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'''電子辞書'''(でんしじしょ)とは、[[CD-ROM]]や[[フラッシュメモリ]]などの[[メディア (媒体)|記憶媒体]]や[[コンピュータネットワーク|ネットワーク]]上に保存されている[[辞典|辞書]]・[[百科事典|事典]]の内容を記録した[[データ]]を、[[コンピュータ]]や[[携帯機器|携帯端末]]によって読み出し、[[検索]]・表示・再生する[[電子機器]]または[[ソフトウェア]]の総称<ref>{{Cite web|url=http://www.jepa.or.jp/ebookpedia/201507_2512/|title=電子辞書 - ebookpedia|publisher=[[日本電子出版協会]] (JEPA)|date=2015-07-27|accessdate=2017-11-26}}</ref>。
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'''電子辞書'''(でんしじしょ)
  
== 概要 ==
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辞典・事典の内容をデジタル化し,コンピュータや専用小型端末を使ってことばや事柄を検索することができるようにしたソフトウェアあるいは装置。印刷された書籍に比べて,軽量で場所をとらず,高速検索が可能という利点があるほか,通常使われる「前方一致検索」だけでなく,後ろから引く「後方一致検索」,見出し語に加えて説明文からもことばを探す「全文検索」などが使えるのも大きな長所である。メモリなど[[記憶装置]]の大容量化で,ポケット版の専用小型端末でも複数の国語辞典,英語辞典,百科事典などが使える。コンピュータ用の辞書は [[CD-ROM]]などで提供され,ハードディスクにインストールして使う。いくつもの辞書をまとめて検索するソフトウェアも登場している。日本の電子辞書の規格として,EPWINGコンソーシアムが提唱する EPWING規約があり,これは CD-ROMの規格である ISO9660に準拠している。
[[File:SHARP e-dictionary PW-C6000.jpg|thumb|180px|シャープ製の電子辞書 (PW-C6000)]]
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電子辞書という語が指し示す範囲は広範にわたる。具体的には、専用の液晶画面とキーボードを搭載した携帯型の[[#電子辞書専用機(IC電子辞書)|電子辞書専用機(IC電子辞書)]]、インターネット上の辞書検索サイトに代表される[[#オンライン辞書|オンライン辞書]]、パソコンやスマートフォン・タブレットなどの汎用OSを搭載したコンピュータにインストールして利用する[[#辞書アプリ|辞書アプリ]]、パソコンなどの光ディスクドライブで読み込んで利用する[[#CD-ROM辞書|CD-ROM辞書]](DVD-ROM辞書)、[[#電子書籍端末の辞書機能|電子書籍端末に付属する辞書機能]]などがある。さらに、[[日本語入力システム|かな漢字変換システム]]に組み込まれた語義表示機能などもこれに含められ得る。日本で一般に「電子辞書」といえば、最初に挙げた携帯型の電子辞書専用機(狭義の電子辞書)を指す<ref name="MOGI_57">{{harvnb|茂木俊伸|2011|p=57}}</ref>。一方、欧米では「電子辞書」といえば、CD-ROMやDVD-ROMの辞書を指すことが一般的であるとされる<ref>{{harvnb|関山健治|2007|p=241}}</ref>。
 
 
 
== 特徴 ==
 
紙媒体では表現することが不可能だった音声や動画などのデータも収録・再生できる、辞書・事典の[[マルチメディア]]化が電子辞書の一つの特色といえる<ref>{{harvnb|茂木俊伸|2011|pp=58, 65-66}}</ref>。
 
 
 
紙の辞書と比較した場合の電子辞書の長所としては、
 
 
 
* 書籍にして数百冊分の大量の情報を小さな記憶媒体に集約できるため、収納・保存に場所を取らず、持ち運びも容易である<ref>{{harvnb|茂木俊伸|2011|p=62}}</ref>。また、オンライン辞書の場合、辞書データはネットワーク上に保持されるため、辞書データを収めるための記憶容量は無限に近い<ref name="ALL1.1"/>。
 
* 項目数の多い辞書でも、分厚い紙の辞書に比べて、高速な検索ができる<ref name="ALL1.1">{{harvnb|日本電子出版協会レファレンス委員会|2016|loc=&sect;1.1}}</ref><ref>{{harvnb|茂木俊伸|2011|pp=67-69}}</ref>。
 
* 前方一致検索・後方一致検索・部分一致検索・完全一致検索・全文検索など、多様な検索方法が用意されている場合がある<ref name="ALL1.1"/><ref name="MOGI_71">{{harvnb|茂木俊伸|2011|pp=71-73}}</ref>。特に、共通規格で記録された辞書ファイルに対しては、一括で検索をかけることができる(これは俗に「串刺し検索」と呼ばれる)<ref>{{harvnb|茂木俊伸|2011|pp=72, 76}}</ref>。
 
* 関連項目などの別項目へも、[[ハイパーリンク]]の要領で、項目間、さらには辞書間を簡単に移動できる(いわゆる「ジャンプ機能」)<ref name="ALL1.1"/>。
 
 
 
などがある。
 
 
 
反対に短所としては、
 
 
 
* どのような機器で閲覧するにしても、本質的に画面の大きさの制約からは逃れられないため、紙媒体の辞書と比べて、一度に視野に入れられる文字量が圧倒的に少なく、スクロールすると前の情報が画面の外に隠れてしまう<ref name="MOGI_62">{{harvnb|茂木俊伸|2011|pp=62-64}}</ref>(広辞苑第五版の書籍版、CD-ROM版、電子辞書版の3つを比較したところ、紙媒体の表示面積は、CD-ROM版の約9.3倍、電子辞書版の約36倍だったとする2007年の調査結果がある<ref>{{harvnb|山口昌也|2007|pp=20-24}}</ref>)。
 
