十代の出産

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ファイル:Teenage birth rate per 1000 women 15–19, 2000-09.svg
15歳から19歳の女性1000人あたりの出産数(2000 - 2009年、国連統計部)

十代の出産(10代の出産、じゅうだいのしゅっさん 英:Teenage childbirth)は、10歳以上20歳未満の女性妊娠出産することをあらわす。

各国

アジア・アフリカ

発展途上国では10代の妊娠の発生率が明確に高い。北アメリカおよび西欧のような先進諸国の地域においては10代の親は未婚である傾向があるが、それとは対照的に、発展途上国における10代の親は結婚しているケースがあり(地域によっては10歳未満で結婚する人もいる)、そして彼女たちの妊娠は家族および社会に受け入れられている。

サハラ以南のアフリカでは10代の発生率妊娠が最も高い。概してアフリカの女性は、他の地域の女性よりも低年齢で結婚し、その結果若い年齢での妊娠につながる。

南太平洋の島国では10代の妊娠という問題は頻繁に起きており、ピトケアン諸島では住民のほとんどが12歳から15歳で最初の出産を経験していたことが問題になり、ピトケアン諸島少女性的暴行事件として住民の成人男性全員が性犯罪者となった。ポリネシア文化圏では十代の出産は珍しくないが、イギリス領などが多く住民には欧米法が適用されるため事態が発覚すると住民の大半が性犯罪者という状況が発生している。

インドにおいて婚前性交渉は普通でないが、早婚によって十代で妊娠する女性がいる。早婚の発生率は都市化の進んでいない地域で更に高い傾向にある。日本を含むアジアの他の地域では、双方の性のために結婚年齢を上昇させる傾向を示しているが、韓国およびシンガポールにおいては20歳未満での結婚がほとんど消滅した代わりに、婚前性交の発生率が上昇するという事態が起こり、明治維新以前は十代の妊娠・出産が多く存在した。医療設備が整っていなかったこともあり、若くして命を落とす母親や胎児が多く存在した。現代と比べて平均寿命が短く12-16歳で元服することも一因である。

戦国・安土桃山時代に若くして出産した主な歴史人物

ヨーロッパ

ヨーロッパの全体の傾向としては、1970年以来十代の妊娠は減少している。しかしながら過去のヨーロッパにおける10代の母は結婚後に出産した者であることが多く、社会的に問題視されてはいなかったという一面もある。現代でもギリシアおよびポーランドのように10代後半に結婚した母が子供を生む場合もある。ポルトガルのようなカトリック国は、高い割合で10代女性が妊娠する。

一方、オランダはティーンエージャーの間の出産に関して低率を保っている。10代の妊娠率がより高い諸国と比べると、オランダ人は最初の性交渉の平均年齢が高く、避妊用具の使用が増加している。デンマークおよびスウェーデンのような北欧諸国でも10代の出産率は同様に低く保たれている。イタリアおよびスペインのようないくつかの国における十代の妊娠率が低いのは、宗教的な伝統的価値に起因する可能性を持つ。

性教育との関連

2004年秋の社団法人全国高等学校PTA連合会と京都大学大学院の木原雅子の調査によれば、対象となった約一万人の高校生の内小学校時代に性体験をした人間は39人いた。日本では、キリスト教イスラームなどに代表されるいかなる場合においても婚前交渉は罪であるとする宗教上の背景は存在しないが、一方で性にまつわる話をタブー視する傾向もあり、性教育は非常に論争の原因になる討論の主題である。いくらかの学校は「開放的」教育を行い、処女性を尊ぶ考えは前近代的な物として排除される。一方アメリカではこれは逆転しており処女性を守る考えは非常に一般的である。なお、アメリカはユニセフの1995年から1998年のデータでは15歳から19歳の女性の出産率は日本の約12倍となっている。開発途上諸国においてはティーンエージャーに向けられた性のプログラムはしばしば小規模である。ただし、インドネシアおよびスリランカのようないくつかの国は組織的な方針枠組を持っている。ヨーロッパでは就学前から性教育を行う国があり、それらの国では低年齢での妊娠や性病、性犯罪の発生率が低い。

ファイル:Age of Consent - Global.svg
全世界における性的同意年齢

ドラッグおよびアルコールは、望まぬ性活動を引き起こす可能性がある。国によっては、10代の少女との性交は承諾に関係なく性的同意年齢の問題から法定強姦犯罪として扱われる。ただしこれは国ごとに大きく異なり、例えば英国においては、16歳未満の少女と性的交渉を持つことは違法であるが、イタリアにおいては女性が14歳未満でない限り違法とならない。日本の承諾年齢は13歳と低い年齢に設定しており、13歳未満なら強姦となる可能性もあるが、それ以外は両性の合意がある限り違法ではない。ただし同意や金銭の授受に関わらず、18歳未満との性行為は児童福祉法やいわゆる淫行条例に違反するとされる判例(特に、自己の性的欲求を満たすことだけを目的とした性行為)も出ており、違法となることもありうる。ただし、上位法である民法に定められる女性の婚姻成立可能年齢が今のところ満16歳以上なので、仮に女性が16~17歳でも法に基づく婚姻が成立している状態であれば、この判例に影響されることはなく合法である。

いくらかの社会においては、早婚および伝統的な性役割は10代の妊娠の発生率における重要な要素である。青春期の結婚が普通でない社会において若い頃の最初の性交においては、避妊具・避妊薬が使われないことがままある。先進国における大部分の10代の妊娠はそれらの理由から計画されない妊娠である事がある。経験が乏しい青年はコンドームの使い方に慣れていない。十代の妊娠にたいしてはティーンエージャーの間での性的関係を受け入れ、そして性に関する包括的でバランスのとれた情報を提供することが重要である。なお1997年の日本産婦人科学会の報告では、平均初潮年齢は12.3歳とされている。統計上の日本における15~19歳の出産率は大韓民国とともに世界最低レベルである[1]

さらに低年齢での出産

最も若く出産した例としては、リナ・メディナが知られている。メディナは、1939年に5歳で男の子を生んでいる。このことは、以前はギネスブックに記録されていたが、現在は項目そのものがない。なお、女性が10歳以下で十分に出産ができる状態になることはほとんどない。

出典

関連項目

外部リンク