田方郡

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静岡県田方郡の範囲(緑:函南町 薄緑・水色:後に他郡から編入された地域)

田方郡(たがたぐん・たがたのこおり)は、静岡県伊豆国)の

人口36,988人、面積65.16km²、人口密度568人/km²。(2018年7月1日、推計人口

函南町(かんなみちょう)1町のみで形成される。

郡域

古代の郡域は西岸を除く伊豆半島北部で、現在の沼津市西浦江梨から内浦重寺まで、三島市、熱海市、伊東市、旧土肥町を除く伊豆市で囲まれる領域だと考えられる。和名抄には新居・小河・直見・佐婆・鏡作・茨城・依馬・八邦・狩野・天野・吉妾・有辨・久寝の13郷があり、これらは以下の通り現在の地名に比定されている。

新居(にいい)
函南町。
小河(おがわ)
清水町湯川。
直見(たたみ)
熱海市。
佐婆(さば)
函南町上沢、三島市北沢など。
鏡作(かがみつくり)
三島市松本。
茨城(むばらき)
伊豆の国市原木
依馬(えま)
伊豆の国市南江間、北江間。
八邦(やくに)
伊豆の国市大仁など。
狩野(かの)
伊豆市湯ヶ島。
天野(あまの)
伊豆の国市天野。
棄妾・吉妾(きしょう)
沼津市西浦木負。瀬埼(せざき)、許保(こう)、御津(みつ)の3里が知られている。
有雑・有辨(うさい)
伊東市宇佐美。多賀(たが)、桜田(さくらだ)の2里が知られている。
久寝(くずみ)
伊東市馬場町。坂本(さかもと)、坂上(さかがみ)の2里が知られている。

伊豆国府と田方郡衙は三島市に所在したと考えられている。

近世になって、伊豆半島東岸は賀茂郡に移され、また君沢郡が分けられたため、1879年明治12年)に行政区画として発足した当時の郡域は、現在の行政区画では概ね以下の区域にあたる。

  • 伊豆市の大部分(修善寺・瓜生野・熊坂・堀切・大沢および上白岩、下白岩、姫之湯、筏場以東を除く)
  • 三島市の一部(山中新田)
  • 伊豆の国市の一部(狩野川以東および神島)
  • 函南町の大部分(日守を除く)

歴史

近代以前の沿革

田方郡の初見は天平11年(739年)「伊豆国国税帳」にみられる「田方郡定正税穀」。 江戸時代には韮山代官所支配の幕府領になっていたが、その下に「組」という行政単位が置かれそれらを大名主が統括した。元禄11年(1698年)の地方直し以後、旗本領・領に細分化された結果、「組」機構は形骸化の一途をたどった。元禄年間に田方郡から君沢郡が分離する。

