日野・レインボー

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テンプレート:BusModelImage レインボー(Rainbow)は、日野自動車から発売されているバスの名称である。キャブオーバーの小型車は1966年リアエンジンの中型車は1980年に製造を開始し、国内初のスケルトンマルチチューブラーフレーム)構造を取り入れた中型バスとして、路線観光用途に1980年代から1990年代にかけて広く販売された。

もとは中型車のほか小型車も包括していたが、モデルチェンジによる名称変更が相次ぎ、現在は中型路線系(ジェイ・バス宇都宮事業所で製造するいすゞ・エルガミオOEM供給→統合モデル車・日野レインボーII)のみのラインナップとなっている。2016年5月6日のフルモデルチェンジの際、車名が「レインボー」に戻されている。

車体製造は日野車体工業金沢工場が担当していたが、2002年より同社小松工場、2004年10月にジェイ・バスへの統合で、その後は、同社小松事業所が製造を担当した。車名「レインボー」は、日野自動車の社内公募によって決定した。

9mワンステップ路線車(RJ系)・および7mノンステップ路線車(HR系)は2004年に生産中止、9mノンステップ路線車(HR系)は2007年10月1日に、いすゞ・エルガミオの統合車種(当初はOEM車種)であるレインボー II へ移行し、最後まで製造された10.5mノンステップ路線車(HR系)も、2010年をもって製造を中止した。

なお、ここでは日野の中型路線バスの歴史をひも解く意味を踏まえ、1964年に発売された日本初の中型バスであるRM100系・RL系についても述べる。

また、1995年にリエッセ(RX系)に移行した小型バス、レインボーRB・ABについては日野・リエッセを参照。1998年から1999年にかけてメルファにフルモデルチェンジしたレインボー7M・7W、レインボーRJ・RR観光車については、それぞれ後継車の項目を参照。


RM100

ファイル:Rm100.jpg
RM100(帝国) 東海自動車

1964年、日野自動車初の中型リアエンジンバスとしてRM100が誕生した。エンジンはDM100(90PS)。中型トラックのレンジャーと主要部品を共通化したため、価格は従来のバスよりも低く抑えられている。車体はRB10/RC100系を縮小したスタイルで、特に自家用や狭隘路線用として導入されるケースが多く見られた。1967年以降はエンジン出力が100PSに引き上げられ、性能が向上している。

RL

RL100

1970年、RM100を発展させたRL100に移行する。エンジンは予燃焼室式のEC100 (120PS) 。ボディスタイルはRE100/RC300系を縮小したものとなった。

RL300/RL320

1975年、エンジンを予燃焼室式のEH300 (160PS) としたRL300/RL320にマイナーチェンジされる。RL300は従来のRL100と同じサイズだが、RL320は全長やリヤオーバーハングを延長して後輪より後への扉の設置を可能とした。

K-RL301/RL321

1980年、RLとしては最後のマイナーチェンジを受け、エンジンは昭和54年排出ガス規制に適合した直噴式のEH700 (170PS) を搭載した。車体寸法やスタイルなどはRL300/RL320に準ずる。

レインボー RJ・RR(路線系)

K-RJ/RR系

1980年に、それまでのモノコック構造による車体をもった、RL系をモデルチェンジして誕生した。車体は直線的なスケルトンマルチチューブラーフレーム)構造となり、中型バスに対するイメージを一新した。

路線系は、側窓が2連ユニット式となった天地の狭い2段式が標準で、窓上の幕板が広いのが特徴。前面は左右1つずつの丸形前照灯が特徴で、「二つ目」と呼ぶファンもいる。なお、前照灯は角形4灯も選択でき、それらは異なる印象を与えた(阪急バス尼崎市営バスに納入)。前面窓も左側の下辺が右側よりも下がっている視野拡大タイプが特徴で、これは西日本車体工業のB型などにも影響を与えた。なお、方向幕は当初は前面の大型はオプションで、冷房装置も同様であった。

