アメリカン・シクリッド

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アメリカン・シクリッドは、スズキ目 シクリッド科(カワスズメ科)に分類される魚類のうち、主に南米産(ブラジルなど)のものと中米産(メキシコキューバコスタリカニカラグアなど)の熱帯魚を合わせて呼ぶときの通称。ただし、エンゼルフィッシュディスカスなど、単独で有名なグループは除く場合もある。

南米産のものは、宝石にも例えられるアピストグラマなどの小型種(南米ドワーフ・シクリッドとも呼称される)と中・大型種に区分される。

おもな種類

小型種

アピストグラマ
学名: Apistogramma spp.
アピストグラマ属の魚は50種類ほどが知られ、どれも最大 10 cm ほどの小型種である。成魚をつがいで入手し、繁殖を目指す飼育スタイルが一般的である。
ラミレジラム・シクリッド
学名: Mikrogeophagus ramirezi : Ram cichlid
小型シクリッドとしては最もポピュラーな種である。古くからヨーロッパでブリードが行われており、系統によってオランダラム、ドイツラムなどの名前で呼ばれている。本種の学名は、過去には、パピリオクロミス・ラミレジ、さらに遡ると、アピストグラムマ・ラミレジであった時期もあり、古い本や、内容が古いまま再発行した本では名前が異なっている。2009年ごろから、青色のコバルトラミレジ(Electric blue ramirezi)という品種も出回るようになっている。

中・大型種

アストロノータスオスカー
学名:Astronotus ocellatus : Oscar
体長は 20 - 30 cm。自然下では 50 cmを超えることもある。約2年で 35 cmほどに成長する。体色は灰黒色と赤褐色からなり、2色の割合は個体によってさまざまである。尾びれのつけ根にだいだい色と黒の皆既日食のような目玉もようがあり、これは水鳥などの攻撃から頭を守る役目がある。小魚やエビなどをはじめ何でもよく食べ、自分の体の半分くらいの魚までなら捕食する。同じくらいの大きさの魚はつついて追い回すため単独での飼育が望ましい。野生種以外にもロングフィンオスカー・アルビノオスカー・タイガーオスカー(赤黒の縞)・レッドオスカーなどの改良品種がある。
アイスポットシクリッドピーコックバス
学名:Cichla ocellaris : Butterfly peacock bass
体長は 60 cm。最大の種であるtemensis種で80cm以上に達する。スポーツフィッシングの対象魚として親しまれ、原産地であるアマゾン川以外の地域にも移植されている。また、現地ではツクナレと呼ばれ食用となっている。色彩は種や生息地によって異なるが、尾びれの付け根にある目のような斑点と体側の黒い帯状の模様が共通する。

中米産

現地での生育環境が厳しいためか、縄張り意識が非常に強力な種類。

ヴィエジャ・アルゲンティア
学名:Vieja argentea
成魚は 30 cm ほど。シルバー・ヴィエジャとも呼ばれる。メキシコのリオトウジラ川などに生育する。体高もあり、黒い斑の入った白銀の魚体に背びれ胸びれが長く伸長する。
ヴィエジャ・レガニ
学名:V. regani
成魚は 25 cm を超える。同じヴィエジャ属のアルゲンティアよりもやや体高はない。メタリックなセルリアン・ブルーの地に赤いスポットが散りばめられている。
コンビクトシクリッド
学名:Amatitlania nigrofasciata
成魚は 10 cm ほどの小型種。体側に入る黒い帯が特徴。日本の沖縄県に定着しており、観賞魚として輸入された個体が放逐されたことがその原因とみられる。
フラミンゴ・シクリッド
学名:Amphilophus citrinellus
成魚は 30 cm ほど。全身が淡紅色だか、成長するにしたがい、色は濃く朱赤色となる。また、全額部がコブのように突出する。
シクラソマ・トリマキュラータム
学名:Cichlasoma trimaculatum
成魚は 30 cm ほど、オスはやや大きい。中米の太平洋岸に産出。全身に緑 - 淡紅の光沢のある縁取の鱗のなか、体側に大きな黒い点が3 - 5個ある。
フラワーホーン
前記、フラミンゴ・シクリッド、シクラソマ・トリマキュラータムを交配して生み出された交雑種。現在では更に異なる種も交配している。2001年頃、東南アジアの養殖業者によって作出されシンガポールを経由して出荷されはじめた。歴史の浅い交雑種のため色・体型ともバリエーションが多く、形質は安定していない。

その他

コンラート・ローレンツが自著の『ソロモンの指輪』で「宝石魚」という名前で「夫婦で子育てをする魚」としてその生態について述べている魚は、アメリカン・シクリッドの一種であるヘリクティス・カーピンテ(テキサスシクリッド)である(ローレンツは「ヘリクティス・キアノグッタートゥス」としているが、これは当時キアノグッタートゥスとカーピンテが混同されていたことによる)。

関連項目