清水港線

提供: miniwiki
2018/8/17/ (金) 20:10時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索
停車場・施設・接続路線(廃止当時)
STR
東海道本線
BHF
0.0 清水
xABZgr
←東海道本線
exDST
1.4 (貨)清水港
exBHF
2.3 清水埠頭
exBHF
3.3 巴川口
exBHF
6.1 折戸
exKBHFe
8.3 三保

清水港線(しみずこうせん)は、静岡県清水市(現:静岡市清水区)の清水駅と同市内の三保駅とを結んでいた、日本国有鉄道(国鉄)の鉄道路線地方交通線)である。1980年昭和55年)の国鉄再建法施行により第一次特定地方交通線に指定され、貨物輸送の衰退もあり、1984年(昭和59年)に全線が廃止され、バスに転換された。

路線データ

歴史

1916年大正5年)に東海道本線の貨物支線として一部区間が開業したが、1944年(昭和19年)7月に三保まで延伸、同年12月に旅客営業を開始するのと同時に東海道本線から分離独立し、清水港線という路線名が与えられた。

旅客営業開始時から、旅客営業は貨物列車客車を連結した混合列車によって行われた。最盛期には1日数往復の旅客列車が走り、昭和30年代には国鉄一の黒字路線(最も営業係数が小さい路線)になったこともあった[1]。しかしその後、モータリゼーションの影響によって衰退が始まり赤字路線に転落。1972年(昭和47年)以降は、旅客列車(混合列車)が通学用に朝に下り1本、夕方に上り1本の1日1往復しか設定されず、貨物専用路線を除いて日本一旅客列車の運行本数の少ない鉄道路線となった。末期の清水港線のダイヤは、清水発の下り列車が8時10分発、三保発の上り列車が16時14分のみという状態だった。

  • 1916年大正5年)7月10日 東海道本線の貨物支線として、江尻 - 清水港間(1.0M≒1.61km)が開業、(貨)清水港駅新設
  • 1930年昭和5年)
    • 2月1日 清水港 - 清水埠頭間(0.5M≒0.80km)が延伸開業、(貨)清水埠頭駅新設
    • 4月1日 マイル表示からメートル表示に変更(江尻 - 清水埠頭間 1.5M→2.5km)
  • 1934年(昭和9年)12月1日 江尻駅が清水駅に改称
  • 1944年(昭和19年)
    • 7月1日 清水埠頭 - 三保間(6.0km)が延伸開業し全通、(貨)巴川口駅・(貨)三保駅新設、清水港 - 清水埠頭間改キロ(-0.2km)
    • 12月1日 全線で旅客営業開始、東海道本線から分離され清水港線となる。折戸駅新設、清水埠頭駅・巴川口駅・三保駅で旅客営業開始
  • 1984年(昭和59年)4月1日 全線(8.3km)廃止。静鉄バス[2]に転換。

駅一覧

接続路線の事業者名は清水港線廃止時のもの。全線静岡県清水市(現静岡市清水区)内に所在。

駅名 駅間
キロ
営業
キロ
接続路線
清水駅 - 0.0 日本国有鉄道:東海道本線
(貨)清水港駅 1.4 1.4  
清水埠頭駅 0.9 2.3  
巴川口駅 1.0 3.3  
折戸駅 2.8 6.1  
三保駅 2.2 8.3  

使用車両

上述のようなタンク車などとの貨客混合編成の運行は廃止時まで続いた。

廃止時にはDD13形ディーゼル機関車牽引のもと、静岡車両区清水派出所所属のスハフ42形オハ47形計5両が使用されていた。このうち、スハフ42 2184、2286、オハ47 2081の3両は廃止後大井川鉄道に譲渡され、2016年現在も現役で使用されている。一方、スハフ42 2105は巴川口駅折戸駅間のフェルケール博物館屋外展示場で、オハ47 2080は天竜二俣駅にて静態保存されていたが、いずれも解体され現存しない。

その他、旧三保駅前に整備された三保ふれあい広場に、当線で使用されていたタキ8450形アルミナ専用車タキ8453が静態保存されている。

廃線後の状況

廃線後の輸送

  • 元来貨物輸送用の路線として建設されたが、1980年代の鉄道貨物輸送の全国的衰退にのまれた。沿線事業者は輸送手段をトラックに切り替えたが、既に沿線の道路整備が進んでいたので、大きな障害にはならなかった。なお、清水駅そのものの貨物取り扱いも現在では廃止されている。
  • 旅客面での影響は極めて限定的であった。静鉄バス[2]は代替バスを運行せず、既存路線を増発して対応した[3]。また、清水駅南口から東海大学付属静岡翔洋高等学校・中等部までのバスが「清水港線」として運行されていたが、後年自家用バスによる運行に切り替えられて廃止されている。

廃線跡・設備の保存・再利用状況

ファイル:Telpher crane at Shimizu port.jpg
清水港駅で使われたテルファークレーン
  • 清水駅構内の海側、東海道線のホームとは貨物ヤードを挟んで離れた場所にあった清水港線ホームの場所は、貨物ヤード跡地と共に清水テルサ(静岡市東部勤労者福祉センター)となった。その他、駅舎の橋上化と自由通路の整備などもあって、現在の清水駅には清水港線の存在をしのばせる物は残っていない。
  • 旧清水港線敷地の清水寄りの部分は、建設省の中部地方建設局(現在の国土交通省中部地方整備局)の支援を受けて臨海部再開発が行われた。清水港駅跡地はエスパルスドリームプラザ清水マリンパーク、清水埠頭駅跡地は浪漫館、巴川口駅跡地は静清浄化センター(下水処理場)として整備された。
  • 清水港駅に設置され、貨車と船の間で木材を直接積み込める機能を持った「テルファークレーン」は、2000年(平成12年)に国の登録有形文化財に登録され、清水マリンパークの敷地内に保存されている。一方、巴川口駅の清水寄りに設置されていた「巴川可動橋」は撤去されている。一時は保存を望む声もあったが、老朽化と船舶の航行の妨げになることから、実現しなかった。
  • 巴川口駅から三保駅にかけては、旧路線跡が自転車・歩行者用道路(静岡県道377号静岡清水自転車道線の一部)として整備されている。折戸駅と三保駅の跡地はそれぞれ公園として整備され、三保駅跡の「三保ふれあい広場」ではかつての鉄道車両や機関車が静態保存されている。また上述のように「フェルケール博物館屋外展示場」にもスハフ42形客車が保存されていたが、老朽化が著しく、2010年(平成22年)6月に解体された。

脚注および参考文献

  1. 『新版 まるごとJR東海ぶらり沿線の旅』 七賢出版、2001年、Ver. 2 DX、p. 178。
  2. 2.0 2.1 静岡鉄道バス事業の分社化により、現在はしずてつジャストライン
  3. 現在清水駅-三保車庫前(三保駅跡からは東に位置する)間は日中12分間隔での運行となっている。
  • 今尾恵介(監修) 『日本鉄道旅行地図帳』7 東海、新潮社、2008年。ISBN 978-4-10-790025-8。