双日

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双日株式会社(そうじつ、英称Sojitz Corporation)は、日本総合商社である。

概要

社名は、母体がニチメン(日綿實業)、日商岩井という、ともに「日」を頭文字とする商社2社であったことに由来する(詳細は沿革を参照)。三菱東京UFJ銀行(旧三和銀行→旧UFJ銀行)を主力取引銀行とするため、三和グループに属する。ただし、前身企業の日商岩井は三和グループの企業が加盟する三水会みどり会第一勧銀グループに重複加盟していた。現在、大輪会にも所属していて、りそな銀行とも親密である。

かつては十大商社三菱商事三井物産伊藤忠商事丸紅住友商事、日商岩井、トーメン、ニチメン、兼松安宅産業)の一角を占めた。 ロゴマークは、双日のの漢字を模している。大手商社の中でも非資源事業に注力している点が特徴的で、過去10年間で6,500億円以上の投資の結果、現在収益の74%を占める[1]

スローガンは「New Way , New Value」。

ビジネス概要

機械部門

アジア北米における交通プロジェクト、世界各国での自動車の組み立て・販売事業(スズキ三菱スバルヒュンダイいすゞ等)などを行っている。40年以上にわたり汎用性の高い中・小型ばら積み船を中心とした船舶保有事業も続けている。2012年10月にはガーナにおいてサブサハラ初の海水淡水化案件にも参画、アフリカインフラ案件の先駆者でもある。

宇宙航空部門

ボンバルディアボーイングの代理店となっている。半世紀以上にわたりボーイング社と一体となって民間航空機の販売活動に携わっており、その国内シェアは85%以上に達している。ビジネスジェットの運航会社を設立している[2]。2017年7月、アジアの富裕層・企業をターゲットとしたジェット機運航事業に参入することを発表した[3]

エネルギー・金属部門

石炭事業においては、日本向け輸入取扱シェアトップであるロシア炭やインドネシア炭を中心とした国内向け販売量の拡大を行う一方、2007年に中国に設立した石炭販売会社を通じての中国向け販売およびその他第三国向けの開拓にも注力している。投資事業では、2009年に生産開始された豪州原料炭炭鉱(バーモント炭鉱)につづき、2007年に取得した豪州の大型一般炭炭鉱(ムーラーベン炭鉱)が2010年中の生産開始を予定している。

石油ガス上流権益事業においては、英国領北海、米国メキシコ湾カタールガボンエジプトブラジルなどの既得権益に加え、米国メキシコ湾大水深における石油開発事業、米国テキサス州陸上タイトガス開発事業、豪州ヴィクトリア州沖での石油・ガス開発など新規事業にも取り組んでいる。LNG事業においては、すでに生産を開始しているカタールのラスラファンプロジェクトに続き、インドネシア・タングープロジェクトが2009年に生産を開始、2017年10月には、スペインのLNG受け入れ基地への投資を発表した[4]

合金鉄レアメタル事業では日本企業トップクラスであり、鉄鋼原料用途などのモリブデンバナジウムタングステンマンガンクロムニッケルニオブなどの国家備蓄対象に多くの権益を保有している。

鉄鉱石事業については、ブラジル鉄鉱石を主体に対日市場の鉄鉱石取扱いでは業界トップクラスであり、日本の製鉄会社とともにブラジルでの鉄鉱石ペレット製造事業や、ベネズエラでの還元鉄事業に出資している。

発電分野では、ベトナムスリランカを始め世界各地で発電事業会社に参入しており、2010年に入ってからも、サウジアラビア「リヤドPP11」(1,720MW)、オマーン「バルカ3」(744MW)、同「ソハール2」(744MW)の大型案件3件を連続受注した。環境・新エネルギー分野にも注力しており、アメリカドイツ太陽光発電ナミビア風力発電事業に参画している。2017年8月、メキシコの大規模太陽光発電事業の参画を発表した。日本企業としてメキシコでの太陽光発電事業の初ケースとなる[5]

