網干総合車両所

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網干総合車両所
基本情報
鉄道事業者 西日本旅客鉄道
帰属組織 近畿統括本部
所属略号 近ホシ
整備済み車両略号 網干総・AB
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網干総合車両所(あぼしそうごうしゃりょうしょ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の車両基地および車両工場である。

本項では、前身である網干電車区についても記述する。

概要

1968年10月に明石電車区網干派出所として開設したが、1970年3月に網干電車区として明石電車区から独立した。その後、2000年4月に阪神・淡路大震災復興に伴う再開発に敷地を提供するため、鷹取工場が機能移転。明石電車区の検修部門とも統合して、網干総合車両所となった[1]。 その後も加古川鉄道部車両研修部門や宮原総合車両所などを統合した。

本所

兵庫県揖保郡太子町にあり、山陽本線網干駅の西方に位置している。敷地面積は約130,000である。

検修庫は3つあり、「第1検修庫」では221系以降のJR形式電車、「第2検修庫」では国鉄型電車・客車気動車の全般検査・要部検査を行うが、JR形式電車で短編成のものは「第2検修庫」を使用する場合もある。「第1検修庫」には8両編成までまとめて持ち上げることができるジャッキが設置されている。「第3検修庫」では交番検査・仕業検査・臨時検査が実施される。構内配線は、仕業線・電留線14本、洗浄線3本、試運転線1線、入換線(転削線)1線となっている。

主な検査車両は、自所配置の車両の他、岡山電車区の電車(時折吹田総合車両所下関総合車両所に回す場合あり)、宮原支所の客車、姫路鉄道部亀山鉄道部の気動車を担当している。

前身は網干電車区[2]。東海道・山陽本線で増大する輸送量に対応するために列車増発・編成増結が必要となり、快速電車の基地として1970年3月に開設された[2]。山陽本線上下本線間に挟まれた配置になっており、将来的な設備増強を見越した土地も用意されていた[2]。当初の敷地面積は12haで、東半分に電留線(試運転線を含めて15線)と転削線(1線)が、西半分に洗浄線(2線)、引上線(3線)、交検線(2線)・臨検線(2線)が備えられていた[3]

網干総合車両所への拡充にあたり、線形を変えずに工場機能設備を配置する場合と下り本線を上り本線横に移設し、南側をフリーな状態で拡張する場合が検討され、平面交差支障時間の検討や立体交差の可否、土地拡張の観点から後者案が採用となった[3]。工場機能施設を設置するため、洗浄線は電留線南側(3線)に移動され、洗浄線の南側に存在する0番線(網干総合車両所の一番南の線路)は下り本線を転用したものである[4]。交検線(2線)および臨検線(2線)を備える交検庫は拡張され、第3検修庫とされた。敷地の西側には、第1検修庫と第2検修庫が新設された。

宮原支所

大阪府大阪市淀川区木川東にある車両基地で、新大阪駅の西隣にある。かつての宮原総合運転所。 2012年6月の組織改正により、宮原支所には以下の派出所が設けられた。

野洲派出所

滋賀県野洲市東海道本線琵琶湖線篠原駅 - 野洲駅間に位置している車両基地。かつての野洲電車区で、京都総合運転所野洲派出所を継承している。

米原派出所

滋賀県米原市東海道本線琵琶湖線米原駅に隣接している車両基地。かつての京都総合運転所米原派出所を継承している。電留線のみ設けられている。


明石支所

兵庫県明石市の山陽本線(JR神戸線明石駅 - 西明石駅間に位置している車両基地で、かつての明石電車区の検修部門を継承している。敷地面積は約63,000㎡で、上下電車線に挟まれる形になっている。

構内配線は、仕業・電留線10本、電留線6本、洗浄線2本となっており、交検庫では主に交番検査・仕業検査および臨時検査が行われている。

明石支所には以下の派出所が設けられている。

加古川派出所

兵庫県加古川市にある車両基地で、加古川線厄神駅北隣に位置している。2009年7月の組織改正で加古川鉄道部が廃止されたのに伴い、基地機能(厄神基地)が統合されて、網干総合車両所加古川派出所となった。

構内配線は、仕業・電留線2本、洗浄線1本、電留線5本となっている。

高槻派出所

大阪府高槻市にある車両基地で、東海道本線(JR京都線高槻駅 - 島本駅間に位置している。高槻電車区として開設され、宮原電車区→京都電車区の派出所→吹田工場高槻派出所(1993年)を経て現在の名称となっている。

