スカンジナビア航空

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スカンジナビア航空(スカンジナビアこうくう、Scandinavian Airlines System, SAS)は、スウェーデンデンマークノルウェースカンディナヴィア三国が共同で運航する航空会社で、スターアライアンスのメンバー。本社はストックホルム

概要

出資比率はスウェーデン4、デンマークとノルウェーがそれぞれ3の割合となっている。各国政府が自国出資比率の50%の株を保有し、事実上、三国共同のナショナル・フラッグキャリアとなっている。スウェーデンの首都ストックホルムのアーランダ国際空港がアメリカに対する拠点、デンマークの首都コペンハーゲンコペンハーゲン国際空港がアジアに対する拠点となっている。 また、ノルウェーを含むスカンディナヴィア半島は勿論、フィンランドアイスランドなどのその他北欧諸国・バルト三国ヨーロッパアフリカ中東アジア、北アメリカに幅広い旅客貨物ネットワークを築いている。

近年は北欧バルト三国航空会社を次々傘下に入れ、SAS運航路線からの移管とコードシェア化が進む。さらに、スターアライアンスの結成でルフトハンザドイツ航空や、その後スターアライアンスに加盟したオーストリア航空との関係が強化されている。今後、SAS運航国際路線の見直しがさらに進むものと見られる。

航空券の座席予約システム(CRS)は、アマデウスITグループが運営するアマデウスを利用している。 [1] [2]

歴史

  • 1918年2月設立 DNL(Det Norske Luftfarsrederi)、ノルウェー
  • 1918年10月設立 DDL(Det Danske Luftfarselskab)、デンマーク
  • 1924年設立 ABA(AB Aerotransport)、スウェーデン

1940年6月に上記3社による合意がされるも、第二次世界大戦の勃発とその後のドイツ軍のノルウェーへの侵攻のために白紙となる。第二次世界大戦が終結した1945年に、スウェーデンでSILA(Svensk Interkontinental Lufttrafik AB)が設立されたこともあり、1946年の設立時にはスウェーデン政府が7分の3とノルウェー政府7分の2、デンマーク政府7分の2よりも多くなる。その後もスウェーデン政府が主導権を握り、デンマーク政府とノルウェー政府がそれに抵抗するという構図が続いており「スウェーデンのためにデンマークとノルウェーが飛ばす」などと揶揄されることもある。

第二次世界大戦後まもない時期に日本への乗り入れを開始した航空会社の一つで、1951年4月に南回りのバンコク線を延長する形での乗り入れとなった。1952年には受領したばかりのダグラスDC-6Bの初号機でロサンゼルスからコペンハーゲンまで旅客機としては初めて北極圏を飛行し、1954年には世界初のポーラールートを飛ぶ定期便として同路線の運航を始めた。また日本線においても1957年に、他の航空会社に先駆けてダグラスダグラスDC-7Cで北極ルートの北回りヨーロッパ線を開設するなどこの類の路線ではパイオニア的存在を果たした。

1959年に、タイ政府とSASの合弁事業としてタイ国際航空を設立し、運航やサービスの基盤作りに協力するとともに機材の提供も行った。その後も両社の深い関係は、両社がスターアライアンスの設立メンバー(他にはユナイテッド航空ルフトハンザ航空エアカナダヴァリグブラジル航空)となり、コードシェア運航を行うことで現在も続いている。

1980年代にはヨーロッパアメリカの航空規制緩和の影響を受けて経営状況が悪化するものの、政府からの様々な支援を受けて復活した。1996年に組織変更を行い、SASグループ傘下となったABAとSILAが合併し、SASスウェーデンになる。さらに、DDLはSASデンマーク、DNLはSASノルウェーとなる。

2008年10月現在、日本路線は成田国際空港から毎日、コペンハーゲンへ運航している。1996年からはボーイング 747Fリースして関西国際空港からヨーテボリへの貨物路線の運航も開始した。日本路線は長らくボーイング767を使用していたが、新塗装への変更と共にエアバスA340で運航するようになり、成田-コペンハーゲンを約11時間30分で結んでいる。

また、日本ではTBS系にて1990年まで放映されていた「兼高かおる世界の旅」の番組後期の協賛スポンサーであったことも知られている(初期はパンアメリカン航空が協賛)。なお、ヴァイキングの本場、北欧にふさわしく全機に「○○ Viking」と伝統的にバイキングの英雄の名を愛称として名づけている。

系列航空会社、子会社

完全子会社は以下の2社。

資本関係のある系列会社は以下のとおり。

就航都市

スカンジナビア航空は以下の都市に就航している (2016年4月現在):