* 前記の制約があるため、基本的に複数の辞書の情報を並べて見比べることには向いていない<ref name="MOGI_71"/>。
 
* パソコンなど使用環境によっては、[[文字コード]]の差異から、[[外字]]などが適切に処理されない場合がある<ref name="MOGI_74">{{harvnb|茂木俊伸|2011|pp=74-75}}</ref>。
 
* 紙媒体の辞書では慣習的に概ね巻頭に記される、凡例の掲載場所とそれを開く操作方法に決まりがない<ref>{{harvnb|茂木俊伸|2011|pp=66-67}}</ref>など、辞書の形式が多様な分、電子辞書としての典型が一定しない。
 
 
 
などがある。
 
 
 
== 規格・形式 ==
 
市販されている電子辞書・百科事典ソフトウェアは数多あるが、電子化された辞書データのファイル形式やディレクトリ構造など、そのフォーマット(形式や規格)については、複数のメーカーが共同で策定した共通規格 (EBやEPWINGなど) のほか、メーカーごとの独自規格で作成されたソフトウェア製品も相当数存在する<ref>{{Cite web|url=http://ebstudio.info/manual/EBStudio/3_1.html|title=EPWINGと電子ブック|accessdate=2017-11-26}}</ref>。
 
 
 
主な電子辞書ソフトウェアの[[ファイルフォーマット]]には、
 
 
 
* [[電子ブック (規格)|電子ブック]] (EB/EBXA/S-EBXA)
 
* [[EPWING]] ([[JIS X 4081]])
 
* [[ONESWING]](EPWINGの後継規格)
 
* BAS
 
* {{仮リンク|StarDict|en|StarDict}}
 
* [[LEXicographical eXtensible Markup Language|LeXML]](辞書・事典用に特化した[[Extensible Markup Language|XML]])<ref>{{Cite web|url=http://www.jepa.or.jp/ebookpedia/201605_2984/|title=LeXML - ebookpedia|publisher=[[日本電子出版協会]]|accessdate=2017-11-28}}</ref>
 
 
 
などがある。電子ブックを除けば、多くが[[Microsoft Windows]]などの[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]向けの規格である。また、規格が策定されていても、その仕様が非公開となる場合も少なくない。これは、[[デジタル著作権管理|著作権保護]]の観点のほかに、[[ベンダーロックイン]]を狙ったものであるとも考えられる。
 
 
 
== CD-ROM辞書 ==
 
開発時の歴史的背景としては、まず[[1980年]](昭和55年)に[[ソニー]]と[[フィリップス]]が共同で策定した規格、[[CD-DA]](音楽CD)用に開発された記憶媒体である[[コンパクトディスク]] (CD) <ref name="CDROMDIC">{{harvnb|長谷川秀記|2016|pp=588-591}}</ref>を、コンピュータの外部記憶媒体として利用する[[CD-ROM]]の仕様(イエローブック)が[[1983年]](昭和58年)に提案されたことがあった<ref name="ALL1.2">{{harvnb|日本電子出版協会レファレンス委員会|2016|loc=&sect;1.2}}</ref>。CD-ROMは、一枚当たりの容量が約600[[メガバイト|MB]]という、当時としては非常に大きな記憶容量を持ち、音楽CDと同じ生産ラインが使えるために安価に量産が可能であるという2つの利点があった。さらに、致命的な欠点とされていた「書き換え不可能」という特性を逆に利用して、データ集や出版物、それも大きな記憶容量を十分に生かせる、辞書や百科事典の記憶媒体として期待されていた<ref name="CDROMDIC"/><ref name="ALL1.2"/>。
 
 
 
そして、[[1985年]](昭和60年)に日本で最初のCD-ROM辞書『最新科学技術用語辞典』が[[三修社]]から発売された<ref name="CDROMDIC"/><ref name="ALL1.2"/><ref>{{Cite web|url=https://www.sanshusha.co.jp/company/|title=会社案内|publisher=[[三修社]]|accessdate=2017-11-24}}</ref>。その翌年の[[1986年]](昭和61年)に、当時の[[富士通]]のワープロ専用機[[OASYS]]向けの『[[広辞苑]]第三版CD-ROM版』の試作が発表され、翌々年の[[1987年]](昭和62年)に発売された<ref name="CDROMDIC"/><ref name="ALL1.2"/>。この『[[広辞苑]]第三版CD-ROM版』は、富士通・ソニー・[[岩波書店]]・[[大日本印刷]]により共同開発され<ref name="CDROMDIC"/>、WING規約と呼ばれたその辞書形式は他社にも無料で提供された<ref name="ALL1.2"/>。その結果、[[1988年]](昭和63年)の[[三省堂]]『模範六法昭和62年版CD-ROM版』と[[自由国民社]]『[[現代用語の基礎知識]]CD-ROM版』の発売に続いて、多くの辞書がこの形式で制作され、発売された<ref name="CDROMDIC"/><ref name="ALL1.2"/>。
 
 
 
その後、WING規約は[[EPWING]]と名称を変え、出版社、印刷会社、ソフトウェアメーカー、ハードウェアメーカーが集まって[[1991年]](平成3年)に設立された団体「EPWINGコンソーシアム」による普及活動もあって、EPWINGは日本のパソコンで動作する電子辞書形式の[[デファクトスタンダード]]となり、ついに[[1997年]](平成9年)には「日本語電子出版検索データ構造」 ([[JIS X 4081]]) という名称でJIS規格化された<ref name="CDROMDIC"/><ref name="ALL1.2"/>。EPWING形式の電子辞書は[[2012年]](平成24年)10月30日をもって販売を終了し、以降は後継規格である[[ONESWING]]に移行している<ref>{{Cite web|title=EPWING 今までに発表した製品 - 販売終了のお知らせ|url=http://www.fujitsu.com/jp/products/software/applications/applications/epwing/archive/|publisher=[[富士通]]|accessdate=2017-11-25}}</ref>。
 
 
 
