NVIDIA

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NVIDIA Corporation(エヌビディアコーポレーション)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララにある半導体メーカー。コンピュータのグラフィックス処理や演算処理の高速化を主な目的とするGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を開発し販売する。 デスクトップパソコンやノートパソコン向けのGPUであるGeForceシリーズ、プロフェッショナル向けでワークステーションに搭載されるQuadroやNVSシリーズで有名だが、スーパーコンピュータ向けの演算専用プロセッサであるTesla(テスラ)や、携帯電話やスマートフォンタブレット端末向けのSoC(システム・オン・チップ)であるTegra(テグラ)の開発販売も手掛ける。日本法人は東京都港区赤坂にある。

歴史

ファイル:KL NVIDIA Geforce 256.jpg
NVIDIA初のジオメトリエンジン搭載GPU

LSIロジックを退社したジェン・スン・フアンEnglish版黃仁勳Jen-Hsun Huang、社長兼CEO)が、1993年にクリス・マラコウスキーEnglish版Chris Malachowsky、副社長)らと共にNVIDIAを設立した。

最初の製品であるGPU「NV1」は、ダイアモンド・マルチメディア社より3Dグラフィックスボード「EDGE 3D」に搭載された。この製品は曲面描画を採用した意欲的製品ではあったが、Windowsの3次元映像描画機能であるDirect3Dがまだ確立していない時期であったため、同APIには対応していなかった。結果、製品デモとしてバンドルしていた専用バージョンのゲームソフト、セガの『バーチャファイター』など一部のソフトでしか利用可能ではなかったため、限定的な売上げに留まっており、後継製品も出なかった。

1997年SGI に所属していた技術者が続々と参加し、低価格でありながら非常にパワフルなGPU「RIVA 128」を発表(製造を担当するSGS-Thomsonのブランドでの製品名はSTG2000、STBからはVelocity 128 AGP)し、業界大手の仲間入りを果たす。更に後継製品である「RIVA TNT」が1998年に発売され、一躍PCグラフィックチップ界の技術的筆頭メーカーとなった。

1999年、PC用の廉価なGPUとしては世界で初めてジオメトリエンジンを搭載した「GeForce 256」を発売、その地位を不動のものとした。GeForce以前にもPC用としては業務用で用いられる高価なジオメトリエンジン搭載GPUや、3DlabsのPermediaシリーズなどのOpenGLに特化したジオメトリエンジン搭載VGAカードは存在したが、業務用として発売されているGPU搭載ボード(またはグラフィックワークステーション)は個人で購入するには高価であり、比較的安価だったPermediaは満足できる性能には至っていなかった。NVIDIAは以前から取引のある多数のアセンブリメーカーにチップを提供、多数の消費者に対して売り出し、ハリウッドでしか作ることが出来なかったレベルの3DCGを個人のPCで実現可能とした事により、市場に衝撃を与えると同時に好感をもって受け入れられた。

以降に登場するGPUは、ジオメトリエンジン搭載が標準となり、搭載していないものは、HDTV等の機能に特化、あるいは数世代遅れの性能を持つローエンド向け製品として区別される事となる。しかし、GPUをチップセットが内蔵するようになったことでローエンド製品の存在意義が消失、多大な開発費を要する高性能GPUのみが存続できるという市場状況となった。これによりNVIDIAと肩を並べるATIなど一部を除き、ほとんどのメーカーが合併や事業縮小撤退などにより、次々と淘汰されていった。

CPUメーカー第2位のAMDは、チップセットへのGPU統合化、将来的にはCPUとの統合を模索しており、GPU技術を持たないAMDは、GPUメーカー第2位のATIの買収を行なった。これによりATIを擁するAMDプラットフォームからNVIDIAは徐々に締め出され、NVIDIAはIntelプラットフォームへ傾倒していくようになった。しかしPC用CPUメーカー第1位のIntelも自前のGPUを持っており、新型の高性能GPUとしてLarrabeeの開発を行なっていた。その後単体GPUは発売されなかったものの、Intelは自前のGPUをCPUに内蔵するようになったため、Intel向けGPU内蔵チップセットを開発する意味を失ってしまった。第3位のVIAも買収したS3を持っており、PC向けGPU市場が事実上消滅してしまう可能性も取り沙汰された。2010年、NVIDIAはついにチップセット事業からの撤退を発表することになった。