初期モデルは、昭和54年排出ガス規制(規制記号:K-)適合車で、全長によってK-RJ170AAもしくはK-RJ172AAが存在した。エンジンは、RL系の最終モデルに搭載された、EH700型(直6、170ps)が引き続き採用された。方向幕は、前面に大型を搭載する場合は、その部分が隆起していた。冷房装置は、直結式が選ばれる場合は、前方屋根上にエバポレーターが搭載され、独特の外観となった。なお、事業者によっては独立機関式(サブエンジン式)も選ばれた(近畿日本鉄道など)。また、リアコンビランプは当初は規格型ではなく、縦3連式であった。

当初は、板バネのRJ系のみだったが、1982年に板バネ併用空気バネ装備のRR系が追加され、箱根登山鉄道などに納入された。

P-RJ/RR系

テンプレート:BusModelImage2

P-RJ172BAの運転席 P-RJ172BAの室内
P-RJ172BAの運転席
P-RJ172BAの室内

1984年に、昭和58年排出ガス規制(規制記号:P-)適合にマイナーチェンジされた。エンジンはH07C型(直6・175ps)になった。大型方向幕が標準となり、前面の大型方向幕部分の屋根の隆起がなくなった。型式は末尾がAAからBAに変更された(P-RJ(RR)170(172)BA)。また、運転席インパネ類を一新した。側窓は、2段式のほか、引き違い式(近畿日本鉄道、遠州鉄道など)や逆T字桟窓(阪急バス、東京都交通局など)も見られた。エンブレムは、筆記体で「Rainbow」と書かれたものが前面に斜めで付いていることが多かったが、1985年ごろまで、大型車などにも見られた、後面に「Hino RJ」のエンブレムが取り付けられていた。

1988年に観光系とともにボディのフルモデルチェンジが行われた。直線的なスタイルは変わらないが、エッジが柔らかな印象となり、イメージを一新した。前照灯は、丸型4灯が標準(角型も選択可)となった。側窓についても、天地が拡大されたが、前面窓は旧モデルを引き継ぎ、左側の下辺が下がった視野拡大型が継続された。1988年に登場したグループは、型式がRJ/RR171C・RJ/RR172C系となった。エンジンはH07C型(直6、180ps)である。

U-RJ/RR系

テンプレート:BusModelImage2

1990年7月に平成元年排出ガス規制に適合(規制記号:U-)。ラインナップは大きな変更がない。RJ長尺車には低床車(改造登録)も設定。エンジンはH07D型(直6、195ps)になった。型式は大きく変更され、RJ/RR3H系となった。Hのあとに短尺がG、長尺がJを続け、末尾はAA(低床のみCA)となった。つまりU-RJ3HJAAという形になる。1993年に、トルクコンバーター式の5速オートマチックトランスミッション(以下AT)が追加される(大阪市交通局などに納入)。低床車FFシフトの5速マニュアルトランスミッション(以下MT)が標準装備される。また、冷房装置は直結式が標準装備となった。この代もオプションで前照灯が角形4灯や角形リアランプも選択できた。(秋田市交通局や遠州鉄道、高知県交通、平和交通に納入)

KC-RJ/RR系

テンプレート:BusModelImage2 1995年に平成6年排出ガス規制に適合(規制記号:KC-)。ラインナップでは、短尺車がRRのみに変更された。エンジンは、J08C型(直6、215ps)になった。また、ステアリング・ホイールの形状変更、メーカーエンブレムがウィングマークから現行のマークに変更となった。前照灯は角形4灯化された。

1997年3月にRJにワンステップ車が追加された。主に都市部の事業者向けに導入される。なお、西日本車体工業製ボディを架装した車両でも実績がある。アイドリングストップ装置もこの頃から設定されるようになった。

