大量破壊兵器

提供: miniwiki
2018/8/6/ (月) 07:13時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索

大量破壊兵器(たいりょうはかいへいき、英語: Weapons of mass destruction、略称WMD)とは、人間を大量に殺傷すること、または人工構造物(建造物や船など)に対して多大な破壊をもたらすことが可能な兵器のことを指す。典型的には特に生物兵器化学兵器核兵器放射能兵器の4種類を指すものとして用いられる(放射能兵器を核兵器に含めるとして3種類と数える場合もある)。これらはそれぞれの英語の頭文字を取り、ABC兵器NBC兵器NBCR兵器などと総称される。

定義

記録されている限りにおいて、大量破壊兵器に対応する英語のWeapons of mass destruction」という語は、1937年ロンドンタイムズスペイン内戦の際にドイツ爆撃機を指して用いられた例にまで遡ることができる[1]

Who can think at this present time without a sickening of the heart of the appalling slaughter, the suffering, the manifold misery brought by war to Spain and to China? Who can think without horror of what another widespread war would mean, waged as it would be with all the new weapons of mass destruction?[2]

今、戦争によってスペインに、中国にもたらされたぞっとするような虐殺、苦痛、さまざまな悲劇を思って、心を痛めない人がいるでしょうか? さまざまな新しい大量破壊兵器を用いて行なわれる次の広範な戦争が何を意味するか思って、恐怖を感じない人がいるでしょうか?

化学兵器は既に第一次世界大戦中に広く使われていたものの、核兵器は開発されておらず、この文脈には核兵器は含まれていない。

その後、第二次世界大戦中に核兵器が実用化され、1948年の国際連合通常軍備員会(the Commission for Conventional Armaments)においては、大量破壊兵器を核・化学・生物兵器とそれに類するものとした[3]。大量破壊兵器の語は、1955年ラッセル=アインシュタイン宣言においても用いられている。


通常の用法では、大量破壊兵器はNBC兵器、つまり核兵器(英: Nuclear 原水爆および放射能兵器も含む)、生物兵器(英: Biological)、化学兵器(英: Chemical)の3種類を総称する言葉として使われている。

また、1991年湾岸戦争終結時の国連安保理決議687においても、イラクの武装解除の主要な対象として言及された。

拡散防止

大量破壊兵器の拡散は、世界の安全保障にとって、不安定要因と認識されている[4]。このため、その運搬手段ともなりえる長距離ミサイルと合わせて拡散防止のための国際的な協調が求められ、2003年には拡散に対する安全保障構想が提唱され[5]、G8会議では大量破壊兵器の不拡散宣言が出された[6]。2004年の国際連合安全保障理事会決議1540においては、WMDを用いたテロ防止に向け、各国の法制度整備や協力体制の構築を求めている。これらを受け、関連物資の輸出規制や技術移転の制限[7]、海上阻止行動の検討等[5]が行われている。

2017年4月6日に、アメリカ合衆国のトランプ政権は、シリアのアサド政権が大量破壊兵器を使用した事に対する制裁として、空軍基地などへ計59発の「トマホーク巡航ミサイルを撃ち込み、国際情勢への武力介入も辞さない姿勢を見せた[8][9]

イラク戦争への影響

イラク戦争開始の根拠として、“イラクが大量破壊兵器を保有している可能性があること”、および“国連の無条件査察を受け入れなかったこと”が挙げられている。なお、戦闘終結後、アメリカなどから派遣されたイラク調査団English版が大量破壊兵器の捜索をおこなったが発見されず、調査団団長チャールズ・デュエルファー2004年10月6日の米議会上院軍事委員会の公聴会において、「開戦時イラクに大量破壊兵器は存在しなかった」などとする最終報告書(デュエルファー・リポート)を提出した[10]

脚注

  1. Will Mallon. “WMD: Where Did the Phrase Come from?”. History News Network. . 2009閲覧.
  2. "Archbishop's Appeal," Times (London), 28 December 1937, p. 9.
  3. The Yearbook of the United Nations 1947-1948,United Nations,P477 The Working Committe resolves to advise the Security Council (1) that it considers that all armaments and armed forces, except atomic weapons and weapons of mass destruction, fall within its jurisdiction and that weapons of mass destruction should be defined to include atomic explosive weapons, radio active material weapons, lethal chemical and biological weapons, and any weapons developed in the future which have characteristics comparable in destructive effect to those of the atomic bomb or other weapons mentioned above; (2) that it proposes to proceed with its work on the basis of the above definition.
  4. 2014年版防衛白書 大量破壊兵器の移転・拡散
  5. 5.0 5.1 大量破壊兵器の拡散を阻止するPSIの活動,日本外務省,2012-06-13
  6. 大量破壊兵器の不拡散,日本外務省
  7. 例えば、日本においては 大量破壊兵器等の不拡散のための補完的輸出規制に係る輸出手続き等について(お知らせ)
  8. トランプ政権、シリアにミサイル攻撃 ロシアは侵略行為と非難”. ニューズウィーク日本語版 (2017年4月7日). . 2017-9-23閲覧.
  9. 外交・安保、シリア攻撃で明確メッセージ”. 産経ニュース (2017年4月23日). . 2017-9-23閲覧.
  10. YOMIURI ONLINE: "イラク大量破壊兵器、開発計画なし…米最終報告"(2004.10.7) 2013年10月7日閲覧

関連項目

参考資料

テンプレート:Weapon-stub