 スウェーデン
 デンマーク
 ノルウェー
ヨーロッパ
北アメリカ
アジア

保有機材

ファイル:SAS B737-800 LN-RRG.jpg
ボーイング737-800型機

現在の保有機材

機材 保有数 発注数 座席数 備考
C PY Y
エアバスA319-100 4 - - - 141 141
エアバスA320-200 13 - - - 168 168 A320neo導入に伴い退役予定
エアバスA320neo 18 62 - - 168 168
エアバスA321-200 8 - - - 198 198
エアバスA330-300 8 1 34 35 195 264
エアバスA340-300 8 - 46
42
34
28
-
35
171
218
195
245
260
264
A350-900とA330-300により置換え予定
エアバスA350-900 0 8 36 32 240 308 2019年以降順次導入予定
ボーイング737-600 10 - - - 123 123 A320neo導入に伴い退役予定
ボーイング737-700 28 - - - 141 141
ボーイング737-800 29 - - - 181 181
ボンバルディア CRJ900NG 22 - - - 88 88
ATR 72-600 9 - - - 68
78
68
78
157 71
  • 2018年4月現在

なお、同社が発注したボーイング製旅客機のカスタマーコード(顧客番号)は83で、航空機の形式名は737-683、737-883などとなる。

A320neo導入に伴いB737及びA320ceoは置き換えられ、同社の100席以上の旅客機はエアバス製旅客機に統一される。[1]

保有していた機材

ファイル:SAS A300B2-320 in Zurich.jpg
エアバスA300型機(1982年)
ファイル:SAS DC-8-62 SE-DDU.jpg
DC-8-62型機(1985年)
ファイル:Scandinavian 767-383ER.jpg
ボーイング767-300ER型機(2001年)
2007年10月28日、スカンジナビア航空は「機体の品質に度重なる問題があり、使用を継続するとSASのブランドを傷つける可能性がある」として、同型機全27機の運航終了(退役)を発表。
詳しくは、スカンジナビア航空1209便胴体着陸事故スカンジナビア航空2748便胴体着陸事故を参照のこと。

ユーロボーナス

ユーロボーナス(EuroBonus)とはスカンジナビア航空のマイレージサービスである。 全日本空輸ルフトハンザドイツ航空ユナイテッド航空などのスターアライアンス加盟各社及びスカンジナビア航空グループ各社に加え、カンタス航空エア・ワンなどの提携航空会社の搭乗でマイルを取得出来る。 また、提携ホテルクレジットカードの利用でもマイルを取得する事が出来る。

かつては、ノルウェー政府およびスウェーデン政府の命令により、「ノルウェー国内線全線」及び「スウェーデン国内線で他社と競合になっている路線」でマイルの付与を禁じられていたが、スウェーデンは2009年2月1日[2]、ノルウェーも2013年5月21日[3]に命令を撤回したため、今日ではSASが運航する全線でマイル取得が可能となっている。

なお、両国当局はスカンジナビア航空と提携しているマイレージサービスを運営している他航空会社にも同様の要請をしていたため、従って規制対象となる路線については提携他社のマイレージサービスでもマイルの取得が出来ない事となっていた[4]

サービス

長距離路線ではビジネスクラス『SAS Business』、プレミアムエコノミークラス『SAS Plus』、エコノミークラス『SAS Go』の3クラス制。ヨーロッパ域内とスカンジナビア国内線では、全席エコノミークラスで運航される。長距離路線には、最新の機内エンターテイメントシステムを搭載している。2015年より順次、長距離路線のビジネスクラスをフルフラットシートに更新するなど、全クラスで大規模なリニューアルを行なう[6]

またB737-800で運航されている路線には、機内インターネット接続サービス「Wi-Fi」が搭載されており、プレミアムエコノミークラス利用者とマイレージサービス「ユーロボーナス」会員は無料で利用できる。

機内食は国内線・国際線問わず提供され、国内線の一部はコーヒーと紅茶が無料で提供されるほか、機内販売を利用してスナック類などの購入が可能。

事故

1991年12月27日、ストックホルム・アーランダ空港から離陸直後のスカンジナビア航空751便(マクドネル・ダグラス MD-81)が翼に付着していた氷を両エンジンが吸い込み、ゴットゥローラの平原に不時着。乗員乗客123名のうち100名が怪我をしたが、幸い死者は出なかった。

2001年10月8日、ミラノリナーテ空港を離陸滑走中のスカンジナビア航空686便(マクドネル・ダグラス MD-87)が濃霧のため滑走路に誤進入したAir Evexのセスナ機(セスナ サイテーション CJ2)と衝突。セスナ機は大破し、686便は何とか上昇したが滑走路脇のハンガーに激突。2機の乗員乗客とハンガーにいた4名を含む118名が死亡。

2007年9月9日に1209便が、三日後の9月12日に2748便が着陸ギアの問題で胴体着陸を起こした。どちらの事故もボンバルディア社製デ・ハビランド・カナダ DHC-8-Q400であった。事故後スカンジナビア航空は同型機の運行を全面的に取り止めた。

2013年5月2日、ニューアーク・リバティー国際空港にて、離陸準備をしていたスカンジナビア航空908便(エアバスA330型機)とユナイテッド・エクスプレス航空4226便(エンブラエル145型機)が誘導路で衝突。両機は大きな損傷を負った。

関連項目

脚注

参考文献

「航空情報 2011-4月号と5月号」酣燈社 "スカンジナビア航空物語"

外部リンク