日野・リエッセ

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リエッセ (Liesse) とは、かつてジェイ・バスが製造し、日野自動車へ供給されていたマイクロバス・小型路線バス。

1996年5月より、トヨタ自動車との相互OEMを開始。トヨタから日野へトヨタ・コースターリエッセIIとしてOEM供給し、2003年まで、日野からトヨタへリエッセRX系をコースターRとしてOEM供給していた。2003年より、いすゞ自動車ジャーニーJとしてOEM供給していたが、2004年8月のモデルチェンジ以降は日野・いすゞの統合モデルとなり、ジェイ・バスから両社へ供給される形に変更された。

本稿では、これらのOEM車種であるコースターRおよびジャーニーJについても述べる。また日野・レインボーシリーズのうち1985年に発売され、リエッセの前身となった2m幅の小型バスレインボーRB・AB系についても、本稿で併せて解説する。

ラインナップ

当記事にて扱う諸車種の販売時系列は以下のとおり。

1995年前半まで 1995年後半 1996年 - 2002年 2003年 - 2004年 2005年 - 2011年 2012年 - 現在
日野自動車 レインボー (RB系) リエッセ (RX系)
レインボー (AB系) リエッセII (B系)
トヨタ自動車 コースターR (RX系)
いすゞ自動車 ジャーニーJ (RX系)

また、PB-RX以降のグレードは以下のとおり。(日野といすゞでグレードの呼称が一部異なる)

  日野・リエッセ いすゞ・ジャーニーJ
観光用 スーパーツーリング スーパーカスタム
自家用(リクライニングシート) スーパーデラックス カスタム
自家用(固定シート) デラックス
路線用 ステップリフトバス


レインボー (RB・AB系)

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1985年2月にデビュー。車幅2m・全長7mクラスの小型車で、車幅2.3mクラスのレインボーAC系よりさらに小型のモデルである。

RB系はクラス初のリヤエンジン車、AB系は他社のマイクロバス同様のフロントエンジン車である。外観はどちらもハイルーフ・ロングボディ仕様に相当するもので、共通のものとなっていた。RB系はリヤエンジンであることが買われ、のちに中扉専用から前扉化された。自家用やレンタカー用が多いが、RB系は路線用としても多くが販売された。3速オートマチックや速度感応式パワーステアリングの装備が追加されたのも特徴的であった。AB系はリフト付きや幼児専用車なども製造された。

1995年8月のリエッセRX系へのモデルチェンジまで、日野自動車の最小クラスのバスとして、RB系・AB系ともに製造された。

P-RB/AB

1985年2月発売。RB系はリヤエンジンを採用したのが特徴である。エンジンはP-RB115AA型がW04D型(直4無過給、115ps)、P-RB145AA型がW04CT型(直4ターボ付・145ps)となった。クラス唯一のリヤエンジンという独特のジャンルを確立した。

同時に発売されたAB系は、フロントエンジンである以外はRB系と変わらないデザインである。P-AB115AA型の1機種で、エンジンはW04D型が搭載される。

U-RB/AB

1990年2月に平成元年排出ガス規制適合。RB系はU-RB1WGAA型のエンジンをW04C-T型(直4ターボ付き・140ps)、U-RB2WGAAのエンジンはW04D型(直4無過給・120ps)とした。

AB系はエンジンはW04D型(直4無過給、120ps)として、U-AB2WGAAとした。フロント・リヤデザインをマイナーチェンジしたほか細部が改良されている。

1992年のモデルチェンジで、RB系はホイールベースを縮小して、前扉仕様を追加した。前扉仕様は路線バス用としてもふさわしく、前後2ドア仕様も登場し、コミュニティバスやローカル路線などの小規模需要にも応えることとなった。また特装用胴殻車も設定された。エンジンは前扉仕様(型式U-RB1WEAA)が、W04C-TI型(直4ターボインタークーラー付き、165ps)もしくはW04C-T型(直4ターボ付き、140ps)でグレードによって搭載される。また、中扉仕様も継続され、エンジンはW04D型(直4無過給、120ps)が搭載される。

