日本聖公会

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日本聖公会
団体種類 包括宗教法人
所在地 東京都新宿区矢来町65
法人番号 5011105000730
主要人物 植松誠(首座主教)[1]
収入 不明
支出 不明
基本財産 不明
従業員数 不明
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日本聖公会(にっぽんせいこうかい, Nippon Sei Ko Kai, NSKK, The Anglican-Episcopal Church in Japan)は、キリスト教の一派のアングリカン・コミュニオンの形成団体のひとつ。聖公会宗教改革の中からイングランドで生まれたキリスト教の一教派で、「英国教会」または「英国国教会」とも訳される[2]。日本で宣教を開始したのは安政6年(1859年)で[2]、国内の信者数はおよそ58,000人。受聖餐者はおよそ20,000人。300以上の教会のほか、立教大学桃山学院聖路加国際病院など、200あまりの関連施設を持つ[2]

歴史

ファイル:Seikoukai5641.JPG
『日本聖公会初代監督シ・エム・ウィリアムス師旧邸』碑: ウィリアムズ主教は米国から来日した宣教師で、長崎・大阪・東京・京都で布教を行い、日本聖公会初代監督に就任した。1936年、この地の京都教区教務所構内に移築。その後、ウィリアムズ師記念館として使われていたが、現在は京都教区主教邸として使用されている。京都市上京区。

明治時代、日本は4つの宣教団体によって伝道された。

その後、日本聖公会は1887年に成立した。

20世紀前半、日本の海外進出に伴い、台湾に台湾聖公会(台湾教区)、中国に大連聖公会中華聖公会の北京教区内、イングランド国教会と共同で)などを設立し、朝鮮聖公会を併合している。

日本聖公会の概要と現況

日本で最高位の職位は首座主教Primate)と呼ばれ、全国の11教区の監督を行う。首座主教の選出は教区主教の中からの聖公会総会での選挙による。現在の首座主教はナタナエル植松誠教区(Diocese)はそれぞれ独立しており、個別の宗教法人格を有し、原則として聖職の人事も教区単位で行われることになっている。教区の連合体としての日本聖公会は日本管区Province)と呼ばれ、全国規模で行うことが望ましい事務を取り扱っている。なお、日本管区事務所は東京教区の牛込聖公会聖バルナバ教会と同一の建物内におかれている。

参考までに、世界で最高位の職位は、イングランド国教会(英国国教会)のカンタベリー大主教ヨーク大主教Archbishop of York)だが、それらは全世界の聖公会の連合会であるアングリカン・コミュニオン幹事(host manager)であり、ローマ・カトリック教会における教皇のような全教会の代表的存在ではない。各管区における代表の主教が他の主教との会で各管区の聖公会を取りまとめる。10年ごとに全世界の代表がロンドンまたはカンタベリーに集まる場もランベス会議として設けられており、さまざまな意見が交換されるが、各管区への強制力はなく、最近の会議は2008年に行なわれている。

聖職者の構成は、主教司祭執事(Bishop, Priest, Deacon)の3階級制をとっている。主教は、各教区の長として教区全体の司牧に当たる。主教の監督下に司祭が置かれ、主に地域聖公会(教会)の牧師(Rector)の任務に従事する。司祭を補助する職務を行う執事がおり、牧師補(Curate)の任務や信徒集会である受聖餐者会の補助・助言を行う。

聖餐の実施など教会での信徒司牧は司祭以上の階級である必要がある。多くの場合、聖職者は教会付属の牧師館(Rectory)に居住するが、聖職者不足などの事情で、別の教会の牧師を務める司祭が非常駐の管理牧師(Rector in Charge)として着任することもある。なお、管理牧師に代わる常駐の教役者(Church Worker)として執事・伝道師(Catechist)・聖職候補生(Candidate for Orders; 神学生ないしは神学教育を終了後まだ聖職按手を受けていない者)が配属されることもある。

従来、日本聖公会では女性司祭はあくまでも男性司祭の任命が不可能となった場合のみに限定すべきであるとしていたが、現在では司祭・執事共に女性が任命されるようになっている。ただし、教区の雰囲気として導入は時期尚早であるとか、あるいは教区主教の牧会方針により、女性聖職者の任命・按手の実績がまだない教区もある。

