ゆうパック

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ゆうパックは、日本郵便が提供する荷物のサービスのひとつで、他社が提供する宅配便と同じサービスである。旧一般小包郵便物が前身である。

概説

ファイル:100628JPexpress01.JPG
JPEXの事業統合に伴い、元「ペリカン便」の集配車両も承継され、ロゴ等を抹消して使用されている(写真は統合直前時点のもの)

ゆうパックの運賃は「サイズと運送距離」で決まる。他社の宅配便と異なり、重量は運賃に影響しない。

普通郵便とは異なる輸送体系を使用しているため、送達速度は普通郵便よりも比較的速い。また、休日も配達する。

発送は集荷、ゆうゆう窓口郵便局の郵便窓口やコンビニエンスストアなどの取扱所で受け付ける。引き受け可能なコンビニエンスストアについては、2014年4月現在、ローソンブランド店舗、ミニストップセイコーマートであれば、原則全店舗で可能としている。

国土交通省の調査による、平成26年(2014年)度における日本宅配便市場シェアは、ヤマト運輸宅急便、45.4%)・佐川急便(飛脚宅配便、33.5%)に続き、第3位(13.6%)である[1]

料金関連

現在の小口利用者の運賃割引は以下のとおり。

持込割引
基本運賃より1個100円引(2015年8月より120円引)。窓口・コンビニを含む取扱所等に持ち込んだ際に適用。
同一あて先割引
基本運賃より1個50円引(2015年8月より60円引)。前回と同じあて先へ荷物を送る際に、差出日より1年以内に差し出した控の提示で適用。複数口割引とは併用不可。受取人払や着払時は適用されない。一度提示した控は再使用できないので(使用済印が押される)、常に最新の控を持参しなければならない。また、同じ場所なら宛名は同一人でなくても良いが、同一人であっても転居して場所が変わった場合は適用されない。
前回の送り状の控えが着払いのもので、今回送るのが元払いというケースの場合は、50円引き(2015年8月より60円引)が適用される。
複数口割引
基本運賃より1個50円引(2015年8月より60円引)。同時に同じあて先へ2個以上荷物を送る際に適用。同一あて先割引とは併用不可。受取人払や着払時は適用されない。
ただし、コンビニ差出の場合は、POS端末処理の関係上、専用ラベルが必要(郵便局の郵便窓口、ゆうゆう窓口日本郵便による集荷、コンビニ以外の取扱店では、一般の送り状の複数枚利用で対応可能だが、複数口用の送り状も利用可能)[2]
数量割引
基本運賃より20%以上、個数に応じて割引。同時に10個以上荷物を送る際に適用。他の運賃割引とは併用不可。別納または計器別納とするものに限られる。

従来は、着払の場合は20円の手数料が受け取り側に運賃に加算される形で課されていたが、2009年4月1日より、ゆうパックに関わる着払手数料が廃止された。

大口利用者の運賃割引は以下の通り。

大口割引
大口割引にはいくつかの種類があるが、いずれも料金を直接支払うのではなく後納または別納としなければならない。
  • 料金別納
    同時に500個以上など大量個数を発送する場合に運賃が割安となる。
  • 料金後納
    一般の宅配業者における月締や売掛に類似する。
    料金後納とした際の割引がある。
    大口小包
    旧ゆうパック・小包時代からの割引制度を継承したもの。ゆうびんビズカードを使用する
    ペリカンモード
    旧日本通運のペリカン便から移行したもので、運賃体系やオプションの取扱などが個別に異なる。ペリカン専用の顧客コードを使用するため、ビズカードは使用しない。
    ゆうパック後納
    ペリカン移行後に契約したゆうパックに適用される。運賃体系などは出荷個数に応じて集配郵便局の営業担当が決定する。
    • ペリカン便モードについて
      ペリカン便時代には郵便局と違い厳密な特約規定が存在しなかったため、曖昧な運賃契約が少なくなく統合時のリスクとなったが、統合側の日本郵便ではそれらをペリカンモードとして当面残すこととなった。ペリカンモードは日本郵便内部での呼称であるため一般に案内はされない。

付加サービス

ファイル:YuuPack Label 2010-06.png
ゆうパック通常便のCラベル
(2010年6月以前のもの)
ファイル:YuuPack normal.png
ゆうパック通常便のCラベル
(2012年10月以降のもの)[3]
ファイル:YouPack postpaid.png
ゆうパック着払い用のラベル
(2012年10月以降のもの)[3]

