ハクサイ

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ハクサイ(白菜、学名Brassica rapa var. pekinensis)はアブラナ科アブラナ属二年生植物。日本では冬の野菜として好まれ、多く栽培・利用されている。

結球する印象が強いが、結球しない品種も多い。中国語では「大白菜」と「小白菜」に分かれ、チンゲンサイやシロナなども含まれるが、日本でいうハクサイは前者の一部に限られる。英語の“Chinese cabbage”も広く中国野菜を意味し、日本でいうハクサイは、"Napa cabbage"・"Nappa cabbage"(napaやnappaは日本語の菜っ葉が語源)に相当する。

概要

原種であるブラッシカ・ラパは、紀元前の中国に伝わると栽培されるようになり、様々な野菜を生んだ。7世紀の揚州で、華北カブ(アジア系)と、華南パクチョイが交雑して生じた牛肚菘(ニウトウソン、本草図経にある)が、最初のハクサイと考えられている(一説に新石器時代からというが、これは疑問)。

当初は結球性が弱く、白菜(シロナ)に近かったと見られる。16 - 18世紀にかけて結球性を持つものが現れ、品種改良が進んだ結果、今日見られるハクサイが生まれた。

特に目立った栄養は無いが、抗がん作用のあるイソチオシアネートが豊富である。

日本での栽培

ファイル:Chinese cabage blossoms.jpg
花が咲いた、畑のハクサイ

現在の日本で栽培される品種は不和合性を利用したF1品種である[1]。ハクサイは日本料理の食材として多用されているが、日本で結球種のハクサイが食べられるようになったのは、20世紀に入ってからである[1]江戸時代以前から日本には度々ツケ菜として非結球種が渡来したが、いずれも品種を保持できなかった。これは、現在でも育種家の課題であるハクサイの強い交雑性が原因と考えられている[1]。アブラナ科の植物は、近縁他種の花粉で受粉し交雑種を作りやすい特徴を持ち、交雑によって生まれたハクサイは、特に継続した採種が困難だった。明治時代初期には政府によって本格導入されたが、ほとんど失敗した。唯一、愛知県栽培所で山東白菜の系統維持に成功したが、これは半結球種だった。

明治末期から大正にかけて、宮城県沼倉吉兵衛が宮城農学校(宮城県農業高等学校の前身)と伊達家養種園で芝罘白菜(チーフ白菜)の導入に成功した。松島湾馬放島という小島で隔離育種したので、松島白菜の品種名を与えた。農家は島で採取した種を得て栽培し、仙台白菜の名で出荷した[2][3]

同時期に愛知県名古屋市中川区大蟷螂町付近で野崎徳四郎キャベツカリフラワーの普及にも関与)が山東白菜の改良を進め、現在のように結球するハクサイができたといわれている。昭和に入って石川県でも栽培が軌道に乗り、これで現在の主要系統である松島群、野崎群、加賀群という三大品種群が作り出されたことになる。

このようにハクサイの普及は、栽培より育種の成功によるところが大きい。普及のきっかけとして、日清日露戦争に従軍した農村出身の兵士たちが現地で食べた白菜の味を気に入って持ち帰ったからと言われているが、各地で栽培が試行されたもののほとんどは品種維持に失敗したと見られる。日本での生産量はダイコンキャベツに次いで3番目に多い。統計では1941年からデータが取られ、すでに50万tが生産されていた。1968年にピークとなり186万tを超えたが、その後は食文化の洋風化により減少した。

第二次大戦後に生産量が急拡大した際、連作障害による被害が拡大したが、これに対抗する耐病性育種も進んだ。

朝鮮半島での栽培

朝鮮半島に白菜が持ち込まれたのは、伊藤博文韓国統監府長官を務めていた1909年である[4]。持ち込まれたのは清国1号という品種で、10年あまりの研究の末に朝鮮半島での栽培法が確立され、朝鮮総督府によって朝鮮半島全土に普及した。この普及に伴い、白菜キムチも生まれることとなる。

