やまびこ (列車)
やまびこ | |
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概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 特別急行列車(新幹線) |
現況 | 運行中 |
地域 | 東京都、埼玉県、茨城県[注 1]、栃木県、福島県、宮城県、岩手県 |
前身 | 特急やまびこ、特急はつかり(上野駅 - 盛岡駅間)、特急ひばり |
運行開始 | 1982年6月23日 |
運営者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
旧運営者 | 日本国有鉄道(国鉄) |
路線 | |
起点 | 東京駅 |
終点 | 盛岡駅 |
営業距離 | 496.5 km(東京駅 - 盛岡駅間)[注 2] |
使用路線 | 東北新幹線 |
車内サービス | |
クラス | グランクラス・グリーン車・普通車 |
座席 |
グランクラス指定席 グリーン車指定席 普通車指定席 普通車自由席 |
技術 | |
車両 |
E2系(JR東日本新幹線総合車両センター) E3系(JR東日本秋田車両センター) E5系(JR東日本新幹線総合車両センター) H5系(JR北海道函館新幹線総合車両所) E6系(JR東日本秋田車両センター) |
軌間 | 1,435 mm |
電化 |
交流25,000 V・50 Hz (架空電車線方式) |
最高速度 | 275 km/h |
やまびことは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が東北新幹線の東京駅・那須塩原駅・郡山駅 - 仙台駅・盛岡駅間で運行している特別急行列車である。
本項では、東北新幹線で運行されていた「あおば」および、東北新幹線開業前まで運転されていた在来線特急「やまびこ」についても記述する。
Contents
新幹線「やまびこ」
概要
新幹線の「やまびこ」は、1982年6月に東北新幹線の開業の際に、東北新幹線における速達型列車(東海道・山陽新幹線における「ひかり」に相当)として運転を開始した。1994年7月にはE1系「Max」の営業運転が開始されたことにより、この車両を使用する列車は「Maxやまびこ」の列車名で運転されていた。
一方、東北新幹線の各駅停車型列車(東海道・山陽新幹線における「こだま」相当)については「あおば」の名称が与えられた。開業当初、「あおば」は昼間時間帯は大宮駅 - 仙台駅以南での運転となり、仙台駅 - 盛岡駅間については「やまびこ」が各駅に停車することで代替とされたため、下りの始発列車と上りの最終列車のみに「あおば」の名称が使われた。1994年のE1系営業運転開始時には「あおば」にも投入され、「Maxあおば」の列車名で運転されていた。
1995年に「あおば」の運行体系が見直され、首都圏の近距離新幹線列車(東京駅 - 那須塩原駅間を各駅停車で運行される系統)が「なすの」「Maxなすの」として分離され、「あおば」の本数が減少。さらに1997年10月の北陸新幹線(高崎駅 - 長野駅間)先行開業に伴うダイヤ改正を期に列車名の体系が見直され、「あおば」「Maxあおば」を「やまびこ」「Maxやまびこ」に統合し、東京駅 - 仙台駅・盛岡駅間を走行する列車は速達・各駅停車タイプを問わずに「やまびこ」として運行されるようになった。その後、2002年12月1日の東北新幹線八戸延伸時に新たな速達列車として「はやて」が、2011年3月5日のE5系投入時にさらなる速達列車として「はやぶさ」が登場している。八戸・新青森方面への延伸を機に、「やまびこ」は「東京駅 - 仙台駅・盛岡駅間を走行する新幹線列車」に列車の性格が改められた。
在来線でも「やまびこ」が運転されていた時期があり、1959年に福島駅 - 盛岡駅間の準急列車として運転が行われ、1961年には青森駅まで運転されていた。1963年に一度廃止されたが、1965年に東北本線盛岡駅まで電化の伸長に伴い、「つばさ」の盛岡駅発着編成を分離して「やまびこ」の名称を与えた。その後、1982年の東北新幹線開業に伴い、「やまびこ」の列車名は新幹線の列車で使用されることになった。一方、「あおば」も1971年から1975年の間、仙台駅 - 秋田駅間を東北本線・北上線・奥羽本線経由で運行する特急列車の名称として用いられてきたことがある。
運行概況
東京駅 - 福島駅間で「つばさ」と併結運転する列車と、全区間で単独運転を行う列車がある。2002年12月1日に速達列車を最速達列車「はやて」として分離。これにより速達列車に設定されていた「こまち」との併結はなくなった。2005年12月10日以降、日中時間帯の下り列車において、仙台駅で同一ホーム(11・12番線)にて盛岡行き「やまびこ」と新青森・秋田行き「はやて」「こまち」との乗継ができるようになった。
停車駅