無料サービス

以下の主なサービスが追加料金なしで利用できる。

配達日の希望
配達予定日(送付先や差出時間にも拠るが、概ね、差出日の翌日か翌々日)より10日以内の日で希望できる。
配達時間帯の希望
午前・12 - 14時・14 - 16時・16 - 18時・18 - 20時・20 - 21時の中から希望できる(2010年7月より。以前は、郵便物の再配達と同じ時間帯設定となっており、午前・午後1・午後2・夕方・夜間の中から選択する形となっていた。郵便物の再配達希望時間帯指定については、2010年7月以降も旧前どおり)。なお、2010年6月以前に発行されたラベルで、午前・12 - 14時ないしは、希望なしを指定する場合は、本来の欄に記載するが、14 - 16時・16 - 18時・18 - 20時・20 - 21時を指定する場合は、2010年7月より枠が変更されたことに伴って本来の欄には記載できないため、摘要欄に希望時間帯を記載するかたちになる。
差出当日中の配達(当日配達ゆうパック)
配達先が引受局自体の配達区域内である場合等、集配体制上可能である場合は、概ね午前中の差出分について当日中に配達する。引受局の配達区域内あての場合のほか、地域区分局引受で管内局の配達区域あてに配達される場合、東京都23区内と近隣地域内で引受、配達される場合及び大阪府内で引受、配達される場合についても、それぞれ当日配達可能区域の設定がある(全域ではない)。
お届け済み通知
通信事務郵便による通知で配達されたことが分かる。差出時に通知が必要か不要かを選択できる。ただし、JPEXから継承した仕様のラベルと複数口用ラベルを使用した場合は、希望できない。
不在時転送
不在票にて示された中から、希望する最寄の場所や勤務場所、窓口での受取りが可能。
追跡サービス
配達状況をインターネット(ゆうびんホームページ)、電話(フリーコール)で確認できる。

有料サービス

チルドゆうパック
いわゆる、冷蔵での宅配サービス。ゆうパックの基本料金にサイズや行き先に応じた追加料金が課される。差し出しは、集荷を依頼するか、ゆうゆう窓口設置局への持ち込みとなるが、それ以外では、極めて限定されているが、ごくごく一部で扱っている指定の郵便局への持ち込みとなる。チルドの他に、冷凍ゆうパックもあるが、こちらは事前に契約した法人や個人事業者向けのサービスとなり、一般の顧客の利用はできない。
使用するラベルは、一般のラベルに記載欄がないため、摘要欄などに「チルド」と記載して差し出す(JPEXから継承した仕様のラベルを使用する場合は、冷蔵の欄に○をつければよい)。
サイズは、150サイズまでとなり、基本料金部分において一般の160サイズとなるところを150に読み替えられる。また、縦横高さの一番長い辺が100cmを越えるものは引き受け不可となっている(契約した法人や個人事業者のみが利用できる冷凍ゆうパックの場合は、120サイズまで引き受け可能で、縦横高さの中でも一番長い辺が80cmを越える荷物は引き受け不可となっている)。
セキュリティゆうパック
損害要償額を、一般の30万円から50万円に引き上げたサービス。JPエクスプレスからサービスを譲受した際に、それまでの書留ゆうパックにかわって新設された。
元払の場合は、セキュリティゆうパック専用ラベル(2004年10月から2010年6月に発行された、旧・書留ゆうパックラベルでも可)を利用するか、JPEXから継承したラベルの場合はセキュリティの欄に○をつけることで受け付ける。
着払の場合は、一般の着払ラベルを利用し、摘要欄などにセキュリティであることを記載すればよい。
セキュリティ付加手数料は370円(2014年3月以前は360円)。
受付は、集荷ないしはゆうゆう窓口及び簡易郵便局を含む一般の郵便局への持ち込みにて受け付ける。コンビニあるいは取扱店では引き受け不可となっている。
代引ゆうパック
いわゆる、代金引換での宅配サービス。
代引手数料260円を加えることで、受取人から代引で荷物を送ることができるサービス。回収金を依頼主が受けとる際の振込手数料や印紙税については、依頼人が別途負担する形となり、回収金から差し引いて振込まれる。回収金が30万円以上の場合には、加えて、セキュリティゆうパックの付加を要する。送料の着払の扱いは不可。
かつては、回収金の受取は電信払込(ゆうちょ銀行の通常貯金・振替口座)、通常払込(ゆうちょ銀行の振替口座)、普通為替証書の送付のいずれかでの受け取りとなっていたが、悪用防止の観点から普通為替証書の扱いを2014年11月25日引受分から廃止し、その後、2016年2月1日より、ゆうちょ銀行以外の金融機関のからの振込の扱いを開始したのに併せ、通常払込および電信払込の扱いを取り止め、ゆうちょ銀行宛は電信振替に統一された(旧方式では最も高額とされていた電信払込の送金にかかる料金は、ゆうちょ銀行ないしは貯金窓口での電信払込扱いの金額水準からゆうちょ銀行ないしは貯金窓口での電信振替扱いの金額水準に引き下げられた。金融機関宛は、ゆうちょ銀行ATMからの振込手数料の水準とされた)。
事前に契約が必要なサービスとして、代金引換まとめ送金サービスが、別に存在する。

