手稲山

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手稲山(ていねやま/Teine-yama・Mt.Teine)は、北海道札幌市西部の手稲区西区に跨る標高1023.1mの。札幌市中心部からほぼ真西に直線で約15km、自動車で約40分の位置にある。

明治末期に登山道ができ、大正15年(1926)には北大スキー部が山スキーの拠点の一つとして建てたパラダイスヒュッテと呼ばれる日本最古の本格的スキー山小屋が建築される。第11回冬季オリンピック札幌大会の会場になり、現在でも年間100万人を超えるスキーヤーが訪れる。

名称について

現在の山名は山麓の地名である「手稲」に由来する。

「手稲」自体は麓の低湿地を表すアイヌ語に由来するが(当該項目参照)、アイヌ語での山の名称は「タンネウェンシリtanne-wen-sir」(長い・悪い・崖)であった。南斜面に大きく広がる崖を「悪い」と表現したものである。

地質と地形

那須火山帯に属する。第四紀火山と考えられていたテンプレート:誰によってこともあったが、現在は否定されテンプレート:誰によって、より古い鮮新世(約500~160万年前)の火山と考えられているテンプレート:誰によって。地質は、安山岩頁岩凝灰岩などで構成される。

山頂の西側には尾根が連なり、南側と北側は急峻な断崖絶壁となっている。北側の絶壁(通称「北壁」)の下(現在のロープウェイ山麓駅付近)には火口のひとつがあったと考えられている。テンプレート:誰によって東側には溶岩の流れた跡とされるなだらかな傾斜が続いている。

手稲鉱山

明治期より、星置川砂金がとれたため、手稲山には金が眠っていると噂された。明治20年代半ば、星置で農業を営む鳥谷部弥平治が偶然金脈を発見した。道庁に試掘を申し出、全財産をなげうって明治40年頃まで探したが、よい結果は得られなかった。大正に入り、元道庁の技師石川貞治が鉱業権を取得し、手稲鉱山と命名。一時成功するが、新たな金脈探しに失敗し、一度閉山する。

昭和に入り、1928年に広瀬省三郎が鉱業権を得る。現在の手稲駅近くまで鉄索をひき、出鉱量は1934年には約3万4千トンにのぼった。

1935年三菱鉱業(現在の三菱マテリアル)が買収。亜鉛テルルなどを最盛期には月6万トン産出し、一時期は鴻之舞鉱山に次ぐ日本第二位の産出量を成し遂げていた[1]。戦後、荒川鉱業・千歳鉱業などに継承されながら徐々に規模を縮小し、1971年を最後に閉山した。

他の銅を産出した鉱山と異なる点として、銅の鉱石鉱物のほとんどが安四面銅鉱硫砒銅鉱といった硫塩鉱物English版であり、一般的な国内の銅鉱山では黄銅鉱を鉱石鉱物としていた。

様々な鉱物を産出するため鉱物収集家には有名な産地として知られている。1939年手稲石(teineite、CuTeO3・2H2O)、閉山後の1993年渡辺鉱(watanabeite、Cu4(As,Sb)2S5)、2001年リシェルスドルフ石(richelsdorfite)といった新鉱物や珍しい鉱物が発見され、世界的にも有名な鉱山である。

現在も手稲区内の地名や札樽自動車道金山パーキングエリアに金山(かなやま)の名を残しているが、これはかつて金を産出していた鉱山の名残である。また、付近のバス停にも手稲鉱山の名が残っている。(→札樽線 (ジェイ・アール北海道バス)参照)

鉱床

手稲鉱山の鉱床は、大きく分けると以下の3つに分類される。

  • 三山鉱床群
  • 黄金沢鉱床群
  • 万能沢鉱床群


スポーツ・レジャー

手稲山は北海道の山スキー発祥の地といわれる。1926年北海道大学スキー部創立15周年事業として、日本初のスキーヒュッテであるパラダイス・ヒュッテをスイス人建築家マックス・ヒンデルの設計により、現在のロープウェイ山麓駅から徒歩約10分の場所に建てられた。老朽化のため1978年に閉鎖されたが、有志により1994年に原設計に忠実に復元新築されている。

1965年、三菱金属鉱業(現・三菱マテリアル)と北海道放送(HBC)が中心となってテイネオリンピアを設立。北側中腹にスキー場のほかゴルフ場と遊園地をオープンさせた。