WING規約から派生したもう一つの電子辞書フォーマットに、ソニー独自の[[電子ブック (規格)|電子ブック (EB) ]]がある<ref name="ALL1.2"/>。富士通主導でEPWINGコンソーシアムが設立されたのと同じ年に、ソニーが中心となって、同様の団体である「電子ブックコミッティー」が組織され、電子ブックの普及活動が展開された<ref name="ALL1.2"/>。電子ブックは通常のCD-ROMとは違い、8cm CD-ROMを[[キャディ|キャディー]]と呼ばれるケースに入れて、専用のハードウェア「電子ブックプレーヤー」で利用する形態をとる<ref name="ALL1.2"/>。最初の電子ブックプレーヤーは[[1990年]](平成2年)にソニーから発売された「DATA Discman DD-1」で、後に[[三洋電機]]、[[松下電器産業]]からもプレーヤーが発売された<ref name="ALL1.2"/>。当初は、キャディーを取り外した状態のCD-ROMを直接パソコンなどで利用することは禁止されていたが、[[1994年]](平成6年)に解禁され、フリーウェアの辞書検索ソフト(電子ブックビューアー)の登場も手伝って、パソコン用の電子辞書としても普及した<ref name="ALL1.2"/>。電子ブックプレーヤーの販売は[[2000年]](平成12年)に終了した<ref>{{Cite web|url=https://kotobank.jp/word/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF-6527#E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E5.85.A8.E6.9B.B8.28.E3.83.8B.E3.83.83.E3.83.9D.E3.83.8B.E3.82.AB.29|title=「電子ブック」 - [[コトバンク]]の[[日本大百科全書]](ニッポニカ)の項目|publisher=[[小学館]]|accessdate=2017-11-25}}</ref>。
 
 
 
以上述べたように、日本のCD-ROM辞書の標準形式はEPWINGと電子ブックであったが、そのどちらでもない独自規格のCD-ROM辞書も各社から開発・販売された<ref name="ALL1.2"/>。中でも代表的なのは、[[平凡社]]の『[[世界大百科事典]]』(1992年)、[[マイクロソフト]]社の『[[Microsoft Bookshelf]]』(1997年)、[[小学館]]の『[[日本大百科全書|スーパー・ニッポニカ]]』(1998年)である<ref name="ALL1.2"/>。
 
 
 
また、音声や画像を含む電子百科事典などでは、データ量の増大に伴い、より記憶容量の大きな[[DVD-ROM]]や[[USBフラッシュドライブ|USBメモリ]]を記録・頒布媒体とするものも登場した<ref name="MOGI_57"/>。2010年現在では、これら外部記憶媒体から直接データを読み出すのではなく、機器に内蔵された記憶装置にインストールして使うことが主流であるため<ref name="MOGI_74"/>、実際の利用形態の点では、後述する[[#辞書アプリ|辞書アプリ]]との区別は曖昧になりつつある。
 
 
 
== 電子辞書専用機(IC電子辞書) ==
 
CD-ROM辞書の発売に前後して、電子辞書の記憶媒体は[[CD-ROM]]から[[半導体メモリ|ICメモリ]]に移行していき<ref name="ICDIC">{{harvnb|長谷川秀記|2016|p=591}}</ref>、記憶媒体と検索・表示装置が一体となったIC電子辞書が登場する。
 
 
 
<gallery>
 
File:CASIO DI-2150.jpg|カード型の電子辞書
 
File:Casio XD-ST4800.JPG|カシオ製の電子辞書 (XD-ST4800)
 
File:SII IC Dictionary SL-LT3.jpg|セイコーインスツル製の電子辞書 (SL-LT3)
 
File:Denshijisho.jpg|ソニー製の電子辞書 (DD-IC2050)
 
</gallery>
 
 
 
=== 沿革 ===
 
==== 第一世代(1979年 - 1985年): 電卓型の電子単語帳 ====
 
日本国内市場では、[[シャープ]]が[[1979年]](昭和54年)11月に発売した'''ポケット電訳機''' (IQ-3000) が最初で<ref>{{harvnb|阿部圭子|2007|p=5下}}</ref><ref>{{harvnb|横山晶一|2007|p=43下}}</ref><ref name="MBS">{{Cite web|url=http://mobile.jbmia.or.jp/calculator_dic/history.htm|title=電子辞書の歴史について|publisher=一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会モバイルシステム部会|accessdate=2017-11-25}}</ref><ref name="SHARP_BLOG">{{Cite web |url=http://www.sharp.co.jp/blog/201201/11/ |title=【新製品紹介】“手軽に持ち歩く辞書”の原点 |date=2012-01-11 |publisher=シャープ広報部 |accessdate=2015-11-25 }}</ref>、当時としてはかなり高価な39,800円だった{{要出典|date=2017年11月}}。これは[[孫正義]]が学生時代に発明した自動翻訳機が元になっているともいわれる<ref>{{Cite news|url=https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/615194.html|title=懐かしの読書端末や電子辞書が大集合! 当時の関係者が思い出話&苦労話|author=鷹野凌|publisher=[[インプレス|Impress Watch]]|date=2013-9-12|accessdate=2017-11-26}}</ref>。IQ-3000は、英和約2800語、和英約5000語を収録していた<ref name="SHARP_BLOG"/>が、技術的には[[電卓]]技術を応用したもので<ref name="IT_CASIO">{{Cite news|url=http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0411/15/news013.html|title=ただ今、急成長中――カシオが語る、これからの電子辞書のあり方|author=渡邊宏|publisher=[[ITmedia]]|date=2004-11-15|accessdate=2017-11-25}}</ref>、その16桁×1行のモノクロ液晶画面に表示できたのはアルファベットとカタカナのみだった<ref name="ALL1.2"/><ref name="MBS"/>。内容も辞書というより単語集のようなものであり、[[単語帳]]機能付き電卓とでも呼ぶべき製品だった<ref name="ALL1.2"/><ref name="MBS"/>。当時はICメモリと液晶ディスプレイの製造コストが高かったために、安価な小容量の搭載メモリと小型の液晶画面が採用されたことで<ref name="IT_CASIO"/>、辞書の収録語数は頭打ちになり、液晶画面の表示能力にも限界があった<ref name="MBS"/>。
 