化学部門

レアアース事業では、日本企業トップの取扱量を誇り、豪ライナス社と10年に亘って日本の消費量の約3 割にあたる年間約8,500トン(±500トン)以上のレアアース製品を長期供給する契約を締結したことは、ニュース新聞等でも報じられた。

化粧品部門にも注力しており、自社ブランドも持つ。

2017年にはドイツの化学商社大手ソルバディス・ホールディングDeutsch版を買収し、メタノールの供給を強化する方針を示している[6]

生活産業部門

チップ植林事業ではベトナム・豪州で事業を推進しており、地元の植林会社への融資、苗木の無償配布などの活動を含めると、その面積は65千haになり、ほぼ琵琶湖の面積に達する。また、ベトナムで築いた植林・チップ事業モデルをアフリカモザンビークに導入しようと、現在準備を進めている。

生活消費財事業では、カジュアルシューズの「Admiral」、アメリカを拠点にグローバル展開するサーフブランド「REEF」やドイツのスーツケース「TITAN」など、市場ニーズを創造する付加価値の高い生活消費財の販売を手掛けている。

NIKE事業では、双日米国会社物資部が1972年のNike社発足当時からのビジネスパートナーであり、トレードファイナンスサービスを提供することで、アジア、南米を中心とした海外ナイキ販売子会社向けグローバルサプライチェーンの一翼を担い、同社の世界展開に協力している。

穀物事業では、伝統的な小麦の輸出国であるアメリカ合衆国カナダオーストラリアに加え、欧州など各国の小麦を年間約3百万トン取り扱っている。2007年6月には、ベトナム製粉大手インターフラワー・ベトナム社の発行済株式の20%を取得。2010年11月末同社の港湾施設が完成し、12月1日にベトナム政府関係者の出席も得て港湾完成記念式典を開催した。

商社として初のマグロの養殖事業にも参入し、2008年9月には、長崎県松浦市に双日ツナファーム鷹島を設立、2010年12月8日よりホンマグロの出荷を開始した。

たばこ事業では、マルボロラークフィリップ・モリスパーラメントバージニアスリムなどで知られるフィリップモリス社製輸入煙草の独占卸売販売権を所有。

住宅事業では、35年以上の長きにわたり、業界の先駆者として累計約8万戸のマンションを供給してきた。全国4か所で巨大ショッピングモールの運営も行っている。

物流事業では、2017年8月に京セラ子会社と共同でIoTを活用した物流効率化サービスに参入した[7]

インフラ部門

海外工業団地事業では、ベトナム、インドネシアインドで工業団地の開発から管理・運営を行っている。ベトナム南部ではロテコ工業団地とロンドウック工業団地、インドネシアジャワ島西部ではグリーンランドインターナショナル工業団地(GIIC)、インド南西部では双日マザーソンインダストリアルパーク(SMIP)を開発している[8]

2017年7月、トルコイスタンブールで、大型病院の運営事業に参画することを発表した[9]

2017年8月、日本空港ビルデングと共同で初の海外空港運営事業であるパラオ国際空港の空港運営について発表した[10]

