八幡平

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八幡平(はちまんたい)は、奥羽山脈北部の山群である。標高1,614 m岩手県秋田県にほぼ等面積で広がる。広い高原上のあちこちに様々な形の火山起源の小さなピークがそびえ、その間に無数の沼や湿原が点在する。山域は1956年十和田八幡平国立公園に指定されている。

特徴

およそ100万年前に噴出したいくつかの火山でできている。山頂部のなだらかな様子から楯状火山とされていたが、現在では山頂が台地状になった成層火山と分類されている[1]。頂上部には9千~5千年前に発生した水蒸気爆発により多くの火口ができている。その火口に水がたまり、八幡沼やガマ沼、メガネ沼などの沢山の火口沼が形成された。

国立公園八幡平地域は40,489haの広さがあり、ほとんどが国有林である。八幡平一帯は地形がゆるやかで、残雪が豊富なことから沼や湿原が多い。湿原にはさまざまな高山植物や湿原植物の群落が発達し、アオモリトドマツブナの原生林、針葉樹林帯が形成されている。

八幡平山頂には二等三角点がある。あまりに平らで山頂らしくないということで、1962年に岩手県によって土盛りが行われた。それが崩れてきたので、1986年に国立公園指定30周年を記念して展望台が作られた。展望台は老朽化のため、2014年10月に建てかえられた。

伝承

伝説によると、桓武天皇の勅命で奥州蝦夷征伐に訪れた坂上田村麻呂は、山賊の残党を追う途中に八幡平にたどり着き、その極楽浄土のような景色に感激した。そこで、戦の神である八幡神宮を奉り戦勝を祈り、残党を討伐後に再度高原の八幡神宮を訪れ、戦勝の報告を行うとともに、この地を「八幡平」と名付けたとされる。ただ、史実では坂上田村麻呂はこの地には至っていない。

観光

八幡平には展望が良い山が3ヶ所あり「八幡平三大展望地」と言われている。畚岳源太森茶臼岳がそれである。 1993年に頂上付近の見返峠の駐車場で料金徴収が開始された。これは、有料道路であった八幡平アスピーテラインの無料化と松川温泉と藤七温泉を結ぶ樹海ラインの開通により、利用者の急増に対応するために、利用者に自然を守るための応分の負担を求めるためである。駐車料金は、公園施設の維持管理と美化清掃などの費用として使われている。

5月の下旬から6月の上旬にかけて八幡平頂上付近の鏡沼の雪解け状況が、まるで竜の目のように見えることより「八幡平ドラゴンアイ」と呼ばれている。

登山

深田久弥日本百名山に挙げられている[2]

トレッキングコース

コースは基本コースと、八幡沼展望台から分岐する2つのサブコースがある。

  • アスピーテライン頂上駐車場(30分)→八幡沼展望台(10分)→八幡平頂上(20分)→分岐(10分)→八幡平頂上駐車場〈所要約1時間10分〉
  • サブコース(基本コースの八幡沼展望台から分岐)
  1. 八幡沼展望台→八幡沼一周(40分)→分岐(10分)→八幡平頂上駐車場〈所要約1時間30分〉
  2. 八幡沼展望台→八幡沼(25分)→源太森(40分)→黒谷地(30分)→茶臼岳(30分)→茶臼口バス停〈所要約2時間45分〉

温泉

八幡平周辺は東北地方でも有数の温泉地帯、特徴のある温泉が多数湧出している。頂上近くの藤七温泉蒸ノ湯温泉(ふけのゆ)のほかに、少し足を伸ばせば火山地獄が見られる後生掛温泉や、北投石で有名な玉川温泉などの名湯がある。一帯は八幡平温泉郷として、国民保養温泉地にも指定されている。

陵雲荘

八幡沼の湖畔に建つのが避難小屋の陵雲荘である。最初に建てられたのが1957年で、その後4度改築されている。内部には暖炉もあるため、冬期間樹氷見物のスキーヤーたちもしばしば利用している。建設当時は「凌雲荘」という字が使われていて雨雲を凌ぐ荘だったのだが、いつの間にか雲の陵(墓)の荘と字が変わっている。薪は常備されていないので、持参する必要がある。

藤助森

大正時代に蒸ノ湯温泉を経営していた阿部藤助は、鹿角郡宮川村の助役を8年、村長を15年無報酬で務めたほか、鹿角郡農会長などを歴任し、電灯会社を興し、観光や農業など郷土の興隆に生涯をささげた人物である。阿部は八幡平までの山道を切り開いている。八幡平山頂から西北西500mにある藤助森(1604m)は彼の功績にちなんで名付けられた。藤助森の地形図への記載は以前は記載されていたが、最近の地形図からは削除されていた。山スキー愛好家で元行政マンの多田均は藤助森が冬季スキーツアーのコースの分岐点にあることから、遭難防止や遭難救助等の面から地形図の整備や指標を設置する必要性に着眼。鹿角、仙北、八幡平各市の山岳会等に呼びかけて2012年6月、児玉一鹿角市長にその旨を陳情。市長が国土地理院に申請し、8月に登載が決まった。新地形図は従来の地形図がなくなり次第発行される。

源太森

八幡平三大展望地の一つが源太森である。名前の由来は、坂上田村麻呂の部下で、偵察役の霞源太忠義と、忠春が敵の様子を探った場所であるとする伝説から付けられた。

八幡沼

東西600m、南北200mの大きな沼である。最大水深は22.4mで、複数の火口が連なってできた複合火口湖である。こうした爆裂火口湖はこの付近に18個ほど連なっており、およそ6000年前に水蒸気爆発によって形成された。八幡沼は岩手県で2番目に大きな自然湖である。周囲には八幡沼湿原が広がっており、湿原から浸透してくる水によって涵養される湖水は、泥炭のために淡いコーヒー色に染まった黒い青色をしている。湖畔には避難小屋の陵雲荘があり、八幡沼と陵雲荘を望む場所には休憩広場が造られている。休憩広場は踏みつけにより高山植物が荒らされ、現在は植生回復のために試験が行われている。

ガマ沼

八幡沼近くのガマ沼は2つの爆裂火口が連なってできた沼で「お釜」のような形が名前の由来である。最大水深は9.1m。湖水は周囲の湿原から浸透してきており、その色は硫黄コロイデのために少しにごった青緑色をしている。ガマガエルや植物のガマは生育していない。代わりにサンショウウオは成育している。

鏡沼

山頂近くにある鏡沼(直径約50m)は、5月後半6月初旬にかけて、雪が溶けると全体が巨大な「目玉」のように見える。雪解けの季節にだけ見られる現象で、「ドラゴンアイ」として宣伝や案内が行われている。見られるのは2週間ほどである。まだ八幡平にはかなりの雪が残っている時期なので、実際に見るためにはそれなりの装備が必要である。

八幡平系の山

アクセス

バス

      秋北バス 鹿角花輪駅前八幡平駅前~八幡平頂上 1時間18分

いずれも季節運行 「八幡平頂上」バス停は見返峠駐車場にある。

八幡平にちなむ自治体名

八幡平 画像ギャラリー

脚注

  1. 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「syurui」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません
  2. 『日本百名山』深田久弥(著)、朝日新聞社、1982年、ISBN 4-02-260871-4

関連項目

外部リンク