聖公会の礼拝

教典

日本聖公会では、旧約聖書および新約聖書聖典とする。旧約聖書続編については、礼拝で朗読されたりなど聖書の一部として普通に使用されるが、「この部分を元に教義を建てない」という原則も持っており、聖典とは区別されている。聖餐式中に旧約聖書・使徒書福音書の朗読と詩編の交唱が行われるほか、朝夕の礼拝においても日課として聖書朗読が行われる。朗読箇所は聖書日課(Lectionary)として指定されており、聖餐式が1990年代以降は3年サイクル(A年、B年、C年)からなる「改訂共通聖書日課」(Revised Common Lectionary、略称:RCL)」で行なっていて、朝夕の礼拝が2年サイクル(第1年、第2年)になっている。聖書日課表は祈祷書に収録されているほか、毎年の教会暦に従って「教会暦・日課表」が年ごとに作成される。なお、聖餐式で朗読される詩編以外の聖書箇所を抜き出した「聖餐式聖書日課」がA年、B年、C年用と3種類作られ、用いられている。礼拝において用いることができる聖書は、新共同訳聖書の他、いわゆる文語訳聖書(大正改訳)口語訳聖書(日本聖書協会、1955年)・日本聖公会教務院発行の1968年改訂版アポクリファ(旧約聖書外典)の4種類と定められている[3]。(上記の「聖餐式聖書日課」は、新共同訳聖書によっている。)

信仰告白は普通、聖餐式ではニカイア・コンスタンティノポリス信条(ニケヤ信経)、その他の礼拝では使徒信条(使徒信経)を用いている。アタナシオス信条(アタナシオ信経)は、現在ではあくまで「歴史的文書」という扱いであり[4]、祈祷書の末尾に「付録」として掲載されているが、教会で用いられることはまずない。

2000年より、日本聖公会は日本のローマ・カトリック教会と共同で、イエス自ら定めたキリスト教で最も重要な祈りである『主の祈り』の日本語共通口語版を採択(よく知られており、現在でも多くのプロテスタント教会で用いられているものは日本語文語版)し、両教会の祭儀・礼拝・祈祷において公式に用いている。ただし、終わりにはローマ・カトリック教会とは若干異なる「国と力と栄光は、永遠にあなたのものです アーメン」という副文(栄光の唱え)が付されている。[5]

祈祷書

アングリカンコミュニオンに属する各教会では祈祷書が使用されている。日本聖公会においても全国統一の『日本聖公会祈祷書』が用いられている。現在使用されているのは、1990年に採択されたものである。

聖歌

聖公会の礼拝では聖歌を用いることが多く、ほとんどの教会には伴奏用のオルガンが備え付けられている。聖餐式では、司式者の入堂時(入堂聖歌)、福音書朗読前(昇階唱)、献金時(奉献唱)、陪餐時、司式者の退堂時(退堂聖歌)の5回歌われることが多い。そのほか、唱詠・チャントと呼ばれる旋律つきの式文もあり、キリエや、大栄光の歌(グロリア)、主の祈りのほか、聖書を唱詠することもある。これまで『古今聖歌集』(1959年)が長年用いられてきたが、2006年に『日本聖公会聖歌集』が発行され、これが現行の聖歌集である。この改訂の過程において、『古今聖歌集増補版95』(1995年)と『改訂古今聖歌集試用版』(2001年)が発行されたが、『日本聖公会聖歌集』の発行をもってその役目を終えている。特別な事情のある場合や牧会的な配慮(例えば葬儀の際に故人の愛唱歌を過去の聖歌集から用いるなど)等を除き、原則として現行聖歌集を使用するものとされている。

礼拝

主要な祭儀・礼拝は主日聖餐式、週日聖餐式、朝・夕の祈り(時課)などである。聖餐式はイエスの死と復活を記念する礼拝であり、パン(カトリックで用いられるホスチアと同様)とぶどう酒による陪餐を行う。この陪餐は洗礼(および幼児洗礼者は初陪餐式)を受けた信者のみが参加できる[6]。(聖餐論#聖公会の聖餐理解も参照)

また、1年を降臨節降誕節大斎節などの期節に区切り、聖歌や式文に変化を持たせている。灰の水曜日はイエスの受難を黙想し復活祭に至る約四十日間の大斎節に入る初日であり、灰の塗布の儀式を行う。

カトリック教会と同様に七つのサクラメント(聖公会の用語では聖奠《せいてん》)を行うが、洗礼聖餐のみが聖奠であり、それ以外の堅信、聖職按手(聖職に任ぜられるために受ける式)、聖婚(信徒の婚姻)、個人懺悔(告解)、病人の按手および塗油(病者の塗油)の5つの式はイエス・キリストの直接の定めによるのではなく、聖霊の導きにより教会が行ってきた式であるとし、聖奠に準ずる儀式として「聖奠的諸式」と呼ぶ。[7]