KK-RJ/RR系

テンプレート:BusModelImage2

KK-RJ1JJHKの運転席 KK-RJ1JJHKの室内
KK-RJ1JJHKの運転席
KK-RJ1JJHKの室内

1999年に平成10年排出ガス規制に適合(規制記号:KK-)。ラインナップから短尺車が消え、9mの長尺車のみとなる。床形状は2ステップ標準床と低床、ワンステップの3種類となる。低床とワンステップはRJのみの設定である。エンジンはJ08C<j-v>型(直6、ネット220ps)となった。ホイールパーク式駐車ブレーキや衝撃吸収型ステアリング・ホイールが標準装備される。給油口や燃料タンクの位置はHR(KK・KL系)と同様、中ドアの右側に変更となった。ワンステップとツーステップ低床はFFシフトを標準装備。

東京ディズニーリゾートと提携ホテル間を走行しているディズニーリゾートクルーザーは一部車種がレインボーRJ系であるが、外見からでは分かりにくい。

2000年にRJの改造登録扱いで、ワンステップ車に空気バネ車(型式:KK-RJ1JJHK改)が追加された。FFシフトMTが標準。2001年以降はRR路線系は消滅した形となり、以後は特装用が中心となった。

2004年8月に平成15年排出ガス規制(規制記号:PA-もしくはPB-)に移行する際、いすゞ自動車とのバス事業統合に伴う生産車種見直しにより製造を終了。ワンステップ路線系については、いすゞ自動車からエルガミオの供給を受け、レインボーIIとして販売されることになった(詳細下記)。

車体

標準の日野車体工業の車体を架装する例が大半だが、以下の例外が存在する。

1981年に加越能鉄道と大分バスが導入した車輌は、本来スケルトン構造で設計されたモデルにも関わらず、モノコック構造の14型E (4E) ボディを架装したのが特徴である。その後、北海道中央バス阪東自動車、小湊鐵道、宮城交通大分バスが導入した車輌は16型E (6E) ボディになった。最大の特徴は、阪東自動車の車輌を除き、前照灯が日野車体製と同じ左右1つずつの「二つ目」仕様となっていたことである。
  • P-RJ(RR)_BA:富士重工業製
小湊鐵道、富山地方鉄道、遠州鉄道、昭和自動車で導入例が見られる。16E型E (6E) のパネルボディが架装されたが、K-RJ系とは異なり、前照灯は日デRMやいすゞLRに架装した場合と同じ、2×2灯である。
  • P-RJ(RR)_BA:西日本車体工業製
58MCが架装される。路線バス用のB型ボディと観光バス用のE型ボディの車両がある。西日本鉄道亀の井バス堀川バスなど九州の事業者と広島県の中国バスで導入された。
  • P-RJ(RR)_CA:富士重工業製
16型E (6E) が架装される。小湊鐵道が1台のみ導入。
  • U-RJ(RR)、KC-RJ:西日本車体工業製
58MCが架装される。B型ボディのみ。西日本鉄道、亀の井バスなどが導入。
  • KC-RJ(RR)、KK-RJ:西日本車体工業製
96MCが架装される。B型ボディのみ。大分交通、昭和自動車などが導入。

レインボー RJ・RR系(観光・自家用系)

テンプレート:BusModelImage2 1980年に路線系とともに、まず板バネのRJの発売を開始した。路線系とはラインナップは明確に区別されることになった。ハイカスタム(フルデッカ)、デラックス観光、ツーリング(デラックスおよびスタンダード)の4グレードを設定。全長は2タイプあり、短尺のRJ170A系と長尺のRJ172A系が用意された。昭和54年排出ガス規制適合車で、エンジンは路線系と同じEH700型(直6、170ps)である。

車体の全体的雰囲気は、大型観光系スケルトン車のRS系の縮小版といった感じである。前照灯は角形4灯が標準で、丸形4灯のRSとは異なる。前面窓が傾斜している点や、1枚窓仕様も用意されているなどの点では違いも見受けられた。