歴史と年表

前身の小包郵便物は、1892年明治25年)10月1日逓信省により取扱いが開始された。1871年(明治3年)の郵便創業から20年以上遅れたのは、民間の運送業を圧迫するという意見などが強かったためとされる[4]

1983年昭和57年)6月1日から、東京都及び千葉県の郵便局約980局で郵便小包用段ボール箱の販売を試行した[5]のに続き、同年11月10日、全国の郵便局で小包包装用品「ゆうパック」の販売を開始した[6][7]。すなわち、当初「ゆうパック」は郵政省が販売する包装用品の愛称であったが、1987年(昭和62年)6月1日からは、郵便小包そのものの愛称となった[8]。郵政省が毎年発行していた『通信白書』(『情報通信白書』の前身)資料編に掲載された統計表では、1993年版まで「小包郵便物取次所」の名称が用いられていたが、1994年版からは「ゆうパック取次所」に改められている。

郵便が総務省の直轄事業から日本郵政公社日本郵政グループの前身)に移行後、2004年平成16年)10月1日より、一般小包郵便物である「ゆうパック」の料金が他社に近似したサイズ距離制となり、損害賠償額が30万円までに拡大。料金割引が新設され、リニューアルをアピールするためロゴが改訂された。同年11月からは大手コンビニエンスストアチェーンの「ローソン」を窓口として取り込んだ。その結果、2005年(平成17年)2月16日の生田正治総裁(当時)の発表によると、この時点でのシェアは6%となった。『情報通信白書』平成17年(2005年)版に掲載された同年3月末時点の統計表から、「ゆうパック取次所」は「ゆうパック取扱所」に改められた。

  • 2004年(平成16年)
    • 10月1日 - ゆうパックリニューアル。小口一般料金が改定。ロゴが改訂。これに併せて、着払用の送り状を新設(従前は、発払用で兼用。書留ゆうパック用は民営化後にいたるまで発払用で兼用していたが、2010年(平成22年)7月に「セキュリティゆうパック」の登場により、一般着払い用の送り状の利用に変更された)。また、カバン等の箱以外の取り扱いも開始。補償額も、それまでの0.6万円までの実損額から、30万円までの実損額に引き上げとなった。これに併せる形で書留ゆうパックは、最低10万円までの実損額から最低35万円までの実損額に引き上げられた(追加料金により、いずれも最高50万円までの実損額補償である点は変更なし)。
    • 11月18日 - コンビニチェーンのローソン全店舗からのゆうパックの受付を開始。
  • 2005年(平成17年)
  • 2007年(平成19年)
    • 10月1日 - 郵政事業が民営化。郵便法による「郵便物」から、貨物自動車運送事業法による「宅配便貨物」へと法律上の扱いが変更となり、民間事業者と全く同じ制度となった。
    • 10月5日 - 日本通運の宅配サービス「ペリカン便」との事業統合を発表。
  • 2009年(平成21年)
    • 4月1日 - JPエクスプレスの事業開始(日本通運よりペリカン便ブランドおよび同事業を譲受したことに伴う)に伴い、ペリカン便とのサービスレベルを一部統一し、ゆうパックに於ける着払手数料を廃止。
  • 2010年(平成22年)
    • 7月1日 - JPエクスプレスより宅配便事業(ペリカン便)を譲受し、ゆうパックのサービスを改訂。これに伴い、お問い合わせ番号が11桁のゆうパックラベルと日本通運名のラベルは、システム変更で使用中止された。併せてラベルも改訂されたが、前述以外のゆうパックラベルとJPEX名のラベルは継続利用が可能となった。
      • しかし、この対応が仇となり、統合直後にゆうパックにおいて、34万件の大規模な遅配が発生し[9]ECサイトの離反が相次いだ[10]
    • 8月31日 - JPエクスプレスを精算。
    • 9月1日 - デイリーヤマザキが宅配荷物の取り扱いをヤマト運輸に変更したため、同チェーンでのゆうパックの受付を終了。
  • 2011年(平成23年)
    • 3月1日 - エーエム・ピーエム・ジャパンが、ファミリーマートに吸収合併され、解散。これに伴い、am/pmブランド店舗を順次ファミリーマート店舗に転換するため、転換に伴う一時閉店を以って、当該店舗でのゆうパックの取り扱いを順次停止。転換に伴う一時閉店が行われていない店舗では、取り扱いを続行していた。
  • 2012年(平成24年)

