チャンギ

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チャンギ
各種表記
ハングル 장기
漢字 將棋
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チャンギ장기將棋)は、朝鮮半島将棋類であり、2人で行うボードゲーム(盤上遊戯)の一種である。朝鮮将棋とも言う。中華人民共和国吉林省では非物質文化遺産に指定されている[1]。他の将棋類と同様、紀元前の古代インドで考案されたチャトランガが起源であるとも言われており[2]シャンチーによく似ているが、成りによる駒の昇格がない、パスが出来るなどの特徴を持つ。

ルール

ファイル:Janggi-seoul.jpg
路上でチャンギを楽しむ人びと

基本ルール

  • 縦9本、横10本の線の引かれた専用の盤を用いる。駒はマスの中ではなく、囲碁のように線の交点に置かれる。
  • 競技者双方が交互に、盤上にある自分の駒を1回ずつ動かす。
  • 駒は双方が7種16枚持ち、それぞれ動きが決まっている。なお同じ機能の駒でも先手と後手で名前が異なるものがある。
  • 自分の駒を動かすとき、動く先に相手の駒があるとき、その駒を取ることが出来る。取られた駒は盤面から除去する。(将棋と異なり、取った駒は再利用出来ない)
  • 相手の漢または楚を詰めることで勝ちになる。
  • 1手で相手の王(漢・楚)が取れるようになれば(王手)、必ずチャングン(장군、將軍)(又はチャン(장、將))と言ってこの事を相手に告知する。相手は、これを解消しながらモングン(멍군)またはをモン(멍)と言う[注釈 1]
  • 駒を動かさずに手番をパスすることも出来る。双方続けてパスをした時は引き分けとなる。パスが可能なためステイルメイトは起こらない。自分の王(漢・楚)を裏返すことでパスの意思を表する。
  • 漢と楚が同じ縦線上に並び、間に駒がない状態にする手のことをピッチャングン(普段はピッチャン(빅장)という)と言い、相手がこれを解消しなければ引き分けとなる。
  • 同一局面が3回現れると千日手となり、どんな場合も引き分けとなる。
  • 駒の消耗によって双方が相手を詰められなくなった場合は引き分けとなる。

上下が平らな正八角形に切った木片の、片面に文字を書いたものを用いる。先手と後手の駒は文字の色で区別し、先手の駒は緑(又は青)、後手は赤の文字で書かれている。漢・楚が最も大きく、士・兵・卒が最も小さい。他はその中間の大きさになっている。

初期配置図

チャンギの初期配置の一例

これは初期配置の一例である。象と馬の配置は入れ替えることができ、ゲーム開始時に決められる。先に後手が配置を決め、それを受けて先手が配置を決める。片側に象2枚、馬2枚にはできない。従って、初期配置はプレイヤー毎に4通りあり、左から象馬象馬または馬象馬象と並ぶ形をキマ(귀마)、象馬馬象をヤンギマ(양귀마)、馬象象馬をウォナンマ(원앙마)という。図は先手がウォナンマ、後手がキマ(馬象馬象)の場合である。なお、北朝鮮ではこれに加えて車の配置も入れ替えて「象馬車-車馬象」のようにすることもでき、これを機動車(기동차)といい、機動車も含めて5通りとなる。

シャンチーと違い河はない。斜め線の入っている九路を、クン)といい、楚、漢、士は宮から出られない。

楚・漢

先手が、チョ)、後手が、ハン)。または、陣営を区別せず、チャン)、、ワン)、、クン)とも呼ぶ。
宮の中を線に沿って一路進める。ただし宮から出ることはできない。詰められると負けである。

楚・漢・士の動き

先手、後手ともに、サ)。楚・漢と同じ動きを持つ。士も宮から出ることは出来ない。

先手、後手ともに、マ)。八方桂ナイトと同じ動きだが、駒を飛び越えることはできない。すなわち◆の位置に他の駒があれば、その方向には進めない。このように、駒の移動を妨げる◆をミョクと言う。シャンチーと同じ動き。