 
 
[[1980年代]]に入ると、[[1980年]](昭和55年)4月に[[キヤノン]]が電子英単語「LA-1000」(英和1320語と日本語訳2180語を収録)を発売、[[1981年]](昭和56年)10月には[[カシオ計算機]]も電子英和辞典「TR-2000」(英単語・熟語を約2000語収録)を発売し<ref>{{Cite web|url=https://www.casio.co.jp/company/history/nenpyo/|title=カシオの歴史>主要製品年表|accessdate=2017-11-25}}</ref>、市場に参入した<ref name="ALL1.2"/>。しかし、一冊の辞書を完全収録するには、ICメモリの大容量化と低価格化を待たなければならなかった<ref name="ICDIC"/>。
 
 
 
==== 第二世代(1986年 - 1989年): 収録語数の増加と画面表示の改良 ====
 
1980年代後半には、[[1987年]](昭和62年)3月に[[三洋電機]]が日本語を漢字仮名まじりで表示できる<ref name="ALL1.2"/>IC辞書「電字林 PD-1」(英和約3万5000語を収録)を発売、同年7月には[[セイコーインスツル|セイコー電子工業]]がカード英和「DF-310」(英和約6000語と訳語約1万2000語を収録)<!-- 当時の価格は4,100円(http://www.qprc.jp/Stationery/Card/SII-DF.html) -->を発売して<ref name="NI">{{Cite journal|url=http://www.natureinterface.com/j/ni06/P48-51/|title=[開発最前線]電子辞書 ロングセラーの軌跡 -- セイコーインスツルメンツ|issue=6|publisher=ネイチャーインタフェイス|pages=48-51|isbn=4-901581-05-8|date=2001-12-28|accessdate=2017-11-25}}</ref>、電子辞書市場に参入した。この頃には、収録語数だけは紙の辞書と同程度(数万語単位)にまで追いついた<ref name="MBS"/>が、依然として単語帳の域を出ないままだった。
 
 
 
==== 第三世代(1990年 - 1995年): フルコンテンツ辞書の登場 ====
 
CD-ROM辞書の開発から派生した携帯型の電子辞書として、ソニーから電子ブックプレーヤーの「DATA Discman DD-1」が1990年(平成2年)7月に発売された(詳細は[[#CD-ROM辞書|CD-ROM辞書]]参照)。そして、日本で最初の本格的なIC電子辞書は、[[研究社]]とセイコー電子工業が[[1992年]](平成4年)1月に発売したIC辞書「TR-700」で、研究社の『新英和・和英中辞典』の二冊の文字情報をすべて収録し、フルコンテンツ辞書と呼ばれた<ref name="ICDIC"/><ref name="MBS"/><ref name="NI"/>。これ以降、電子辞書の主流はIC電子辞書へと移り<ref name="ICDIC"/>、そのIC辞書も主に使い勝手や形状の差から、フルコンテンツ型の本格派電子辞書と、スタンダード型と呼ばれる安価な簡易型電子辞書に二極化していく<ref name="MBS"/>。
 
 
 
==== 第四世代(1996年 - 1999年): フルコンテンツ型の市場拡大 ====
 
ICメモリと液晶ディスプレイの低価格化が進み、大型の液晶画面と複数の辞書を収録したフルコンテンツ型の電子辞書が登場し、日本国内のIC電子辞書市場が大きく成長し始めた<ref name="MBS"/>。また、ソニーのDD-ICシリーズ<ref>{{Cite web|url=http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200009/00-0919/|title=新商品 電子辞書で初めてジョグダイヤルを搭載して、快適な操作性を追求 国語・英和・和英・漢字辞書をまるごと収録したIC電子辞書 発売|publisher=[[ソニー]]|date=2000-09-19|accessdate=2017-11-26}}</ref>のような、名刺ケース並みの大きさのフルコンテンツ辞書も登場した<ref name="MBS"/>。電子辞書の需要が増し、買い求める客層も拡大したが、この頃の電子辞書市場で主流を占めていたのは安価なスタンダード型だった<ref name="MBS"/>。
 
 
 
==== 第五世代(2000年 - 2002年): 収録辞書の拡充と品揃えの多様化 ====
 
半導体価格の下落が加速したことと、電子化済みの辞書データが出版社から提供されることも増えたことから、一台に多くの辞書データを収録することが可能となり、何冊もの辞書を収録した製品が登場した<ref name="MBS"/>。以後、各社は競って収録辞書数を増やしていくようになる<ref name="MBS"/>。また、高校生から高齢者、女性まで電子辞書の利用者層が多様化していくのに応じて、それぞれの購買層に合わせた製品開発が行われるようになった<ref name="MBS"/>。これによって、様々なフルコンテンツ型の電子辞書が発売されるようになり、電子辞書市場はますます拡大した<ref name="MBS"/>。それとともに、市場の主流もスタンダード型からフルコンテンツ型へと移行していった<ref name="MBS"/>。
 
 
 
==== 第六世代(2003年 - 2006年): 辞書の多機能化 ====
 
他社製品と差別化を図るため、各社とも特色ある機能を持たせた製品が開発されるようになる<ref name="MBS"/>。具体的には、音声発音機能、拡張メモリーカードによるコンテンツの追加機能、カラー液晶の搭載(業界初は[[2002年]]発売のシャープ「PW-C5000」)、手書き入力システムの採用などである<ref name="MBS"/>。収録されるコンテンツも、専門辞書、大型辞書、各国語辞書、百科事典などの辞書・事典にとどまらず、学習書や趣味・実用書なども盛んに収録された<ref name="MBS"/>。また、日本国内だけでなく、海外市場を見据えた製品開発もみられるようになった一方で、スタンダード型の市場は衰退していった<ref name="MBS"/>。
 