かつてあった商品

書留ゆうパック・現金書留ゆうパック

2010年6月まで提供されていた商品で、360円の追加によって、荷物の申告額35万円(現金が同封されている場合は1万円)までを損害補償するサービス。さらに、オプション扱いで20円毎の追加で5万円(現金同封の場合5000円単位)で補償額の上限を上げることが可能であり、最大50万円までの損害要償額の設定が可能で、唯一現金の送付が可能あった(2004年9月までは、一般のゆうパックが6千円までしか補償していなかったこともあり、一般の書留郵便物同様、最低の要償額10万円までの補償となっていた。それ以上の損害要償額の設定を要する場合は、一般の書留郵便物の追加額に準じていた)。JPEXとの統合によるサービス改定で、セキュリティゆうパックが設定されたことに伴い取り扱いが停止されたが、書留ゆうパック用のラベル(元払い・着払い兼用であった)は、元払いでの利用時に限り、2004年10月以降に配布されているものであれば、現在はセキュリティゆうパック用に流用可能となっている(ただし、時間帯指定が14時以降の枠の場合は、摘要欄に記載するかシールの貼り付けを別途依頼するかのいずれかの方法が必要)。

ちなみに、現金が同封されていた場合は、封印は上下すべて(一般的な段ボール箱の場合は14カ所)に必要。すべてのゆうパックラベルが使用不可で、追跡番号も現金書留郵便物用ではなく一般書留郵便物用のラベルを使用することになっていた。

Yahoo!ゆうパック

伊藤忠商事ヤフーとの提携により、コンビニのファミリーマートやローソンにて発送する「Yahoo!ゆうパック」を取り扱っていた。発送については自分で計量し手続きしなければならないが、運賃体系の違いによりゆうパックよりも安く発送することができた。類似のサービスは他社でも行っている(システムは後述)が、小口客が対する間口が一番広いサービスであるため、一例として掲げる。

長さ・幅・厚さの合計が1.5m以内、重量21kg以内。取扱いはゆうパックに準ずるが、配達時間帯の希望は可能であるが配達日の希望はできない、食料品や飲料品は発送できない、などの制限があった。

インターネットオークション落札品の送付用として開始されたため、Yahoo! JAPANのアカウント取得と利用登録を行い、専用ページから事前に受取人情報を入力し、取扱いコンビニのマルチメディア端末FamiポートまたはLoppi)への受付番号等の入力をして、申込券と引換に送り状およびビニール封筒を受け取り貼付する。サービス終了時にはクレジットカード決済・銀行ネットバンキング決済の他、コンビニ店頭での現金支払も可能だった。また、落札品でなくても利用できた。

運賃は、サイズ距離制を採用する小口のゆうパックと異なり、伊藤忠商事が料金後納の他店差出制度を利用しているため、重量距離制の大口運賃1個あたりの金額で決定される(2003年のリニューアル以前の運賃体系)。したがって、地域区分も市内、市内を除く地域内などサイズ距離制とは違っていた。大きく軽い荷物を発送する場合は、おおむねゆうパックより安価になり、反対に小さく重い荷物の場合は、高価になる場合もあった。

損害賠償の限度は50万円までの実損額であり、コンビニへの集荷前および集荷後にゆうパックの賠償限度30万円を超える部分は独自補償制度となる。特殊取扱の利用はできない。よって、現金(現行日本紙貨幣)や貴金属等は送ることができなかった。

2009年7月1日14時をもって、サービス完全終了となった[11]。しかし、その後2011年後半から類似サービスとしてオークションゆうパックが登場しており、利用方法も似ている[12]

なお、2010年3月3日より伊藤忠商事とヤフーは類似のサービス「はこBOON」を行っている。

コレクトゆうパック

代金引換サービスの一種で、JPEXを継承した2010年7月1日からサービス開始された。2010年6月まで日通キャピタルの(JPエクスプレスのコレクトペリカン便)コレクトサービスを利用していた法人向けサービスの後継であり、新たな利用にあたっては、郵便事業ではなく、提供元である日通キャピタルとの事前の契約が必要である。上述の「代引ゆうパック」の個人事業主・法人向けサービスである「代金引換まとめ送金サービス」とは別の商品となる。

「コレクトゆうパック」は、ゆうゆう窓口の設置のない郵便局(2012年9月までは、郵便事業の支店・支店分室が併設されていない拠点)で受け取ることはできない。つまり、再配達先をゆうゆう窓口のない郵便局にしたり、ゆうゆう窓口のない郵便局留とすることはできない。受け取るには、配達またはゆうゆう窓口を有する郵便局留となる。

