パーシパエー

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ファイル:Pompeii - Casa dei Vettii - Pasiphae.jpg
ポンペイフレスコ画に描かれたパーシパエー、ダイダロスと、ダイダロスが制作した木製の牝牛。
ファイル:Pasiphae Minotauros Cdm Paris DeRidder1066 detail.jpg
イタリアヴルチEnglish版から出土した紀元前340年頃のアッティカ赤絵式キュリクス。ミーノータウロスを膝の上に抱くパーシパエーの姿が描かれている。

パーシパエー古希: Πασιφάη, Pāsiphaë)は、ギリシア神話の女性である。長母音を省略してパシパエとも表記される。

太陽神ヘーリオスペルセーイスの娘で[1][2]キルケーアイエーテース[1]ペルセースと兄弟[3]クレータ島の王ミーノースの妻となり、カトレウスデウカリオーンEnglish版グラウコスアンドロゲオース、アカレー、クセノディケー、アリアドネーパイドラーを生んだ[2]。またミーノータウロスの母としても知られる。

キルケーと同じく魔術に優れており、また神の血を引くために不死だったとも伝えられている[4]

神話

ミーノータウロスの誕生

ミーノースは義父であるクレータ王アステリオスが死んだとき、クレータの王位を要求したが受け入れられなかった。そこでミーノースは王国が神々によって授けられた証に、自分の願いは何でもかなえられると言った。彼は海神ポセイドーンに犠牲を捧げ、海から牡を出現させることを願い、その牡牛をポセイドーンに捧げると誓った。すると願いはかなえられ、海中から1頭の美しい牡牛(クレータの牡牛)が現れたので、ミーノースは王位を得ることができた。ところがミーノースはその牡牛が気に入って自分のものにしてしまい、ポセイドーンには別の牡牛を捧げた。ポセイドーンは怒って牡牛を凶暴に変え、さらにパーシパエーがこの牡牛に強烈な恋心を抱くように仕向けた[5]

別の伝承では愛の女神アプロディーテーが、パーシパエーが自分を敬わなかったため、あるいは父であるヘーリオス神が軍神アレースとの浮気をヘーパイストスに告げたことを怨んで、パーシパエーをエロースに彼の弓矢で射させ、彼女に牡牛への恋を抱かせたとされる[6]

パーシパエーは思いを遂げるため工匠ダイダロスに相談した。するとダイダロスは木で牝牛の像を作り、内側を空洞にし、牝牛の皮を張り付けた。そして像を牧場に運び、パーシパエーを中に入れて牡牛と交わらせた。この結果、パーシパエーは身ごもり、牛の頭を持った怪物ミーノータウロスを生んだ[7][6]。ミーノースは怒ってダイダロスを牢に入れたが、パーシパエーはダイダロスを救い出してやったともいわれる[6]

パーシパエーの魔法

またパーシパエーは夫のミーノースが女好きだったことに腹を立てて、ミーノースに魔法をかけ、彼が別の女を抱こうとすると体から獣(あるいはムカデサソリ[4])を放って相手の女を殺してしまうようにした。この魔法によって多くの女が死んだが、プロクリスのみはキルケーの薬草をミーノースに与えて魔法を無効にし[8]、あるいは別の策によって無事であったという[4]

系図

テンプレート:ペルセーイスの系図

脚注

  1. 1.0 1.1 アポロドーロス、1巻9・1。
  2. 2.0 2.1 アポロドーロス、3巻1・2。
  3. アポロドーロス、1巻9・28。
  4. 4.0 4.1 4.2 アントーニーヌス・リーベラーリス、41話。
  5. アポロドーロス、3巻1・3-1・4。
  6. 6.0 6.1 6.2 ヒュギーヌス、40話。
  7. アポロドーロス、3巻1・4。
  8. アポロドーロス、3巻15・1。

参考文献

関連項目