逆写像 f−1 は必ずしも連続でない。連続な逆写像を持つ連続全単射は同相写像と呼ばれる。
連続全単射がコンパクト空間を定義域に、かつハウスドルフ空間を終域に持つならば、それは同相である。
連続写像の定める位相
位相空間 X から(特に位相を考えない)集合 S への写像
- [math]f\colon X \to S[/math]
が与えられたとき、S 上の終位相は、S の部分集合 A が開集合であるということを、f−1(A) が X の開集合であることと定めることにより定義される。S に予め位相が定められていたとき、f がその位相に関して連続となる必要十分条件は、もとの位相が S 上の終位相よりも粗いことである。従って、終位相は S 上の f を連続にする最も細かい位相となる。f が全射のとき、終位相は f の定める同値関係のもとでの商位相と自然に同一視される。
これと双対的に、集合 S から位相空間への写像 f に対し、S 上の始位相は、S の部分集合 A が開集合であることを、f(A) が X の開集合となることと定めることによって定義される。S にもともと位相が入っているとき、f がその位相に関して連続となる必要十分条件は、その位相が S 上の始位相よりも細かいことである。従って、始位相は S 上の位相として f を連続にする最も粗い位相となる。f が単射のとき S を X の部分集合と同一視すれば、S 上の始位相は X から定まる部分空間としての位相と自然に同一視される。
より一般に、集合 S が与えられたとき、任意の位相空間 X への連続写像 S → X 全体の成す集合を特定することにより、S に位相が定まる。双対的に同じことが X → S に対しても考えられる。これは普遍性の一例である。
参考文献
外部リンク
- Topology without tears von Sidney A. Morris: Buch zur Topologie zum kostenfreien Download (im PDF-Format, englisch)