放出派出所

大阪府東大阪市川俣にある車両基地で、片町線(学研都市線)放出駅の南東、おおさか東線放出駅 - 高井田中央駅間に位置している。森ノ宮電車区放出派出所を継承しており、かつては淀川電車区(二代目)として車両も配置されていた。


過去に存在していた組織

  • 鷹取支所
    • 兵庫県神戸市須磨区にあった和田岬線で運用する気動車の車両基地。山陽本線(JR神戸線)鷹取駅の北に隣接して設けていた。

車体に記される略号

整備済み車両に記される略号
網干総または AB と記されている。
配置車両の車体に記される略号
所属組織の略号と、網干の電報略号である「ホシ」から構成されている。

国鉄分割民営化後は近ホシ(「近」は近畿圏運行本部の意味)で、その後の組織改正により「本ホシ」(「本」は本社直轄の意味)となり、1993年6月の神戸支社発足により「神ホシ」(「神」は神戸支社の意味)を経て、2010年12月の組織改正により近ホシ(「近」は近畿統括本部を意味)に戻った[5]

各支所
宮原支所
近ミハ(電車・客車)
(機関車)
明石支所
近アカ
以前は本所の略号を表記していたが、宮原支所統合後は独自の略称が表記されるようになった。「近アカ」は明石電車区の略号として国鉄分割民営化直後に使用されており、近畿圏運行本部廃止以来の復活となる。
加古川派出所
近カコ
加古川鉄道部から「神カコ」だったが、2010年12月の組織改正で「近カコ」に変わった。明石支所傘下となった後も独自の略号を使用している。

現在の配置車両

アーバンネットワークのうち、東海道・山陽本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)・福知山線(JR宝塚線)・JR東西線・片町線(学研都市線)・湖西線で運用されている電車が集中的に配置されている。

2018年4月1日現在の所属車両は以下の通り[6][7]

区所 電車 気動車 機関車 客車 貨車 合計
本所 891両 0両 0両 0両 0両 891両
宮原 131両 10両 8両 15両 0両 164両
明石 760両 0両 0両 0両 0両 760両
加古川 20両 0両 0両 0両 0両 20両
全体 1,802両 10両 8両 15両 0両 1,835両

本所

  • 221系電車(128両)
  • 223系電車(652両)
    • 1000番台・2000番台・6000番台が所属し、合わせて8両編成(W編成)39本、6両編成(J編成)14本および4両編成(V編成)64本の計117本が所属している。
    • 2000番台の一部の車両は、221系との連結運転を前提に、221系と同等の運転性能とする改造がなされている。これらは6000番台が付与されており、221系C編成との共通運用となっている。
    • 東海道・山陽本線(琵琶湖・JR京都・JR神戸線)の新快速や快速(普通)を中心に運用され、V編成は播州赤穂駅上郡駅近江塩津駅敦賀駅まで乗り入れる(但し、近江塩津駅や敦賀駅への乗り入れる列車は6000番台を除く。)。2016年3月25日まではV編成、J編成ともJR東海区間の大垣駅まで乗り入れていた。
    • V・J編成は、応援の運用として岡山地区や広島地区での運用実績がある。
    • V編成は当初全編成が本所に所属していたが、2012年3月17日のダイヤ改正に伴い、V65・V66編成が6000番台に改造された上で宮原総合運転所に転属した。
  • 225系電車(92両)
    • 0番台・100番台が所属し、合わせて8両編成(I編成)9本と4両編成(U編成)5本の計14本が所属している。
    • 東海道・山陽本線(琵琶湖・JR京都・JR神戸線)の新快速や快速(普通)列車を中心に運用される。223系との共通運用になっている。
    • 0番台の登場当時は全編成が本所に所属していたが、2012年3月17日のダイヤ改正に伴い、0番台の6両編成5本と4両編成3本が6000番台に改造された上で宮原総合運転所に転属した。
  • 103系電車(18両)
  • クモヤ145形電車(1両)
    • 事業用車両の牽引車で、1108の1両が配置されている。

