ピエール・ブルデュー

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ピエール・ブルデュー(Pierre Bourdieu、1930年8月1日 - 2002年1月23日)は、フランス社会学者コレージュ・ド・フランス名誉教授哲学から文学理論、社会学人類学まで研究分野は幅広い。著書『ディスタンクシオン』が有名。文化資本社会関係資本象徴資本の用語や、ハビトゥス (Habitus)、界、象徴的暴力などの概念で知られる。

略歴

思想

  • ハビトゥス(羅: habitus - 英: habit - 日: 習慣、習癖)をキー概念として、人間の日常行動の論理を解明し、構造主義民族学を批判的に発展させた、とされがちになるが、構造主義を批判し、諸構造とハビトゥスから実際行為・慣習的行為pratiquesが規制されていることを明証にした。客観的客観主義と主観的人間主義を批判し[2]、日常的・慣習的な行為を体系的に考証した。
  • 主に教育と社会階級について分析。単に裕福な家庭の子が進学で有利というだけでなく、文化資本(上品で正統とされる文化や教養や習慣等)の保有率が高い学生ほど高学歴であることを統計的に証明した。またその子供も親の文化資本を相続し、同じく高学歴になることも統計的に証明した。彼はこれを文化的再生産と呼んだ。特権的文化の世代間継承と、学校がそれに果たす役割を解明。社会構造再生産され変化するメカニズムについて考察し、現象学主観主義を発展させることも目指した。これらの研究は、自己を他者から区別する「卓越化」が構造化される過程の分析から、階級闘争まで触れた著書『ディスタンクシオン』としてまとめられた。社会的地位の再生産に関する、マルクス主義とは異なる新しい理論として、ヨーロッパだけでなく日本アメリカでも注目された。
  • マルティン・ハイデッガーを批判し、ジャック・デリダと論争をした。彼のハイデッガー批判の内容はテオドール・アドルノのモノマネだという批判もある。
  • 晩年は新自由主義グローバリゼーションを批判。1995年のフランスのストライキでは、失業者、ホームレス、不法移民を支援したほか、積極的に政治的な発言をした。新自由主義を批判した著書は数か国語に翻訳され、ヨーロッパ、米国、南米での反グローバリゼーション運動に影響を与えた。

著書(日本語訳)

単著

  • 『構造と実践――ブルデュー自身によるブルデュー』(新評論、1988年)
  • 『ディスタンクシオン――社会的判断力批判(1・2)』(藤原書店、1990年)
  • 『社会学の社会学』(藤原書店、1991年)
  • 『話すということ――言語的交換のエコノミー』(藤原書店、1993年)
  • 『資本主義のハビトゥス――アルジェリアの矛盾』(藤原書店、1993年)
  • 『美術愛好――ヨーロッパの美術館と観衆』(木鐸社、1994年)
  • 『芸術の規則(1・2)』(藤原書店、1995年 - 1996年)
  • 『ホモ・アカデミクス』(藤原書店、1997年)
  • 『教師と学生のコミュニケーション』(藤原書店、1999年)
  • 『ハイデガーの政治的存在論』(藤原書店、2000年)
  • 『メディア批判』(藤原書店、2000年)
  • 『市場独裁主義批判』(藤原書店、2000年)
  • 『実践感覚(1・2)』(みすず書房、2001年)
  • 『ピエール・ブルデュー――1930-2002』(加藤晴久編/藤原書店、2002年)
  • 『政治――政治学から「政治界」の科学へ』(藤原書店、2003年)
  • 『住宅市場の社会経済学』(藤原書店、2006年)
  • 『実践理性――行動の理論について』(藤原書店、2007年)
  • 『結婚戦略――家族と階級の再生産』(藤原書店、2007年)
  • 『パスカル的省察』(藤原書店、2009年)
  • 『科学の科学――コレージュ・ド・フランス最終講義』(藤原書店、2010年)
  • 『自己分析』(藤原書店、2011年)
  • 『国家貴族(1・2)——エリート教育と支配階級の再生産』(藤原書店、2012年)
  • 『介入 社会科学と政治行動(1・2) 1961-2001』(藤原書店、2015年)
  • 『男性支配』(藤原書店、2017年)

共著

  • (ジャン=クロード・パスロン)『再生産――教育・社会・文化』(藤原書店、1991年)
  • (ジャン=クロード・シャンボルドン, ジャン=クロード・パスロン)『社会学者のメチエ――認識論上の前提条件』(藤原書店 、1994年)
  • (ハンス・ハーケ)『自由-交換――制度批判としての文化生産』(藤原書店、1996年)
  • (ジャン=クロード・パスロン)『遺産相続者たち――学生と文化』(藤原書店、1997年)
  • (ロイック・J・D・ヴァカン)『リフレクシヴ・ソシオロジーへの招待――ブルデュー、社会学を語る』(藤原書店、2007年)
  • 『国家の神秘 ブルデューと民主主義の政治』(藤原書店、2009年)
  • 『人民とはなにか?』(以文社、2015年)

脚注

  1. https://fr.wikipedia.org/wiki/Pierre_Bourdieu
  2. 『実践感覚』に詳論されている。

参考文献

  • ハーカーほか『ブルデュー入門:理論のプラチック』(滝本往人ほか訳、昭和堂、1993年)
  • 石井洋二郎『差異と羨望:ブルデュー『ディスタンクシオン』を読む』(藤原書店、1993年)
  • 宮島喬『文化的再生産の社会学:ブルデュー理論からの展開』(藤原書店、1994年)
  • 山本哲士『ピエール・ブルデューの世界』(三交社、1994年。増補版2007年)
  • ハーカーほか『ブルデュー入門:理論のプラチック』(滝本訳、昭和堂、1993年)
  • 安田尚『ブルデュー社会学を読む』(藤原書店、1998年)
  • 社会学研究会『象徴支配の社会学:ブルデューの認識と実践』(恒星社厚生閣、1999年)
  • 池上俊一『文化の権力:反射するブルデュー』(藤原書店、2003年)
  • アルミン・ナセヒ/ゲルト・ノルマン編『ブルデューとルーマン』(森川剛光訳、新泉社、2006年)
  • 加藤晴久 『ブルデュー 闘う知識人』(講談社選書メチエ、2015年)
  • 山本哲士『ブルデュー国家資本論』(文化科学高等研究院出版局、2017年)

外部リンク