疎集合

提供: miniwiki
2018/8/19/ (日) 17:21時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索

数学の分野における、位相空間内の疎集合(そしゅうごう、英語: nowhere dense set[* 1]とは、閉包内部が空であるような集合のことである。この言葉の順番が大事で、例えば、R の部分集合としての、有理数からなる集合は、その「内部の閉包が空である」という性質を持つが、疎集合ではなく、実際 R において稠密である。

集合を扱う空間が問題となる。すなわち、ある集合 A はある位相空間 X の部分空間として考えられた場合には疎集合であるが、別の位相空間 Y の部分空間として考えられた場合にはそうはならない、ということが起こりうる。疎集合は、それ自身においては常に稠密である。

疎集合のすべての部分集合はまた疎集合であり、有限個の疎集合の合併もまた疎集合である。すなわち、疎集合は集合のイデアル無視可能な集合English版に関する適正な概念)を形成する。可算個の疎集合の合併は、しかし、必ずしも疎集合ではない(したがって、疎集合は必ずしもσ-イデアルEnglish版を形成しない)。そのような合併はやせた集合English版[* 1]あるいは第1類集合と呼ばれる。この概念は、ベールの範疇定理を考える上で重要である。

開と閉

  • 疎集合は必ずしもではない(例えば、集合 [math]\left\{1,\frac{1}{2},\frac{1}{3},\dots\right\}[/math] は実数空間において疎集合である)。しかし、疎集合はある閉疎集合、すなわちその閉包(上の例に 0 を加えたもの)に含まれる。実際、ある集合が疎集合であることと、その閉包が疎集合であることは必要十分である。
  • 閉疎集合の補集合は稠密な開集合であり、したがって、疎集合の補集合は稠密な内部を持つ集合である。
  • 開集合の境界は、閉疎集合である。
  • すべての閉疎集合は、ある開集合の境界である。

正測度を持つ疎集合

疎集合はあらゆる意味において無視可能(negligible)である必要はない。例えば、X単位区間 [0,1] としたとき、それはルベーグ測度がゼロの稠密集合(有理数の集合など)を含むだけでなく、正測度を持つ疎集合をも含む。

カントール集合の変形であるような)一例として、[0,1] からすべての二進分数English版(既約分数として a/2n の形を持つような分数。ただし an は正の整数)とその周りの区間 (a/2n − 1/22n+1, a/2n + 1/22n+1) を除いたような集合を考える。各 n に対し、多くとも合計 1/2n+1 の区間を除いているため、結局そのような区間を除かれた後に残った疎集合は少なくとも 1/2 の測度(実際は重なる部分の関係で 0.535... を少し超えた値)を持ち、そのため、ある意味で生成空間 [0,1] の大部分を占めていることが分かる。この集合が疎であることは、それが閉であり空であるような内部を持つことから分かる。任意の区間 (a, b) はその集合には含まれない。なぜならば (a, b) に含まれる二進分数は取り除かれているからである。

この方法を一般化することにより、どのような測度も 1 以下であるような疎集合を、単位区間の中に構成することが出来る。

関連項目

注釈

  1. 1.0 1.1 「疎集合」という名称を meagre set のために用い、nowhere dense には「至る所疎」や「至る所非稠密」などの訳語を充てる流儀もある。例えば 渕野昌 (2002) (PDF), 実数の集合論の基礎の基礎, http://math.cs.kitami-it.ac.jp/~fuchino/notes/set-th-of-reals-kiso-no-kiso.pdf 

参考文献

外部リンク

de:Dichte Teilmenge#Nirgends dichte Teilmenge ru:Глоссарий общей топологии#Н