塩湖

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死海の水面に浮かぶ人

塩湖(えんこ、英語: salt lakesaline lake)または塩水湖(えんすいこ)とは、塩水をたたえるのこと。淡水をたたえる湖である淡水湖と対になる。

に閉ざされた湖(内陸湖)の塩分(主成分は塩化ナトリウム)やその他塩類濃度が通常の淡水湖よりも高くなった湖をいう。1 Lの湖水当たりの塩類の総イオン濃度が 3,000 mg(3 g)が塩湖と定義される基準となっており、狭義では、塩類の中でも塩化ナトリウムが主であるものを指す。塩湖には海水より塩分濃度がはるかに濃い湖もある。

広義では、河川と海水の流入によって水質に塩分を含むようになった汽水湖を含めて、「鹹湖」という名称を用いている。

概要

塩湖は、塩類の濃度によって以下のように分類される[1]

  • subsaline 0.5–3 パーミル (淡水湖と塩湖の中間)
  • hyposaline 3–20 パーミル (濃度の低い塩湖)
  • mesosaline 20–50 パーミル (中間の濃度の塩湖)
  • hypersaline 50 パーミル以上 (非常に濃い塩湖、海水の塩分濃度である35パーミルほどを超えるもの)

内陸湖が塩湖になるのは、塩分やミネラルをわずかに含んだ淡水が河川から流入するが、その出口がなく、水分は活発に蒸発するが溶け込んだ塩分はどこへも出て行けないために、水中の塩分濃度が濃くなることによる。言わば、海水がなぜ塩辛いのかと同じ理由である(もっとも海水の場合は、地球ができた時代に酸性の水だったものが、地殻を溶かして中和した事、今も僅かながら地殻を溶かしているという理由も大きい)。蒸発が活発であることが形成条件の一つであるため、乾燥・半乾燥地帯での分布が多い。

流入する水の量が蒸発する水の量より少ない場合、最終的に塩湖は消滅し、塩性湿地や、湖の跡のくぼ地に塩などの塩類堆積物が集まった塩類平原(プラヤ playa、アルカリ・フラット alkali flat、サブハ sabkha、ソルト・フラット salt flat、ソルト・パン salt pan)となる。逆に、流入する水の量が蒸発する水より多い場合は、やがて水は溢れ出し河川を形成し、いずれ淡水湖となる。外海が地殻変動により内陸湖となった場合も塩湖となるが、流入する水と蒸発する水の量の多少によって、消滅するか、塩湖の状態を維持するか、淡水湖となるかの、どれかとなる。

生物

ファイル:LIQENI HILLIER - ROZE.jpg
ヒリアー湖の上空からの眺め

魚類が生息して沿岸住民により漁業の対象とされている塩湖以外に、死海(湧水周辺を除く)やモノ湖のように魚類が生きられないほど塩分濃度が高い塩湖や、塩性湿地もある。これらの水中や沿岸には、高い塩分濃度に適応した塩生植物など特異な植物相動物相藻類細菌が見られる。

たとえばオーストラリア大陸南西沖のミドル島にあるヒリアー湖English版は、海水の約10倍という塩分濃度で生息できる極限環境微生物 (Dunaliella salina) が原因とみられるピンク色の湖水が、観光客に人気となっている[2][3][4]。同様の原因でピンク色になっている湖には、オーストラリア西部のハットラグーンEnglish版[5]セネガルラック・ローズ[6]などがある。植物プランクトンによりピンク色になっている湖には、メキシコのピンクラグーンがある[7]

利用

塩湖や塩類平原は天然の塩田として湖塩(こえん)が古来採取され、海から遠い内陸部に食塩を供給してきた。現代では電池の材料であるリチウムが南米のアタカマ塩湖ウユニ塩湖などで生産されている[8]

有名な塩湖

世界の大きな塩湖はカスピ海バルハシ湖グレートソルト湖(面積順)があげられる。

世界一標高の高い塩湖はナムツォで、世界一低い場所にある塩湖は死海である。

カスピ海の北の低地にあるバスクンチャク湖は、8世紀以降塩の産出で栄え、シルクロードを通じ東西へ輸出された。今日でも、塩化ナトリウムの割合が 99.8 % という高い純度を誇るバスクンチャクの塩はロシアの塩の産出の 80 % を占め、年間 150 万トンから 500 万トンが採掘されている。

中華人民共和国山西省運城市塩湖区にある「解州の塩池」は、規模こそ上記の塩湖とは比較にならない程小さいが、古来の、世が乱れた際に各政権が争奪した要地として知られている。

脚注

  1. Hammer, U. T. (1986). Saline Lake Ecosystems of the World (英語). Springer. ISBN 978-9061935353. 
  2. オーストラリアから ピンクの湖 観光客続々”. 日本経済新聞夕刊2017年5月23日. . 2017閲覧.
  3. (2012) A guide to managing and restoring wetlands in Western Australia. Department of Environment and Conservation, 18–19. Retrieved on 2 March 2015. 
  4. オーストラリアの隠れた絶景5か所”. AFPBB News (2016年2月1日). . 2018閲覧.
  5. ハットラグーン(オーストラリア)”. 文藝春秋 (2015年7月23日). . 2018閲覧.
  6. セネガルの絶景「ラックローズ」!ピンクの湖の存在はおとぎ話じゃなかった!”. TapTrip. . 2018閲覧.
  7. メキシコにあるピンクの絶景!ピンクラグーン”. エイチ・アイ・エス. . 2018閲覧.
  8. “EV電池は塩湖生まれ”. 日本経済新聞. (2016年6月28日). https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/photo-tpp201606li/ 

関連項目

外部リンク