 
 
==== 第七世代(2006年 - ): 単なる辞書を超えた電子辞書 ====
 
2006年(平成18年)頃から[[2010年]](平成22年)頃にかけてはモノクロ液晶からカラー液晶に移る過渡期だったと考えられる<ref name="MBS"/>。そのほか、液晶ディスプレイの高精細化、手書き入力パッドやタッチパネル液晶の導入、多言語発音機能とテキスト読み上げ (TTS) 機能の搭載、動画コンテンツの収録、英語学習支援機能の搭載、[[ワンセグ]]機能の搭載など、多彩な特色を持つ製品が次々に開発された<ref name="MBS"/>。しかしながら、[[スマートフォン]]の登場と[[#辞書アプリ|辞書アプリ]]の普及、およびインターネットの無料辞書サイトの台頭などにより、[[2008年]](平成20年)以降は販売台数が右肩下がりである<ref name="ICDIC"/>。一方で、そのような苦境にあっても、高校生・大学生向けの学習用電子辞書の需要は健在なようである<ref name="ICDIC"/><ref>{{Cite news|url=http://news.mynavi.jp/news/2016/07/25/017/|title=カシオの電子辞書「EX-word」、20周年記念プレスイベントで語られた歴史|author=小林哲雄|publisher=[[マイナビ]]|date=2016-07-25|accessdate=2017-11-25}}</ref>。
 
 
 
=== 現状 ===
 
現状では、専用の小型筐体に[[QWERTY配列]]の物理[[キーボード (コンピュータ)|キーボード]]と[[液晶ディスプレイ]]を搭載し、本体に内蔵された[[Read only memory|ROM]]に辞書データを収録した、携帯型のIC電子辞書(電子辞書専用機)が主流である。
 
 
 
[[2017年]]現在は、辞書コンテンツを200冊収録した製品もあり、文字情報だけでなく、音声、写真、図表などのデータを収録したものも一般的になっている。画面は、廉価版モデルや発売年が古いものではモノクロ液晶のものも見られるが、[[バックライト]]付きのカラー液晶を搭載したモデルが主流であり、[[タッチパネル]]上に[[スタイラス|タッチペン]]で手書き入力が可能な機種も少なくない。[[ヘッドフォン|イヤホン]]や[[スピーカー]]から、あらかじめ収録された外国語のネイティブ音声が聞けるものや、[[音声合成]]によるテキスト読み上げ機能 (TTS) を搭載した機種もある。専用の[[メモリーカード]]スロットや[[Random Access Memory|RAM]]を搭載した機種は、別売りの追加データカードなどを使用して、辞書コンテンツの入れ替えや追加が可能である。電源方式には、[[乾電池]]式、[[充電池]]式、[[ユニバーサル・シリアル・バス#USB給電|USB給電]]式などがある。
 
 
 
=== 代表的なメーカー ===
 
==== 日本国内 ====
 
* [[カシオ計算機]]([[エクスワード|EX-word]]ブランドは[[1996年]]7月発売の「XD-500」から<ref name="ALL.B">{{harvnb|日本電子出版協会レファレンス委員会|2016|loc=&sect;B 付録2}}</ref>)
 
* [[キヤノン]]({{仮リンク|Wordtank|en|Wordtank|label=wordtank}}ブランドは[[1988年]]発売の「ID-7000」から<ref name="ALL.B"/>)
 
* [[シャープ]]([[Papyrus (電子辞書)|Papyrus]]ブランドは[[2005年]]8月発売の「PW-A8400」から<ref>{{Cite news|url=http://ascii.jp/elem/000/000/349/349238/index.html|title=シャープ、100種類のコンテンツを収録した電子辞書『PW-A8400』を発売――電子辞書のブランドを“Papyrus”に|publisher=[[アスキー・メディアワークス|ASCII.jp]]|date=2005-08-09|accessdate=2017-11-26}}</ref>、[[Brain (電子辞書)|Brain]]ブランドは[[2008年]]8月発売の「PW-AC880/AC830」から<ref>{{Cite web|url=http://www.sharp.co.jp/corporate/news/080728-b.html|title=カラー電子辞書“Brain(ブレーン)”<PW-AC880/AC830>を発売|publisher=[[シャープ]]|date=2008-07-28|accessdate=2017-11-26}}</ref>)
 
* [[セイコーインスツル]](<!-- PASORAMAは2008年11月発売の「SR-G9001」から(筆者注:メーカーによるとPASORAMAはブランドではなく機能の一つらしいので省略) -->[[DAYFILER]]ブランドは[[2013年]]1月発売の「DF-X8000/X9000」から<ref>{{Cite web|url=https://www.sii.co.jp/jp/news/release/2012/11/27/3508/|title=タッチ操作のカラー電子辞書「DAYFILER(デイファイラー)」を発売|publisher=[[セイコーインスツル]]|date=2012-11-27|accessdate=2017-11-26}}</ref>)
 
* [[ソニー]](IC電子辞書)
 
 
 
ソニーは市場シェアの低迷や競争力の低下に伴い、[[2006年]](平成18年)に電子辞書事業から撤退した<ref>{{Cite news |title=ソニー、電子辞書から撤退 |newspaper=[[ITmedia]] |date=2006-07-27 |author=岡田有花 |url=http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0607/27/news087.html |accessdate=2015-11-25}}</ref>。セイコーインスツル (SII) も、[[2015年]](平成27年)3月末に電子辞書事業から一旦撤退したが<ref>{{Cite web |url=http://www.sii.co.jp/jp/news/2014/10/07/11409/ |title=電子辞書ビジネスからの撤退について |publisher=セイコーインスツル株式会社 |date=2014-10-07 |accessdate=2015-11-25 }}</ref>、[[2016年]](平成28年)4月に[[iOS (アップル)|iOS]]向けの辞書アプリ市場 ([[App Store]]) に参入したことを発表した<ref>{{Cite web|url=http://www.seiko-sol.co.jp/archives/16341/|title=大学生向け・高校生向けの電子辞書アプリとコンテンツのダウンロード販売を開始|publisher=セイコーソリューションズ|date=2016-04-05|accessdate=2017-11-25}}</ref>。また、2017年現在、キヤノンは電子辞書の販売を続けているが、[[2013年]](平成25年)以降は新製品の発表がない。
 
