クラレ

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株式会社 クラレ: KURARAY CO.,LTD)は、化学繊維をはじめとする日本の化学企業グループである。

創業の地である岡山県倉敷市酒津の倉敷事業所(酒津)に本店を置くが、実質的な本社機能は東京都千代田区大手町一丁目1番3号(大手センタービル)の東京本社、及び大阪府大阪市北区角田町8番1号(梅田阪急ビル オフィスタワー)の大阪本社にある。

概要

近代日本を代表する実業家の一人でもある大原孫三郎により、1926年レーヨンの国産化を目的として設立される。同社の代表的製品でもあり、ランドセルで有名な人工皮革「クラリーノ」や[1]、機能性樹脂「エバール」「クラレポバール」、高機能エラストマー「セプトン」「ハイブラー」、合成繊維「ビニロン」「ベクトラン」、乾式不織布「クラフレックス」など代表的製品も数多く存在する。

「マジックテープ」(一般名:面ファスナー)はクラレの登録商標である。

倉敷紡績(クラボウ)の経営多角化を目的に大原一族が創業したが、現在はクラボウとの関係は営業面のみに関するものであり、人的関係や資本関係は一切ない。

海外売上比率が高く、2016年度は63%となっている。

総合職の内定競争倍率が高いことでも有名であり、2014年度の内定競争倍率は250倍となっている。全体で18位とかなりの高水準であり、非常に狭き門となっている。

日経225銘柄を構成する1社である。

歴史

  • 1926年大正15年) - 大原孫三郎により岡山県倉敷市に設立。社名は「倉敷絹織株式会社」。
  • 1943年昭和18年) - 社名を「倉敷航空化工株式会社」に変更。
  • 1945年(昭和20年) - 社名を「倉敷絹織株式会社」に復帰。
  • 1949年(昭和24年) - 社名を「倉敷レイヨン株式会社」に変更。ウイリス・オーバーランドとの共同出資でジープ(CJ=シビリアンジープ)の販売拠点となる倉敷フレーザーモータース設立。
  • 1950年(昭和25年) - 日本初の国産合成繊維であるポリビニルアルコール繊維「ビニロン」を世界で初めて事業化。
  • 1963年(昭和38年) - 商号商標「Kクラレ」の使用開始。
  • 1965年(昭和40年) - 人工皮革「クラリーノ」を販売開始[1]
  • 1970年(昭和45年) - 社名を「株式会社クラレ」に変更。
  • 1974年(昭和49年) - 大阪市福島区野田に結婚式場「クラレ白鷺」を開館(1998年閉館)。
  • 2000年(平成12年)- 社長に和久井康明が就任。新規水溶性樹脂<エクセバール> 事業化(岡山)。イタリアの人工皮革加工販売会社 ロリカ社に資本参加。
  • 2001年平成13年) - レーヨン事業から撤退。
  • 2006年(平成18年) - 創立80周年を機にロゴマークを一新。
  • 2007年(平成19年) - 化学関連事業の売上高拡大に伴い、株式の所属業種を「繊維製品」から「化学」に変更。
  • 2012年 - 産業用ポバールフィルムを扱う、米国モノソル社を買収。
  • 2014年(平成26年) - 決算期日を3月31日から12月31日に変更。米国DuPont社のビニルアセテート関連事業を買収。
  • 2015年(平成27年) - 社長に伊藤正明が就任。バイオマス由来のバリアフィルム事業を扱う、オーストラリアのプランティック社を買収。
  • 2017年(平成29年)3月10日 - 自衛隊戦闘服などの入札談合を繰り返していたなどとして、公正取引委員会から排除措置命令を受ける[2]

正式な社章(以前は株券等に使用)は設立時に制定された。同心円を二つ重ね、中に紋所の三つ星を配した通称『二三印』で、その意味は創業者の大原孝四郎森田節斎に師事したときに伝授された「謙受説」の一節にある『謙受益、則富、富即驕、驕即衰。滿招損、即窮、窮即慎、愼即盛。盛衰相尋於無窮。』[3]の思想を図表化したものである。

主要事業

  • 樹脂
  • 化学品
  • 繊維
  • トレーディング
  • その他

売り上げの約4割は、ポバールエバールなどを含む樹脂事業であげている。液晶に使用されるポバールフィルムで世界シェア80%、ガソリンタンクや食品密封包装などに使用されるエバールで世界シェア70%など、機能性樹脂を中心とする新素材で高い競争力と独自性を持つことを、事業の特徴としている。

また、事業競争力の維持のため、研究開発を積極的に行うほか、2001年にはポバールのシェアで競合するドイツのクラリアント社から、製造プラントを一括して買収するなどの、直接投資も積極的に行っている。

