栗東市

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ファイル:Ritto interchange 001.jpg
栗東インターチェンジ
ファイル:Ritto city center area Aerial photograph.1987.jpg
栗東市中心部周辺の空中写真。1987年撮影の6枚を合成作成。国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成。

栗東市(りっとうし)は、滋賀県の南西部に位置する。1991年に栗東駅が開業したことや、名神高速道路栗東インターチェンジが設置されており自動車の便が非常に良いこと等から人口が急速に増加し、2001年10月1日に市制を施行した。全国的には、“関西馬”の御膝元である日本中央競馬会(JRA)の栗東トレーニングセンター(トレセン)があることで「のまち」として有名であるほか、はかりの生産量についても全国1位である。

概要

滋賀県の南部に位置する。市内には、東海道新幹線JR東海道本線名神高速道路新名神高速道路国道1号線、国道8号線など日本の大動脈が通っている。

かつては田園地帯の広がる農村だったが高速道路のインターチェンジ(IC)があるなど道路交通の要衝になっていることや、西には大阪京都、東には名古屋といった大都市に比較的近いことなどから高速道路の開業後には多数の企業が進出した[注釈 1]

また、1991年には栗東駅が開業し京都や大阪への通勤が便利になり、これらの要因から住宅開発が急速に進み人口が急増した。総人口は1996年に5万人を突破し、2011年には6万5千人に達した。

市内には工場や流通業務施設が多数立地しているため財政力指数は高く、1983年から27年連続で不交付団体になったことがある。ただし過去に大型公共施設への投資などを行ったため多額の負債を抱え、財政そのものは良好ではない。また、景気の低迷によって2008年以降は急速に税収が落ち込み、2010年からは普通交付税の交付団体になっている。

税収の多さや出生数の多さなどが評価され、東洋経済の「住みよさランキング」では2005年と2007年に全国1位を取った。しかし2008年以降は毎年順位を落としており(ただし、調査が行われなかった2011年は除く)、2013年は全国41位となっている。

地理

歴史

市名の由来

太郡の部であることによる。

行政

栗東市は元々は水田の多い場所だったが、トレーニングセンターの開設や、栗東インター開業による企業進出によって人口・税収ともに急増した。さらに、たばこ小売業者を低利子で誘致した結果、多額のたばこ税収入があり(一時は税収の25%をたばこ税が占めた)、財政的に見て非常に豊かだった。このため市は人口増加を見込み、栗東芸術文化会館さきら、環境センターといった大型公共施設を建設し、公園や児童館を多く造るなど子育て環境を整えた。

しかし法令の改正などによって2005年ごろからたばこ税収入が大幅に減少、また2008年に発生した世界同時不況によって法人市民税や個人市民税が減少し、2010年には28年ぶりに地方交付税が交付された。さらに新幹線の新駅が中止になって土地開発公社の経営が困難になり、広大な土地が塩漬けになった。また、追い討ちをかけるように、たばこ小売業者への貸付金返済が滞る等、これらの要因によって、2011年度決算で公債費比率が19.9%、将来負担比率が281.8%(ただし実質赤字比率、連結実質赤字比率は共に無し)、市債残高が約591億円と非常に厳しい財政運営を強いられている。

一方、リチウムエナジージャパンが栗東市に本社を移転し、栗東第一工場が稼働した。リチウムエナジージャパンからは栗東第一工場稼働後の10年間で13億円の純税収(税収から、企業に交付する奨励金を引いた額)を、その後には毎年2億円の税収をそれぞれ見込んでいる。