 
 
[[File:Tokyo Akihabara gadgets.jpg|thumb|電器店に陳列された電子辞書(2008年)]]
 
2017年における日本の有力家電量販店の販売実績を基に算定されたメーカー別数量シェアは以下の通り<ref>{{Cite web |url=https://www.bcnaward.jp/award/section/detail/contents_type=277 |title=BCN AWARD 2018 電子辞書部門 |publisher=BCN AWARD |accessdate=2018-04-15 }}</ref>。日本における電子辞書市場は[[寡占|寡占市場]]の一つである<ref>{{Cite web|url=https://www.bcnretail.com/news/detail/051108_2631.html|title=辞書を「押す」時代到来、普及進む電子辞書、売れ筋ランキング|publisher=[[BCN (企業)|]]|date=2005-11-08|accessdate=2017-11-26}}</ref>。
 
 
 
{| class="wikitable" style="text-align:center;"
 
|+電子辞書のメーカー別シェア(2017年)
 
|-
 
!順位
 
!メーカー名
 
!年間シェア
 
|-
 
!1
 
|カシオ計算機
 
|55.7%
 
|-
 
!2
 
|シャープ
 
|27.6%
 
|-
 
!3
 
|キヤノン
 
|16.7%
 
|}
 
 
 
===== 市場規模 =====
 
日本市場のIC辞書は、出荷台数と出荷額が共に2007年(平成19年)の281万台 / 463億円をピークに下がり続けており、2017年(平成29年)には最盛期の半分以下(101万台 / 177億円)となっている<ref>{{Cite web |url=http://mobile.jbmia.or.jp/market/densi-jisyo-1996-2017.pdf |title=電子辞書の年別出荷実績推移 |date=2018-02-27 |format=PDF |accessdate=2018-7-6 }}</ref>。市場規模が縮小した背景には、[[少子化]]や、[[スマートフォン]]の普及と[[#辞書アプリ|辞書アプリ]]の充実があると考えられている。成熟した日本のIC電子辞書市場は、今後も一定の需要が見込まれている、小・中・高校生向け端末の開発にシフトしつつある<ref>{{Cite news |title=ネットで何でも検索できる時代 電子辞書は生き残れるのか |newspaper=J-CASTニュース |date=2014-10-18 |url=http://www.j-cast.com/2014/10/18218505.html?p=all |accessdate=2015-11-25 }}</ref>。
 
 
 
==== 海外 ====
 
[[File:2008 Taipei IT Month Day9 Besta CD-868 in white.jpg|thumb|180px|台湾の電子辞書 Besta CD-868]]
 
日本国外の主な電子辞書メーカーを以下に挙げる<ref name="ALL.A.2">{{harvnb|日本電子出版協会レファレンス委員会|2016|loc=&sect;A.2}}</ref>。
 
 
 
;アメリカ合衆国
 
* [[:en:Franklin Electronic Publishers|Franklin Electronic Publishers]](1981年創業の老舗メーカー)
 
* [[:en:Ectaco|Ectaco]](多言語対応の翻訳者指向のメーカー)
 
 
 
;中国
 
* [[:zh:步步高电子|歩歩高]](中・低価格帯電子辞書メーカー)
 
* [[:zh:文曲星 (品牌)|文曲星]](中・低価格帯電子辞書メーカー)
 
* 名人(中・低価格帯電子辞書メーカー)
 
* 快易典(中・低価格帯電子辞書メーカー)
 
 
 
;香港
 
* [[:zh:權智(國際)|GSL (Group Sense Ltd.)]](「快譯通 (Instant-Dict)」ブランド)
 
 
 
;台湾
 
* [[:zh:好易通科技|Besta]](台湾向けブランド「[[:zh:無敵科技|無敵]]」と中国向けブランド「[[:zh:好易通科技|好易通]]」で知られる)
 
 
 
;韓国
 
* [[アイリバー|iRiver]](多機能・高価格帯電子辞書メーカー)
 
 
 
日本勢の海外展開としては、カシオ計算機が中国、韓国、アメリカ合衆国、ドイツ、フランスなど、シャープがイギリス、イタリア、ドイツ、中国、韓国など、セイコーインスツル (SII) が英国では「SEIKO」ブランド、米国では「Franklin」ブランドで、それぞれ製品を販売している<ref name="ALL.A.2"/>。
 
 
 
== オンライン辞書 ==
 
{{See also|インターネット百科事典|オンライン辞書の一覧|[[:en:List of online encyclopedias|オンライン百科事典の一覧(英語)]]}}
 
[[インターネット]]上の[[サーバ]]などに格納された辞書データに対して、[[スマートフォン]]や[[タブレット (コンピュータ)|タブレット]]端末、[[パーソナルコンピュータ|PC]]などから、[[ウェブブラウザ]]経由でアクセスして閲覧するシステムが代表的である。オンライン辞書サイトには、無料版と有料版とがある。有料版の形態としては、フルコンテンツ版に対して利用料を課す代わりに、利用制限のある版を無料で公開している例や、オンライン版のアクセス権を付与したキーを、紙媒体の辞書の付録として頒布している例などがある。オンライン版のアクセスキーを付録としている例には、[[ロングマン現代英英辞典]]6訂版が挙げられる<ref name="LDOCE6">{{Cite web|url=http://www.pearson.co.jp/catalog/product.php?item=140000&cat=009|title=LDOCE6 Longman Dictionary of Contemporary English 6th Edition|publisher=[[ピアソン (企業)|Pearson]]|accessdate=2017-11-29}}</ref>。
 
