二刀流

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大小帯刀した幕末の武士・池田長発1864年)。刀を「二本差し」にしているが、これは同時に使用するわけではなく、江戸時代の武家諸法度の第一改定で、正装として二本帯びるよう規定されたからである。

二刀流(にとうりゅう)は、両手(右手と左手)にそれぞれもしくはを持って、攻守をおこなう技術の総称。二刀剣法とも呼ばれる。また、左右両方の手それぞれが武器を扱うことから、二つの異なる手段をもって事にあたること、あるいは同時に二つのことを行うことを意味するようにもなった。

拳銃を使う場合は二丁拳銃という。

日本

剣術

日本の剣術の二刀流は、利き手に本差を、反対側の手に脇差を持った形が最も多い。基本的に両手で把持して使用する目的で作られている日本刀を片手で使用することや、両手を別々に使用することは難しく、二刀を中心とする流派は少ない。二刀流を重視する流派としては、宮本武蔵が開いた二天一流が最も有名である。

二刀剣法の技術は、多くの古武道で継承されているが、形は様々で、左手に打刀を持つものや、逆手で扱うもの(片方だけ逆手の場合もあり、当然もう片方は順手で扱う)、珍しいものでは二振りの脇差を使う、二刀小太刀術柳生心眼流天道流など)や二丁十手、二丁なども存在する。手裏剣術では、片手に刀を持っていることを前提にして逆の手で手裏剣を打つ技もある。一刀で行う剣術に習熟する方法として、まず二刀を練習して慣れてきたら一刀に戻すという方法が行われることもあった。

中国や東南アジアの影響が多い琉球古武術では、トンファー等の武器を両手に一つずつ持って使う。

流派

人物

剣道

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二刀流の剣道選手

現代の剣道では、成年者は二刀流を公式試合で使うことが認められているが、使用者の数は少ない。昭和初期に学生の間で試合に勝つためだけに、団体戦において二刀流の選手を防御一辺倒の引き分け要員とする手段が横行したため、一部の学生大会では二刀流を禁止するようになった。太平洋戦争後に発足した全日本剣道連盟も、戦前に倣って学生の二刀流を禁止したために、二刀流を学ぶ者が非常に少なくなってしまった。ただし、伝統が断絶するのを危惧する声もあり、1992年(平成4年)に大学剣道では解禁された。現在は徳島県警の山名信行が二刀流の使い手として知られている[1]

試合では、基本は小太刀で敵の攻撃を受け流し、太刀で打つ。太刀は一般の物より短めの竹刀を使う。小太刀は防御や崩しが中心で、完璧な形で決まれば小太刀の打突も有効打突となる場合もあるが、間合いの短い小太刀で完璧な打突は決まる事がほとんど無いうえ、太刀での打突に比べて判定自体も厳しくなるので、事実上有効打突とされないという認識が一般的である。かつて、二刀流の相手に対しては胸突きが認められていた時期があったが、1995年のルール改正以降は認められていない。

スポーツチャンバラ

スポーツチャンバラでは、二刀の部では二刀流が義務づけられ、異種の部では二刀流が認められている。

ヨーロッパ

剣闘士
ローマ時代では、二本の剣を持ったディマカエリEnglish版(二刀闘士)というスタイルの剣闘士が居た。
コンパニオン ウェポン
コンパニオン ウェポンEnglish版とは、レイピアや剣を持つ手とは反対の手に持つ盾やパリングダガー等の武器のことである。
ヨーロッパ西洋剣術でレイピアにおける二刀流は 左手のマンゴーシュという短剣と併用される。フェンシングや剣道から見ると奇異だがレイピア&マンゴーシュの組み合わせは非常にポピュラーであった。西洋では元来剣は右手、左手はで防御という概念の上に構成されているため二刀流は左の盾と考えると困難なものではない。また、突きが主な攻撃なので、斬りよりも防御しやすいという点もある。
このマンゴーシュには大型のがついていたり十手のように鍔がフックとなっていたりするので、相手の剣を受け止めると動けなくなる。片手に短剣の二刀流の利点は間合いが長短二つあることだ。特に突きは離れた間合いから両者は急速に接近するので一撃目が失敗しはじかれても 次はダガーで脇腹をさすことができる。
ルネッサンス期のイタリアではフェンシングの技術として、利き手でレイピア、逆の手で短剣を扱う技術があったが、防御専門であり用途は盾に近い。

中東

中東イスラム圏では9世紀アッバース朝時代に、現在のイランで半独立政権ターヒル朝を樹立した武将 ターヒル・イブン・フサインEnglish版の名が挙げられる。ターヒルは隻眼の武人でよく双刀を使い、「2本の右手を持った人」と渾名されたという。