1972年開催の札幌冬季オリンピックでは、手稲山にもアルペンスキー回転大回転)、リュージュボブスレー会場が置かれた。札幌冬季オリンピック開催の後もアジア冬季競技大会ユニバーシアード冬季大会といった国際スポーツ競技大会の会場となっている。

オリンピックに先立ち、1970年に北側5合目から山頂まで札幌市によってロープウェイが設置された。大会終了後には王子緑化(現・王子木材緑化)がテイネハイランドスキー場を開設した。

1990年頃のスキーブームの際には、ハイランドの西区西野方面への拡張が計画されたが、多くの反対にあい頓挫している。

オリンピア、ハイランドの両スキー場はスキーブームの後収益が悪化し、2002年にハイランドの運営、オリンピアの所有と運営を、2003年には財団法人札幌市公園緑化協会がロープウェイを、それぞれ加森観光に譲渡した。

2003年にはオリンピアにK=30mのスキージャンプ台が新設され、少年団の練習の場となる。

現在はオリンピアゾーンとハイランドゾーンを8人乗りゴンドラで接続、最長6,000mの滑走ができるサッポロテイネとして一体的に運営されている。

登山ルート

手稲山には「滝ノ沢コース」、「北尾根コース」、「平和ノ滝コース」の3つのコースがある。 1990年頃迄は西野浄水場脇からの「西野コース」も存在した。

滝ノ沢コース

滝ノ沢コースは星置の滝を経由して入山する。

コース
手稲鉱山⇒砕石場⇒滝ノ沢⇒ゴールハウス後⇒ロープウエー山麓駅⇒手稲山
アクセス
札幌駅もしくは宮の沢駅からジェイ・アール北海道バス(57・宮57 手稲鉱山行き)で約1時間。コース出発点まで徒歩約15分
札幌駅からJR星置駅で約20分(快速)。コース出発点まで徒歩約20分

北尾根コース

北尾根コースは稲雲高校を経由して入山する。

コース
手稲本町入口⇒見晴台⇒分岐点⇒研修センター⇒ロープウエー山麓駅⇒手稲山
アクセス
札幌駅からJR手稲駅で約16分(快速)、コース出発点まで徒歩約20分

平和ノ滝コース

平和ノ滝コースは平和の滝を経由して入山する。

コース
登山口⇒布敷ノ滝⇒岩れきの斜面⇒手稲山
アクセス
地下鉄東西線琴似駅もしくは発寒南駅からジェイ・アール北海道バス(琴42・発42 平和の滝入口行き)で約20分、「平和の滝入口」下車。

送信所・中継所等

ファイル:Mt.TEINE-ANTENNA.jpg
山頂付近の施設群

山頂付近は強固な岩盤であり、また石狩平野を一望できるロケーションの良さから、無線送信・中継設備が多く置かれている。

  • 1956年12月に、北海道放送(HBC)がテレビ送信所を設置。テレビ送信所の設置場所を巡り、地形的にも物理的にもテレビ送信所の設置が困難とされていた手稲山にテレビ送信所の設置を主張するHBCと対立し、当初はさっぽろテレビ塔にテレビ送信所を設置していたNHK札幌放送局札幌テレビ放送(STV)も、後にHBCと同様にテレビ送信所を手稲山に移設しており、現在、札幌圏の全ての放送局のテレビ・FMラジオの送信所が軒を連ねている。
  • 2006年全局一斉に開始した札幌圏の地上デジタルテレビ放送の送信所もこの山頂に置かれた。
  • NHK札幌の正式な放送局名は、手稲山テレビ・FM放送所である。

