行政書士

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行政書士(ぎょうせいしょし)とは、行政書士法に基づく国家資格で、官公庁[1]に提出する書類および権利義務事実証明に関する書類[2]の作成、提出手続、行政書士が作成した官公署提出書類に関する行政不服申立て手続(特定行政書士(後述)の付記がある者に限る)等の代理、作成に伴う相談などに応ずる専門職である[3]

概要

行政書士法には、平成9年(1997年)に目的規定(1条[4])が追加され、行政書士制度の目的が明確化された。

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(電磁的記録を含む)及び権利義務事実証明に関する書類に関して、法律に基づき作成、作成・提出を代理または代行し、加えて、当該書類作成に伴う相談に応ずることを業とする。また、特定行政書士(後述)の付記がされた者は、これらの他に行政書士が作成した官公署提出書類に関する行政不服申立て手続等の代理、及びその手続について官公署に提出する書類を作成することを業とすることができる[3]

行政書士が作成する書類は、簡単な届出書類から複雑な許認可手続きに至るまで多岐にわたり、3000種類に及ぶと言われる[3]許認可などの申請書・添付書類など行政機関に提出する書類のほかに、契約書など権利義務・事実証明に関する書類を代理人として作成する[3]。また、それらの書類を作成する際の相談にも応じる[3]。代表的な例としては、新車を購入した際の登録手続き、飲食店や建設業を開業する際の許認可手続き、法人設立手続き、外国人の在留資格の更新および変更手続きなどが挙げられる[3]

行政書士は、他の法律で制限されている行為はできないことに注意を要する[5]

行政書士の職域は、土地家屋調査士司法書士社会保険労務士などが扱う職域との関連が深い。そのため、これらの資格を取得し、兼業する行政書士も少なくない[3]。取り扱う書類に関する実務的知識と理解力は、業務を遂行する上で必須である[3]商業登記法建設業法不動産および農地などに関する法令の習熟も求められる[3]。書類を作成するうえで、要旨を的確に表現する文章力も欠かせない[3]

就業者の大部分は、中高年の男性である[3]。また、税理士土地家屋調査士社会保険労務士司法書士宅地建物取引士などの他士業との兼業者は半数以上占めている[3]

近年、官公署に提出する書類は簡素化される傾向にあり、行政サービスの向上も伴って、官公署に提出する書類のうち簡易なものは本人が容易に作成し提出できるようになった[3]。そのためこれからの行政書士は、高度な専門知識を必要とする書類作成へ関与を深めてゆくことになるであろうと予想される[3]

厚生労働省の職業分類表では、行政書士は「専門的・技術的職業」(B)の「その他の専門的職業」(24)の「他に分類されない専門的職業」(249)と分類される[6]総務省の日本標準職業分類では、行政書士の記載はない[7]。同じく総務省の日本標準産業分類では、行政書士事務所(7231)は「学術研究,専門・技術サービス業」(大分類 L)の「専門サービス業(他に分類されないもの)」(中分類 72)と分類される[8]

英名には様々あり、Certified Administrative Procedures Specialistや、Administrative Scrivener、Immigration Lawyerなどが使われている。法務省の日本法令外国語訳データベースシステムでは、Certified Administrative Procedures Legal Specialistと訳されている。

資格・登録

行政書士となるためには、下記に掲げる一定の資格を得た上で、各都道府県の行政書士会を経由して、日本行政書士会連合会の登録を受ける必要がある。

行政書士となる資格

欠格事由

次のいずれかに該当する者は、上記にかかわらず、行政書士となる資格を有しない[12]

  • 未成年者
  • 成年被後見人または被保佐人
  • 破産者復権を得ない者
  • 禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者
  • 公務員(行政執行法人又は特定地方独立行政法人の役員又は職員を含む)で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から3年を経過しない者
  • 6条の5第1項の規定により登録の取消しの処分を受け、当該処分の日から3年を経過しない者
  • 14条の規定により業務の禁止の処分を受け、当該処分の日から3年を経過しない者
  • 懲戒処分により、弁護士会から除名され、公認会計士の登録の抹消の処分を受け、弁理士、税理士、司法書士もしくは土地家屋調査士の業務を禁止され、または社会保険労務士の失格処分を受けた者で、これらの処分を受けた日から3年を経過しない者

登録

行政書士となる資格を有する者が、行政書士となるには、日本行政書士会連合会の行政書士名簿に登録を受けなければならない[13]。2017年10月1日時点の登録者数は46,957名、554法人である。