1982年に路線系同様、板バネ併用空気バネを採用したRR系が追加され、以後観光系はRR系が、自家用系はRJ系が主力と別れていく。1984年に昭和58年排出ガス規制適合車に変更。エンジンはW07型(直6、175ps)と、RR観光系にはターボ付のH06C-T型(直6、195ps)の2タイプが設定される。型式はターボなしがP-RJ/RR170/2B系、ターボ付きがP-RR192系となった。

テンプレート:BusModelImage2 1988年に路線系同様、ボディのフルモデルチェンジが行われ、全体的に柔らかい印象のボディに改められる。前年に登場した7m級の7M/7W系(後述)に準じ、前照灯は異型角形2灯になる。また、「Rainbow」のエンブレムは筆記体からブロック体になった。H07C型(直6無過給、180ps)とH06C-T型(直6ターボ、205ps)の2種類となる。

1990年に平成元年排出ガス規制適合。エンジンはH07D型(直6無過給、195ps)とH07C-T型(直6ターボ、215ps)の2種類となる。型式はU-RJ/RR 3H/2H G/J AAとなる。

1995年に平成6年排出ガス規制適合。エンジンはOHC24バルブのJ08C系(直6)で、無過給の<J-II>型215psと、観光系にはターボインタークーラー付き<JT-I>型235psの2タイプとなった。RR観光系は、高床 I の超デラックス観光と高床 II のデラックス観光があり、デラックス観光には短尺も設定される。RR/RJ自家用系は標準床で、RRには長尺と短尺を設定、RJは長尺のみである。また、RR215ps車には5速ATが設定されている。

1999年に平成10年排出ガス規制適合に合わせてメルファ9にフルモデルチェンジされた。

BM320系

1966年、日野・バスラインナップのボトムレンジを担うべく、RM100系よりさらに小型のフロントエンジン車となるBM320系が登場。シャシやパワートレインを中型トラックであるKM300系レンジャーと共用するため、初代三菱・ローザ(B10/B20系)同様、国産キャブオーバーマイクロバスとしてはやや大型の部類に入り、ワンマン運転に都合の良い前よりの客用扉とも相まって営業用としての需要が多く、札幌市営バスの都心循環線用など、路線バスとしても用いられた。車体架装メーカーは二社あり、帝国自動車工業製がBM320T型、金産自動車工業製がBM320K型となる。両モデルとも直列4気筒エンジンを搭載するが、車体のスタイルと構造は異なっており、帝国は「カットスタイル」と呼ばれる角形のスケルトンボディー、一方の金産は丸形のセミモノコックボディーであった。

1969年、車名が「レインボー」となる。

1970年、金産製K型をマイナーチェンジ。助手席窓を引き違いから三角窓Hゴムのハメ殺しへ変更し、客席窓も角のRが無くなる。

レインボー AM・AC系

ファイル:Kagawakenkotsu HINO K-AM101.jpg
レインボーAM 香川県交通 AM101

1976年にそれまでのフロントエンジン小型バスBM320系をフルモデルチェンジして発売されたのが、AM100系である。車体はスケルトン構造を取り入れ、フロントエンジンながら車体幅は中型バス並みの幅広モデルとしていた。主に、レンタカー自家用用途に用いられたほか、観光や路線仕様も用意されて事業者にも納入された。特装車のベースとしても使われている。1983年にマイナーチェンジしたのが、AC140系で、レインボーの名称も使われた。スタイルとしてはAM系に対して前照灯が角型に変更された程度であった。1988年まで製造された。

1976年に登場した、AM100系である。エンジンはEC100型(直6、120ps)で、車体も一新し洗練された。当時のトラック・レンジャーにも似た一体型のフロントマスクが特徴である。1980年にエンジンをEH100型(直6、145ps)に変更し、型式もAM101に変更された。さらに昭和54年排出ガス規制適合車により、K-AM101となっている。一部路線事業者向けに全長を切り詰めたものや、中後2ドア仕様も製造された。