品種

中国では山東系、北方系、南方系の3系統8群があり、このうち日本では山東系の3群(菊花心群、芝罘群、膠県群)が定着し、さらにそのF1品種が栽培されている。

  • 円筒型(包被型) - 葉が頭部まで重なっている。日本で最も多く出回る。
  • 砲弾型(抱合型) - 葉が頭部では重ならない。秋、冬に出回り、主として漬物用。
  • 紹菜(たけのこはくさい) - 華北地方原産。長円筒状に成長する。
  • 半結球はくさい - 頭部が開く。関東に多く、主に漬物用。
  • 不結球型 - 葉の上部だけでなく下部も密着していない型。外見はコマツナやホウレンソウに似ている。流通量は少ない。
  • ミニはくさい - 1kg前後の小型種。娃娃菜中文版など。
  • ヘアレスはくさい - 中国南部、台湾に普及している。無毛で、多汁質なのでサラダなどに向く。
  • ハクラン - 偽受精という現象を、アブラナ類の品種改良に利用する研究の過程で誕生したキャベツとの雑種。味は良いが採種量がやや少ない。

栽培

ファイル:Hakusai-fuyu.jpg
越冬には玉の上部をひもで縛ることでの害から守る。

原産地の地中海沿岸地方では、ツケ菜のような姿だったものが、中国へ伝播した後に、11世紀[1]結球型となった。

非結球性種はツケ菜として明治初期に結球性ハクサイが日本へ移入され栽培が始まる。冷涼な気候を好み、生育温度は20℃前後、葉が巻き始める結球期の気温は、15〜17℃前後が最適。このため、日本では晩夏から初秋にかけ播種し初冬から春先にかけ収穫する。早生種は、播種から55〜60日で収穫が可能で、極早生種としては、黄芯系の「彩黄」、1玉1〜1.5kgと小型の「青海」などがある。本葉5〜6枚の苗が植えつけ適期。早生種は播種から65日ぐらいで収穫可能。手で玉を押し、固く締まっていれば採取する[5]

アブラナ科の植物である事から、根こぶ病発生の可能性を勘案し 連作は控えなければならない。植付け前には苦土石灰を散布、植付け付け後は 2〜3週毎に追肥を施し、外葉が大きく成る様に育成すると大玉化する。また、特に暖期はアブラムシアオムシなどの害虫がつきやすい為、白い寒冷紗トンネルを作るとよい[5]。また越冬時は玉の上部をひもで縛ることでの害から守る。霜や気温が0度以下になった場合に、細胞内の水分が凍結し、葉が枯れてしまう「霜枯れ」が起こるのを防止する目的である。通常日本では11月下旬からこの作業を行う。また、この作業の必要がない葉が巻きやすくなった品種もある[6]

病虫害

べと病
葉に不規則な淡黄色の病斑が広がっていき、葉裏にカビが生えてくる病気。
石灰欠乏症(アンコ症)
結球内の芯から腐敗して溶けてしまう病気。石灰欠乏が原因とされる。
ゴマ症
茎に黒い斑点が多数現れる現象。実際には病害でも虫害でもなく、白菜がストレスを受けることによって発生するポリフェノールである。美観を害する以外に発症による害はない。

食用

ファイル:Nabe Kansai style.jpg
鍋料理に入れられたハクサイ

キャベツのように結球したを食用とするが、結球様の形状はキャベツがやや横に扁平なのに対し、ハクサイは縦に長い。葉は結球の外側は緑色をしているが、結球の内部へいくほど黄白色になる。栄養価は外側ほど高い傾向がある。

。霜に当たると甘みが出て美味。味は比較的淡白であり、キャベツなどと比べると柔らかい。生ではシャキシャキした歯ざわりがあり、煮込むと柔らかくなる。

冬の鍋の具として定番となっている。煮物汁物炒め物鍋料理漬物浅漬けキムチ)などに使われるほか、キャベツと同様に(あるいはその代用品として)餃子の具に使われる場合がある[7][8][9]

日本では加熱して用いることが多いが、アメリカでは主にサラダ用として広まっている。

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 西貞夫、野菜あれこれ(7) 調理科学 15巻 (1982) 1号 p.24-32 , doi:10.11402/cookeryscience1968.15.1_24
  2. 仙台白菜の生みの親 沼倉吉兵衛(太白区まちづくり推進協議会)。山本金次郎・編『宮城県名勝地誌』、宮城県教育会、1931年、251-252頁。
  3. 太白区まちづくり推進協議会. “162 仙台白菜 沼倉吉兵衛(ぬまくらきちべえ)”. ディスカバーたいはく5号. 太白区まちづくり推進協議会. . 2017閲覧.
  4. 《한국농업근대사》, 168-169쪽, 농촌진흥청, 2008년 12월 발간
  5. 5.0 5.1 住友化学園芸
  6. JAグループ福岡
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関連項目