号数\駅 | 東京駅 | 上野駅 | 大宮駅 | 小山駅 | 宇都宮駅 | 那須塩原駅 | 新白河駅 | 郡山駅 | 福島駅 | 白石蔵王駅 | 仙台駅 | 古川駅 | くりこま高原駅 | 一ノ関駅 | 水沢江刺駅 | 北上駅 | 新花巻駅 | 盛岡駅 | 備考 |
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41号・43号・45号・47号・49号・51号・53号・55号・57号・59号/40号・42号・44号・46号・48号・50号・52号・54号・56号・58号・60号 | ● | ● | ● | - | ● | - | ○ | ● | ● | ○ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 58号は白石蔵王停車
40号は新白河停車 |
97号・99号/94号 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 99号は土曜・休日運休 | ||||||||||
131号/124号 | ● | - | ● | - | - | - | - | - | ● | - | ● | ||||||||
125号・127号・147号・151号・153号・155号/122号・130号・134号・148号・152号 | ● | ● | ● | - | ● | - | - | ● | ● | - | ● | ||||||||
123号・129号・133号・135号・137号・139号・141号・143号・145号・149号・157号・159号/126号・128号・132号・136号・138号・140号・142号・144号・146号・150号・154号・156号・158号 | ● | ● | ● | - | ● | - | - | ● | ● | ● | ● | ||||||||
223号/202号 | ● | ● | ● | ○ | ● | - | ● | ● | ● | ● | ● | 上り1本は小山停車 | |||||||
201号・203号・205号・207号・209号・211号・213号・215号・217号・219号・221号/204号・206号・208号・210号・212号・214号・216号・218号・220号・222号 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ○ | ● | 201号・205号・215号・219号/206号・208号・218号・220号は白石蔵王停車 | |||||||
291号・293号/290号 | ○ | ○ | ● | ● | ● | ● | 291号は那須塩原駅始発 293号は土曜・休日運休 |
- ●:停車
- ○:一部列車のみ停車
- -:通過
- 号数は定期列車のみ記す。
- 122号-159号(125号・147号・151号・155号/126号・130号・134号・152号を除く)は「つばさ」と福島駅で増解結している。
- 東京駅 - 盛岡駅間の列車は、全列車基本的に仙台駅(一部列車は郡山駅) - 盛岡駅間が各駅停車となる[1]。
- 「つばさ」を併結する「やまびこ」は基本的にすべて仙台駅始発・終着となるが、各駅停車にはならない。
- 「つばさ」を併結する「やまびこ」の一部列車(主に臨時列車)には宇都宮駅や郡山駅を通過するものが設定されることがある。
- 毎週休前日の夜間時間帯には、下り臨時やまびこ号が1本(249号[2])運転される。
- かつては「つばさ」または「こまち」を併結する「やまびこ」で大宮駅を通過する列車も存在したが、現在はすべての「やまびこ」が大宮駅に停車する。
使用車両・編成
やまびこ |
← 東京 仙台・盛岡 →
|
テンプレート:Shinkansen E2 10cars |
テンプレート:Shinkansen E5 10cars |
テンプレート:Shinkansen E2+E3 17cars |
テンプレート:Shinkansen E5+E3 16cars |
テンプレート:Shinkansen E5+E6 17cars |
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新幹線総合車両センターに所属しているE2系およびE5系、JR北海道函館新幹線総合車両所に所属しているH5系、秋田車両センターに所属しているE3系およびE6系の5車種が使用されている。
E5系・H5系は10両編成で、6両編成のE3系を併結した16両編成、E6系を併結した17両編成で運転されている。単独で運転される列車もあるが、最高速度はいずれも275km/hとなる。E5系・H5系で運転される列車(290号を除く)はグランクラスの営業も行われる[3]。ただし、早朝深夜の一部の列車では座席のみの営業となり、グランクラス料金が値下げされる。223号のみH5系が使用され、E6系を併結する。
E3系は6両編成(秋田新幹線の初代「こまち」編成)で、E5系と併結して16両編成で運転される[4]。