新潟事業所の廃水地下浸透問題

クラレ新潟事業所(新潟県胎内市倉敷町、旧協和ガス化学工業(株)中条工場、1989年クラレと合併)は、1959年から1995年まで、工場の製造工程から排出される一部の廃液を、地下(工場内に位置する深さ120から125メートルの井戸)に未処理のまま注入処分(地下浸透)していた。地下に処分していた廃液は合成樹脂の原料である「メチルメタアクリレート」、塗料等の原料である「メタクリル酸」、「硫安」の製造工程で生じる副生物であった。胎内市の指摘を受け、この事実が発覚した2006年に工場で生産していた副生物の廃水を成分分析した結果、1リットル当たりシアン化合物が最大0.59ミリグラム、ヒ素がそれぞれ約0.3ミリグラム含まれていた。同工場は廃液を地下浸透させるための専用の井戸(深さ120〜125メートル)を10本掘り、1959〜1995年の約36年間で計94万7000トンを地下浸透させた。なお同工場が地下処分を開始して間もない1965年には、同県内で新潟水俣病(第二水俣病)の発生が新潟大学から公表され、1968年には昭和電工鹿瀬工場からの排水に含まれていたメチル水銀が原因であるとの政府見解が発表されている。

関連企業

テレビCM・広告活動

テレビCMでは人工皮革クラリーノのアヒルをキャラクターにしたCMが知られているが、2006年に新ロゴマークが登場、その後2007年11月から成海璃子(2008年8月からはアルパカが加わる)を起用した企業CMが放送された。繊維メーカーから化学メーカーへ進出したクラレをPRする「未来化ける新材。ミラバケッソ」がキャッチフレーズで[4]電車内と高校教室を舞台に、日常の空間の中で突然登場する造語ミラバケッソのTシャツを着た男性陣を見て成海が疑問に感じてしまうというコミカルなCM。なお「電車編」では京成電鉄の特急列車「スカイライナー」(成田スカイアクセス開業前)でロケが実施されている (詳細)。JR東日本山手線トレインチャンネルでも同じ内容のCMが同年末〜翌年初にかけて放映された。

その後も、成海と「アルパカのクラレちゃん」が共演した、企業CM「ミラバケッソ」シリーズの続編が放映された。

東日本大震災後の2011年4月からは、同社の社会貢献活動を紹介する企業CMとして、「ランドセルは海を越えてキャンペーン」、「少年少女化学教室」並びに「クラレ作業所」(のうち新潟事業所内にあるクラレの障害者雇用施設第1号)の3作品を、同社提供番組の『日経スペシャル ガイアの夜明け』などで放映している(2008年10月頃提供開始していたが、2013年3月末をもって一時降板、2017年10月より復帰)。いずれもBGMは、平原綾香の「大きな木の下」(後に歌抜きとなった)。過去には、『どちら様も笑ってヨロシク』や『クイズタイムショック』などで番組スポンサーについていた。

また、大阪市野田阪神福島区鷺洲一丁目)にあった系列の結婚式場クラレ白鷺」のCMは、閉館後の現在も関西地区を代表する「なつかしのCM」として知られている。

2014年からはソチオリンピックへの出場が決まったスキージャンプ高梨沙羅が出演する企業CMの放映がスタート。イメージソングは高梨沙羅と同じ17歳のシンガーソングライター新山詩織の楽曲「今 ここにいる」を起用。

2014年12月から黒島結菜(アルパカは引き続き登場している)を起用した企業CMが放送されている。

CMに出演するアルパカは那須ビッグファームで飼育されているものだが、ここではアルパカが熱中症になるのを防ぐため、夏になると全頭の体毛を刈り上げてしまう。したがってCMに出演できるのは1歳未満(毛刈りを経験していない)のアルパカに限られるため、毎年代替わりしている。2013年のCMに出演していたアルパカは「カイカイ君」という名前であり、これに合わせてクラレのキャッチフレーズに「チキュウカイカイ」(地球問題を決する社)が加わっている[5][6]

脚注

  1. 1.0 1.1 伊沢友之、村井七緒子 (2015年11月17日). “ランドセルからブランド品へ クラリーノ50年、新たな挑戦”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 9面 
  2. クラレとユニチカが自衛隊戦闘服で談合 排除命令 NHKニュース 2017年3月10日
  3. 現代的に訳せば「とかく物事は一番になると慢心し、心が緩んで後退しやすいから、願わくばいつも一番に迫ろうとする希望に満ちた二、三番の謙虚な気持ちを堅持して、不断の努力を続けるべきである。」となる。
  4. キャンペーンのキャッチフレーズ「未来に化ける新素材」⇒「ミラいにバケる新ソ材」⇒「ミラバケッソ」2010年8月19日、2010年9月9日閲覧
  5. 2014年11月29日放送『平成タイムジャンパー』(テレビ朝日系)
  6. ミラバケッソキャンペーンサイト

関連項目

外部リンク


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