2013年3月31日を以って終了したため、既存の利用者は、「代金引換まとめ送金サービス」へ自動移行され、約款等も「代金引換まとめ送金サービス」のものへ読替されることになった。提供元も、日通キャピタルから日本郵便へ移行する形となった(「代金引換まとめ送金サービス」における、日通キャピタルとの資金移動の業務提携自体は継続)。

民営化後の取り扱い

  • 貨物自動車運送事業法の「宅配便貨物」となり、民間の宅配便と同じ土俵(競争環境)に立つことになった。法律が移管され郵便法は適用されなくなり、郵便物ではなくなったものの、これまで通り日本全国に配達する。お届け済み通知、転送サービス、封書(25gまでの第一種定形郵便物、郵便書簡)との同時配達なども、引き続き利用できる。
  • 紛失や破損した場合の損害賠償に加えて、新たに配達が遅れた場合の損害賠償(ただし運賃等の範囲内)が加わった。
  • 代金引換とする荷物の送金手数料が変わり、3万円以上(2014年(平成27年)4月1日以降は5万円以上)の引換金額の場合は、印紙代が徴収される。また、代金引換に限り、送り状が従来のものは利用できなくなった(2014年(平成27年)4月1日の改正印紙税法施行については、通常振替扱いの廃止及びゆうちょ銀行以外の金融機関宛への入金対応までは、従来の送り状の読替で対応していた)。

取り扱いコンビニの拡大と他社の主張

ゆうパックリニューアル以前、ほとんどのコンビニチェーンの宅配便商品は最大手のヤマト運輸宅急便であったが、2004年に公社のローソンに対する委託を前に、ヤマトが公社に対してローソンへの委託の撤回と不当廉売(税制面での優遇、小包の赤字を独占事業である信書の黒字で補填、小包と信書を同じ輸送便で配送してコスト計算を行っているなど)を主張し、独占禁止法第24条に基づき差止請求を提訴した。しかしローソンの受託を皮切りに、ミニストップデイリーヤマザキam/pmサークルKサンクスセイコーマートなど各チェーンもこれに続いた(一部は、日本通運とのデュアル対応から、ペリカン便のJPEX移行時にゆうパックに統一)。訴訟については郵政民営化に伴い、旧公社より郵便事業日本郵便が承継した。

ヤマトの一連の動きは以下の通り。

  • 2004年9月28日 - ヤマト、公社に対し独禁法第24条に基づき差止請求を東京地方裁判所に提訴。
  • 2006年
    • 1月19日 - 東京地裁、公社による不当廉売の立証が不十分などの理由で請求を棄却。
    • 2月1日 - ヤマト、一審判決を不服として東京高等裁判所に控訴。ヤマトは差止請求に加え、損害賠償も請求。
    • 9月11日 - ヤマト、公社を独禁法第45条に基づき違反被疑者として公正取引委員会に申告。
  • 2007年11月28日 - 東京高裁、旧公社による不当廉売とはいえないなどの理由で控訴を棄却。
    • ヤマトは判決に対し、内容を十分に検討した上で判断するとしている。

なお、ヤマトは公社発足と同じ2003年4月1日より「クロネコメール便」の運賃を第一種定形郵便物の料金を意識した80円からとし、その後セブン-イレブンファミリーマートを窓口として受け付けている。後に、2010年9月よりデイリーヤマザキが、ゆうパックから宅急便に切り替えたことに伴って、デイリーヤマザキでも「クロネコメール便」の受付を開始している。

ペリカン便との統合と失敗

2007年10月5日、日本郵政と日本通運両社の宅配便事業を統合することを目的に、合弁会社を2008年10月1日をめどに設立し、ゆうパックが日本通運の宅配サービス「ペリカン便」と事業統合することが発表された[13]

その後、2008年6月に統合準備会社JPエクスプレス株式会社が設立され(設立当初は出資比率は50%ずつ、2008年8月に日本郵便66%、日本通運34%に変更)、2008年8月末までに合弁会社の事業の詳細、新ブランドや新サービスの内容を公表、宅配便事業の統合は2009年4月に行うと発表された(実際には、JPEXの出資比率は2009年4月に変更され、この時点ではペリカン便のみを譲受することになった。ゆうパックの割譲は同年10月に予定された)。システム・運送体制は「ペリカン便」、運送料金体系は「ゆうパック」をベースとし、新しいブランド名を発表する予定としていた。また、料金後納扱いのゆうパックは、「JPEX掛売」(即ち、ペリカン便扱い)へ移行するようアナウンスを開始することになった。