E2系は10両編成で、山形新幹線「つばさ」を併結する場合は東京駅 - 福島駅間で17両編成の運転になる。
- Shinkansen E2-1000.JPG
E2系1000番台
- E3 R18-E5 Coupling in omiya 20130608.jpg
E3系
- JRE-TEC-E5 omiya.JPG
E5系
- H5kei hayabusa and E6kei komachi.JPG
H5系
- E6-E5-Coupling in omiya 20130320.jpg
E6系
- Shinkansen 200kei G45.jpg
2011年まで使用されていた200系
- Shinkansen 200kei H5 13car.jpg
2005年まで使用されていた200系H編成
- E4inKumagayaSt1.JPG
2012年まで使用されていたE4系
歴史
やまびこ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
← 東京 盛岡 →
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- 1982年(昭和57年)6月23日:東北新幹線の開業により、速達列車として「やまびこ」が運転開始。
- 1985年(昭和60年)3月14日:東北新幹線の上野駅乗り入れとともに、「やまびこ」の途中停車駅を、大宮駅(一部宇都宮駅)・福島駅(一部郡山駅)・仙台駅のみ停車の速達タイプの列車を運転開始。
- なお、これらの速達「やまびこ」は『スーパーやまびこ』とも呼ばれた。新幹線の場合、公式には「スーパー」の表記を用いないため、一部から発生した通称とされるが、東北地方では駅員もこの名前を使用していた。
- 1988年(昭和63年)3月13日:途中停車駅を仙台駅のみとした超速達タイプの列車を運転開始。
- 1991年(平成3年)6月20日:東北新幹線の東京駅乗り入れとともに、超速達タイプ「やまびこ」は上野駅を通過し、東京駅 - 仙台駅間ノンストップ運転になる。また、16両H編成による「やまびこ」が登場。
- 1992年(平成4年)7月1日:山形新幹線開業により、「やまびこ」は東京駅 - 福島駅間で「つばさ」との併結を開始。
- 1994年(平成6年)7月15日:E1系Max営業運転開始。「Maxやまびこ」「Maxあおば」新設。
- 1995年(平成7年)12月1日:東京駅 - 那須塩原駅間で「なすの」「Maxなすの」が運転開始。「あおば」「Maxあおば」を大幅に削減。
- 1997年(平成9年)
- 1999年(平成11年)
- 2000年(平成12年)
- 2001年(平成13年)9月21日:「つばさ」の併結車両をE4系Maxに統一。
- 2002年(平成14年)
- 5月30日:この日を最後に200系F編成におけるビュフェ営業廃止。
- 6月22日:東北新幹線大宮駅開業20周年に合わせ、200系F93編成を使用した「想い出のあおば」を運転[6]。
- 12月1日:東北新幹線の八戸駅延伸により、速達「やまびこ」の大半を八戸駅まで運転区間を延長し、「はやて」として分離。
- 定期列車としては「やまびこ」は盛岡駅以北を走行してはいないが、200系の一部には「やまびこ 八戸」の方向幕が用意されていた。
- 「こまち」の併結列車を「はやて」に移行。
- 「つばさ」を併結する東京駅 - 福島駅間ノンストップの「やまびこ」が大宮駅停車に変更される。これと「こまち」併結列車変更に伴い、「やまびこ」全列車が大宮駅に停車するようになる。
- 2003年(平成15年)12月1日:200系H編成における「カフェテリア」・「トレインマッサージ」の営業廃止。
- 2004年(平成16年)3月13日:ダイヤ改正により、200系F・H編成の定期運用廃止。
- 2005年(平成17年)12月10日:ダイヤ改正により次のように変更。
- 東京駅 - 盛岡駅間の「はやて」を設定。
- 速達「やまびこ」が消滅。「やまびこ」は仙台駅以北で各駅停車となる。
- 仙台駅以北における「Maxやまびこ」定期運用終了。
- 2007年(平成19年)
- 3月18日:全車両禁煙化。
- 6月23日:東北新幹線大宮開業25周年に合わせ、リニューアル済みの200系K47編成を原色へ塗装変更して運転。
- 2008年(平成20年)3月15日:ダイヤ改正により、東京駅 - 盛岡駅間で「やまびこ」の所要時間が短縮。
- 2011年(平成23年)11月19日:E5系の増備により次のように変更。
- 一部列車にE5系投入開始。グランクラスの営業やE3系との併結運転を開始。
- 大宮駅以北にて200系の定期運用終了。
- 2012年(平成24年)
- 2013年(平成25年)
- 2016年(平成28年)3月26日 : ダイヤ改正により次のように変更[10]。
在来線特急「やまびこ」
やまびこ | |