トルクコンバーター式3速オートマチック車(トランスミッションはエクセディ製PATM)が1993年に追加され、ターボインタークーラー付きの機種に設定される。また、前扉仕様は車速感応式パワーステアリングも標準装備となった。

AB系はフロントエンジンを生かして、後部にリフトを装備できた。宮園自動車向けなどには、後部オーバーハングを延長して収容力を向上させたタイプも納入されている。

1995年の平成6年排出ガス規制に伴うフルモデルチェンジにより、RB系はRX系とシリーズ名を改め、名称もリエッセに改められた。

同時にAB系は製造中止となってラインナップから消えるが、1996年にトヨタ自動車からのOEM供給によるリエッセIIを発売し、このクラスをカバーするようになった。

リエッセ (RX系)

1995年8月28日デビュー。車幅2m・全長7mクラスの小型バス(マイクロバス)である。リアエンジン・リアドライブの小型バス、レインボーRBをフルモデルチェンジする形で新発売された[1]ツーステップバスであり、車椅子での乗降のため、1997年に路線仕様にステップリフトバスが追加された。

リエッセ (LIESSE) とは、英語リムジン (LIMOUSINE) とフランス語のコンテス(COMTESSE=伯爵夫人)を合わせた造語。日野自動車はかつて、伯爵夫人のイタリア語である「Contessa(コンテッサ)」を自社の乗用車名に用いていた。発売時は「コンフォタブル・リムジン リエッセ」「ようこそ、リエッセへ。」というキャッチフレーズで宣伝された。また型式名「RX」は、1台だけ造られた国鉄専用型式の試作車「日野RX10」に続く2代目である[1]

先代のレインボーRBのイメージを払拭し、1990年7月にデビューした初代セレガと統一感を持たせるため、全体的に曲線・曲面を多用したデザインとなり、ヘッドライト周りのデザインはセレガと共通とされた[1]

マイクロバスでは唯一のリアエンジン・リアドライブ方式車(車検証の「車体の形状」欄も「リヤーエンジン」)である。定員確保やワンマン機器取り付けなどで有利なため、コミュニティバスで多く使われるようになった。小型路線バス自家用バス貸切バスとして、また中国バスフライングフィッシュ号オーシャンライナーなど高速バスでも採用例がある。

マイクロバスには珍しく、空気油圧複合式ブレーキ(いわゆるA.O.Hブレーキ)を採用している(その他のマイクロバスは油圧ブレーキ)。全グレードに4輪エアサスペンションを標準装備したことも特長である[1]

最小回転半径はクラス最小の5.8m[1][2]。非常に小回りの効く設計は狭隘路線で重宝された。リエッセの生産終了後、コミュニティバスなどでノンステップバスポンチョに代替された後、従来の経路が通れなくなりルート変更を余儀なくされるケースもあった。

トランスミッションはデビュー当初からPB-RXまで、5速マニュアルと3速オートマチック(KC-RXではオプション)が用意されていたが、2007年6月のマイナーチェンジでオートマチック車の設定が抹消され、BDG-RXからはマニュアル車のみとなった[2]

1996年6月よりトヨタ自動車コースターR (Coaster R) としてOEM供給されたが、2004年8月に中止された。またいすゞ自動車からは2003年11月よりジャーニーJ (Journey J) として、リエッセの生産終了まで販売された。

なお、コミュニティバスで見られるCNG車はメーカー純正・オプションではなく、株式会社フラットフィールド[3]協同バスグループの株式会社協同が改造を担当している。

2006年3月、リエッセをベースとした路線向けノンステップバス・日野ポンチョ(2代目)が登場したが、リエッセのステップリフト車は車両本体価格が約500万円安いこともあり(ポンチョ:1,541万円、リエッセ:1,047万円)、ポンチョ登場後も引き続き2011年8月まで販売されていた。

2009年4月、東京都市大学がリエッセをベースにした水素燃料エンジン搭載バスの開発に成功した。日本自動車研究所の技術審査を通過して、国土交通省からナンバープレートを取得し、水素燃料エンジンを搭載したバスとしては日本初となる公道での走行が可能となった[4][5]