しかし、2009年9月11日付で、予定されていたゆうパックの割譲(JPEXへの完全統合)は延期されることが発表された。同年10月1日時点では、既に廃止準備に入っていた一部地域のペリカン便事業所の集配業務を、郵便事業の一部支店が代行することになり、さらに2009年12月24日には、2010年7月1日付で郵便事業がJPEXからペリカン便(JPエクスプレス宅配便)事業を譲受することが発表された。同日以降の郵便事業が手がける荷物のブランド名は「ゆうパック」に統一され、システム・運送体制は従来のゆうパックをベースとするが、サービスレベルはJPEXを継承し、その後速やかにJPEXを清算させることが明らかになった。

統合は予定通り2010年(平成22年)7月1日に実施されたが、準備不足と荷物の急増(従来の2つのブランドの荷物を扱うことになった上、中元シーズンの開始時期であった)が原因で、荷物を集積する各ターミナルはパンク状態に陥り、全国的に大規模な遅配問題が発生した。7月15日には正常化宣言が出されているが、このように事業統合に相応しくない時期を選ばざるを得なかったのは、荷物取扱量の減少により、最終的な累積赤字が980億円に膨れ上がったJPEX事業の清算を、8月31日に行わざるを得なくなったという背景があった[14]

この遅配問題との直接の関連は不明だが、これまでゆうパックを取り扱っていたデイリーヤマザキが、2010年(平成22年)9月1日よりヤマト運輸へ提携先を切り替えると発表した。

なお、統合の2010年(平成22年)7月1日以降、配達日数に若干の変更があった。これは以下の要因による。

  • 運送経路は従来のゆうパックのものをベースとしつつ、JPEXから継承したターミナル施設、自動仕分機を活用して荷物の仕分作業を行うこととした。
  • ゆうパック事業が荷物専用のサービスという位置づけになったため、従来は郵便物とともに搭載・運送されていたゆうパックは、新たに荷物専用便が仕立てられ運送されることとなった(荷物専用便数は郵便物便数に比べて少ない)。また、ゆうパックの航空機積載は離島等を除いて行われないこととなった。

配達日数はJPEXのものがベース[15]となったため、One DayサービスやOne Nightサービスなどで統合後のサービス縮小がみられた。

従来、郵便関連のコールセンターは日本郵政グループ共通の番号を使用しており、従前のラベルにもこの番号が表示されてきたが、2010年7月以降に配布された「郵便事業株式会社」名のラベルおよび2012年10月以降に配布された現行「日本郵便株式会社」名のラベルは、ゆうパック専用コールセンター番号の表示に変更されており、番号自体は、JPEXから継承した番号が表示されている(ゆうパック以外の、例えば、旧「モーニング10」などのラベルは、日本郵便に移行後の現在も、従前通り「日本郵政グループコールセンター」の番号が記載)。なお、従前より支店単位で設置していた集荷専用フリーアクセス[16]も、継続して利用可能となっている。2004年のリニューアル以前より稼動し、支店ごとのフリーアクセスが設置される前から運用されていた、一部地域で利用可能な0120-950-333(東京23区内は0120-950-489)のフリーダイヤルもいまだに利用可能となっている。

このほか、2004年9月以前に発行されたお問い合わせ番号11桁の送り状ラベル(一般元払い用と書留用)が、今般の統合を以って日本通運名のペリカン便ラベルとともに使用停止となった(現在は、民営化以前を含め、2004年10月以降に発行されたもののうち、民営化前の代引ゆうパック用ラベルや2010年6月以前に発行されたゴルフ・スキーゆうパック/空港ゆうパック用ラベルなどのような一部を除くラベルと、JPエクスプレス名の送り状であれば原則利用可能である)。なお、統合前に発行されたラベルにはない、現行の時間帯指定(のうち、14時以降枠での指定)を希望する場合や、輸送中の下積厳禁の取り扱いを希望する場合は、摘要欄に記載することで対応可能となっている(いずれも、受付担当者に口頭で伝え、その場でシールの貼り付けを行うことでも対処可能)。

以上の体制による事業統合後も取扱個数は減少を続け、郵便事業会社の2010年度(平成22年度)営業損失1612億円のうちJPEX継承に関するものが1066億円を占めるに至る程に経営状況が悪化した[17]ことから、収支改善のために輸送体制の効率化を図る目的で、2011年度(平成23年度)からはゆうパックの専用輸送便を廃止し、郵便物との混載に戻すこととなった[17]。これにより、2011年8月28日以降、ゆうパックは郵便物との混載による輸送体制に戻った他、旧日本通運・JPEXのターミナル施設を継承したターミナル支店のほとんども廃止され、これらの拠点に移されていた区分・仕分け作業も統括支店に戻ることとなった[18]。また、輸送体制変更に伴う送達日数への影響を緩和するため、長距離区間でのゆうパックの航空機積載も復活した[18]