中国・東南アジア

中国の剣術では双剣双刀、東南アジアではシラットエスクリマクラビー・クラボーンなどの武術で二刀流(東南アジアや中国では、短棒二本や短剣二本や長短の剣など二刀流のバリエーションが多い)が行われ、日本とは違い比較的一般的であった。

ロシア

ウクライナの伝統舞踊ホパークで、二本の剣を持つものがある。

創作における二刀流

漫画やゲームなどにも二刀流はよく登場するが、現実の二刀流とは違い「同じ武器を2つもつことによって攻撃の手数を倍にする」という戦法で戦うキャラクターが多い。この戦い方は手数が倍に増えるため白兵戦においてかなりの攻撃力を発揮するが、実際にこの戦法で戦おうとすると武器が短剣でもない限りかなりの膂力がないと十分な攻撃速度が出せないうえ、利き腕でないほうの腕にも相当の技量が必要となるため、極めるのは上記の攻守兼用の戦い方よりも遥かに難しいだろう。

野球における二刀流

プロ野球において、投手と野手を兼任する選手も二刀流と呼ばれる(en:two-way player)。日本プロ野球黎明期の1リーグ時代は兼任した選手が多くいたが、近年はほとんど存在せず、21世紀以降に日本プロ野球の一軍やメジャーリーグベースボール(MLB)で投手と野手の二刀流で公式戦出場を果たしたのは2003年から2004年ブルックス・キーシュニックと、2013年からの大谷翔平のみである。特に大谷の挑戦は日本で話題を呼び、「二刀流」が同年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補50語にも選出された[2]

アメリカ大学野球ではワシントン州立大学2年次の1988年に打者として66試合で打率.464と23本塁打、投手として15勝0敗と防御率2.49を記録したジョン・オルルドの功績を称え、二刀流で活躍した選手に贈られるジョン・オルルド賞en:John Olerud Award)が2010年に設立された。ダニー・ハルツェンマルコ・ゴンザレスが受賞している。

また、野球以外の競技でもプレーするマルチアスリートも日本では二刀流と呼ばれる[3]。中でもボー・ジャクソンNFLプロボウルMLBオールスターゲームに出場、ディオン・サンダースはNFLスーパーボウルとMLBワールドシリーズに出場、ジーン・コンリーNBAファイナルとMLBワールドシリーズに出場し、複数のトッププロリーグで活躍を見せた。

その他、全く違う投球フォームを二種類持つ選手を二刀流をもじって二投流と呼ばれたこともある[4]

投手と野手の二刀流を経験した主な選手

日本プロ野球

日本女子プロ野球機構

メジャーリーグベースボール

ニグロリーグ

韓国野球委員会

オランダ・フーストクラッセ

中華職業棒球大聯盟

ドイツ・ブンデスリーガ

中国野球リーグ

その他の二刀流

脚注

  1. 平成の武蔵!? 二刀流にかけるアサヒ・コム 2014年7月17日
  2. “大谷の“二刀流”流行語大賞候補”. デイリースポーツ. (2013年11月21日). http://www.daily.co.jp/baseball/2013/11/21/0006513655.shtml 
  3. “ヤンキース 練習試合でハイズマン賞“二刀流”QBと対戦”. スポーツニッポン. (2014年2月26日). http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2014/02/26/kiji/K20140226007665820.html 
  4. “西武・牧田“二投流”失敗、ファン気づかず/球宴”. サンケイスポーツ. (2013年7月21日). http://www.sanspo.com/baseball/news/20130721/lio13072105020000-n1.html 
  5. Johnny Lindell 1953 Batting Game Logs” (英語). Baseball-Reference.com. . 2018閲覧.
  6. Brendan McKay Minor Leagues Statistics & History” (英語). Baseball-Reference.com. . 2018閲覧.
  7. “二刀流・ドネア「勝って武蔵になる」…世界Sバンタム級王座統一戦”. スポーツ報知. (2012年10月13日) 
  8. 自由奔放な踊れる二刀流ガールズバンド“凸凹凸凹”:木下ひなこインタビュー”. Tokyo Girls Update (2016年6月8日). . 2018閲覧.
  9. “スノボ本職選手がアルペンで金、チェコの二刀流快挙”. 日刊スポーツ. (2018年2月18日). https://www.nikkansports.com/olympic/pyeongchang2018/alpine/news/201802180000222.html . 2018閲覧. 
  10. “固定観念打ち破った二刀流=レデツカ、史上初の「2冠」”. 時事ドットコムニュース. (2018年2月24日). https://www.jiji.com/jc/pyeongchang2018?s=news&k=2018022400604 . 2018閲覧. 

関連項目

外部リンク