KC-RX4JFAA

1995年8月28日、平成6年排出ガス規制に適合して新発売。エンジンはJ05C(排気量5.3L、出力107kW/145PS)とターボ付きのJ05C-TI(排気量5.3L、出力129kW/175PS)の二種類。ステアリングホイールと運転席のメーターパネルはライジングレンジャーと共通のものが採用された。全グレードに4輪エアサスが標準装備された。トランスミッションは標準仕様で5速マニュアル、オプションで3速オートマチック。ABSはターボエンジン車にオプション装備。路線仕様は前扉折戸、前中扉折戸が用意された[2]

1997年12月8日、路線仕様にステップリフトバスを追加。

KK-RX4JFEA

1999年6月21日、平成10年排出ガス規制に適合。全車にABS、観光仕様のマニュアル車にESスタートが標準装備された。オートマチック車はシフトレバーの形状が変更され乗用車と同じPレンジが装備された。標準出力エンジンは110kW/150PSにパワーアップした。またグレードにトップドア前折戸の幼児専用車が追加された(定員幼児52名+大人3名)[2]

2001年7月24日、平成12年騒音規制に適合。エンジンはターボ付きのJ05C-TI(排気量5.3L、出力129kW/175PS)に統一される。路線仕様は前扉仕様が廃止され、ステップリフト付きの前中扉のみとなった。観光仕様は固定窓装備の最上級グレード・エクセレントサルーンが廃止された。

PB-RX6JFAA

2004年8月24日、エンジンをJ05D-TC型(排気量4.7L、出力132kW/180PS)に変更して平成15年排出ガス規制に適合、国土交通省「超低PM排出ディーゼル車」85%低減レベルの認定を受けた。灯火器保安基準適合のためフォグランプがヘッドライト内蔵からバンパーへと移設された。幼児専用車が廃止。エンジンの出力アップにともない、MT車のファイナルギアレシオ(最終減速比)が3.900から4.100に変更されている。

BDG-RX6JFBA

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2007年6月5日、マイナーチェンジを行い平成17年排出ガス規制に適合、国土交通省「低排出ガス重量車」(平成17年基準NOx/PM10%低減)に認定された。エンジンはJ05D-TE型 (132kW<180PS>) に変更。トランスミッションはパワーシフト式5速マニュアルのみで、オートマチックは従来採用されていたエクセディ社製のミッションが製造中止となったためレインボーHRともに廃止された。また車名ロゴが変更され、LIESSEよりもHINOの文字の方が大きくなった。観光系の下級グレードにはスイングドアが、デラックスでは床下トランクルームがそれぞれオプション設定された。

2011年8月、ポスト新長期規制(平成22年排出ガス規制)をクリアすることなく生産中止となった。今後路線系については同年8月にポスト新長期規制に適合したポンチョ(HX系)がカバーする[6]。また貸切および自家用向けは事実上リエッセIIがカバーすることになる。

リエッセII (B系)

リエッセを日野の親会社であるトヨタにコースターRとしてOEM供給しているのに対し、その見返りとしてトヨタからコースターをOEM供給して日野ブランドで販売している小型バスである。

初代(B40・B50系)

詳しい車種説明は、トヨタ・コースター#3代目・B40、50系(1992年-2017年)を参照。

1996年6月発売。レインボーAB系の実質上の後継車で、ラインナップはコースターと共通である。

コースターとの違いは、車名表記の位置(コースターは後ろなのに対し、リエッセIIは前)、助手席セーフティウインドウとリアガラスのHINOロゴの表記のみである。

2011年8月22日、平成22年排出ガス規制にともなうマイナーチェンジ。日野が販売しているバスのうち、いすゞ開発担当車ならびにトヨタからのOEM車では初めて「AIR LOOP」の名称を採用した[7][8]

2015年1月13日の改良では燃費を向上させ、110kW(150PS)エンジン搭載車は平成27年燃費基準を達成。客席シートにELR付3点式シートベルトを、補助席にはELR付2点式シートベルトを標準装備とした。またリクライニングの標準化、シート形状の改良を行った。

マカオの岐関車路有限公司と信徳国旅では、コースター同様ミニバス(zh:公共小巴)として導入している。(岐関は5速マニュアルトランスミッション、信徳国旅は6速オートマチックトランスミッション)