また、MCA無線、業務無線、JR北海道NTT東日本国土交通省警察庁などの無線基地局や中継局のほか、北海道大学の気象観測施設なども置かれている。

地上デジタルテレビジョン放送送信設備

地上デジタル放送における各放送局のチャンネルは、物理チャンネルではなく、リモコンキーIDで○chと表記している

ID 放送局名 コール
サイン
物理
ch
空中線
電力
ERP 放送対象地域 放送区域
内世帯数
本放送
開始日
Gガイド等
局名表記
(xはマルチ
放送の番号)
ワンセグ
局名表記
チャンネル
利用番号
1 HBC
北海道放送
JOHR-DTV 19 3kW 28kW 北海道 109万6,108世帯 2006年
6月1日
HBC北海道放送x HBCワンセグ[2] 011-013
218(Gガイド)
611(ワンセグ)
2 NHK
札幌教育
JOIB-DTV 13 33kW 全国放送 NHKEテレx札幌 NHK携帯2 021-023
621(ワンセグ)
3 NHK
札幌総合
JOIK-DTV 15 34kW 石狩
空知
滝川市以南)・
後志
NHK総合x・札幌 NHK携帯G・札幌 031-032
631(ワンセグ)
5 STV
札幌テレビ放送
JOKX-DTV 21 27kW 北海道 札幌テレビx 札幌テレビワンセグ 051-053
651(ワンセグ)
6 HTB
北海道テレビ放送
JOHH-DTV 23 HTBx HTB 061-063
661(ワンセグ)
7 TVh
テレビ北海道
JOHI-DTV 14 28kW TVhx TVhワンセグ 071-073
671(ワンセグ)
8 UHB
北海道文化放送
JOBM-DTV 25 27kW 北海道文化放送x UHBワンセグ 081-082
681(ワンセグ)
  • 2005年6月10日予備免許が交付、2006年2月1日試験電波が発射、2006年5月23日に本免許が交付、2006年6月1日から本放送が開始された。
  • 物理ch番号16、18、20、22、24は深川アナログ中継局で使用していたため、欠番となっている。(これらの物理chは札幌市内の一部中継局や小樽中継局のデジタル放送で使用している。24chは深川アナログ中継局のほか、近隣の小樽中継局のアナログ放送でも使用していた。17chは手稲山アナログTVhの番号のため、当然使用できなかった。)
  • 札幌管内(NHK札幌局が放送されている地域)ではニセコ、岩内、黒松内中継局が同一の物理chを使用しており、機器のチャンネルスキャンは必要なく、札幌のプリセットchを使用できる。

地上アナログテレビジョン放送送信設備

※印の日付は、さっぽろテレビ塔における開局日。

ch 放送局名 コールサイン 空中線
電力
ERP 放送対象地域 放送区域
内世帯数
開局日 閉局日
1 HBC
北海道放送
JOHR-TV 映像10kW
/音声2.5kW
映像79kW
/音声20kW
北海道 約73万6,000世帯 1957年
4月1日
2011年
7月24日
3 NHK
札幌総合
JOIK-TV 映像73kW
/音声18kW
石狩・
空知
(滝川市以南)・
後志
黒松内町以外)
1956年
12月22日
5 STV
札幌テレビ放送
JOKX-TV 映像89kW
/音声22kW
北海道 1959年
4月1日※
12 NHK
札幌教育
JOIB-TV 映像105kW
/音声26kW
全国放送 1962年
6月1日
17 TVh
テレビ北海道
JOHI-TV 映像30kW
/音声7.5kW
映像280kW
/音声70kW
北海道 1989年
10月1日
27 UHB
北海道文化放送
JOBM-TV 映像293KW
/音声73kW
1972年
4月1日
35 HTB
北海道テレビ放送
JOHH-TV 映像340kW
/音声86kW
1968年
11月3日

FMラジオ放送

周波数
(MHz)
放送局名 コールサイン 空中線
電力
ERP 放送対象地域 放送区域
内世帯数
開局日
80.4 エフエム北海道
(AIR-G')
JOFU-FM 5kW 32kW 北海道 約73万6,000世帯 1982年9月15日
82.5 エフエム・ノースウェーブ
(NORTHWAVE)
JOPV-FM 1993年8月1日
85.2 NHK
札幌FM放送
JOIK-FM 33kW 石狩・空知
(滝川市以南)・
後志
(黒松内町を除く)
1962年12月24日
(実用化試験局として)
一般財団法人
道路交通情報通信システムセンター
JOVS-FCM13 -
90.4 STVラジオ FM補完中継局 27kW 北海道 約-世帯 2016年10月19日
91.5 HBC北海道放送
HBCラジオ

マルチメディア放送

周波数(MHz) 放送局名 空中線電力 ERP 放送区域 放送区域
内世帯数
運用開始日 放送終了日
214.714286 Jモバ札幌MMH 25kW 220kW 北海道石狩管内の全域と
空知・後志・胆振・日高各管内の一部
約125万世帯 2012年12月14日[3] 2016年6月30日[4]
Jモバ札幌DTV 2015年4月1日
  • 2012年9月25日に旭川送信所とともに予備免許が交付され[5]10月15日に試験電波の発射を開始[6]12月13日に本免許が交付され[3]、12月14日に本放送を開始した[3]
  • 2016年6月30日にNOTTVのサービス終了に伴いモバキャスは放送終了となった[4]