先手、後手ともに、サン)。縦横に一路進んでから斜めに二路進む動きをする。駒を飛び越えることはできない。すなわち◆の位置に他の駒があれば、その方向には進めない。

先手、後手ともに、チャ)。縦横に何路でも進める。また宮の中では線に沿って斜めに進むことも出来る。

車の動き

先手、後手ともに、ポ)。縦横に何路でも進め、宮の中では線に沿って斜めに進むことも出来るが、動かす時は必ず他の駒を1つ飛び越えなければならない(シャンチーの包と違い、駒を取る時以外でも飛び越える必要がある)。相手の駒も飛び越えられるが、包は包を飛び越せず、包を包で取ることも出来ない。

包の動き

卒・兵

先手が、チョル)、後手が、ピョン)。陣営を区別せずには、チョル)と呼ぶ。前と横に一路だけ進める。また宮の中では線に沿って斜め前に一路進むこともできる。

卒・兵の動き

シャンチーとの相違点

  • 駒の名称が異なるものがある。
  • 河が無い。
  • 駒の形状は八角形。(シャンチーでは円形。)
  • 駒の大きさには3種類ある。(シャンチーではすべて同じ大きさ。)
  • ゲーム開始前に象と馬の配置を入れ替えることが出来る。
  • 漢・楚の初期配置が2段目。(シャンチーの帥・将は1段目。)
  • 漢・楚は線に沿って斜め方向にも進める。(シャンチーの帥・将は前後左右のみ。)
  • 漢・楚が同じ縦線上に並び、間に駒がない状態にすることができる(ピッチャングン、相手がこれを解消しなければ引き分け)。(シャンチーの帥・将ではこの状態にすることができない(王不見王)。)
  • 士は前後左右にも進める。(シャンチーの士・仕は線に沿った斜め方向のみ。)
  • 象の動きが違う。(シャンチーの象は斜め方向に二歩進める。ただし、駒を飛び越えられない性質は共通。)
  • 兵・卒は最初から横にも動ける。(シャンチーでは河を越えてから。)言い換えれば、兵・卒の昇格(成り)はない[注釈 2]
  • 包を動かすときは必ず他の駒を1枚飛び越えなければならない。(シャンチーでは駒を取るときのみ。)
  • 包は包を飛び越えることはできない。(敵、味方問わず。)
  • 包を包で取ることはできない。
  • 初手で包を動かすことはできない。(もともと、初期配置と上述の包の動きの関係でできないようになっている。)
  • 宮の中では兵・卒、車、包は斜め方向にも動ける。
  • 駒を動かさずに手番を相手に渡すことが出来る。よって、ステイルメイトは起こらない。
  • いかなる形の千日手も引き分けとなり、連続王手等の禁じ手はない。(シャンチーでは連続王手等の禁じ手がある。)

競技人口

競技人口は推定700万人で将棋類(チャトランガ系の盤上競技)ではチェスシャンチー(中国)、将棋(日本)に次ぐ世界第4位といわれている[3]

国際大会では、韓国将棋協会(大韓チャンギ協会)が安重根義士義挙100周年を記念して2009年10月に中国ハルビン市で第一回世界人チャンギ大会한국어版(中国名:朝鮮族伝統象棋国際大賽)を開催し、2016年にも第2回世界人チャンギ大会を中国撫順市で開催してる[4]

韓国将棋協会 東京支部 新ローカルルール

  • 兵・卒が敵陣の一番奥まで前進したと同時に、自分のそれまでに死んだ駒(「士」以外)のどれかと入れ換えることができる[5]。これは将棋の「成り」、チェスの「プロモーション」に似たルールである。

脚注

注釈

  1. モン(멍)は固有語なので漢字表記はない。
  2. ただし韓国将棋協会東京支部新ローカルルールの場合には兵・卒の昇格があるが、シャンチーでの兵・卒の昇格方式とは異なる。

出典

参考文献

  • 岡野伸 『朝鮮将棋・韓国将棋チャンギ情報集 1』 プリンプリント、名古屋、2002年4月。

関連項目

外部リンク


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