そのため、自社のGPUにARM系CPUを統合してモバイル方面に活路を見出す方向性を打ち出し、2008年にTegraを発表。

近年の主な事業

  • 1997年には本社をカリフォルニア州サンタクララに移転した。
  • 2000年12月には当時ライバルであった3dfx社を買収している。
  • 2001年末の北米でのクリスマス商戦では、マイクロソフトと共同開発したXboxが発売。日本でも翌年2月に発売された。
  • 2004年12月7日SCEIと共同でPlayStation 3のGPU (RSX) を共同開発することを正式発表した。
  • 2006年11月GPGPUソフトウェア開発基盤「CUDA」を発表。
  • 2013年1月7日に自社で携帯型ゲーム機を開発する「Project SHIELD」を発表。同ゲーム機はAndroidとTegra 4を搭載して同年7月末に「SHIELD」という正式名称で北米にて発売された。
  • 2014年、組み込みシステム向けソリューション「Jetson」を発表[1]
  • 2016年、ディープラーニング用スーパーコンピュータ「DGX-1」を発表[2]
  • 2017年3月3日任天堂から発売されたゲーム機「Nintendo Switch」を共同開発した。

グラフィックスチップについて

企画設計と販売を行い、実際の製造はファウンダリー(ファブ)に外部委託するファブレスメーカーである。主なファウンダリーは台湾TSMC

2010年9月21日、ドイツ・シンガポールに拠点を置くファンダリーGLOBALFOUNDRIES社との契約が成立したことを発表した[3]。 今後はTSMCと並行しGLOBALFOUNDRIESへも製造委託すると見られる。

半導体の微細化技術に優れるファブと協業することが競争力を保つ要素であり、難易度が高くなる微細化が進むにつれ、複数のファブを利用するようになった。 かつて、IBMのファブを利用していたこともある。

過去には製造委託したファウンダリーにも独自ブランドでの販売権を与えていたが、知名度が高まるにつれ全量を買い上げるようになった。委託製造されたチップを複数のボードベンダーに供給し、ボードベンダーがグラフィクスボードに仕立てて販売を行なう。ボードベンダーはNVIDIAにとっての重要度から、「ティア1」「ティア2」といった階級付けが行われている。

新設計のチップはティア1のベンダーに優先的に供給され、試作と初期製造が行われる。製品発表会などで複数ベンダーの展示がある場合、ティア1ベンダーの製品をNVIDIAがその他のベンダーへ配給し、その他のベンダーはヒートシンクに自社デザインのステッカーを貼るなどして展示を行なっている。ティア1での製造が安定すると、ティア2ベンダーへの販売用のチップの供給が開始される。

過去にはカノープスなどが独自設計のボードを製作していたが、現在はNVIDIAによる標準(リファレンス)デザインのボードを用いることがチップ供給の条件となっている。これは、過去にRIVA TNT2や同TNT2M64といったチップを多数のベンダーに提供したことで、各社が同じチップを搭載したボードで激しい価格競争を行なった結果、製造原価を抑えた粗悪なボードデザインや部品を使用した製品が出回った教訓から、一定品質を確保し消費者に提供するために取った方法である。その結果、開発者サポート制度の充実により、開発時のリファレンスとして用いられることが多く、ユーザーの人気を高めた。標準デザインにはネットリスト(配線リスト)、アートワーク(配線パターン)が含まれるため、各社のボードはほぼ同じものとなりがちである。