備考

送信所設置状況

  • NHK札幌放送局はFM放送の送信所建物の隣にデジタルテレビ放送送信施設の建物と鉄塔を別途新設。
    • FM放送の送信所はかつてアナログテレビ放送の送信設備も併設していた。現在の局舎はデジタルテレビは2005年、FM放送は2代目の局舎として1991年に完成したものである(1962年の手稲山移転当初に建てられた初代局舎の老朽化に伴う新築移設)。両局舎は渡り廊下で結ばれている。
  • 道新系のSTVとHTBは共同でデジタル用送信施設を新設(アナログは個別で設置)。
    • STVのロゴはアナログ・デジタルとも1959年開局時のものを使用。
    • HTBのロゴはアナログ・デジタルとも2006年からの現行のものを使用しているが、アナログ送信所では珍しく長方形のダイナミックスクエアも描かれている(手稲山デジタル送信所と他地域の送信所・中継局の大半では現行のものを使用していてもダイナミックスクエアは描かれていない)。手稲山デジタル送信所完成当初は1968年開局当時のロゴが描かれていた。
  • 道新系のHBC・UHB・TVhは、個別設置のアナログの施設をそのまま運用。
    • HBCデジタルテレビに関しては唯一、局単独で設置(手稲山以外のHBCデジタルテレビ送信所・中継局はすべて他局と共同で設置)。現在の局舎は完成から55年を経過し老朽化が進んでいるため、2012年初頭に現在の送信局舎の隣に新たなデジタル送信局舎が完成し、同年内にデジタル放送の送信設備が移転される予定である。従来の局舎は「HBC」の文字は1956年の完成当初から壁面にアクリル板で表記し続けていたが、新しく完成した局舎では2001年からの正式ロゴを壁面に記されている。
    • UHBは民放FMラジオ局のAIR-G'・NORTHWAVEも包含。
  • マルチメディア放送NOTTVについては旧HTBアナログの送信所を使用

デジタルテレビ放送局の名称

  • NHK札幌総合:NHKさっぽろデジタルテレビジョン(放送読み上げでは「NHKさっぽろそうごうデジタルテレビジョン」)
  • NHK札幌Eテレ:NHKさっぽろきょういくデジタルテレビジョン(放送読み上げは2007年9月30日放送分まで)
  • HBC:HBCさっぽろデジタルテレビジョン
  • STV:STVさっぽろデジタルテレビジョン
  • HTB:HTBテレビデジタルテレビジョン
  • UHB:UHBデジタルテレビジョン
  • TVh:テレビほっかいどうデジタルテレビジョン
放送エリア
その他
  • 手稲山に最初に送信所を設けたのはHBC。後にNHK札幌放送局は1962年5月27日に(総合テレビのみ。教育テレビ・FMは放送開始当初より手稲山から送信)、STVも1969年1月15日にさっぽろテレビ塔より移転した。
  • さっぽろテレビ塔には都心部のFM難聴取対策のため中継局とNHK札幌放送局の予備送信所が設けられている。
  • 地上デジタル放送のカバー率は世帯ベースで全道の約48%(開局時)。
  • NHKは、道内で独自のネットワークを築いているが、教育テレビでは個別放送局のコールサイン読み上げは行われず、道内7放送局のコールサインを一括して表示している(アナウンスは「NHK教育テレビジョンです」、「NHK教育デジタルテレビジョンです」のみ)。デジタルテレビは札幌局が先行していることもあり、2007年9月30日までは開始・終了時の読み上げが行われていたが、2007年10月に道内他局が放送開始後は、運用コスト削減のため、アナログと同様の方式が取られている。道内主要地域での試験放送での段階では札幌局からの裏送り送出で「NHK教育テレビジョン 試験電波発射中」の文字に札幌局以外の道内6放送局のコールサインを一括で表示した。この表示はデジタル総合テレビでも同様である。

関連項目

脚注

参考文献

  • 『道央の山々』(北海道新聞社)

外部リンク


テンプレート:札幌50峰