1983年には、昭和58年排出ガス規制による、マイナーチェンジが行われ、AMからACにシリーズ名も変更された。見た目の変化は前照灯の角型への変更など軽微である。エンジンはW06C型(直4、145ps)になり、型式はP-AC140AAとなった。観光用、自家用のほか幼児用や路線ワンマン仕様もあり、路線用では2ドア車も販売された。

  • 1988年に、レインボー7W(後述)に引き継がれ製造を終了した。


レインボー 7M・7W系

テンプレート:BusModelImage2 1987年に登場した、中型 (2.3m) 幅で全長7m以下とした小型観光・自家用バスである。それまでのAC系に代わるモデルとして製造を開始し、このクラスの地位向上に果たした役割は大きい。7Mはシリーズ名CHで、直列エンジンを中央床下に水平配置したセンターアンダーフロアエンジン・フルデッカー・トップドアの観光用モデルである。

一方、7Wはシリーズ名RHで、AC系の代替としてCHに準じたスタイルで作られた自家用中心のモデルである。リアエンジン車で、当初は中扉専用であったが、1991年以降トップドア化され、路線バスとしても使われた(奈良交通などに納入)。7Mに比べて床・車体が低く、グレードにも差が付けられていた。いずれも板バネ併用空気バネで、前輪にワイドサスを採用して乗り心地にも配慮した。

1987年に登場したのが、7M (CH) 系と7W (RH) 系である。7Mはセンターアンダーフロアエンジン車であり、7m車という制約のなかで重量配分にも考慮した設計である。型式はP-CH160AAである。7W系はRB系の拡幅版ともいえ、シャーシはフレーム付きとして特装車のベースとしても使える設計とした。型式はP-RH160AAである。エンジンはともにW06E型(直4ターボインタークーラー付き、160ps)である。奈良交通には7Mをベースにリヤオーバーハングを延長して、この部分に展望デッキを設けた特注車が販売された。1988年に奈良市で開催された、なら・シルクロード博覧会の輸送に活躍、のち一般路線に転用した。

1990年1月に平成元年排出ガス規制適合。7M系はエンジンをH07D型(直6、195ps)に変更し、出力を大幅に向上させるとともに、最後部席の5人掛け対応や、ボディ最後部へのトランクルーム設置などの改良がなされた。型式はU-CH3HFAA。7W系は、エンジンはW04C-TI型(直4ターボインタークーラー付き、165ps)、特装用胴殻仕様が追加されている。型式はU-RH1WFAA。

1991年に7Wがホイールベース短縮のモデルチェンジを受け、中扉専用から前扉に変更され、見た目では7Mの下位車種の位置付けがより濃くなった。観光用のほか、路線用2ドア車も追加された。型式はU-RH1WFBA。

1995年に平成6年排出ガス規制適合。7MはエンジンをレインボーRJ/RRと共通の新型、J08C<j-ii>型(直6無過給、215ps)に変更した。型式はKC-CH1JFAA。7Wは、エンジンはリエッセと共通のJ05C-TI型(直4ターボインタークーラー付き、175ps)となった。また3速ATもオプションとして追加された。足回りについてもこの時点で改良された。型式はKC-RH4JEAA。

1998年7月にフルモデルチェンジされて、メルファ7に名称変更された。7Mがメルファ7CH、7Wがメルファ7RHとなり、2004年まで製造された。

レインボー7M
レインボー7W

HR系/いすゞ・エルガJ

テンプレート:BusModelImage2 HR系は1999年に登場した、中型幅のノンステップバス専用モデル。当時路線バスの主流となりつつあったノンステップ車をいち早く7m、9m、10.5mの3車体長でラインナップを完成させたが、ラインナップ整理が徐々に行われ、モデル末期は10.5m車のみとなった。