近代以降の沿革

知行 村数 村名
  • 幕府領
  • 幕府領
  • 9村
  • 市山村
  • 山木村
  • 滝山村
  • 金谷村
  • 土手和田村
  • 中村
  • 大平柿木村
  • 大平柿木村新田
  • 軽井沢村
  • 28村
  • 仁田村
  • 長崎村
  • 南奈古谷村
  • 柏谷村
  • 丹那村
  • 田代村
  • 畑村
  • 塚本村
  • 間宮村
  • 神益村
  • 青羽根村
  • 吉奈村
  • 雲金村
  • 日向村
  • 加殿村
  • 田原野村
  • 下畑村
  • 年川村
  • ○吉田村
  • 中島村
  • 三福村
  • 宗光寺村
  • 浮橋村
  • 大野村
  • 牧之郷村
  • 柏久保村
  • 大土肥村
  • 上船原村
  • 幕府領
  • 旗本領
  • 3村
  • 湯ヶ島村
  • 大平村
  • ●守木村
  • 9村
  • 肥田村
  • 中条村
  • 南条村
  • 小立野村
  • 本立野村
  • 原木村
  • ○松ヶ瀬村
  • 下船原村
  • 月ヶ瀬村
  • 4村
  • ●北奈古谷村
  • 内中村
  • ●御門村
  • ●白山堂村
  • 4村
  • 田沢村
  • 佐野村
  • 田代村
  • 矢熊村
相模小田原藩
  • 1村
  • 門野原村
  • 小田原藩
  • 荻野山中藩
  • 1村
  • ○大仁村
  • 幕府領
  • 藩領
  • 幕府領
  • 小田原藩
  • 2村
  • 多田村
  • ○田京村
  • 幕府領
  • 旗本領
  • 荻野山中藩
  • 1村
  • 本柿木村
  • 旗本領
  • 小田原藩
  • 2村
  • ○桑原村
  • 大竹村
  • 旗本領
  • 沼津藩
  • 2村
  • 平井村
  • ○四日町村
  • 旗本領
  • 荻野山中藩
  • 1村
  • 寺家村
  • 旗本領
  • 小田原藩
  • 荻野山中藩
  • 1村
  • 上沢村
  • 旗本領
  • 沼津藩
  • 荻野山中藩
  • 1村
  • 畑毛村
  • 1868年慶応4年)
    • 5月24日 - 徳川宗家駿河府中藩に転封。それにともない遠江・駿河・伊豆国内で領地替えが行われ、郡内の荻野山中藩領、西端藩領が消滅。
    • 6月 - 小田原藩が戊辰戦争後の処分により減封。郡内の領地が消滅。
    • 6月29日 - 新政府が韮山代官所に韮山県を設置。幕府領・旗本領を管轄。
    • 7月13日 - 沼津藩が上総国菊間藩に転封。
    • 以上の変更により、全域が韮山県の管轄となる。
  • 明治初年 - 大平柿木村新田が大平柿木村に編入。(68村)
  • 1871年(明治4年)
    • 11月14日 - 第1次府県統合により全域が足柄県の管轄となる。
    • 神益村・中島村が合併して神島村となる。(67村)
  • 1876年(明治9年)4月18日 - 第2次府県統合により全域が静岡県の管轄となる。
  • 1878年(明治11年)
    • 山木村・滝山村・金谷村・土手和田村・多田村が合併して韮山町となる。(1町62村)
    • 南奈古谷村・北奈古谷村が合併して奈古谷村となる。(1町61村)
  • 1879年(明治12年)3月12日 - 郡区町村編制法の静岡県での施行により行政区画としての田方郡が発足。「田方君沢郡役所」が韮山町に設置され、君沢郡とともに管轄。

