4ストローク機関

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4ストローク機関
(1) 吸入
(2) 圧縮
(3) 燃焼・膨張
(4) 排気

4ストローク機関(フォーストロークきかん、: Four-stroke cycle engine)は容積型内燃機関の一種で、エンジンの動作周期の間に4つの行程を経る、4ストローク/1サイクルエンジンのことである。4サイクル機関4行程機関、略して4ストとも呼ばれる。

概要

4ストローク機関は、空気燃料の混合気を燃焼室へ取り込み燃焼して燃焼ガスを排出するまでの一連の動作(サイクル)が、ピストンの上昇と下降が2回ずつの合わせて「4回の行程」で行われる、容積型内燃機関である。1サイクルの間には、ピストンがシリンダー内を2往復してクランク軸は2回転する。

自動車やディーゼルエンジンを動力源とする鉄道車両通常動力型潜水艦などで用られているほか、比較的小型の航空機でも用いられる。また、発電機や揚水ポンプのような定置型の動力源、農林業で用いられる可搬型の作業機械としても広く用いられている。なお、大型船舶のディーゼルエンジンは2ストロークが多い。

ホンダ・カブ(スーパーカブ)では4サイクルエンジンが採用され、低燃費(50スーパーカスタムでは180km/L)と高寿命高耐久性[1]により、日本国外にも多く知られている[2]

行程

ガソリンエンジンとして広く普及しているものはドイツニコラス・オットーによって発明されたオットーサイクルで、燃焼のきっかけとして電気火花を利用することから火花点火機関と呼ばれることもある。ロータリーエンジン(バンケルエンジン)はピストンを使わないが基本原理は同様で、オットーサイクルのひとつとして分類される。1サイクル中の4つ行程は以下の通りである。

  1. 吸入行程 : ピストンが下がり混合気(燃料を含んだ空気)をシリンダ内に吸い込む行程。
  2. 圧縮行程 : ピストンが上死点まで上がり混合気を圧縮する行程。
  3. 燃焼行程 : 点火プラグにより点火された混合気が燃焼し、燃焼ガスが膨張してピストンが下死点まで押し下げられる行程。以前は爆発行程と言った。
  4. 排気行程 : 慣性によりピストンが上がり燃焼ガスをシリンダ外に押し出す行程。

軽油などの自己着火性の高い燃料を用いるエンジンとして普及しているものは、ルドルフ・ディーゼルが発明したディーゼルサイクルである。ディーゼルサイクルを利用したエンジンはディーゼルエンジンと呼ばれる。ディーゼルサイクルは次の4行程で構成される。

  1. 吸入行程 : ピストンが下がり、空気のみをシリンダ内に吸い込む行程。
  2. 圧縮行程 : ピストンが上死点まで上がり空気のみを圧縮する行程。
  3. 燃焼行程 : 圧縮により高温になった空気に燃料が噴射され、熱により燃料が自己着火して燃焼し、燃焼ガスの膨張力によりピストンを下死点まで押し下げる行程。
  4. 排気行程 : 慣性によりピストンが上がり、燃焼ガスをシリンダ外に押し出す行程。

工夫

一部の自動車や航空機用のエンジンの多くは点火プラグをシリンダーあたり2本持つ。

メカニズムを簡素化するために、点火プラグは、掃気の行程であるピストンが上死点に近づく位置でも火花をとばす。

2ストローク機関との比較

燃料に同じガソリンを用いる場合について2ストローク機関と比較すると、未燃焼成分である炭化水素や潤滑油の燃焼に伴う粒子状物質の排出量が少なく、三元触媒を用いて窒素酸化物一酸化炭素の排出を抑制しやすい。燃焼効率や熱効率が高く、燃費が良好である。排気の騒音が2ストローク機関より低い。爆発(作用)ストロークが下死点近くまで続いて働き、他の3ストロークをこなすための慣性装置(フライホイール)の働きも強いので、低速回転の安定性や操作性は2ストローク機関に勝る。

一方で、クランクシャフトの回転に対する燃焼行程の回数が2ストローク機関の半分になるため、同じ排気量で比較すると出力(軸トルク)が低い。吸排気バルブとその駆動機構やエンジンオイルの循環機構などのために部品点数が多く、重量や価格の面で不利である。必要な整備間隔は長くなるとしても整備には手間と費用が掛かる。

脚注

  1. 夏目幸明 『ニッポン「もの物語」』 講談社 2009年6月 ISBN 978-4-06-215315-7 その15 スーパーカブ(p.150)
  2. DISCOVERY Chanel 「Legend of motorcycle」

関連項目

テンプレート:レシプロエンジンの気筒配置による分類