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概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 特別急行列車(エル特急) |
現況 | 廃止 |
運行開始 | 1965年10月1日 |
運行終了 | 1982年6月23日 |
運営者 | 日本国有鉄道(国鉄) |
路線 | |
起点 | 東京駅 |
終点 | 盛岡駅 |
使用路線 | 東北本線 |
車内サービス | |
クラス | グリーン車・普通車 |
座席 |
グリーン車指定席 普通車指定席 普通車自由席 |
技術 | |
軌間 | 1,067 mm |
電化 |
直流1,500 V 交流20,000 V・50 Hz |
最高速度 | 120 km/h |
停車駅
沿革
- 1959年(昭和34年)2月1日:福島駅 - 盛岡駅間を運行する準急列車として「やまびこ」の名称が使用される。
- 1960年(昭和35年)6月1日:「やまびこ」の運転区間が郡山駅まで延長。
- 1961年(昭和36年)10月1日:「やまびこ」の運転区間が青森駅まで延長。
- 1963年(昭和38年)
- 1964年(昭和39年)10月1日:「つばさ」の盛岡駅発着編成が1両増結したことにより、7両編成となる。同時に盛岡駅発着編成の受け持ちが尾久客車区から、盛岡客貨車区(現・盛岡車両センター)へ移管。
- 1965年(昭和40年)10月1日:東北本線盛岡駅まで電化されたことにより、上野駅 - 秋田駅間の「つばさ」に併結する盛岡駅発着編成を分離して「やまびこ」の名称を与えると同時に、仙台運転所(現・仙台車両センター)所属の483系電車10両編成を使用して電車化。以後、東北本線上野駅 - 盛岡駅間を走る特急の愛称として定着。
- 1967年(昭和42年)10月1日:「やまびこ」東京駅発着に変更。
- 1968年(昭和43年)10月1日:二等車が1両減車され、9両編成に短縮。
- 1970年(昭和45年)7月1日:普通車が3両増結され、12両編成となる。
- 1972年(昭和47年)
- 3月15日:「やまびこ」の初の増発が行われ、2往復増発。
- 10月2日:定期1往復・季節1往復が増発されたと同時に、3往復の車両受け持ちが仙台運転所から青森運転所(現・青森車両センター)へ移管。
在来線「やまびこ」 | |||||||||||||||||||||||||
← 上野・東京 盛岡 →
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- 1973年(昭和48年)
- 4月1日:東京駅新幹線工事に伴い、全列車上野駅 - 盛岡駅間の運転となる。
- 10月1日:全列車の受け持ちが青森運転所へ移管となる。
- 1978年(昭和53年)10月2日:「やまびこ」エル特急に指定される。1往復が青森駅まで延長され「はつかり」に改称。以来、廃止までこのままとなる。
- 1982年(昭和57年)6月22日:東北新幹線大宮駅 - 盛岡駅間開業により廃止され、新幹線の名称として使用されるようになる。
- 2002年(平成14年)6月23日:東北新幹線大宮開業20周年に合わせ、青森運転所485系8両編成を使用し、盛岡駅 - 上野駅間で臨時特急「思い出のやまびこ」運転[6]。
脚注
注釈
出典
- ↑ ただし、臨時列車ではくりこま高原駅、水沢江刺駅、新花巻駅を通過するものが設定されることもある。
- ↑ 東京22時12分発仙台行き。途中上野駅と大宮駅のみ停車し、大宮駅 - 仙台駅間はノンストップとなる。
- ↑ “東北新幹線「はやぶさ」に投入しているE5系車両を「はやて」「やまびこ」に導入! (PDF)”. 東日本旅客鉄道株式会社 (2011年9月12日). . 2014閲覧.
- ↑ なお検査でE3系6両編成が使用できない場合は、E6系7両編成による代走を行い17両編成で運転を行なう。該当する列車には、時刻表にもそのような記述がなされている。
- ↑ “東北新幹線でマッサージを”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社): p. 39. (2000年12月2日)
- ↑ 6.0 6.1 “東北新幹線開業20周年”. 交通新聞 (東京都: 交通新聞社): p. 1. (2002年6月25日)
- ↑ “2013年3月ダイヤ改正について (PDF)”. 東日本旅客鉄道株式会社 (2012年12月21日). . 2014閲覧.
- ↑ “2013年9月ダイヤ改正について (PDF)”. 東日本旅客鉄道株式会社 (2013年7月5日). . 2013閲覧.
- ↑ 繁忙期にはE2系とE3系0番台との併結で運用される場合がある。
- ↑ “2016年3月ダイヤ改正について” (PDF) (プレスリリース), 東日本旅客鉄道, (2015年12月18日) . 2015閲覧.
- ↑ “上下線7本でH5系運行、ダイヤ判明”. 函館新聞社 (2016年2月17日). . 2016閲覧.