 
 
=== 沿革 ===
 
[[1999年]](平成11年)2月22日に[[NTTドコモ]]が[[iモード]]のサービスを開始すると、[[携帯電話]]で[[携帯電話IP接続サービス|IP接続]]が可能になった<ref name="WEBDIC">{{harvnb|長谷川秀記|2016|pp=591-592}}</ref>。このiモードの公式サイトにて、[[三省堂]]が月額50円の利用料で国語辞典『[[大辞林]]』など3点を提供し始めた<ref name="WEBDIC"/>のを筆頭に、会員制の携帯辞書サイトという新しい市場が生まれた<ref name="WEBDIC"/>。[[2001年]](平成13年)、[[World Wide Web]]上では、3月に三省堂の「Web Dictionary」(有料会員制)が、4月に[[小学館]]グループ([[ネットアドバンス]])の「[[ジャパンナレッジ]]」(同年6月に有料化)が、5月にユーザー参加型のフリー百科事典[[ウィキペディア日本語版]]が、それぞれサービスを開始した<ref name="WEBDIC"/>。[[ポータルサイト]]が運営する無料辞書検索サイトの先駆けとしては、[[goo辞書]](1999年8月開設)と[[Yahoo!辞書]](2000年7月開設)があり<ref name="WEBDIC"/>、多くの日本語ポータルサイトがそれらに続いた。インターネットで提供される有料辞書サービスの多くは、無料のオンライン辞書・事典の台頭で苦戦しているが、そのうち「ジャパンナレッジ」は[[企業間取引|B2B]]市場の開拓に成功し、安定した運営を続けている<ref name="WEBDIC"/>。[[朝日新聞社]]と複数の出版社が集まって開設した[[コトバンク]]は、[[検索連動型広告]](キーワード広告)を収益源とする運営システムを採用し、消費者向けの無料辞書サービスを実現している<ref name="WEBDIC"/>。<!--
 
 
 
=== 代表的な辞書サイト ===
 
オンライン辞書のサービス形態としては、辞書の紙媒体の出版社が直接辞書検索サービスを提供している場合と、辞書検索サービス専門会社が複数の辞書データを統合してサービスを提供している場合がある。以下の分類表では、サービス提供の形態について前者を垂直統合型、後者を水平分業型と呼ぶことにする。
 
 
 
* 三省堂『Web Dictionary』『Dual Dictionary』
 
* 研究社『KOD』
 
* ネットアドバンス『[[ジャパンナレッジ]]』
 
* [[Yahoo!辞書]]
 
* [[コトバンク]]
 
* [[goo辞書]]
 
* [[Weblio]]
 
* [[JLogos]]
 
* [[ウィクショナリー]]-->
 
 
 
== 辞書アプリ ==
 
[[スマートフォン]]や[[タブレット (コンピュータ)|タブレット]]端末、[[パーソナルコンピュータ|PC]]などに[[アプリケーションソフトウェア]](アプリ)の形でインストールして利用する電子辞書が辞書アプリである。辞書アプリは、辞書データの格納場所の差異により、完全な辞書データを含んだアプリをダウンロードして利用するオフライン型アプリ、検索・閲覧用[[ユーザインタフェース|UI]]のみを[[クライアント (コンピュータ)|クライアント]](アプリ)側で提供した上で、インターネットに接続して[[サーバ|サーバー]]に格納された辞書データを参照するオンライン型アプリ、最低限の語の定義データのみをクライアント機器に保存し、音声などの付加的なデータはインターネット上のサーバーから取得する複合型アプリの3種類に大別される。辞書の紙媒体の出版社が直々に辞書アプリを提供する例や、辞書アプリの開発を専門とする会社が複数の辞書データを統合してサービスを提供する例など、実際のサービスの形態はさまざまである。
 
 
 
[[2008年]](平成20年)に[[iPhone]]が日本で発売開始されて以来、スマートフォンが普及するにつれ、電子辞書の主要形態も会員制の辞書検索サイトから辞書アプリへと変化していった<ref name="WEBDIC"/>。携帯性に優れるスマートフォンやタブレット端末は通信機能を持つため、オンライン型アプリであっても電波の届く圏内にいる限りは、どこでも辞書を利用できる利便性の良さから、広く使用されるようになった{{要出典|date=2017年11月}}。
 
 
 
[[iOS (アップル)|iOS]]端末と[[Android]]端末用の辞書アプリでは、広告付きの無料のものから5000円以上の高級なものまで、多様な辞書アプリが開発・提供されている<ref>{{Cite web |url=https://itunes.apple.com/jp/genre/ios-%E8%BE%9E%E6%9B%B8-%E8%BE%9E%E5%85%B8-%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96/id6006?mt=8 |title=iTunes プレビュー App Store > 辞書/辞典/その他 |publisher=[[アップル (企業)|Apple]] |accessdate=2017-11-29 }}</ref><ref>{{Cite web |url=https://play.google.com/store/apps/category/BOOKS_AND_REFERENCE |title=Google Play アプリ > 書籍&参考書 |publisher=[[Google]] |accessdate=2017-11-29 }}</ref>。PC用の辞書アプリは、[[CD-ROM]]や[[DVD-ROM]]経由で、または[[Microsoftストア]] (Windows) や[[Mac App Store]] (mac OS) などのオンラインのアプリストアからダウンロードして<ref>{{Cite web|url=https://www.microsoft.com/ja-jp/store/most-popular/apps/pc?target=apps,,books%20%26%20reference|title=Microsoft Store Windowsアプリ > 書籍|publisher=[[マイクロソフト|Microsoft]]|accessdate=2017-11-29}}</ref><ref>{{Cite web|url=https://itunes.apple.com/jp/genre/mac-%E8%BE%9E%E6%9B%B8-%E8%BE%9E%E5%85%B8-%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96/id12015?mt=12|title=Mac App Store プレビュー Mac App Store > 辞書/辞典/その他|publisher=[[アップル (企業)|Apple]]|accessdate=2017-11-29}}</ref>、PCに内蔵された記憶媒体([[ハードディスクドライブ|HDD]]や[[ソリッドステートドライブ|SSD]])に辞書アプリをインストールして利用する形態がある。CD-ROMやDVD-ROMに辞書を収録した記録メディアは、単独でソフトウェアとして販売されている場合もあれば、紙媒体の辞書とセットで販売されている場合もある。英英辞書の[[オックスフォード現代英英辞典]] (OALD) は第8版(2010年)<!-- CD-ROMの付属は第6版から -->と第9版(2015年)、[[ロングマン現代英英辞典]] (LDOCE) は5訂版(2009年)で、各々DVD-ROMが付属する書籍版が販売されている。最近では、LDOCE 6訂版(2014年)のように、オンライン版のアクセスキーが付属するものもある<ref name="LDOCE6"/>。
 