極めて厚い企業優遇
市は積極的な企業誘致を進めるため、市内に工場や倉庫を新設、移転、増設した企業に対し、固定資産税の2分の1相当額の奨励金を、企業に最大で10年間交付するという条例を設けており、全国最高レベルの企業優遇を行なっている。
2008年に発生した不況によって、市の雇用状況が大きく悪化した。県工業統計によると、2008年から2010年の2年間で、市内工業の従業員数が1283人(14.4%)減、製造品出荷額が1005.5億円(28.0%)減、付加価値額が397億円(31.9%)減と大幅に減少した。特に2010年は、大多数の自治体で工業が回復している中で、栗東市の工業は縮小が目立った。
これに伴って、2007年から2010年の3年間で市の税収が22億円減少し、また人口の社会増加率も2009年が−0.53%、2010年が-0.98%(滋賀県統計)と大幅なマイナスになった。
このような厳しい社会情勢をうけ、2010年11月に就任した野村昌弘市長は、企業優遇で活力を生み出す政策を展開した。財政難を理由に「新・集中改革プラン」で市民サービスを削減する一方で、進出企業には多額の奨励金を交付し、またトップセールスとして企業訪問を続けている。これらの企業優遇政策や景気の回復によって2011年以降、市内では工場の新設や増設が活発に行われている。県工業統計によると、2011年は2010年に比べ、市工業の製造品出荷額等で32.6%増(増加率は県内1位)、付加価値額等は57.4%増(増加率は県内2位)となり、おおむね2008年の水準まで回復した。これに伴って2012年度以降は税収も増加しており、2014年度より、中学生までの入院費が無料化された。そして2015年秋からは、小学生未満の医療費が無料化される予定である。しかしながら、全国的に実施が進んでいる中学校給食については、給食センター建て替え案があるものの、依然保護者などの弁当に頼っており、審議検討は行われていない。
歴代市長
歴代 氏名 就任年月日 備考
初代 猪飼峯隆 1982年(昭和57年)10月31日 栗東町長から首長職を継続(左記の就任日は町長1期目の当選日)
2代 國松正一 2002年(平成14年)11月18日
3代 野村昌弘 2010年(平成22年)11月18日 前職:市議会議員
  • 2014年11月9日実施予定だった市長選挙では、現職の野村昌弘が無投票で再選した。

広域行政

湖南広域行政組合(湖南広域消防局)
消防、第二次救急医療屎尿処理を行う。構成は栗東市、守山市草津市野洲市。栗東市は消防に関しては中消防署(旧:南消防署)の管轄となる。

土地開発公社

市土地開発公社(以下、公社)は平成23年度末現在で約11haの土地を所有しており、それらの土地の簿価(購入価格と利息の和)は約165億円となっている。負債額は市税収の1.3倍に達しており、市の財政を圧迫している。

公社は1992(平成4)年4月に設立され、大型公共施設の用地買収や、新幹線新駅計画地の用地買収などで活躍した。しかし、地価下落の長期化や、2007年10月の新幹線新駅中止によって保有地の含み損が大きくなった。また新駅の中止は金融機関の信用低下を招き、公社は資金繰りに窮した。市は公社に対して債務保証をしているため、公社の経営が破綻した場合は市が公社の債務を肩代わりしなければならず、市財政が破綻するといわれている。

公社保有地1m2あたりの平均簿価は約15万円で、市内の商業地の最高地価とほぼ同額である。一方で、時価(売却価格)は約35.5億円と簿価の21.5%にとどまり、差損は約129.7億円となっている。

公社経営検討委員会の報告書によると、公社について以下の問題点があることがわかった。

  1. 鑑定評価額を上回る額で取得している案件があったこと。
  2. 県事業への関与があったこと。(県事業の中断や延期により、利息増や地価下落などの財政面でのリスクを抱える可能性がある)
  3. 代替地を先行取得した後で事業計画が中断され、市に買い戻されないまま保有し続けている土地があった。

公社経営検討委員会は、「公社をこのまま放置すると、市の財政が破綻する可能性がある」、「公社存続の有益性が低い」などの理由から、第三セクター等改革推進債(三セク債)を利用して公社を解散するのが最も良いという結論を出し、2014(平成26)年3月に解散した。三セク債の借入期間は原則10年だが、公社の負債が莫大であり10年間での返済は困難であるとして、借入期間を30年間に延長するよう手続きを行なっている。

3セク債を発行した場合、公社負債の返還費が市の公債費になるため、市の実質公債費比率が上昇する。検討委員会のシミュレーションによると、2016(平成28)年度には実質公債費比率が24.6%と早期健全化基準(25%)に近づくとされている。

経済

工業

当市は大都市近郊にあることや、自動車の便が良く企業活動には極めて優れた立地となっている。

近年では、手原北部や蜂屋を中心に、工場や運送会社の進出が目立っている。

商業

当市には、滋賀県内は元より県外にも影響力を持つ、上記の高級家具の販売を行う企業があり特筆できる。 工業誘致に集中しているため、エディオンなどは撤退し、商業系施設は草津市への依存も大きい。

比較的大規模なスーパーは、STAR、業務スーパー、ドラッグストア、平和堂(栗東駅前)程度であり、国道から離れるとコンビニも少なく、車が必須の社会である。一方、自動車販売店はかなり多く、日清食品の工場付近の国道1号線沿いに10店舗ほど集中している。