PC用のビデオチップでジオメトリエンジンの採用製品化を行い、ブランドとして「GeForce」を新設した。これによりCPUを補助するチップではなく、CPUと並ぶ主要なチップGPU(Graphics Processing Unit)であると主張した。それまでも他社よりも頭一つ抜けていたが、これにより明確に筆頭メーカーとなり、GPUは事実上グラフィックチップの呼称となっていった。

単独のGPUでの性能の限界から、2つのGPUボードを並列で利用することで性能向上を求める「SLI」の開発を行なう。後からSLI対応のGPUボードを追加することで、アップグレードパスとした。また、SLIの変形として単一のボード上に2個のGPUを実装する形態も発表している。更に4枚のGPUボードで2560×1600ドットの高解像度でのグラフィック表現をする「QuadSLI」に注力、その代表としてGeForce 7950 GX2(単体販売)、GeForce 7900 GTX Duo(2006年9月現在、販売実績は無い)が挙げられる。GeForce 7950 GX2はボード上に2個のGPUが実装されていることから、QuadSLIを行なうには2枚のボードで済む。ただし、SLI機能を持つボードにはSLI動作に必要な「SLIコネクター」を同梱しない製品も存在する(「SLI Ready」マークが目印)。QuadSLIに対応するドライバー(ユーティリティー「ForceWare」最新版)が公表されて、自作PCでの実現が可能となった。

ライバルとなったATI Technologies(2006年にAMDが買収)に対し長年リードを築いていたが、同社がコンシューマ向けにRadeon、プロ向けにFireProブランドを創設すると同時に方針転換を行い、強力な製品を開発するようになった。それによりNVIDIAと以前以上に熾烈な性能争いを繰り広げ、2012年現在では使用状況次第で得意不得意が現われる事となり、一概にどちらが優れていると評価できないほど実力は拮抗するようになった。

チップセット「nForce」について

nForce (エヌフォース) シリーズは、AMDプラットフォームで、かつてはトップシェアを誇っていたチップセットである。VIAやATIと熾烈な開発競争を繰り広げていた。欠点としてチップが高発熱であることと、サウスブリッジにやや問題を抱えていたとされたことである。なお、日本では「エヌフォース」と発音されるが、英語ではenforce(エンフォース)と同じ発音である。

2006年にATIがAMDに買収されたことで、チップセット分野では従来通りAMDと綿密に提携しているものの、グラフィックスチップ分野ではAMD(旧ATI)と競業するという複雑な様相を呈している。 このように、商品によってはAMDと競業するも、互いに大きな利益関係を持っておりNVIDIAがAMD向けチップセット開発を打ち切るという事態には陥っていなかった。 ただし業務提携後に開発されたAMD社製のチップセット(特にAMD 780G以降)がローエンド~ハイエンドまで広くカバーするラインナップを揃え各マザーボードメーカーが新製品を続々と発表・発売するのに対し、nForceはハイエンドチップは旧世代製品のリネームしか存在せず、期待されたグラフィック統合チップセットもAMD社製の物に比べれば性能が劣り、マザーボードもそれほど製品の数がでていなかった。但しIntelプラットフォーム用の同製品は、Intel Gシリーズなどの統合チップセットよりは高いパフォーマンスを持っていた。

