庭園

提供: miniwiki
2018/8/11/ (土) 00:41時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
移動先:案内検索

庭園(ていえん)は、見て、歩いて楽しむために、樹木を植えたり、噴水花壇を作ったりなど、人工的に整備された施設。日本では、自然を模して川・池・築山などが作られ、木や草が植えられているものもある。

概要

集会、交流、留置、作業などを目的とした庭ではなく、観賞、道道、思索などを目的とするとされる。また一部には、特定の世界観宗教観を投影したものもある。庭園は自然にできることはなく、形、石の配置、樹木の選択と組合せ、通路の作り方、建物の見せかたなどすべて計画し、デザインされている。

つくる目的や方法は、時代や民族、宗教などによって異なり、さまざまな様式を生み出した。しかし、いずれも人々が理想とする環境を映し出そうとする点では共通している。楽園浄土、パラダイスなどの現世的空間が庭園なのである。庭園は、作られたときには私的なものがほとんどだが、近代になって多くが、市民が楽しめる公的・公園的なあつかいをされるようにもなっていく。なお、皇室が所有するものは、御苑(ぎょえん)と称される。

形式

  • サラセン式庭園 - サラセン式庭園とは、外側に厚い壁を持った「パティオ」と呼ばれる中庭を発達させた庭園。パティオは中庭であるため、周囲を建物で取り囲まれた小空間であるが、その中央に池や噴水、カナール(流れ、水溝)を配し、さらに色彩の豊かな色タイルの床、美しい花壇などが特徴である。中央に噴水や池が設けられることで、鉢植えなどにして置かれた樹々とともに、場所に清涼感を与えている。中世初期にイスラム教徒であるアラビア人系のサラセン人が征服した地域は、西は北アフリカ沿岸からイベリア半島まで、東は中央アジアからインドまでに至るが、サラセン人はそれぞれの地でその地の文化を取り入れ、次の特徴ある庭園様式を形成している。サラセン式の特徴は,すべてパティオと呼ばれる中庭式の庭園であり、雨量が少なく乾燥し熱い日ざしの気候と外敵を防ぐことが理由となって発達した。以下の形式がある。
    • ペルシャ・サラセン式庭園 - 長方形の中庭を、二本の直交する園路で四分し、園路に沿ってカナール設け、その交点に浅いプールや園亭などが置かれる形。アジアの庭園#ペルシャ系が代表作で、これが初期のスタイルで、後で生まれるスペイン・サラセン式庭園やインド・サラセン式庭園はこれが源泉となっている。
    • スペイン・サラセン式庭園 - その代表的なものはスペイン・グラナダに現存するアルハンブラ宮殿のアルベルカ、アラヤネスの中庭、フェネラリフェ庭園、セビリアのアルカサル庭園、など優れた庭園がある。これは7世紀末スペインを征服した時につくられた形式で、スペインに侵入したサラセン人は、パティオの周囲は壁や柱廊で囲む。壁や柱、床には色タイルで独特の模様が描かれている。現在もスペイン文化圏ではこの庭園様式での庭園が作られている。
    • インド・サラセン式庭園 - 10世紀インドに侵入したサラセン人が従来のインド文化と融合してつくった様式の庭園。庭園を直交するカナールで四分し、その交点に四角形の檀を作り、その上に大理石の噴水池を設けている。アジアの庭園#インド・サラセン式ムガル王朝の庭園でのタージ・マハールがこの種の代表的庭園である。これも他のサラセン式のものをそのままの形で再現しているのではなく、スペインで確立したパティオとペルシャの水盤・水工・植栽技巧などをインドの風土に合わせ改変して拡大し、許容して継承している。