基本的には、商業施設は草津市に依存する形となっている(草津エイスクエアエルティ932近鉄百貨店草津店など)。

そのため、運輸業のトラックと、各地への通勤の車と、買い物・送迎の車で、平日の朝夕と土曜日の夕方を中心に、一号線と八号線の混雑が酷くなる悪循環が生まれており、

数少ない栗東市の公共交通サービスのバスも朝と晩は遅れてくることもしばしばである。

また、国道1・8号線の大動脈の傍らには、飲食店が多数あるが、トラックなど大型車はコンビニぐらいしか入れるところがない。

サイゼリヤや、めしや、焼き肉の平城園は撤退した。また、国道1号線沿いの大橋にはエディオン、ジャンボなかむら、赤やの3店舗が1つの建物に入っていたが、ジャンボなかむらは2014年3月に、赤やは同年9月に、エディオンは同年11月に、次々と閉店した。エディオンの跡地はパチンコ店が進出したが、平城園の跡地利用は白紙となっている。

姉妹都市・提携都市

海外

教育

小学校

中学校

高等学校

その他

金融機関

銀行

協同組織金融機関

日本郵政

農協・生協

  • 栗東市農業協同組合

交通

鉄道路線

バス

栗東市南部に多く路線があり、草津線より北側は、公共交通機関が少なく一日3便の市役所〜済生会の循環バス(くりちゃんバス)と、一日7-9便の滋賀バス草津駅〜伊勢落・石部駅の路線のみ。

道路

市の中心部には名神高速道路の栗東インターチェンジがあり、加えて国道1号線と国道8号線の結節点があるなど、輸送に好都合な条件であることから各種工場や流通業務施設が立地しており、優れた道路輸送の利便性が市の発展に大きく貢献している。

高速自動車国道

市南部を新名神高速道路が約4kmにわたって通過している。約4kmのうち、大部分が近江大鳥橋金勝山トンネルで構成される。金勝山トンネルの前後の区間は標高が300mほどある。

また市の中央部を名神高速道路が縦断している。栗東市内の区間は新名神高速道路の開通後に交通量が減ったものの、北陸や岐阜・長野方面と関西を結ぶ大動脈になっているため、昼夜を問わず交通量が多い。降雪時を除けば平日に渋滞することは少ないが、上り線は栗東インターチェンジで車線減少するため、連休の際には激しく渋滞する。

一般国道

主要地方道

一般県道

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

  • 小槻大社
  • 大野神社
  • 高野神社
  • 三輪神社
  • 出庭神社
  • 日吉神社(蜂屋・上砥山)
  • 宇和宮神社
  • 十二将神社
  • 天満宮(手原・辻・出庭)
  • 中天満宮(出庭)
  • 鈎陣所跡 - 室町時代長享元年(1487年)、将軍義尚が近江守護六角高頼征伐のため親征し、合戦が行われる(鈎の陣)。義尚は鈎に陣所をおき、上鈎の永正寺に鈎陣所跡として遺構が残されている。
  • 九品(くぼん)の滝
  • 金勝寺(こんしょうじ)
  • 馬頭観音 - 栗東市街や琵琶湖を一望できる。金勝山ハイキングコースの入り口に位置し、ここまで舗装道路があって自動車で行くこともできる。10台ほどの駐車スペース(駐車料金は無料)があり、桜の季節や登山シーズンにはたくさんの人が訪れる。
  • 狛坂磨崖仏 - 栗東市南西部の山中にある(新名神高速道路金勝山トンネルの真上にある)、高さ約6m、幅4.5mの花崗岩に彫られた磨崖仏。見るためには山を歩かなければならないが、金勝山ハイキングコースの一部になっており、多くの登山客が訪れている。

毎年4〜6月、10〜11月の土日祝には、手原駅から金勝寺まで「こんぜめぐりちゃんバス」が運行されている(大野神社や九品の滝、金勝山県民の森などで乗降することもできる)。

栗東八景

1989年(平成元年)選定。

  • 大宝神社 〜青麦の薫風〜
  • 新善光寺 〜彼岸の繁華〜
  • 東方山安養寺 〜泉面の雪花〜
  • 旧和中散本舗(江戸時代の薬屋) 〜積日の海道と城跡〜
  • JRA栗東トレーニングセンター 〜払暁の駒音〜
  • 栗東自然観察の森 〜飛翔の羽音〜
  • 金勝寺 〜夏清の幽玄〜
  • 金勝山県民の森 〜陽春の風光〜

出身有名人

栗東トレセンが位置しているため、競馬騎手などの競馬関係者が目立つ。それ以外にもプロ野球・サッカー選手が多いのも特徴である。

脚注

注釈

  1. 田中角栄の日本列島改造論には、「かつて工場ひとつない寒村だった滋賀県の栗東町は、名神高速道路ができたおかげで200以上の工場が進出し、新興工業地区へと一変した。」と書かれており、高速道路開通の効果が極めて大きかった例として当市を挙げている。

出典

関連項目

外部リンク