2012年10月1日日本郵便株式会社発足に伴い、企業名を変更したラベル(ロゴマークは、新設されたJP POST郵便局に変更)が新調されるが、当面は、従来の「郵便事業株式会社」名のラベルも並行して配布する形となり、1年以内に差し替えを順次行うとしている(2012年現在)。なお、郵便事業名ラベルの配布完了後も、当面は利用可能としている。

2015年時点で、一般の元払用のラベルとして、Bラベル、B-2ラベル、Cラベル、元払Aラベル、元払Bラベルの5つが設定されている。このうち、コンビニエンスストアで利用可能なものは、Cラベルのみとなる。その他のラベルは、局窓口やゆうゆう窓口での差し出し、集荷での利用やゆうパック取扱店などで用いる形となる。ラベル名に「元払」とつくものは、かつてのペリカン便やJPエクスプレスの流れを組む様式となり、主に法人向けに用いられるもので、お届け済み通知ハガキの送付の取り扱いができない。

このうち、Bラベルと元払Bラベルは取扱店控えがないもので、それ以外は、引受局(コンビニエンスストアを含めた取扱店から受託したケースの場合は、ゆうゆう窓口設置局)控えと依頼人控えの間に取扱店控えが挿入されている。取扱店控えのある様式のものであっても、局窓口や集荷で差し出す場合は、日本郵便の拠点では使用しないため、依頼人控えと共に差出人に返却するか、シュレッダーで破棄するかのいずれかの対応を取る。

JPエクスプレスとの統合

2010年7月1日、JPエクスプレス(JPEX)から宅配便事業を譲受されることに伴い、ゆうパックのサービスが、一部従来のペリカン便ベースのものに変更された。なお、これに先行して6月24日には「ゆうパック.jp」のウェブサイトが公開された。サービスの変更点については同ウェブサイトで詳しく記載されている。「ゆうパック.jp」の公開は、2011年3月31日を以って終了。

諸問題

  • 2007年(平成19年)に、JPエクスプレスと日本通運のペリカン便との統合を発表し、2009年(平成21年)12月24日のプレスリリースにて2010年(平成22年)7月1日に、新生「ゆうパック」となったが、統合準備にたった半年であり[19]、7月1日の統合直後に34万件もの大規模遅配問題が発生[9]、ターミナル局がパンクし、通信販売・ECサイト販売の荷主離れを引き起こす結果となり、新生ゆうパックの信頼失墜につながった[20]。同年7月15日に「正常化宣言」を発表するも、百貨店など大口顧客が流出した[21]ヤマト運輸佐川急便の「宅配便業界の2強」が、市場シェアを順調に伸ばすのに対して、ゆうパックはペリカン便との合計19パーセントあった市場シェアは、逆に宅配便市場シェアを減らし取扱量もマイナスで推移し、宅配便事業としても赤字となるなど、ゆうパックは苦戦を強いられている[10]
  • ゆうパックが誤配され、中に入れられていた貴重なアマミノコギリクワガタなどがすべて死滅した例があり、この件では、受け取る予定だった男性が日本郵便を相手取り、19万円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。日本郵便側は、「ゆうパックには動物が死亡した時の取り決めはない」「荷物の性質に由来する死滅にあたり、約款上、賠償責任も免責される」などとして反論している[22]大阪地方裁判所の柴田義明裁判長は、2015年(平成27年)10月30日に判決を出し、日本郵便の賠償責任を認定し、7匹について「取り扱い上の注意を怠ったのが原因だ」として、販売価格に相当する5,600円を損害賠償として原告に支払うよう命じた。判決で「送り主の承諾を条件とするような条項は約款に存在せず、クワガタが死ぬ可能性を承諾していたとは認められない」と指摘し、「クワガタが死んだのは配送を誤ったためで、荷物の性質が原因で生じたとはいえない」と判決理由を述べ、誤配によってクワガタムシが死滅したことを認め、日本郵便の主訴を退けた[23]
  • チルドゆうパックの温度管理に不備がある。本来「チルドゆうパック」ならば、摂氏0度から5度までの間に収めなければならないが、温度計で計測した所、摂氏15.9度から20.5度の常温状態で配達されていることが、2016年(平成28年)8月に発覚している。過去にも2013年(平成25年)にも、荷物を取り扱う全国郵便局4835局のうち650局で、配達用保冷バッグの温度や、保冷材用冷凍庫の管理などに問題があったことが明らかになっている[24]