なお、聖公会では初代教会およびカトリック教会の定めた殉教者聖人福者を「諸聖徒の交わり」として尊重している。聖公会として公式に記念する者は限定しており、また信者に対し必ずしも義務とおらず、礼拝では説教の中でもこうした事柄を言及することはまれである。

教会暦

日本聖公会では祈祷書によって祝日教会暦)を定めている。祝日の種類は次の通りである。

祝日・記念日

主要祝日
復活日(イースター)、昇天日聖霊降臨日三位一体主日、降誕日(クリスマス)、顕現日諸聖徒日
主日に優先して守られる祝日
主イエス命名の日、被献日、主イエス変容の日

期節

  • 降臨節(イエスの誕生を待ち望むための節)
  • 降誕節(イエスの誕生から顕現までの節)
    • 降誕日(クリスマス、12月25日)
    • 主イエス命名の日(1月1日)
  • 顕現節
    • 顕現日(1月6日)
    • 顕現後第一主日・主イエス洗礼の日
  • 大斎節 イエスの受難を偲び、復活日まで悔い改めを行う節。
  • 復活節 イエスの復活を記念する節。
    • 復活日
    • 復活後月曜日
    • 復活後火曜日
    • 復活後水曜日
    • 復活後木曜日
    • 復活後金曜日
    • 復活後土曜日
    • 昇天日
    • 復活節第7主日・昇天後主日
    • 聖霊降臨日(ペンテコステ) 使徒に聖霊が降臨したことを記念する日。
  • 聖霊降臨後の節
    • 聖霊降臨後第1主日・三位一体主日
    • 聖霊降臨後第2主日〜聖霊降臨後第27主日(27までない年もある)
    • 聖霊降臨後最終主日・キリストによる回復(降臨節前主日)

上記以外の祝日

  • 使徒聖アンデレ日(11月30日)
  • 使徒聖トマス日(12月21日)
  • 最初の殉教者聖ステパノ日(12月26日)
  • 福音記者使徒聖ヨハネ日(12月27日)
  • 聖なる幼子の日(12月28日)
  • 使徒聖パウロ回心日(1月25日)
  • 被献日(2月2日)
  • 使徒聖マッテヤ日(2月24日)
  • 聖ヨセフ日(3月19日)
  • 聖マリヤへのみ告げの日(3月25日)
  • 福音記者聖マルコ日(4月25日)
  • 使徒聖ピリポ・使徒聖ヤコブ日(5月1日)
  • 使徒聖バルナバ日(6月11日)
  • 洗礼者聖ヨハネ誕生日(6月24日)
  • 使徒聖ペテロ・使徒聖パウロ日(6月29日)
  • マグダラの聖マリヤ日(7月22日)
  • 使徒聖ヤコブ日(7月25日)
  • 主イエス変容の日(8月6日)
  • 主の母聖マリヤ日(8月15日)
  • 使徒聖バルトロマイ日(8月24日)
  • 福音記者聖マタイ日(9月21日)
  • 聖ミカエルおよび諸天使の日(9月29日)
  • 福音記者聖ルカ日(10月18日)
  • 使徒聖シモン・使徒聖ユダ日(10月28日)
  • 諸聖徒日(11月1日)

教区と教会

日本聖公会では全国に11の教区を設け、それぞれの教区の代表として主教が置かれている。主教に対する敬称は、師あるいは師父(しふ)を用いる。主教座の置かれる教会は主教座聖堂(Cathedral)と呼ばれ、その教区の中心の役割を担う。