発売当初の製造は日野車体工業で行われていたが、同社はいすゞ自動車と日野のバス製造事業に伴って設立された2社の合弁会社・ジェイ・バスに吸収合併され、生産終了までジェイ・バス小松事業所(旧日野車体工業)で製造されていた。またいすゞ自動車にはエルガJとしてのOEM供給されたが(現在は中止)、本稿ではそちらも扱う。

HR系は改造仕様の車両が多数納入されている。観光マスクは東京特殊車体で、CNG(圧縮天然ガス)車はフラットフィールドもしくは協同による改造で対応する。

2004年10月にいすゞ・日野のバス製造事業統合に伴い、製造会社が日野車体工業からジェイ・バス小松事業所へ移管された。

KK・KL-HR系

テンプレート:BusModelImage2 KK・KL-HR系は長期規制(7m車と9m車は平成10年・10.5m車は平成11年規制)適合車で7m車・9m車・10.5m車の3種からなる。このうち7m車・9m車は1999年12月に発売開始し、7m車としては日野では初の低床モデルだが、同時にクラス初のノンステップ車となった。9m級は横置きエンジン+アングルドライブ採用により僅かながらホイールベースを長くすることができ、ノンステップ部分の床面積の拡大に貢献した。

10.5mは2000年7月に追加された。このタイプの車両は1999年に発売開始した、UDトラックス(旧:日産ディーゼル)JP系に続くものとなる。後述のように5速マニュアルトランスミッション(以下MT)のみのラインナップだが、日野の大型ノンステップブルーリボンはAT仕様のみのため、MT車を要望する事業者や、全体的な導入コストを下げたい事業者に好評を得る。

エンジンは統一され、J08C<J-VA>型(直6、ネット220ps)で横置きエンジン+アングルドライブ(名称:日野パラレルドライブ)を採用し、低床化とコストダウンを両立させた。中扉から後ろは7m級は2ステップ、9mと10.5mは1ステップ+スロープとなっている。トランスミッションはFFシフトによる5速MTのみ。酸化触媒マフラーやEGRを使用して指定低公害車にも適合している。

車体はレインボーRJに準じた意匠だが、何点かRJとの相違が見られる。ノンステップ化に伴う窓位置低下および幕板大型化・前照灯ベゼル・後面コンビネーションランプの配置・非常口位置(非公式側中央部)等が挙げられる。

いすゞ自動車への供給は2003年末に供給を開始している。

型式は以下のとおり。

7m車
WB3.35m
9m車
WB4.6m
10.5m車
WB5.48m
レインボーHR系 KK-HR1JEEE KK-HR1JKEE KL-HR1JNEE
いすゞ・エルガJ KL-HR1JNEC

PB・PK-HR系

テンプレート:BusModelImage2

2004年8月24日発売開始した新短期規制(9m車は平成15年/10.5m車は平成16年排出ガス規制)適合車。PM(粒子状物質)排出レベルは平成12年基準値比85%減(☆☆☆☆適合)である。RJ系が発売中止されたことにより、それまでのレインボーHR系からHR系がとれ、レインボーを名乗るようになった。

このモデルではKK-HR系から多くの点が変更されている。エンジンの置き方は横置きから縦置きになり、客室面積が拡大して9m車では中扉より後ろの座席が3列から4列に増えたが、その一方で7m車は対応できずに製造中止となった。またホイールベースも見直され、9m車は短縮された一方で10.5m車は延長されてノンステップ部分の床面積を拡大した。さらに、トランスミッションも5速ATがオプション設定(要・改造申請)できるようになった。

外観も変更点が多く、前面フォグランプ部分・右側面の非常口(中央部から後部へ)・後面コンビネーションランプの位置(下部へ)・後面ナンバープレート取り付け位置の変更のほか、前面の通気口がなくなった。この他、次期灯火規制(側面の反射板取り付け)や標準仕様ノンステップバス認定制度への対応を行った。

