イトヨ

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イトヨ(糸魚 Gasterosteus aculeatus)は、トゲウオ目トゲウオ科に分類される


分布

北半球亜寒帯に広く分布し、日本でも山口県利根川以北に分布する。

特徴

全長は10cmほどで、体は木の葉のように左右に平たい。背中には背びれの棘条が3本離れて発達し、さらに腹に2本、尻びれ付近にも1本とげがある。うろこはないが、トゲウオ科特有の鱗板が体の側面に並ぶ。体色は褐色だが、成熟したオスは体が青っぽくなり、のどから腹部にかけて赤色の婚姻色を発現させる。

イトヨはサケと同じで、川で生まれた稚魚は海へ下って成長し、産卵前に川をさかのぼる回遊(遡河回遊)を行うが、海まで降りずに淡水域に留まって成長する陸封型の個体群も各地で知られる。岩手県大槌町では東日本大震災による津波の引き波で陸封型イトヨが川の下流に運ばれ、春に海から遡上してきたニホンイトヨと自然交雑している[1]

若い個体は群れで生活し、小型の甲殻類などを捕食して成長するが、婚姻色を発現させたオスは縄張りを作り、同種のオスを激しく追い払うようになる。同時にオスは縄張り内の川底に穴を掘って水草の根などを集め、トンネル状のを作り、メスを誘って産卵をおこなう。オスは産卵後も巣に残ってを保護する。寿命は1年で、オスメスとも産卵が終わると死んでしまうが、まれに生き残って2年目の繁殖に参加する個体もいる。

なお、繁殖期のオスに様々な模型を近づける実験では、たとえ形が似ていなくても体の下面が赤ければ攻撃行動を起こす。この習性は本能行動の例として知られ、教科書などにも登場する。

保全状態評価

日本では、2007年版の環境省レッドリストで、福島県以南の陸封のイトヨ太平洋型と本州のイトヨ日本海型が「絶滅のおそれのある地域個体群 (LP) 」に記載されている。

別名

ハリウオ、ハリサバ、トゲチョなど

近縁種

ハリヨ Gasterosteus microcephalus Girard, 1854

ヨーロッパ・北アメリカ(メキシコ)・日本に分布。日本では滋賀県と岐阜県のごく限られた湧水地のみに生息する。海に下ることはなく、一生を淡水で過ごす。福井県大野市の清水にも生息しており、昭和29年に大野高校生物部が福井県高等学校生物クラブの発表会で報告している。その他福島県にも生息している模様。鱗の数は雄が32枚、雌が31枚。また、藻や草木の枝で巣を作り、オスが外敵を追い払うのも特徴。

脚注

関連項目