形式別庭園

庭園の要素

代表的なものを以下に示す。

材料

技法

書物

日本の名園

世界の名園

  • ポゾニー大司教の庭園(ハンガリー)
  • グダ城の庭園(ハンガリー)
  • リッポン・リー庭園(オーストラリア)
  • パロネラ・パーク(オーストラリア)
  • ヴィルヘルムスヘーエ(ドイツ)
  • ヴェアリッシの庭(ドイツ)
  • エレミタージュ(ドイツ)
  • エルムノンヴィル(フランス)
  • ピア荘(ヴァチカン市国)
  • パンサの家庭園遺跡(イタリア)
  • ヴェッティの家庭園遺跡(イタリア)
  • セントラル教会のクラウストルム(イタリア)
  • アドリアーナ荘(イタリア)
  • イタリア式庭園#主なイタリア式庭園一覧
  • フランス式庭園#代表的なフランス庭園平面幾何学式庭園
  • ケ・ブランリ美術館庭園(フランス)
  • Le rucher-ecole (養蜂所-学校、フランス)
  • ピカシエットの家(Maison Picassiette、フランス)
  • モネのジヴェルニー庭園(Claude Monet’s Garden of Giverny、フランス)
  • クロード・モネの睡蓮(フランス)
  • エリニャックの館(Manor d’Eyrignac) トピアリー庭園(フランス)
  • ジャン・コクトーの庭(フランス)
  • サン ベルナールの庭園(フランス)
  • ノアイユ荘(La Villa Noailles)- マン・レイ監督の映画「Les Mysteres du chateau de De」の舞台としても使われている(フランス)
  • ラ・ファビュロズリー(フランス)
  • 我らふたりの庭(フランス)
  • ロベール・タタン美術館(フランス)
  • ラ・カテドラル(フランス)
  • シミエ円形競技場公園・シミエ修道院小庭園(フランス)
  • コロンビエール庭園(フランス)
  • ラ・マドーヌ庭園(フランス)
  • 郵便配達夫シュヴァルの理想宮(フランス)
  • ルノワールの家の庭園(フランス)
  • クリスチャン・ディオールのバラ園(フランス)
  • ピカソ美術館庭園(フランス)
  • シャリー大修道院の庭(フランス)
  • オーヴェール=シュル=オワーズ(フランス)
  • シベールの池(フランス)
  • フォンテーヌ・ド・ヴォークリューズ(フランス)
  • サン・タンドレ大修道院(フランス)
  • マルキ・ド・サドの城(フランス)
  • 錬金術師の庭(フランス)
  • サン・ポール・ド・モゾール修道院(サン・レミ・ド・プロヴァンス総合文化センター)の庭園(フランス)
  • サン・トロフィーム教会(フランス)
  • サン・ソヴール大聖堂の庭(フランス)
  • ヴァンドーム小館(フランス)
  • ユニテ・ダビタシオン屋上庭園(フランス)
  • マーグ財団美術館庭園(フランス)
  • アンドレ・シトロエン公園(青の庭や温室庭園など、フランス)
  • ジャルダン・アトランティック(フランス)
  • プロムナード・プランテ(フランス)
  • カルティエ現代美術財団本部庭園(フランス)
  • フランソワ・ミッテラン図書館庭園(フランス)
  • ベルシー公園(フランス)
  • ニース近現代美術館庭園(フランス)
  • ブールデル美術館庭園(フランス)
  • ザッキン美術館(フランス)
  • ペール・ラシェーズ墓地庭園(フランス)
  • アジェ通りブラッサイ庭園(フランス)
  • ルネ・ル・ガル(フランス)
  • R・ヴィヴィアニ(フランス)
  • シェーズ・レガミエ(フランス)
  • エミール・ガレ庭園(フランス)
  • 自然庭園(フランス)
  • カトリーヌ・ラブーレ庭園(フランス)
  • 庭師の袋小路(フランス)
  • ジョルジュカーン小園(フランス)
  • グラン=ブロトゥロー園(フランス)
  • ブロセ園(フランス)
  • ラ・スルス花園(フランス)
  • フィッシュ広場(フランス)
  • ニーム・フォンテーヌ庭園(フランス)
  • ナンシー派美術館の庭(フランス)
  • ラ・ペピニエール(フランス)
  • エペルネー市庁舎庭園(フランス)
  • アルクビューズ庭園(フランス)
  • ブールジュ大司教館(フランス)
  • ブレ・フィショー庭園(フランス) 
  • ベルヴェ庭園(フランス)
  • ペトラルカ記念館の庭(フランス)
  • ロジェ・ラ・ドン庭園(フランス)
  • ジョアン・ミロ庭園(フランス)
  • Rガブリエル・ド・ラ・サル庭園(フランス)
  • マルコ・ポーロ庭園(フランス)
  • ジュミエージュ大修道院の庭(フランス)
  • サン=マクルーのアトリウム(フランス)
  • モン・サン=ミシェル大修道院の庭(フランス)
  • ロテヌフ岩面彫刻群(フランス)
  • プレイヴェン小教区教会境内(フランス)
  • トレヴァレスの館(フランス)
  • ラニロン館(フランス)
  • ロクロナン(フランス)
  • ドメニコ会修道院庭園(フランス)
  • サン・ピエール教会の庭(フランス)
  • ロゼーヌ聖堂の庭(フランス)
  • エリニャック庭園(フランス)
  • リモージュ司教館庭園(フランス)
  • ヴィシー源泉園(フランス)
  • ノートル・ダム・デュ・ビュイ大聖堂(フランス)
  • ラ・テット・ドール(フランス)
  • ダルシー庭園(フランス)