スポーツ部門

2017年シーズンよりサッカーJリーグに所属するロアッソ熊本のオフィシャルパートナーとして活動している。

沿革

  • 1877年 - 日商岩井の前身鈴木商店(神戸市)が発足。
  • 1896年 - 日商岩井の前身岩井商店(大阪市)が発足。
  • 1892年11月 - ニチメンの前身日本綿花株式会社(大阪市)設立。
  • 1912年10月 - 岩井商店が株式会社岩井商店を設立。
  • 1928年2月 - 鈴木商店の子会社であった日本商業株式会社が、倒産した鈴木商店の商事部門を引き継ぎ日商株式会社となる。
  • 1943年4月 - 日本綿花株式会社が日綿實業株式会社に商号変更。
  • 1943年6月 - 株式会社岩井商店が岩井産業株式会社に商号変更。
  • 1968年10月 - 日商と岩井産業が合併日商岩井株式会社(大阪市)となる。
  • 1978年2月 - ダグラス・グラマン事件が発覚し、翌日に詳しく話すと言った島田常務が飛び降り自殺。
  • 1982年6月 - 日綿實業株式会社がニチメン株式会社(大阪市)に商号変更。
  • 2003年4月 - ニチメンと日商岩井が株式移転によりニチメン・日商岩井ホールディングス株式会社(NNHD)を設立。
  • 2004年4月 - ニチメンが存続会社となり日商岩井と合併し、(旧)双日株式会社となる。
  • 2004年7月 - ニチメン・日商岩井ホールディングス株式会社が双日ホールディングス株式会社に商号変更。
  • 2005年10月 - 双日ホールディングス株式会社が(旧)双日株式会社を合併して、商号を双日株式会社に変更。HDを存続会社にしたのは上場維持のためである。

拠点

本社所在地
拠点

双日グループ

かつて双日グループだった会社

出資会社

取引銀行に関する歴史的経緯

  • 前身会社の一つ、日商は鈴木商店の流れをくむ会社。十五銀行第一銀行をメインバンクとしており、戦後も第一銀行の「第一原子力グループ」に中核商社として参加。日商岩井となってからも第一勧業銀行の「三金会」メンバーとなるなど、現在のみずほグループとの繋がりがあった。
  • 大和銀行が主催する大輪会にも所属しているため、りそな銀行とも一部取引がある。
  • しかし日商は、並行メインとして三和銀行とも取引していた。三和銀行と取引のあった商社には、日商のほか岩井産業や日綿実業(のちのニチメン)があった。やがて三和銀行主導で日商岩井が発足。さらに日商岩井とニチメンも、オリエントリース(現:オリックス)やジェーシービーに対して共同で資本参加するなど、三和銀行を介して両社の友好関係が生まれていた。双日がUFJグループの商社に位置付けられているのは、この経緯による。

その他

  • 同社の前身である日商岩井とニチメンはともに19世紀末からの歴史を持ち、機械・綿製品の輸出入などに強い商社として存在してきた。一方、1979年に日商岩井で航空自衛隊のアメリカ製航空機購入を巡るダグラス・グラマン事件により当時の副社長が逮捕され、翌年に執行猶予付きの有罪判決が確定したこともあった。
  • 両社ともバブル経済の崩壊にともない多額の不良債権を抱えていた。ニチメン・日商岩井の合併が間近となった2004年3月時点で、有利子債務は両社合計で1兆5000億円に達していた[11]。当時は、UFJ銀行をメーン銀行とする日商岩井、豊田通商トーメン、ニチメンの4社大合併という案もあったが、実現はしなかった(なお、豊田通商とトーメンは2006年に合併)。投資格付けにおける等級も引き下げられ、「生き残りに迫られた弱者連合」との批評を受けるなかで発足した「双日」であったが、社長に就任したニチメン出身の土橋昭夫のもと、事業再編成や人員削減などを含む中期経営計画を実行。資本準備金の取り崩しによる約5700億円の損失金処理などで経営環境を改善した結果、中期経営計画が達成されたと発表し、新たな中期経営計画として2006年4月に「New Stage 2008」を発表した。
  • 2006年5月、野村証券を買い受け先とする総額3000億円のMSCBを発行。この額は発表時の同社時価総額を上回った。
  • 2007年4月1日、3年間にわたり社長を務めたニチメン出身の土橋昭夫が代表権を持つ会長に就任し、旧日商岩井出身の加瀬豊が副社長から社長に昇格した[12]
  • 2007年12月、優先株の一掃、復配、投資適格級格付け取得の会社再生の3点セットを達成した。
  • 2012年4月1日、中期経営計画「Shine-2011」完了に伴い、代表取締役社長CEOに日商岩井出身の佐藤洋二が就任、前社長加瀬豊は代表取締役会長に、前会長土橋昭夫は取締役(同年6月に特別顧問に退く)に異動[13]

関連項目

双日に関連した著名人

脚注・出典

外部リンク