ヤマザクラ

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ヤマザクラ(山桜、学名:Cerasus jamasakura)はバラ科サクラ属の落葉高木。日本に10種あるサクラ属の基本野生種[注釈 1]の中でも代表的な種で、和歌にも数多く詠まれている。サクラの仲間では寿命が長く、ときに樹高30mを超える大木になる。樹形は箒形で、ケヤキに似る。ヤマザクラを原種として品種改良された種も多い。
多くの場合葉芽と花が同時に展開する(開く)ので、これがソメイヨシノと区別する大きな特徴となる。
日本台湾韓国北朝鮮に分布。開花時期は3-4月頃。

分類

サクラの属名は日本では長いことPrunus、和名ではスモモ属とする分類が主流だったが、昨今の研究ではCerasus(サクラ属)とするものがある。日本では前者、分けてもサクラ亜属(subg. Cerasus)とするものが多かったが、近年は後者が増えてきている。しかしCerasusとすることで決着した訳ではない。海外では、現在もPrunusに分類するのが主流である。

概説

ファイル:ヤマザクラの花と若葉.jpg
ソメイヨシノのように満開を過ぎたころに葉が出るのではなく、開花と同時に赤茶けた若葉が出る
ファイル:ヒロシマエバヤマザクラ02.JPG
個体変異種の一つのヒロシマエバヤマザクラ。花弁の数が倍以上ある

ヤマザクラは同一地域の個体群内でも個体変異が多く、開花時期、花つき、葉と花の開く時期、の色の濃淡と新芽の色、樹の形など様々な変異がある。 ヤマザクラは独立した種であるが、近代の分類記載において多くの野生桜との混同が多く、野生桜を総じて山桜と呼ぶケースやカスミザクラやエゾヤマザクラをヤマザクラと同種に見なすケースなどがあり、専門家の書いた記述についても注意が必要である。この原因には、日本の野生桜が多くの変異を引き起こしやすいこと、交雑によると見られる雑種が多く生じやすいこと、古来から花が好まれたことで広く人工的に植栽されたことで交雑個体や変異個体が広く分布する原因になっていることなどがある。

同じ場所に育つ個体でも一週間程度の開花時期のずれがあるため、同じサクラでもソメイヨシノと異なり、短期間の開花時期に集中して花見をする必要はなく、じっくりと観察できる。ソメイヨシノの植栽の普及する前の花見文化はむしろ、このように長期間にわたって散発的に行われるものであった。

新芽から展開しかけの若い葉の色は特に変異が大きく、赤紫色、褐色、黄緑色、緑色などがあり、裏面が白色を帯びる。 花弁は5枚で、色は一般的に白色、淡紅色だが、淡紅紫色や先端の色が濃いものなど変化も見られる。樹皮は暗褐色または暗灰色。

家具の材料としても人気が高い。樹皮は樺細工などに利用される。

吉野の桜」とは、本来この山桜を指すものであり、日本の象徴とされた桜でもある。長寿な種であり、尾所には樹齢500年を越えるものが見られる。

地方自治体の木

ギャラリー

ヤマザクラ群

ヤマザクラに類する品種の桜をヤマザクラ群と呼ぶ。オオシマザクラやオオヤマザクラ、カスミザクラなどが有名である。

野生種

  • アサギリザクラ(朝霧桜・毛山桜)
  • ウスガサネオオシマ(薄重大島)
  • オオシマザクラ(大島桜) - カスミザクラの島嶼種もしくはヤマザクラの海岸型。
  • オオヤマザクラ(大山桜・蝦夷山桜・紅山桜)
  • カスミザクラ(霞桜)
  • カタオカザクラ(片丘桜) - カスミザクラの幼形開花型。ヤマザクラに戻ってしまうことが多い。
  • キビザクラ(吉備桜)
  • クマノザクラ(熊野桜)
  • ケエゾヤマザクラ(毛蝦夷山桜)
  • シオカゼザクラ(潮風桜) - オオシマザクラの一型。
  • ツクシザクラ(筑紫桜・筑紫山桜)
  • ハツユキザクラ(初雪桜)
  • ヤマザクラ(山桜)

園芸品種

  • アオバ(青葉)
  • アカツキザクラ(暁桜・霞蝦夷山桜)
  • アカミオオシマ(赤実大島)
  • イズザクラ(伊豆桜)
  • イチハラトラノオ(市原虎の尾)
  • イボザクラ(伊保桜・井保桜)
  • イヨウスズミ(伊予薄墨)
  • ウンリュウオオシマ(雲竜大島)
  • オウシュウサトザクラ(奥州里桜)
  • カンザキオオシマ(寒咲大島)
  • キクシダレ(菊枝垂)
  • ギジョウジギジョザクラ(祇王寺祇女桜)
  • キヌガサ(衣笠)
  • キリフリザクラ
  • クチナシザクラ(梔子桜)
  • ケタノシロキクザクラ(気多の白菊桜)
  • ケンロクエンクマガイ(兼六園熊谷・兼六熊谷)
  • コウホクニオイ(江北匂)
  • ゴザノマニオイ(御座の間匂)
  • コトヒラ(琴平)
  • コノハナザクラ(木の花桜)
  • コンゴウザクラ(金剛桜・源氏車・小督) - 国の天然記念物。
  • サノザクラ(佐野桜)
  • シダレオオヤマザクラ(枝垂大山桜)
  • ジョウニオイ(上匂)
  • シンスミゾメ(新墨染)
  • スルガダイニオイ(駿河台匂)
  • ゼンショウジキクザクラ(善正寺菊桜)
  • センダイヤ(仙台屋)
  • ソウドウザクラ(宗堂桜) 2種がある。
  • タイザンフクン(泰山府君)
  • ダイリノサクラ(内裏の桜)
  • タカネオオヤマザクラ(高嶺大山桜)
  • タキニオイ(滝匂)
  • ナラノヤエザクラ(奈良の八重桜・奈良八重桜)
  • ニドザクラ(二度桜)
  • ノナカノサクラ(野中の桜)
  • ハチスカザクラ(蜂須賀桜) - 沖縄系カンヒザクラとヤマザクラの一代交雑種カンザクラ
  • ヒウチダニキクザクラ(火打谷菊桜)
  • ヒロシマエバヤマザクラ(広島江波山桜)
  • ヒヨシザクラ(日吉桜)
  • ベニタマニシキ(紅玉錦・松前紅玉錦)
  • ベニナンデン(紅南殿)
  • ホソカワニオイ(細川匂)
  • マツマエウスベニココノエ(松前薄紅九重)
  • ミナカミ(水上)
  • ミョウジョウ(明星・松前明星)
  • ヤエノオオシマザクラ(八重の大島桜)
  • ヤエノカスミザクラ(八重の霞桜)
  • ヤエベニオオシマ(八重紅大島)
  • ヤツブサザクラ(八房桜)
  • ヤマゴシムラサキ(山越紫)
  • ヨウロウザクラ(養老桜)
  • ライコウジキクザクラ(来迎寺菊桜)
  • ワカキノサクラ(稚木の桜) - ヤマザクラの幼形開花型。ヤマザクラに戻ってしまうことが多い。

脚注

注釈

出典

参考文献

関連項目