搭載されるエンジンはJ07E-TC(直5ターボインタークーラー付き、ネット225ps、MT車)もしくはJ07E-TB(同、220ps、AT車)となる。なお、J07E-TC型エンジンは、日産ディーゼル(現:UDトラックス)にも供給され、同時期にモデルチェンジをした、中型バスJPRMRPにも搭載されている。

いすゞ自動車へのOEM供給車・エルガJとしてはKK-HR系に引き続き10.5m車の供給となる。

名古屋市市民経済局が運営する名古屋観光ルートバス「メーグル」にはブルーリボンシティと同様のフロントマスクの車両が存在する[1]

型式は以下のとおり。

9m車
WB4.24m
10.5m車
WB5.58m
レインボーHR系 PB-HR7JHAE PK-HR7JPAE
いすゞ・エルガJ PK-HR7JPAC

BDG-HR7JPBE

テンプレート:BusModelImage2 2007年6月6日に発売された、新長期規制平成17年排出ガス規制)適合車。基準値に対し、NOx(窒素酸化物)・PM(粒子状物質)の10%減を達成している。エンジンはJ07E-TG(225PS)となる。

このモデルからAT車の設定が廃止され、トランスミッションがFFシフトのMTのみとなった。さらに、ラインナップから9m車が姿を消し、10.5m車のみに縮小された。9m車に関してはいすゞ・日野では車種が重複していたが、エルガミオ側に整理され、レインボーIIとして供給されるようになった。

型式はBDG-HR7JPBEで、WB5.58mとなる。

エルガJには供給されてはおらず2010年9月をもって製造終了となった。

エルガJの供給先

10.5m車としては国内では日産ディーゼル工業のJP系や三菱ふそうトラック・バスエアロミディMKが発売されているが、いすゞ自動車からは発売されず、レインボーHR系のOEM供給車としての発売となっており、日野車の購入がない事業者で納入がみられる。しかしながら、供給先は極僅かで、全国で15台ほどしかいない。平成17年規制・低排出ガス重量車(NOxPM10%低減)適合車(排出ガス規制識別記号BDG)は発売されていない。

PK-規制車では京成バス立川バス九州産交熊本市交通局(→熊本都市バス)などに納入されている。 そのうちである立川バスは全車が除籍され、現在は、熊本都市九州産交熊本電鉄道南バスにて活躍している。

レインボーII

レインボーIIは、いすゞ・エルガミオのOEM車として登場し、のちに同車との統合車種となる中型路線バスである。



PA-KR234J1改

テンプレート:BusModelImage2

PA-KR234J1改の運転席 PA-KR234J1改の室内
PA-KR234J1改の運転席
PA-KR234J1改の室内
詳しい車種説明は、いすゞ・エルガミオ#PA-LR234J1を参照。

上記レインボーRJワンステップ車を、2004年8月の平成16年排出ガス規制適合の際に製造を終息させ、バス事業を統合するいすゞ自動車から、エルガミオワンステップ車のOEM供給を受けて、レインボーIIの名称で発売することにした。こちらはジェイ・バス宇都宮事業所が製造する。外観・仕様はエルガミオと同一で見分けはつかない。車内のモデルプレートも「ISUZU」のままである。

エンジンはいすゞ製6HK1-TCN型(直6ターボインタークーラー付、177kW/240ps)で、6速MT(いすゞ・ACT)が標準。粒子状物質(PM)排出レベルは平成12年基準値比75%減の「三つ星」仕様で、日野の自社製に対しては環境性能が劣るのが難点。これにより、一時期、日産ディーゼルの中型バスは日野製エンジンを搭載するようになった(日デからのキャパシタハイブリッド技術の供与に対する補完契約)一方で、日野が発売する一部の中型バスには自社製エンジンが載らないという現象を生んだ。その後日産ディーゼルの中型バスは三菱ふそう製エンジンに変更となった。

また、CNG(圧縮天然ガス)エンジン車もあり、こちらはディーゼル車とは異なりノンステップ車のみの設定となっている。エンジンはいすゞ製6HA1型(直6、140kW/190ps)で、5速MT(いすゞ・ACT)が標準。

