SCHAFT (ロボット)
株式会社SCHAFT(英語: SCHAFT Inc.)は、ソフトバンクグループでロボットの研究開発を手がける日本の企業。
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概要
株式会社SCHAFTは2012年5月、東京大学情報システム工学研究室稲葉雅幸教授のもとでロボットと人工知能を研究し、 小太郎、小次郎、腱臓、腱志郎など筋骨格ヒューマノイド・ロボットの制作や浦田レッグで成果をあげてきた中西雄飛と浦田順一(当時助教)が、[1] DARPAロボティクス・チャレンジに参加する為同大学を辞して設立された。[2][3]なお、東京大学は軍事目的に転用可能な技術開発をする組織)からの資金提供を受けることを禁止している為、DARPAの資金支援を受けるには職を辞する必要があった。[4] 立ち上げ時の中心メンバーは中西雄飛CEO、浦田順一CTO、鈴木稔人COOと加藤崇CFOおよび西脇光一(産能研) 。 元銀行員である加藤崇が資金調達を担当し、[5]ベンチャーキャピタルや社外取締役・鎌田富久の出資により数千万を工面し当初の開発着手に至った。[6][7]
国内の低評価と国外の高評価
その後も資金調達を進めたが国内では評価が認められず、国内企業や産業革新機構や経済産業省から開発費3億円の資金調達を試みたが「類似のベンチャーは全て失敗している」「面白い。だけど、どこに市場があるの?」[8]「介護・福祉のロボットなら補助の枠があるんだが、君たちのようなタイプには枠がないんだよ」「介護用のロボットに対する補助金を申請してみてはどうか」「そんなにやりたいんなら、アメリカでやればいい…」[9]とあしらわれ不調に終わる。しかし、鎌田のツテで海外企業に打診したところ2013年7月18日Googleアンディ・ルービンの前でデモを行う機会を得る。そこで高く評価され数百億円での買収が決まり、4ヶ月後の11月18日には買収手続きが完了しGoogle X傘下に入った。
Googleは傘下に入れたSCHAFTの情報を徹底的に遮断し、2013年12月21日に行われたDARPAロボティクス・チャレンジ予選でS-ONEが他を圧倒して1位となり世界中で賞賛された時にはすでにWebサイトも事実上閉鎖されており、それまで距離を置いてきた経産省が連絡を試みてもなしのつぶてであった。[10]国内の有望企業が米国に流出した事が明らかになると国内のマスメディアは支援枠が少なく後手に回った行政の対応や、[11][12]大学内の自主ルールで掣肘され産学官軍で協力した研究開発が実施できない現状を批判した。[13]
ソフトバンクによる買収
2014年10月にアンディ・ルービンが失脚すると[14]Google Xは方向性を見失い[15]短期採算見通しの立たないロボット事業は売却対象とされ、[16]2017年6月SCHAFTはボストン・ダイナミクスとともにソフトバンクグループへ売却された。
沿革
- 2012年05月15日 - 株式会社SCHAFT設立
- 2013年03月17日 - 第三者割当増資
- 2013年11月18日 - Googleによる買収完了
- 2013年12月21日 - S-ONEがDARPAロボティクス・チャレンジ予選を最高得点で通過[17]
- 2016年04月09日 - 膝のない二足ロボットをデモ[18]
- 2016年05月31日 - トヨタ自動車がGoogleとSCHAFTとボストン・ダイナミクスの買収間近と報道[19]
- 2017年06月09日 - ソフトバンクグループがSCHAFTとボストン・ダイナミクスを買収[20]
参考文献
- ↑ “「シャフト」って一体何者? 『IEEEスペクトラム』が解説”. ロボスタ (2014年2月8日). . 2017閲覧.
- ↑ “「より人間らしく」進化を続けるロボット研究 稲葉雅幸教授インタビュー1”. 東大新聞オンライン (2014年11月14日). . 2017閲覧.
- ↑ “SCHAFT開発とGoogleの買収、ロボットビジネスの今 稲葉雅幸教授インタビュー2”. 東大新聞オンライン (2014年11月18日). . 2017閲覧.
- ↑ “Googleが買収!ヒト型ロボットへの株式会社SCHAFTの飽くなき挑戦”. 就活エンジニア (2015年1月28日). . 2017閲覧.
- ↑ “イノベーションの最前線 東大発ベンチャー・シャフト元CFO激白 世界一の国産ロボットはなぜグーグルに買われたのか”. 文藝春秋 (2014年12月17日). . 2017閲覧.
- ↑ “SCHAFT社CFO加藤氏に聞く、Google買収までの舞台裏【@itmsc】”. techwave (2013年12月20日). . 2017閲覧.
- ↑ “DARPAロボコンで勝利した日本のヴェンチャー企業が、グーグルに買収された理由”. wired (2013年12月23日). . 2017閲覧.
- ↑ “東大「SCHAFT」はなぜ日本を去ったのか”. WEBRONZA (2015年2月26日). . 2017閲覧.
- ↑ “ゾンビ企業を助け新産業を見殺す国”. 日経ビジネス (2016年1月11日). . 2017閲覧.
- ↑ “(ザ・テクノロジー:上)のまれる日本のロボット技術 グーグル、次世代にらみ買収”. 朝日新聞デジタル (2014年4月30日). . 2017閲覧.
- ↑ “(ザ・テクノロジー:2)「日本の快挙」がグーグルに”. 朝日新聞デジタル (2014年4月30日). . 2017閲覧.
- ↑ “グーグル・東大連合の波紋 税金投じた技術、海外流出”. 日経新聞社 (2014年2月14日). . 2017閲覧.
- ↑ “ロボット開発にも東大独自ルールの壁 「頭脳流出」問われる姿勢”. 産経新聞 (2014年5月1日). . 2017閲覧.
- ↑ “Androidの生みの親アンディ・ルービン氏、グーグルを去る”. gizmodo (2014年10月31日). . 2017閲覧.
- ↑ “グーグルのソフトバンクへのロボット売却は必然だ —— SCHAFT共同創業者・加藤氏に聞いた”. BUSINESS INSIDER (2017年6月9日). . 2017閲覧.
- ↑ “Googleがロボットを売った理由、ソフトバンクが買った理由”. gizmodo (2017年6月19日). . 2017閲覧.
- ↑ “東大発のベンチャー企業SCHAFT、DARPA主催のロボコンで首位に”. CNET Japan (2013年12月24日). . 2017閲覧.
- ↑ “Alphabet(旧Google)の秘蔵っ子、日本のSchaftが新しい二足ロボットをデモ”. techcrunch (2016年4月9日). . 2017閲覧.
- ↑ “トヨタ、ロボ開発2社買収交渉 米グーグルから”. 日経新聞社 (2016年6月1日). . 2017閲覧.
- ↑ “ソフトバンク、米グーグルからロボVB2社買収”. 日経新聞社 (2017年6月9日). . 2017閲覧.