2010年初めにチップセット部門とSOC部門を統合し、既存チップセットの出荷継続を除き、事実上、チップセット事業から撤退した。

  • 2001年 AMDのAthlon向けのチップセット「nForce」を投入し、12月ごろから流通が始まった。
  • 2002年 「nForce2」を投入、PC向けのドルビーサラウンドに対応した初めてのサウスブリッジ。
  • 2003年 AMDのAthlon64およびOpteron向けのワンチップの「nForce3」を投入した。
  • 2004年 かつてのVoodooシリーズを彷彿とさせるSLI対応のチップセット「nForce4 SLI」を投入。
  • 2005年 インテル向けのチップセットの投入。チップセットメーカーのULiを買収すると発表。
  • 2006年 2月21日ULiの買収を完了したと発表。
  • 2006年 2月22日ATI社と合同研究会を開催。
  • 2006年 6月頃、AMDの新ソケット「SocketAM2」のCPUの発売に合わせ「nForce 550」、「同570 Ultra」、「同570 SLI」、「同590 SLI」を投入。
  • 2006年 11月、「GeForce 8800シリーズ」と同時に「nForce 680i SLI」「同680a SLI」(ただし12月初旬発表の「Quad-FXプラットフォーム」では680aノースブリッジを二つ搭載。)「同650i SLI/Ultra」「同650a SLI/Ultra」を発表、投入。(注、この系統の「i」「a」はそれぞれ「インテル」「AMD」を表す)
  • 2007年 12月17日(米国現地時間)nForce700iシリーズを発表、780iにおいては3枚のGeForce 8800 Ultra/GTXを用いた3-way SLIをPCI Express 2.0 x16でサポートしている。チップセットはSPP,MCP,nForce200の3枚構成となっている。
  • 2008年 1月、AMD向けチップセットとして「nForce700aシリーズ」、及び「GeForce 8200」、「GeForce 8300」を発表。チップセットには同社で初となるHybrid SLIを搭載することを正式発表。同年3月に各社から正式発売された。

2006年初頭に台湾の老舗チップセットメーカーULiの買収を行った。それによりULiはNVIDIAのアジア方面の営業担当として機能している。ULiはチップセットとしてのみならず、チップセットの構成要素であるサウスブリッジ単体でも他のメーカーに供与するという実績を持っている。NVIDIAは旧ULiの製品の需要家向けに、ULiブランドの継続とその製品の供給を、買収後も続けている(2007年11月ASRockよりM1695+nForce3 250のマザーボードが発表されている)。そのULiのサウスブリッジが多く利用される一つにATIのチップセットがある。ATIのサウスブリッジは評価が良くないことからULiのサウスブリッジが代用されることが多い[4]。ATIはGPUならびにチップセット市場でNVIDIAと競合している企業である。上記で述べたようにNVIDIA自身もサウスブリッジに問題を抱えていたとされ、ULiの技術を欲していたとも考えられた。

なお、NVIDIAは過去にULiの前身であるALiと共同でALADDiN-TNT2(RIVA TNT2-M64相当)というグラフィック統合チップセットを開発したことがある。

AGEIAの買収

NVIDIAは2008年2月に物理シミュレーションエンジンPhysXおよびPC向け物理シミュレーションチップ(PPU)を開発・製造しているAGEIAを買収した。GeForce 8シリーズ以降を搭載した全てのビデオカードで、無料のソフトウェアのバージョンアップによりGPUをPPUとして利用することが可能になることが発表され、また3way SLI時に2枚のビデオカードを描画に、1枚を物理演算専用に割り当てる等の設定も可能になるという。

Tesla

NVIDIAはレンダリング・ファームとも呼ばれる、サーバ向けラックマウント製品「Quadro Plex」などをリリースしていたが、2007年6月20日、HPC (High-Performance Computing) 向けの新たな汎用GPUコンピューティング (GPGPU) 製品を提供することを発表した。ハードウェアとしてはQuadroシリーズをベースとしたラックマウント型「S870」、PCI Expressで端末PCに外付け接続するボックス型「D870」、そしてPCI Expressに直接接続するカード型「C870」とあるが、いずれもグラフィックス出力を持たないことが非常に大きな特徴と言える。TeslaはGeForceおよびQuadroとともに進化を続け、G80、GT200、Fermi、Kepler、Maxwell、Pascal、VoltaアーキテクチャのTeslaがリリースされている。

TeslaはGPGPUプログラムの開発・実行環境として主にCUDAを使用する。SDKであるCUDA Toolkitは無償で入手可能である。

日本の代理店はエルザ ジャパンが担当する[1]日本SGIを始めとする、多数の販売パートナーが存在する[2]

主な製品等

出典

外部リンク