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(ふね、舟、舩)

人や貨物を水上輸送するために用いられる運搬具。日本では船,舶,舟,艇などの字が用いられるが,舶は大型船に,舟と艇は小型船に,船は大小を問わず一般的に用いられることが多い。構造上から,(1) 筏 (いかだ) ,(2) くり舟,(3) 皮舟,(4) 縫合せ船,(5) 外板を釘で結合した形を保つためにあとから骨組みを組込んだ船,(6) 最初に骨組みをつくってそれに外板を張った船,の6種に,使用目的からは (1) 軍艦,(2) 商船,(3) 特殊船の3種に分類することができ,さらに材料上から木船木鉄交造船鉄船鋼船コンクリート船などに,推進方法によって櫓櫂船 (ろかいせん) ,帆船汽船モーター船 (内燃機船) ,原子力船などにそれぞれ分類することができる。

船として知られる最古のものは,前 6000年にエジプトの壁画に描かれた弓形の葦船で,前 4000年頃のエジプトでは筏や葦船の域を脱した形態の船がつくられていたことが知られている。初めは櫂で推進するだけであったが,やがて四角帆を備えて追い風を利用するようになった。前 1500年頃には,クレタ人とフェニキア人が軍艦と商船を使い分けるようになり,ガレー船と呼ばれる櫂で推進する細長い船が戦闘用に用いられた。前 700年頃のガレー船には上下2段の櫂が設けられていた。古代ギリシアにいたって,キール (竜骨) ,船首材,船尾材,フレームで骨組みをつくって外板を張る新しい造船術が確立した。ギリシア=ローマ時代には3段櫂のガレー船が導入され,速力が向上した。一方商船は,櫂のスペースを節約するため,推進力をますます帆に頼る設計になっていった。ローマの商船の帆は後方約 45度までの風を利用することに成功し,大いにその機動性を高めた。中世の地中海沿岸では,船体になめらかな外板が使われ,表面摩擦が著しく軽減できるようになった。これにより大型の商船をつくることが可能となり,大三角帆船が登場した。これは,帆桁の倒し方によって,三角帆のどちら側からも風を受けることができるため,四角帆と違って向い風でも進むことができた。一方バイキングは,船首と船尾が高く,厚板の頑丈な船体と,大きく丈夫で柔軟な一枚布の四角帆を備えた戦闘ガレー船を発展させた。

13世紀には,これを改良し商船化した小型船が地中海へ進出し,大三角帆船と交渉するようになった。やがて,両船の特徴をあわせもつガレオン船の前身となる大帆船が生れた。帆はより小さく効率的に改良され,四角帆と三角帆を組合せた古典的な形の艤装船の時代を迎え,商船と軍艦は再び同一の基本型をとるようになった。 14~17世紀のいわゆる大航海時代を迎えると船も飛躍的な進歩をみせ,15世紀中頃になって3檣 (しょう) 3帆の船が現れ,同世紀末には4本マストと8枚の帆を装備した船も現れている。 16世紀に入ると各国が競い合って多くの有名な船を建造,この間に構造や帆装にも多くの改善が施された。 19世紀なかば,帆船はその最盛期を迎え,流線型の快速船に姿を変えたが,19世紀末には蒸気船にほぼ取って代られた。

蒸気船は,1801年イギリスの技師 W.サイミントンがスコットランドのフォース,クライド両運河で引き船として実用化したのに続いて,6年後アメリカの発明家 R.フルトンが,ハドソン川のニューヨーク-オールバニ間で操業を始めた。当初その4分の1は帆船を引く作業であったが,まもなく世界で初めての蒸気船の定期運航が開始された。蒸気船が本格的に帆船と競うにはさらに数年の技術的進歩を要したが,50年には帆船と同じ速度で航行できるようになり,海洋進出も果した。初期の蒸気船は低圧エンジンを用いたため,動力を上げるにはエンジンを大型化するしかなかったが,70年には大型化は限界に達していた。このため,蒸気圧を上げるためより効率的な蒸気ボイラがつくられ,同じ蒸気を繰返し利用するエンジンが考案された。やがて蒸気をより大きなシリンダに送り込むことに成功し,1900年代初めには2万馬力以上の動力が実現した。一方,スクリュープロペラの完成で,波浪の高い外洋では不向きな外車船が姿を消した。推進力のうえでの大躍進は,1884年にイギリスの技師 C.パーソンズが発明した初の蒸気タービンに始る。タービンは往復蒸気エンジンよりはるかに効率的で生産が容易であったが,プロペラが早く回りすぎる欠点があった。この問題は 1910年頃,低速ギアが取入れられて解決した。軽量で効率的なタービンの登場によって,20世紀初めには大型快速船がつくられるようになり,さらに効率のよいディーゼル機関や,潜水艦の潜水時間を延ばした原子力蒸気タービンなどへと発展した。

帆船時代は木造のものが主流で,木製のキールに木製の肋骨を載せ,厚板を肋骨に釘で打付けていた。 18世紀に船底包板,のちには鉄の被覆が船体の保護に用いられた。初めて鉄船がつくられたのは 1818年で,船体は鉄の肋骨に支えられて打合された鉄板であった。

80年鋼船が鉄船を一掃し,1950年頃には船体の溶接が実用化された。 19世紀なかば以降,船はさらに大きさ,速度,安全性を増し,特に旅客船が北大西洋を頻繁に往来した。大洋定期便の時代は 1900年頃から第2次世界大戦勃発まで続いた。旅客船は戦後再開され 1950年代に最盛期を迎えたが,60年代に入って長距離ジェット旅客機の運航が確立されるとともに,その需要は急激に低下した。一方,戦後の国際貿易の拡大は貨物輸送を盛んにした。 19世紀末頃から穀物や石油などの必需品を大量に輸送する船が出現していたが,戦後,大量輸送船のなかでも石油タンカーは巨大化を続け,70年代なかばには 50万t級のタンカーがつくられた。一般貨物専用の輸送船も規格化が進み,積降ろしが容易にできるよう改良された。現在ではほかに,埠頭との間に架橋を渡し貨物を積んだ車両ごと積降ろしのできるロールオン・ロールオフ船,貨物を満載したはしけをそのまま格納できるラッシュ船などの特殊な輸送船も現れている。




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