町村制以降の沿革

ファイル:Shizuoka Tagata-Kamo-gun 1889.png
1.対島村 2.小室村 3.下大見村 4.中大見村 5.上大見村 6.宇佐美村 7.伊東村 8.網代村 9.多賀村 10.熱海町 31.函南村 32.韮山村 33.田中村 34.北狩野村 35.下狩野村 36.中狩野村 37.上狩野村 41.三島町 42.錦田村 43.北上村 44.中郷村 45.川西村 46.江間村 47.内浦村 48.西浦村 49.修善寺村 50.戸田村 51.土肥村 52.西豆村(上赤:三島市 下赤:伊東市 橙:熱海市 紫:伊豆の国市 桃:伊豆市 水色:沼津市 青:合併なし 11 - 27は賀茂郡に残留した地域 61 - 64は那賀郡)
  • 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。(7村)
    • 函南村 ← 仁田村、間宮村、大土肥村、平井村、上沢村、丹那村、大竹村、田代村、桑原村、軽井沢村、畑村、柏谷村、塚本村、肥田村、畑毛村、駿東郡日守村、君沢郡山中新田[一部](現・函南町)
    • 韮山村 ← 韮山町、奈古谷村、長崎村、原木村、四日町村、寺家村、中条村、南条村、中村、内中村(現・伊豆の国市)
    • 田中村 ← 田京村、三福村、神島村、白山堂村、御門村、宗光寺村、守木村、吉田村、大仁村(現・伊豆の国市)
    • 北狩野村 ← 田原野村、浮橋村、下畑村(現・伊豆の国市)、年川村、大野村(現・伊豆の国市、伊豆市)、牧之郷村、柏久保村(現・伊豆市)
    • 下狩野村 ← 本立野村、小立野村、加殿村、田代村、日向村、大平村(現・伊豆市)
    • 中狩野村 ← 青羽根村、雲金村、佐野村、本柿木村、大平柿木村、上船原村、下船原村、松ヶ瀬村(現・伊豆市)
    • 上狩野村 ← 門野原村、吉奈村、月ヶ瀬村、矢熊村、田沢村、市山村、湯ヶ島村(現・伊豆市)
  • 1896年(明治29年)
  • 1906年(明治39年)1月1日 - 伊東村が町制施行して伊東町となる。(3町26村)
  • 1923年大正12年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
  • 1924年(大正13年)
  • 1926年(大正15年)7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
  • 1934年昭和9年)11月3日 - 川西村が町制施行・改称して伊豆長岡町となる。(6町23村)
  • 1935年(昭和10年)4月1日 - 北上村が三島町に編入。(6町22村)
  • 1935年(昭和10年)時点での当郡の面積は846.25平方km、人口は178,875人(男89,966人・女88,909人)[1]
  • 1937年(昭和12年)4月10日 - 熱海町・多賀村が合併して熱海市が発足し、郡より離脱。(5町21村)
  • 1938年(昭和13年)4月1日 - 土肥村が町制施行して土肥町となる。(6町20村)
  • 1940年(昭和15年)12月10日 - 田中村が町制施行・改称して大仁町となる。(7町19村)
  • 1941年(昭和16年)4月29日 - 三島町・錦田村が合併して三島市が発足し、郡より離脱。(6町18村)
  • 1947年(昭和22年)8月10日 - 伊東町・小室村が合併して伊東市が発足し、郡より離脱。(5町17村)
  • 1954年(昭和29年)3月31日(5町15村)
    • 中郷村が三島市に編入。
    • 江間村が伊豆長岡町に編入。
  • 1955年(昭和30年)4月1日(5町11村)
    • 対島村・宇佐美村が伊東市に編入。
    • 内浦村・西浦村が沼津市に編入。
  • 1956年(昭和31年)9月30日(5町9村)
    • 下狩野村が修善寺町に編入。
    • 西豆村が土肥町に編入。
  • 1957年(昭和32年)4月1日 - 網代町が熱海市に編入。(4町9村)
  • 1958年(昭和33年)1月1日 - 下大見村・中大見村・上大見村が合併して中伊豆町が発足。(5町6村)
  • 1959年(昭和34年)4月10日 - 北狩野村の一部(牧之郷・年川・大野・柏久保)が修善寺町、残部(田原野・浮橋・下畑)が大仁町に分割編入。(5町5村)
  • 1960年(昭和35年)11月1日 - 中狩野村・上狩野村が合併して天城湯ケ島町が発足。(6町3村)
  • 1962年(昭和37年)4月1日 - 韮山村が町制施行して韮山町となる。(7町2村)
  • 1963年(昭和38年)4月1日 - 函南村が町制施行して函南町となる。(8町1村)
  • 2004年平成16年)4月1日 - 修善寺町・天城湯ケ島町・中伊豆町・土肥町が合併して伊豆市が発足し、郡より離脱。(4町1村)
  • 2005年(平成17年)4月1日(1町)
    • 韮山町・伊豆長岡町・大仁町が合併して伊豆の国市が発足し、郡より離脱。
    • 戸田村が沼津市に編入。

変遷表

参考文献

脚注

  1. 昭和10年国勢調査による。国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで閲覧可能。


先代:
田方郡、君沢郡および賀茂郡の一部
行政区の変遷
1896年 -
次代:
(現存)


テンプレート:伊豆国の郡