宮原支所

電車

  • 225系電車(42両)
    • 6000番台の6両編成(ML編成)5本と4両編成(MY編成)3本の計8本が配置されており、福知山線(JR宝塚線)で運用されている[8]。全車が本所からの転属車である。
    • 2016年3月のダイヤ改正を皮切りに路線記号対応の種別幕に更新されている(これは223系も同様)
  • 223系電車(88両)
    • 6000番台の4両編成(MA編成)22本が配置されている。2007年度製造車で、本所からの転属車であるMA21・MA22編成を除いてパンタグラフを2基搭載している。
    • 2008年3月15日より、尼崎駅からJR東西線・片町線(学研都市線)・おおさか東線・関西本線大和路線)を経由して奈良駅まで直通快速として運用を開始した。2011年3月12日改正で直通快速は北新地駅のホームドア設置に伴い207系に変更され、おおさか東線方面への運用は終了した[9]
    • 2008年6月29日からは、福知山線(JR宝塚線)の丹波路快速・快速(大阪駅発着)などでの運用も開始されている。
    • MA21編成は2両に減車の上、広島地区での乗務員訓練[10]およびATS-M形(現ATS-DW形)の実用試験にに使用された[11]
  • クモヤ145形電車(1両)
    • 事業用車両の牽引車で、1004の1両が配置されている。

気動車

  • 87系寝台気動車(10両)
    • 「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」用のクルーズツアー用寝台列車。2016年内の各車両落成時はラッピング付で試運転が続いていたが、2016年12月19日までに全10両が出揃い、2017年2月13日の報道公開にてラッピングが外された。同年6月17日運行開始した。現在は山陰、山陽地方に向けてクルーズツアーとして運転されている。

客車

機関車

明石支所

  • 321系電車(273両)
    • 7両編成(D編成)39本が所属している。
    • 東海道・山陽本線(JR京都・JR神戸線)の各駅停車加古川駅 - 西明石駅 - 京都駅 - 野洲駅間)、福知山線(JR宝塚線)尼崎駅 - 篠山口駅間、JR東西線、片町線(学研都市線)、関西本線(大和路線)木津駅 - 奈良駅間の他、尼崎駅からJR東西線・学研都市線・おおさか東線・大和路線を経由して奈良駅に向かう直通快速でも運用されている。
    • 2016年のダイヤ改正を皮切りに路線記号対応の種別幕に更新されている(これは207系も同様)。
  • 207系電車(480両)
    • 7両固定編成(F編成)1本、4両編成(Z編成22本・T編成30本・H編成16本)68本および3両編成(S編成)67本の計136本が所属している。このうち3両編成1本(S18編成)は運用から外れているため、実運用数は135本(477両)となっているが、4両編成T18編成の「モハ207-1032」も余剰により保留車状態で、稼働車は476両(7両編成×68本〈67本は暫定固定編成〉)である。
    • 2010年3月13日改正までは、F編成以外は京田辺駅(2003年までは松井山手駅)で3両編成の分割・併合を行い、京田辺駅 - 木津駅・奈良駅間は4両編成で運用されていたが、片町線全駅のホームが7両編成でも対応できるようになったため、4両編成と3両編成のペアを組んでおり、常に連結状態の7両編成で運転されている。
    • 東海道・山陽本線(琵琶湖・JR京都・JR神戸線)加古川駅 - 野洲駅間、福知山線(JR宝塚線)尼崎駅 - 篠山口駅間、JR東西線・片町線(学研都市線)、関西本線(大和路線)木津駅 - 奈良駅間で運用されている。2011年3月11日夕方から、尼崎駅からJR東西線・片町線(学研都市線)・おおさか東線・関西本線(大和路線)を経由して、奈良駅まで向かうの直通快速の運用に就いている。
    • 1000番台登場当時は6両+2両編成(8両編成の普通電車)であり、当時は吹田工場高槻派出所所属だったが、その後4両+4両編成への組替えを経て、1997年3月のダイヤ改正(JR東西線開業)で宮原・淀川両電車区の車両を集約して現行の編成(4両 + 3両)になっている。
    • 2015年以降リニューアル車も増えている。
  • 103系電車(6両)
    • 和田岬線用の6両編成(R編成)1本が所属している。
    • 和田岬線用の車両は、日中は乗務員の訓練車両としても使用されている。1編成のみのため、検査などで運用を離れると前述の207系が代走する[12]
  • クモヤ145形電車(1両)
    • 事業用車両の牽引車で、1109の1両が配置されている。