 
 
辞書アプリのデベロッパーとしては、[[イースト (ソフトウェア会社)|イースト]]、[[物書堂]]、[[ロゴヴィスタ]]などが知られている。
 
 
 
== 電子書籍端末の辞書機能 ==
 
[[Amazon Kindle]]や[[コボ|楽天Kobo]]などの[[電子書籍]]端末には辞書機能が付属しており、電子書籍の本文中の文字列を選択することで、選択した箇所の語の定義を調べることができる。Amazon Kindleには、『[[大辞泉]]』『[[プログレッシブ (辞典)|プログレッシブ英和中辞典]]』『''[[新オックスフォード米語辞典|New Oxford American Dictionary]]''』、『''[[オックスフォード英英辞典|Oxford Dictionary of English]]''』のほか、他言語の辞書も付属していることに加え、『[[英辞郎]]』、『''Merriam-Webster's Advanced Learner's Dictionary''』など、他の辞書を購入して追加することが可能である。
 
 
 
== 脚注・出典 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite journal |和書 |author=阿部圭子 |title=電子辞書の使用実態と普及の要因 |year=2007 |publisher=明治書院 |journal=日本語学 |volume=26 |issue=8 |issn=0288-0822 |naid=40015548383 |pages=4-17 |ref=harv }}
 
* {{Cite book |和書 |author=関山健治 |year=2007 |title=辞書からはじめる英語学習 |publisher=小学館 |isbn=978-4-09-510132-3 |ref=harv }}
 
* {{Cite book |和書 |author=日本電子出版協会レファレンス委員会 |year=2016 |title=電子辞書のすべて |publisher=インプレスR&D |isbn=978-4-8020-9066-7 |ref=harv }}
 
* {{Cite journal |和書 |author=長谷川秀記 |title=日本の電子出版30年の軌跡: 電子辞書・電子書籍の黎明期から現在まで |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/59/9/59_587/_pdf |year=2016 |publisher=科学技術振興機構 |journal=情報管理 |volume=59 |issue=9 |issn=0021-7298 |naid=130005170320 |pages=587-598 |format=PDF |ref=harv }}
 
* {{Cite book |和書 |author=茂木俊伸 |editors=荻野綱男 & 田野村忠温 |year=2011 |title=コンピュータ利用の基礎知識 |chapter=第2章 電子辞書とパソコン用の辞書 |series=講座 ITと日本語研究 |publisher=明治書院 |pages=55-102 |isbn=978-4-625-43438-9 |ref=harv }}
 
* {{Cite journal |和書 |author=山口昌也 |title=電子辞書と冊子体辞書の記述内容、使い勝手を比較して &mdash;広辞苑を両方で引いてみる&mdash; |year=2007 |publisher=明治書院 |journal=日本語学 |volume=26 |issue=8 |issn=0288-0822 |naid=40015548384 |pages=18-25 |ref=harv }}
 
* {{Cite journal |和書 |author=横山晶一 |title=国語辞書の電子化の流れ―ネット辞書・パソコン辞書・電子辞書― |year=2007 |publisher=明治書院 |journal=日本語学 |volume=26 |issue=8 |issn=0288-0822 |naid=40015548386 |pages=38-46 |ref=harv }}
 
 
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Electronic dictionaries}}
 
* [[電子出版]]
 
* [[電子書籍]]
 
* [[電子手帳]]
 
* [[電子ブックリーダー]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.jepa.or.jp/ebookpedia/201507_2512/ 電子辞書 - いまさら聞けない電子出版のABC 〜ebookpedia〜](JEPA=日本電子出版協会)
 
* [https://www.slideshare.net/JEPAslide/jepa30 JEPA30周年:私の電子辞書【映像あり】]
 
* [http://sekky.tripod.com/edichist.html 電子辞書の歴史とこれから]([http://sekky.tripod.com/jisho.html 関山健治 - 沖縄大学])
 
  
 +
{{テンプレート:20180815sk}}
 
{{デフォルトソート:てんしししよ}}
 
{{デフォルトソート:てんしししよ}}
 
[[Category:辞典]]
 
[[Category:辞典]]

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辞典・事典の内容をデジタル化し,コンピュータや専用小型端末を使ってことばや事柄を検索することができるようにしたソフトウェアあるいは装置。印刷された書籍に比べて,軽量で場所をとらず,高速検索が可能という利点があるほか,通常使われる「前方一致検索」だけでなく,後ろから引く「後方一致検索」,見出し語に加えて説明文からもことばを探す「全文検索」などが使えるのも大きな長所である。メモリなど記憶装置の大容量化で,ポケット版の専用小型端末でも複数の国語辞典,英語辞典,百科事典などが使える。コンピュータ用の辞書は CD-ROMなどで提供され,ハードディスクにインストールして使う。いくつもの辞書をまとめて検索するソフトウェアも登場している。日本の電子辞書の規格として,EPWINGコンソーシアムが提唱する EPWING規約があり,これは CD-ROMの規格である ISO9660に準拠している。




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