2代目(B60・B70系)

詳しい車種説明は、トヨタ・コースター#4代目・B60・B70系(2017年 - )を参照。

OEM元のコースターが2016年12月22日に4代目へモデルチェンジしたことを受け[9]、その4日後の同年12月26日にリエッセIIも2代目へフルモデルチェンジすることが発表された[10]。なお、発売はOEM元のコースターに先行して2017年1月6日からとなった(OEM元のコースターは2017年1月23日発売開始)。

2018年6月22日に、衝突被害軽減ブレーキ「プリクラッシュセーフティシステム(レーザーレーダー+単眼カメラ方式)」、「車線逸脱警報」、「オートマチックハイビーム」を幼児専用車以外の全車種に標準装備するマイナーチェンジを実施(発売は同年7月2日)。商標権の関係で「Toyota Safety Sense P」の呼称は使用されない他、「レーンディパーチャーアラート」も単に「車線逸脱警報」と称する[11]

トヨタ・コースターR

ファイル:SanwaKotsu Kobayashi 37.jpg
コースターR 三和交通

1996年6月販売開始。コースターをリエッセIIとして日野にOEM供給したのと引き換えに、リエッセをトヨタに「コースターR」という名前でOEM供給。型式はKC-RX4JFAT。ラインナップは路線仕様がない以外、リエッセと同一。

1999年に平成10年排出ガス規制をクリア、型式はKK-RX4JFETとなる。その後いすゞへ「ジャーニーJ」の名前で供給するため、平成15年排出ガス規制をクリアすることなく、2004年8月に販売を中止した。

いすゞ・ジャーニーJ

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2003年11月発売、いすゞへOEM供給を開始。型式はKK-RX4JFEJ。ラインナップはリエッセと同一。

2004年8月のマイナーチェンジで平成15年排出ガス規制に適合、国土交通省「超低PM排出ディーゼル車」85%低減レベルの認定を受けた。型式はPB-RX6JFAJとなる。これよりOEMから統合車種の扱いとなる。

2007年6月にもマイナーチェンジが行われ、平成17年排出ガス規制に適合、国土交通省「低排出ガス重量車」(平成17年基準NOx/PM10%低減)に認定。型式はBDG-RX6JFBJとなる。

2011年8月、リエッセと同様にポスト新長期規制(平成22年排出ガス規制)をクリアすることなく生産中止となった。貸切や自家用向けは事実上、ジャーニー日産・シビリアンのOEM車)がカバーすることになるが、小型路線系および小型ディーゼルバス[12]はいすゞのラインナップから姿を消した。
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関連項目

参考文献

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 バスラマ・インターナショナル』臨時増刊 SPECIAL 1995「LIESSE(リエッセ)&日野バスファミリー」:ぽると出版 1995年11月15日 ISBN 493867775X
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 出典:日野自動車「日野リエッセ」カタログ
  3. 株式会社フラットフィールド 公式サイト
  4. 東京都市大学水素燃料エンジンバスの公道走行を実現
  5. 東京都市大学水素燃料エンジンバスの開発に成功(動画)
  6. バスラマ・インターナショナルNo.127 2011年8月25日 ISBN 978-4-89980-127-6
  7. 日野自動車、小型バス「日野リエッセII」を改良し平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合させ新発売日野自動車プレスリリース 2011年8月22日
  8. 搭載エンジンが日野製のため。
  9. “TOYOTA、コースターをフルモデルチェンジ” (プレスリリース), トヨタ自動車株式会社, (2016年12月22日), http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/14572758 . 2017閲覧. 
  10. “日野自動車、小型バス「日野リエッセⅡ」をモデルチェンジして新発売” (プレスリリース), 日野自動車株式会社, (2016年12月26日), http://www.hino.co.jp/news_release/16-021.html . 2017閲覧. 
  11. “日野自動車、小型バス「日野リエッセⅡ」を改良して新発売” (プレスリリース), 日野自動車株式会社, (2018年6月22日), http://www.hino.co.jp/news_release/18-014.html . 2018閲覧. 
  12. 現行のいすゞ・ジャーニーはガソリンエンジンのみの設定である。

外部リンク