加古川派出所

  • 103系電車(16両)
    • 3550番台車2両編成(M編成)8本が所属している。ワンマン運転対応。
    • 加古川駅 - 西脇市駅間でのみ運用されている。
  • 125系電車(4両)
    • 1両編成(N編成)4本が所属している。ワンマン運転対応。西脇市駅 - 谷川駅間は全列車がこの系列での単行運転となっている。

過去の配置車両

(JR以降以後に撤退した車両)

歴史

  • 1965年昭和40年)6月 - 用地買収開始。
  • 1968年(昭和43年)10月 - 明石電車区網干派出所として使用開始。
  • 1969年(昭和44年)2月 - 増強工事開始。
  • 1970年(昭和45年)3月1日 - 明石電車区から独立して、網干電車区となる[13]
  • 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道に継承。
  • 2000年平成12年)4月1日 - 鷹取工場を移転統合し、網干総合車両所となる。また、明石電車区の検修部門と鷹取工場の和田岬線車両担当部門を組織統合し、それぞれ網干総合車両所明石支所網干総合車両所鷹取支所とした。
  • 2001年(平成13年)7月1日 - 和田岬線の電化により鷹取支所を廃止。
  • 2004年(平成16年)6月1日 - 明石支所を網干総合車両所明石品質管理センターに名称変更[6]
  • 2007年(平成19年)7月1日 - 明石品質管理センターを網干総合車両所明石支所に名称変更[6]
  • 2009年(平成21年)7月1日 - 加古川鉄道部廃止に伴い、加古川鉄道部車両検修部門を統合し網干総合車両所加古川派出とした。
  • 2010年(平成22年)12月1日 - 近畿統括本部の管轄になる。
  • 2012年(平成24年)6月1日 - 組織改正により以下のように変更した。
    • 宮原総合運転所を統合し網干総合車両所宮原支所とした。また京都総合運転所野洲派出所・米原派出所を、同支所の派出所とした。
    • 森ノ宮電車区放出派出所と吹田工場高槻派出所を、明石支所の派出所とした。

参考文献

  • 賽聡・岡田亮平(JR西日本建設工事部)「網干総合車両所(仮称)化計画」、『日本鉄道施設協会誌』第36巻第8号、日本鉄道施設協会、1998年8月、 598 - 600頁。
  • 鶴通孝「アーバン輸送の基幹を支える網干総合車両所の機能を見る」『鉄道ジャーナル』2009年10月号、鉄道ジャーナル社
  • 『運転協会誌』2012年6月号、日本鉄道運転協会、p.1 - p.3。
  • ジェー・アール・アール編『JR気動車客車編成表 2012』交通新聞社、2012年。ISBN 978-4-330-29212-0。

脚注

  1. 網干総合車両所の発足及び鷹取工場の操業終了についてインターネットアーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2000年2月16日
  2. 2.0 2.1 2.2 『日本鉄道施設協会誌』第36巻第8号、p.598
  3. 3.0 3.1 『日本鉄道施設協会誌』第36巻第8号、p.599
  4. 鶴通孝「アーバン輸送の基幹を支える網干総合車両所の機能を見る」『鉄道ジャーナル』鉄道ジャーナル社、2009年10月号、p.48。
  5. 組織改正などについて - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2010年11月16日
  6. 6.0 6.1 6.2 ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2018夏 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2018年、p.168-184。ISBN 9784330884189。
  7. 「JR旅客各社の車両配置表」『鉄道ファン』2018年7月号、交友社
  8. “平成24年春ダイヤ改正について” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道 福知山支社, (2011年12月16日), オリジナル2011年12月16日時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20111216172605/http://www.westjr.co.jp/press/article/items/20111216_fukuchiyama.pdf . 2017年3月13日閲覧. 
  9. 『鉄道ダイヤ情報』2011年2月号、交通新聞社。
  10. 【JR西】広島地区で223系による乗務員訓練実施”. 鉄道ホビダス(RMニュース ). ネコ・パブリッシング (2012年12月10日). . 2017年3月13日閲覧.
  11. 223系MA21編成が広島へ”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2013年1月26日). . 2017年3月13日閲覧.
  12. 和田岬線に207系が入線 - 『鉄道ファン交友社 railf.jp鉄道ニュース 2011年8月7日
  13. 『近畿地方の日本国有鉄道 -大阪・天王寺・福知山鉄道局史』大阪・天王寺・福知山鉄道局史編集委員会、2004年、p.372。

関連項目

外部リンク