  • 教区名 - 主教座聖堂、主教名
    • 管轄都道府県。()内は教会数。
  • 北海道教区 - 札幌キリスト教会・ナタナエル植松誠
    • 北海道(24)
  • 東北教区 - 仙台基督教会・ヨハネ吉田雅人
    • 青森県(5)、岩手県(3)、宮城県(4)、秋田県(4)、山形県(4)、福島県(7)
  • 北関東教区 - 前橋聖マッテア教会・ゼルバベル広田勝一
    • 茨城県(4)、群馬県(6)、栃木県(5)、埼玉県(9)
  • 東京教区 - 芝聖アンデレ教会・ゼルバベル広田勝一(管理主教)
    • 東京都 城南グループ(8)、外濠グループ(4)、下町グループ(8)、山手グループ(4)、環状グループ(6)、多摩グループ(4)、諸島グループ(1)
  • 横浜教区 - 横浜聖アンデレ教会・ローレンス三鍋裕
    • 神奈川県(12)、千葉県(12)、静岡県(4)、山梨県(3)
  • 中部教区 - 名古屋聖マタイ教会ペテロ渋澤一郎
    • 新潟県(5)、長野県(10)、岐阜県(3)、愛知県(8)
  • 京都教区 - 聖アグネス教会・ステパノ高地敬
    • 京都府(11)、富山県(1)、石川県(1)、福井県(3)、滋賀県(2)、三重県(6)、奈良県(7)、和歌山県(9)、大阪府(1)
  • 大阪教区 - 川口基督教会・アンデレ磯晴久
    • 大阪府(19)、兵庫県(3)
  • 神戸教区 - 神戸聖ミカエル教会・オーガスチン小林尚明
    • 兵庫県(7)、岡山県(1)、広島県(3)、鳥取県(3)、島根県(3)、山口県(2)、香川県(1)、徳島県(4)、愛媛県(2)、高知県(1)
  • 九州教区 - 福岡聖パウロ教会・ルカ武藤謙一
    • 福岡県(10)、佐賀県(0)、長崎県(3)、熊本県(2)、宮崎県(2)、鹿児島県(2)、大分県(1)
  • 沖縄教区 - 三原聖ペテロ聖パウロ教会・ダビデ上原榮正
    • 沖縄県(11)

次の礼拝所、伝道所等は含めない。

鹿嶋聖オーガスチン礼拝所(茨城県)、小山祈りの家(栃木県)、香蘭女学校礼拝堂、立教女学院聖マーガレット礼拝堂・聖マリヤ礼拝堂、聖公会神学院諸聖徒礼拝堂、立教学院諸天使礼拝堂、聖フランシス・聖エリザベツ礼拝堂、ナザレ修女会聖家族礼拝堂、滝乃川学園聖三一礼拝堂(東京都)、大磯聖ステパノ礼拝堂、聖ヒルダ礼拝堂(神奈川県)、浦安伝道所、九十九里ホーム聖マーガレット礼拝堂(千葉県)、島田伝道所(静岡県)、しお伝道所、小松集会(石川県)、神愛修女会聖マリア院礼拝堂(和歌山県)、一乗寺伝道所、四辻伝道所、ウィリアムス神学館(京都府)、聖バルナバ病院礼拝堂、プール学院礼拝堂、桃山学院聖アンデレ礼拝堂、桃山学院大学聖救主礼拝堂、聖ヨハネ学園礼拝堂(大阪府)、垂水伝道所(兵庫県)、倉敷伝道所(岡山県)、聖モニカ礼拝堂(広島県)、佐賀祈りの家(佐賀県)、聖ジョージ修道院(沖縄県)

おもな聖堂・礼拝堂

北海道教区

東北教区

関東教区

東京教区

横浜教区

中部教区

京都教区

大阪教区

神戸教区

九州教区

沖縄教区

  • 三原聖ペテロ聖パウロ教会・沖縄教区主教座聖堂(沖縄県那覇市)

保存建築等

修士会・修女会

ローマ・カトリック教会でいうところの「修道士・修道女」にあたる存在は、聖公会では「修士・修女」と呼ばれている。現在、日本に存在する聖公会の修道会(修女会)は上記の1団体(支部団体1)である。修士会は、かつて「聖ヨハネ修士会(略称SSJE、栃木県)」及び「聖使修士会(略称SSM、兵庫県)」の日本管区があったが、いずれも解散し現存していない。また、修女会は、1949年に日本人の聖職・信徒により創設された「神愛修女会(和歌山県)」があったが、2013年に解散している。

小山祈りの家(旧・聖ヨハネ修士会)
社会福祉法人神愛会(旧・神愛修女会が母体)

日本聖公会関係の学校

日本にある聖公会関係の学校、施設、団体等の連合体である「日本聖公会関係学校協議会」が存在する。名称には"学校協議会"となっているが一部教育機関以外も加盟している。これ以外にも、幼稚園を経営する教会も各地に数多く存在する。

学校

神学校

その他教育施設

関係企業・施設等

脚注

  1. 宗教年鑑平成28年版 2016, p. 121.
  2. 2.0 2.1 2.2 小田原聖十字教会について
  3. 日本聖公会法規 別表2
  4. 日本聖公会祈祷書(1990)、p.925
  5. 日本聖公会祈祷書(1990)、p.261-262、教会問答12
  6. 従来は洗礼に加えて堅信を受けることが陪餐に必要な資格であったが、2017年以降、堅信前の陪餐が可能となった。(「堅信前の陪餐」関連諸文書
  7. 日本聖公会祈祷書(1990)、p.265

参考書籍

外部リンク

関連項目