特別職

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特別職(とくべつしょく)は、日本公務員制度においては、国家公務員および地方公務員の職のうち、法令等により一般職とは区別される職すべてをいう語である。特別職である職に就いている公務員は、法令上「特別職の職員」と呼ばれ、日本国籍でなければならない。

概要

採用選考(試験)によらず、選挙や委嘱などにより任じられる職種の公務員を指す。

国家公務員については国家公務員法(昭和22年法律第120号)、地方公務員については、地方公務員法(昭和25年法律第261号)に定められている。特別職に属さないすべての職は、一般職という。

国家公務員法又は地方公務員法の定める公務員の根本基準は原則として一般職に属する職に対して適用され、特別の規定がない限りは特別職に属する職に対しては適用されない。

国家公務員

テンプレート:特別職の職員の給与

国家公務員の特別職に該当する職は、選挙や国会の議決によって選出される職、任命権者の裁量により政治的に任命することが適当とされている職、任命に国会の両院または一院の議決もしくは同意が必要とされている職、職務の性質から特別の取り扱いが適当なものが主たるものである。

ただし、それのみならず、憲法の定める権力分立の原則の本旨に基づき人事権について内閣およびその下部機関が関与することを許さない立法や司法の各部門における職も含まれる(裁判官の他、国会職員・裁判所職員などがこれにあたり、これらについて憲法の許容範囲を超える内閣の影響を認める立法をなした場合、当該法令は当然に違憲となる。なお国会議員は「選挙によって選出される職」であるため国家公務員法第2条第3項9号に該当するが、これも憲法上当然に裁判官等と同様の制約に服する(ただし裁判官とは異なり、在任中は報酬を減額できないといった制約はない)。

このように国家公務員の特別職は様々な性質をもつ職が含まれていることが大きな特徴であり、「特別職」という括りには「一般職以外」という以上の意味は存在しない。

国家公務員法第2条第3項各号に列挙される特別職の職は次のとおり。

  1. 内閣総理大臣
  2. 国務大臣
  3. 副大臣
  4. 大臣政務官
  5. 大臣補佐官
  6. 人事官及び検査官
  7. 内閣危機管理監及び内閣情報通信政策監
  8. 国家安全保障局長
  9. 内閣法制局長官
  10. 内閣官房副長官
  11. 内閣官房副長官補内閣広報官及び内閣情報官
  12. 内閣総理大臣補佐官
  13. 内閣総理大臣秘書官及び国務大臣秘書官並びに特別職たる機関の長の秘書官のうち人事院規則で指定するもの[1]
  14. 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によること[2]
  15. 宮内庁長官侍従長東宮大夫式部官長及び侍従次長並びに法律又は人事院規則で指定する宮内庁のその他の職員[3]
  16. 特命全権大使特命全権公使、特派大使、政府代表、全権委員、政府代表又は全権委員の代理並びに特派大使、政府代表又は全権委員の顧問及び随員
  17. 日本ユネスコ国内委員会の委員
  18. 日本学士院会員
  19. 日本学術会議会員
  20. 裁判官及びその他の裁判所職員
  21. 国会職員
  22. 国会議員の秘書
  23. 防衛省の職員のうち自衛隊員[4]
  24. 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第4項に規定する行政執行法人の役員

特別職の国家公務員(約30万人)のうち、多数を占めているのは防衛省の職員である自衛官(約24万人)である。自衛官を除くと裁判所職員(約2.6万人)が多い[5]

給与に関しては、それぞれ次に掲げる法律により規定されている

なお、裁判官以外の裁判所職員:裁判所職員臨時措置法で一般職の職員に関する法律を準用することとされている。

地方公務員

地方公務員の特別職は、就任に選挙による選出や地方議会の同意が必要とされている職にある者、地方公営企業等の管理的な職務にある者、委員会審議会等の委員で臨時又は非常勤の者、消防団員交通指導員などが該当する。

地方公務員においては、首長等の任命権において任免され、長の交代などによって恣意的に罷免されないような身分保障を受けるにふさわしい職業公務員以外の職が主に特別職として分類されている。

従って、その多くが、一般的な行政事務を行う職ではなく、特定の職務を行うために公務員とされる者の就く職である。

地方公務員法第3条第3項に列挙される特別職の職は次のとおり。

  1. 就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によることを必要とする職
    地方公共団体の首長、議会の議員副知事副市町村長行政委員会の委員など)
  2. 地方公営企業の管理者及び企業団の企業長
  3. 法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程により設けられた委員及び委員会審議会その他これに準ずるものを含む。)の構成員の職で臨時又は非常勤のもの
  4. 臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職
  5. 地方公共団体の長・議会の議長その他地方公共団体の機関の長の秘書の職で条例で指定するもの(特別秘書等)
  6. 非常勤の消防団員及び水防団員の職
  7. 特定地方独立行政法人の役員

脚注

  1. 人事院総裁・会計検査院長・内閣法制局長官宮内庁長官のそれぞれの秘書官。
  2. 前段は、衆議院議員参議院議員を指す。厳密には、内閣総理大臣も指名選挙を経て任命されるためこれに含まれる。後段は、いわゆる「国会同意人事」により任命される職員である。
  3. 宮務主管、皇室医務主管、侍従、女官長、女官、侍医長、侍医、東宮侍従長、東宮侍従、東宮女官長、東宮女官、東宮侍医長、東宮侍医、宮務官、侍女長。
  4. なお、防衛省附属の独立行政法人評価委員会・防衛人事審議会・自衛隊員倫理審査会・防衛調達審議会・防衛施設中央審議会・防衛施設地方審議会・捕虜資格認定等審査会の各委員、防衛省地方協力局労務管理課の職員は、自衛隊員でも自衛官でもないため、特別職の国家公務員ではない。
  5. 人事院「国家公務員の数と種類」 を見よ。 (PDF)

関連項目

外部リンク