「B-52 (航空機)」の版間の差分

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'''B-52'''
 
'''B-52'''
  
[[ボーイング]]社が開発し[[アメリカ空軍]]に採用された[[戦略爆撃機]]。愛称は'''ストラトフォートレス'''(''Stratofortress'':直訳すると「[[成層圏]]の要塞」だが、小説などでは「超空の要塞」と意訳される事も多い)。
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エンジン8基を備えるアメリカ合衆国の大型戦略爆撃機。開発は第2次世界大戦直後の 1945年に空軍の要求で始まり,複数のメーカーがターボプロップを含むさまざまな構想を提案した結果,[[ボーイング]]の案が採用され,1951年 13機の発注となった。 1954年8月B-52Aとして初飛行,1955年配備につく。以来B-52BからB-52Hまで改良と発展が続き,1970年代以降のアメリカ戦略空軍の主力長距離爆撃機として常に水素爆弾4基を搭載,数機が空中待機をしつつアメリカの外交を支えた。B-52Hは,エンジンがP&W TF33-P-3ターボファン (推力 7.7t) 8,乗員6,全長 48m,全幅 56.4m,総重量 221t,最大速度マッハ 0.95,航続距離2万 km。武装は 20mmバルカン砲1のほか,短距離攻撃ミサイルや核爆弾を搭載する。 1980年代には[[ECM]] (電子対抗) 装置やミサイル装備を強化し,湾岸戦争ではイラク軍陣地に大量の通常爆弾を投下した。アメリカ空軍は今後なお 2030年代までB-52Hの運用を続ける。
 
 
== 概要 ==
 
技術的には、先行する[[B-47 (航空機)|B-47]]で実証された諸要素を踏まえ[[大陸間爆撃機]]([[B-36 (航空機)#開発|ten ten Bomber]])の航続力と兵装搭載力、[[亜音速]]の速度性能の機体である。[[ソビエト連邦|ソ連]][[東側諸国|圏]]内の目標を自由落下型[[核爆弾]]で攻撃するために作られたが、[[ベトナム戦争]]では、[[第二次世界大戦]]で投下された爆弾を大きく上回る量の[[絨毯爆撃]]を行い「'''死の鳥'''」と恐れられた。
 
 
 
戦略核攻撃に使用するため、機体中央部は爆弾倉となっており、大型で大重量の初期の核爆弾を搭載可能。初期型は大型の[[水素爆弾]]しか搭載しなかったが、ベトナム戦争の頃から一部の機体は、通常の[[無誘導爆弾|自由落下爆弾]]も搭載できるように改造された。後期型のG型・H型においては、空中発射型の[[巡航ミサイル]](当初は[[AGM-28 (ミサイル)|AGM-28 ハウンド・ドッグ]]、後に[[SRAM (ミサイル)|SRAM]]や[[ALCM (ミサイル)|ALCM]]。いずれも[[核弾頭]]装備)を主要兵装としていた。兵器は胴体内の爆弾倉のほか、主翼内側下の[[パイロン]]に追加搭載も可能である。また、初期型は[[ターボジェットエンジン]]を装備していたが、後期型は[[ターボファンエンジン]]に換装し燃費が向上、[[航続距離]]の延長を図った。
 
 
 
[[降着装置]]はB-47から踏襲した[[降着装置#タンデム式|タンデム]]式の変形である。機体下部に複列タンデムに並んだ4つの主脚と翼端を支える[[アウトリガー]]を備えている。B-52の主脚はそれぞれがステアリング可能だという点で特徴的である。これは慣性航法装置により計算され、風上を向いている機首方向とは別に主脚を実際の進行方向(滑走路の向き)に自動的に合わせることにより[[横風着陸]](クラブランディング)を容易にし、着陸時の横滑りによる[[タイヤ]]の損傷([[パンク|カットコード]])を防止するように工夫されている。
 
 
 
冷戦の激化とソ連による奇襲[[核戦争#核攻撃の形態|核攻撃]]を恐れたアメリカは、複数のB-52を常に滞空させることにより敵の核攻撃による全滅を防ぎ、いつでも[[共産圏]]への報復核攻撃を可能とした「戦略パトロール」(Chrome Dome)を1962年から実施していたが、実弾頭の核兵器搭載によるパトロールは、複数回の墜落による[[放射能汚染]]事故を起こし、1968年の[[チューレ空軍基地米軍機墜落事故]]を契機に取りやめられた。
 
 
 
一層の攻撃力強化のための[[空中発射弾道ミサイル]]「[[スカイボルト (ミサイル)|スカイボルト]]」搭載計画もあったが、技術的困難から[[1962年]]に中止された。以後[[潜水艦発射弾道ミサイル]]や[[巡航ミサイル]]の発展により、この種の計画の検討は行われていない。
 
 
 
なお、冷戦時においても[[イギリス]]や[[日本]]、[[ドイツ]]などの西側諸国や、[[イラン革命|革命]]前の[[イラン]]などの友好国の空軍への導入実績はなく、現在に至るまでアメリカ空軍以外で導入、運用実績はない。
 
 
 
[[2013年]]時点において、過去数度の近代化改装を施した上でも3-4世代前の古い技術による機体ではあるが、いわゆる「[[枯れた技術]]」を基礎としていることから兵器として最も重要な信頼性に結びついており、兵器の搭載能力・[[米軍再編]]による戦力再評価などの諸要因もあり戦略・戦術両面における評価が高く、[[1962年]]に最終号機を納入し終えてから[[半世紀]]以上経つが未だに運用中で、これからも適宜改修し[[2045年]]までの運用を予定している。2012年現在、76機保有している。
 
 
 
  
 
== 出典 ==
 
== 出典 ==

2018/9/24/ (月) 23:06時点における版

B-52 ストラトフォートレス

US Navy 030415-F-7194F-015 A B-52 Stratofortress assigned to the 40th Expeditionary Bomb Squadron, loaded with 12 Joint Direct Attack Munitions (JDAM) heads toward Iraq with it's new mission directive.jpg

B-52

エンジン8基を備えるアメリカ合衆国の大型戦略爆撃機。開発は第2次世界大戦直後の 1945年に空軍の要求で始まり,複数のメーカーがターボプロップを含むさまざまな構想を提案した結果,ボーイングの案が採用され,1951年 13機の発注となった。 1954年8月B-52Aとして初飛行,1955年配備につく。以来B-52BからB-52Hまで改良と発展が続き,1970年代以降のアメリカ戦略空軍の主力長距離爆撃機として常に水素爆弾4基を搭載,数機が空中待機をしつつアメリカの外交を支えた。B-52Hは,エンジンがP&W TF33-P-3ターボファン (推力 7.7t) 8,乗員6,全長 48m,全幅 56.4m,総重量 221t,最大速度マッハ 0.95,航続距離2万 km。武装は 20mmバルカン砲1のほか,短距離攻撃ミサイルや核爆弾を搭載する。 1980年代にはECM (電子対抗) 装置やミサイル装備を強化し,湾岸戦争ではイラク軍陣地に大量の通常爆弾を投下した。アメリカ空軍は今後なお 2030年代までB-52Hの運用を続ける。

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