  • フォントネーズ大修道院の庭(フランス)
  • ウンテルリンデン美術館の庭(フランス)
  • ゴシック庭園(フランス)
  • ボムリー社シャンパーニュ風景庭園(フランス)
  • コンピエーニュ城(フランス)
  • ジャン・ジャック・ルソー園(フランス)
  • エルムノンヴィル砂の海(フランス)
  • モンマントルのぶどう園・葡萄畑(フランス)
  • テュルリュール園(フランス)
  • ロン・ポアン・デ・シャン・デ・リゼ(フランス)
  • ヴェールギャランの小庭園(フランス)
  • L・ブラシュ小園(フランス)
  • ティノ・ロッシ庭園(フランス)
  • ジョルジュ・ブラッサンス園(フランス)
  • ジャン・コクトー小園(フランス)
  • ヴァル=ド=マルヌ薔薇園(フランス、ライ=レ=ローズ
  • ムーティエ庭園(フランス)
  • カノン館の庭(フランス)
  • ガレンヌ遊歩道(フランス)
  • ショーモン城の庭(フランス)
  • ブロワ司教館庭園(フランス)
  • ファーブルの家(フランス)
  • ルーサン館の庭(フランス)
  • ロンシャン宮殿ロンシャン庭園(フランス)
  • ヴァル・ラメー庭園(フランス)
  • ポン=タヴァン(フランス)
  • ケルレヴナンの館(フランス)
  • タボール庭園(フランス)
  • ペリーヌ庭園(フランス)
  • グランド・モスケ・ド・パリ(フランス)
  • シネマ・ラ・パゴッド(フランス)
  • パルク・オリエンタル(フランス)
  • アルベール・カーン博物館(フランス)
  • プラフランスの竹園(フランス)
  • クーランス城(フランス)
  • 禅の庭(フランス)
  • シャントルーのパゴダ(フランス)
  • カッサンの中国パビリオン
  • ファルバラ園とファルバラ荘(フランス)
  • ル・シクロップ(フランス)
  • ダンケルク現代美術館彫刻の庭(フランス)
  • ヴィラ・サヴォア(フランス)
  • サン・コーム小修道院(フランス)
  • クロ・リュセ(フランス)
  • シュノンソー城(フランス)
  • 空想庭園(フランス)
  • セール・ド・ラ・マドヌ(フランス)
  • エフリュシ・ド・ロートシルト邸(フランス)
  • アルベルタ庭園(フランス)
  • デゼール・ド・レッツ(フランス)
  • イギリス式庭園#代表的なイギリス風景式庭園風景式庭園
  • ファウンテンズ修道院(イングランド)
  • レドニツェとヴァルチツェの文化的景観(チェコ)
  • ホーフガルテン (ミュンヘン)
  • スタッドリー王立公園
  • カールトン庭園王立展示館とカールトン庭園(オーストラリア)
  • ダーリングハーバーの庭園(オーストラリア連邦・シドニー) ... オーストラリア建国200年を記念して中国・広東省から贈られた広東式の庭園
  • クイーンズランド大学セントルシア・キャンパスの庭園パロネラ・パーク(オーストラリア、クイーンズランド州)- 遺跡風の建物と庭園
  • リンピンウッド庭園(Limpinwood Gardens)
  • モナベール庭園
  • ラーナック城庭園(ニュージーランド)
  • トレンサム競馬場場内庭園(ニュージーランド)
  • エラズリー競馬場場内庭園(ニュージーランド)
  • ジェネラル生命保険中庭(アメリカ合衆国)
  • ノースカロライナナショナル銀行テラスガーデン(アメリカ合衆国)
  • バントリー・ハウス
  • アーンテラス(アメリカ合衆国)
  • ノームギーク(アメリカ合衆国)
  • カイザーセンター屋上庭園(アメリカ合衆国)
  • オークランド美術館屋上庭園(アメリカ合衆国)
  • ペプシコ本社庭園(アメリカ合衆国)
  • ヘスターコムの庭(イングランド)
  • ユネスコの庭園(フランス)
  • チェースマンハッタン銀行中庭(アメリカ合衆国)
  • ベインネック図書館中庭(アメリカ合衆国)
  • ウィンターガーデン(アメリカ合衆国)
  • ナショナリピースガーデン(アメリカ合衆国)
  • バーゲルガーデン(アメリカ合衆国)
  • ニューヨーク近代美術館中庭(アメリカ合衆国)
  • アップジョン社本社庭園(アメリカ合衆国)
  • スタンダードチャータード銀行中庭(イギリス)
  • ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群
  • グレイ法曹院庭園(イギリス)
  • アレキサンダー庭園(無名戦士の墓、ロシア・モスクワ)
  • オリエンテ広場中央庭園(スペイン)
  • 王宮 (マドリード)カンポ・デル・モーロ(スペイン)
  • キリスト教徒の王たちのアルカサル(スペイン・コルドバ)
  • パロネラ・パーク - 1930年代にスペイン人移民であった実業家ホセ・パロネラが建設、家族が住む家としてスペイン風の城をイメージした建物と庭園を自らの設計で建設し、一般にも公開
  • ラ・グランハ宮殿 - 宮殿を取り巻く庭園は18世紀ヨーロッパの庭園設計の良い見本例の一つとされる
  • カゼルタ宮殿 - 1780年代にカルロ・ヴァンヴィテッリとジョン・グレアファーが設計した英国式庭園がある
  • カリフォルニア大学ロサンゼルス校マーフィー銅像庭園

関連書籍

  • 『古代庭園の思想―神仙世界への憧憬』金子裕之編 角川選書 角川書店 ISBN 4047033391

関連項目

テンプレート:Garden-stub