脚注

  1. 平成26年度 宅配便(トラック)取扱個数(国土交通省調べ) (PDF)
  2. 参考・ヤマト運輸宅急便の場合は、集荷・担当店持込・コンビニ差出に関わらず、複数口用の伝票が必要。
  3. 3.0 3.1 2010年7月〜2012年9月までは、JP POST日本郵便ロゴの入った「郵便事業株式会社」名のラベルとなっているが、この写真のラベルは郵便局へ吸収合併後の「日本郵便株式会社(ロゴも、JP POST郵便局)」のラベルとなる。
  4. 井上恵子「ていぱーく展示場紹介(7) 学芸員雑記帳「小包郵便の開始」 (PDF) 」 、『郵政研究所月報』第170号、総務省郵政研究所、2002年11月ISSN 0918-5062、. 2013閲覧.
  5. 「郵便小包用段ボール箱の販売試行」、『ぽすとまん』昭和58年6月号5頁、『戦後の郵便資料』第5巻所収
  6. 昭和58年郵政省告示第838号、『戦後の郵便資料』第5巻所収
  7. 通信白書 昭和59年版』(PDF) 郵政省。アクセス日 2013-12-12
  8. 郵政公報第5839号(昭和62年4月22日)雑報、『戦後の郵政資料』第5巻所収
  9. 9.0 9.1 小出康成 (2010年7月2日). “統合・再出発の初日から大混乱 ゆうパック・ペリカン便の前途”. 週刊ダイヤモンド (ダイヤモンド社). http://diamond.jp/articles/-/8642 . 2017閲覧. 
  10. 10.0 10.1 “日本郵便 小物・薄物で通販開拓、25%超のシェア狙う”. 通販新聞. (2012年12月7日). http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2012/12/25-1.html . 2016閲覧. 
  11. Yahoo!ゆうパックをご利用の皆様へ重要なお知らせ
  12. 楽天オークション、日本郵便とローソンとの共同サービスを開始 - 楽天ニュースリリース 2011年11月15日
  13. 日本郵政株式会社と日本通運株式会社との基本合意書の締結について (PDF)
  14. “日本郵便、JPエクスプレスを31日に解散”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2010年8月27日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2702Z_X20C10A8EE2000/ . 2016閲覧. 
  15. 参考・カーゴニュース『ペリカン便を吸収した「新・ゆうパック」、取扱い減少に歯止めは?』[1]より。配達日数については、JPEXの翌日午前中配達を基本としている。
  16. 当初は、ゆうパック専用であったが、後にゆうパック以外の郵便物・荷物の一部も集荷対象となっているため、その依頼のために利用するケースはこちらの番号を用いる。該当番号は、郵便事業の各支店毎のページに掲載されている。なお、旧配達センターであった旧集配局ついては、現在は公開されていないが、利用可能な集配センターも一部ある。
  17. 17.0 17.1 2011年4月4日付郵便事業株式会社発表『郵便事業会社の平成23事業年度事業計画の概要』より。
  18. 18.0 18.1 2011年8月4日付カーゴニュース記事『日本郵便が28日から「ゆうパック」のサービスレベルを変更』より。
  19. 谷島宣之 (2010年7月8日). “ゆうパック遅配騒動、透けて見える「組織力と政治の問題」 情報システム統合を避け“事業システム統合”に失敗したのはなぜか”. 日経ビジネス (日経BP). http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20100707/215298/ . 2016閲覧. 
  20. 小出康成 (2010年7月2日). “起こるべくして起きた“ゆうパック”遅配騒動を他人事のように分析する日本郵便経営陣の「見識」”. 週刊ダイヤモンド (ダイヤモンド社). https://diamond.jp/articles/-/8731 . 2018閲覧. 
  21. 山田雄一郎 (2010年7月16日). “新・ゆうパックの失態、34万個「大遅配」の顛末”. 週刊東洋経済 (東洋経済新報社). http://toyokeizai.net/articles/-/4669 . 2016閲覧. 
  22. “「ゆうパック誤配でクワガタ240匹全滅」採集家が提訴”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2014年8月3日). http://www.asahi.com/articles/ASG7Y4CX6G7YPTIL00T.html . 2014閲覧. 
  23. 谷島宣之 (2015年10月30日). “ゆうパックの誤配でクワガタ死ぬ 7匹分5600円の支払い命じる”. 産経新聞 (産経新聞社). http://www.sankei.com/west/news/151030/wst1510300054-n1.html . 2016閲覧. 
  24. 藤田和恵 (2016年8月11日). “「チルドゆうパック」、実は冷えていなかった 郵便局員が告発「保冷剤が足りていない!」”. 週刊東洋経済 (東洋経済新報社). http://toyokeizai.net/articles/-/131274 . 2016閲覧. 

関連項目

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外部リンク

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