ワンステップ・CNGノンステップともにホイールベース4.4mのエアサス車であり、型式はPA-KR234J1改である。

PDG-KR234J2

テンプレート:BusModelImage2

詳しい車種説明はいすゞ・エルガミオ#PDG-LR234J2を参照。

2007年8月29日には、平成17年排出ガス規制適合車にマイナーチェンジされ、OEM車から「統合車種」に移行した。基準に対し、NOx(粒子状物質)10%減を達成している。同時にディーゼルのノンステップ車が発売された。変速機は標準の6速MT(いすゞ・ACT)に加えて5速AT車がオプションで設定された。レインボーHRが9mノンステップを廃止しているため、今後は当モデルが9m路線車全般をカバーする。外観上はヘッドライトがブルーリボンIIと同様に規格型角形2灯化されたことで、エルガミオとの区別が可能になった。また、PA-代では車内のモデルプレートは「ISUZU」になっていたが、当モデルより「日野自動車」になっている。 CNG車については市販車ではなく、ベースに改造されたものである。 ノンステップ・ワンステップともにホイールベース4.4mのエアサス車であり、型式はPDG-KR234J2である。

SKG/SDG-KR290J1

テンプレート:BusModelImage2

詳しい車種説明はいすゞ・エルガミオ#SKG-/SDG-LR290J1を参照。

約2ケ月の空白期間を経て、2011年11月30日に、平成22年排出ガス規制適合車にマイナーチェンジした。型式はSDG-KR290J1。ベース車である、いすゞ・エルガミオに準じ、エンジンは直列4気筒排気量5,193cc、出力177kW(240PS)、最大トルク765N・m(78kg・m)の4HK1-TCH型に変更。尿素を用いずに、排出ガス規制に適合している。型式の数字も234から290に変更となった。4気筒と小型化されたが出力は従来なみで最大トルクは706N・m(72kg・m)からアップしている。発進時にエアコンを停止させる機能をもたせるなどして燃費向上も実現した。また、ABSが本モデルより標準装備となっている[2]。なお、いすゞが開発を担当しているため、ブルーリボンII同様に排出ガス浄化システムに「AIR LOOP」の名称は用いられていない。

2012年6月19日には、新ワンマンバス構造要件適合(中扉開時の動力伝達カット装置標準装備)、MT車に新アイドリングストップ&スタートシステムを標準装備した上で平成27年重量車燃費基準達成などの、マイナーチェンジを実施して発売された[3]。型式はSDG/SKG-KR290J1。なお、新アイドリングストップ&スタートシステム未装着車・並びにAT車の型式は、SDG-のままで変わりはない。 今回のマイナーチェンジでは、ブルーリボンII同様に、開発を担当しているいすゞが発売しているいすゞ・エルガミオより先行発売された。

レインボー(2代目KR)

型式はKR系ながら、車種名は単にレインボーとなった。


SKG-KR290J2

2016年5月6日にフルモデルチェンジを実施して発売[4]。同時に車名も「レインボーII」から「レインボー」に戻された。統合車種のエルガミオ同様に、搭載エンジンは直列4気筒の4HK1-TCN(154kw/210ps)にすることによって平成27年度燃費基準を達成するとともに、ポスト新長期排出ガス規制に適合。前年8月にデビューした新型ブルーリボンディーゼル車(QKG-KV290N1/QRG-KV290Q1)と同様のAMT(自動クラッチマニュアルトランスミッション)を採用する。こちらはブルーリボンディーゼル車と違いトルコン式ATの設定はなく、またブルーリボンハイブリッドのAMT(Pro Shift)とも異なっている。

2KG-KR290J3(現行車種)

2017年8月8日に発表し2017年8月29日に発売[5]。ロービームと車幅灯のLED化ならびに尿素SCRを採用[5]

脚注

関連項目

外部リンク