徽章

行政書士の徽章コスモス花弁の中に篆書体の「行」の字をデザインしたものである。(素材は、純銀の台座に金メッキ貼り)。

なお、行政書士補助者は補助者登録を行うことで補助者徽章の交付を受けることができる(デザインはコスモス花弁の中に「補」の記載。素材は、合金製 光沢ニッケルメッキ)。

監督

行政書士に対する懲戒は、都道府県知事が行う[14]

都道府県知事は、行政書士会につき、報告を求め、または勧告することが出来る[15]

業務の制限

行政書士法第1条の2に定める業務は、他の法律に別段の定めがある場合等を除いて、行政書士または行政書士法人でない者が報酬を得て業として行うことはできない[16]。 なお、他の法律の別段の定めがある場合等の例は次のとおりであり判例、行政通達など広く存在する。

  • 定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合[17]
  • 正当な業務を行うために付随して行われる場合[18]
  • 官公署に提出する書類に匹敵する対外的に意味のある書類以外の書類作成[19]
  • 官公署に提出する書類の記載事項の一部を有料で記載すること[20]
  • 司法書士が業務範囲に付随する限度において官公署提出交付請求書(租税、公課等の証明願、戸籍及び住民票の謄抄本交付請求書等)を作成をする場合[21]
  • 土地家屋調査士が業務範囲に付随する限度において官公署提出交付請求書(地目変更登記のための非農地証明願、戸籍及び住民票の謄抄本交付請求書等)を作成する場合[22]
  • 記帳代行会計業務は誰でも行うことができる自由業務とされている[23]
  • 調査や分析を主たる内容とする業務として報酬を受けてその結果等を報告するための報告書の作成などは行政書士の代書的業務の範疇を超えているとされている。[24]

なお、行政書士法上で業務の制限を受ける業務は行政書士法第1条の2に定める業務である官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することである。そのため官公署に対する行政手続についてその申請代理をすることや代理人としての書類作成を行うことは規制されていない。[25]

業務

行政書士が行う業務は下記のとおりである。

独占業務

  • 官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること[26]

非独占業務

  • 官公署に提出する書類の提出手続においてその官公署に対してする行為を代理すること[27]
  • 官公署に提出する書類に係る許認可等に関して行われる聴聞等の手続においてその官公署に対してする行為について代理すること[28]
  • 行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること[29][30]
  • 契約その他に関する書類を代理人として作成すること[31]
  • 行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること[32]

出入国管理法に規定される行政書士業務(申請取次業務)

弁護士又は行政書士が外国人に代わって下記の入国管理局の手続きをするときは、一定の手続きについて、依頼した外国人の出頭を要さないとされている[33]。なおこれらの業務を行うためには一定の研修・考査を受け申請取次の認定を受けなければならない。

  • 出入国関係申請取次業務[34][35]

共管業務

行政書士法の規定からすると業務範囲は外形上広範な側面がある一方、業務制限規定の存在により実際に行うことができない業務も多い側面もある。そのためある特定の業務に関して政策的にまたは沿革論的に法令や行政通達などの有権解釈により、他士業者とともに共同独占業務として行政書士にも業務性が認められている業務があり、これらを共管業務という。具体的には下記の通りである。

税理士との共管業務

  • 行政書士又は行政書士法人は、それぞれ行政書士又は行政書士法人の名称を用いて、他人の求めに応じ、ゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、事業所税その他の租税に関し税務書類の作成を業として行うことができる[36][37][38]

社会保険労務士との共管業務

  • 昭和55年9月1日時点で行政書士会に入会している行政書士である者は、「当分の間」、他人の依頼を受け報酬を得て労働、社会保険法令上の申請書等・帳簿書類の作成[39]を業とする事ができる[40]

弁護士との共管業務

  • 弁護士法72条に反しない契約書その他書類の作成[41]
  • 検察審査会に提出する不起訴処分に対する審査申立書作成業務[42]
  • 自動車損害賠償保障法第15条、第16条、第17条及び72条の規定による保険金等の請求に係る書類の作成[43]
  • 特定行政書士が行う行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続についての代理及びその手続について官公署に提出する書類の作成[44]
  • 出入国管理法に規定される申請取次業務[45]
  • 司法警察機関への告訴・告発状作成[46]

司法書士との共管業務

  • 帰化申請書作成[47]
  • 検察審査会に提出する不起訴処分に対する審査申立書作成業務[48]
  • 警察署へ提出する告訴状・告発状の作成[49]
  • 法人登記事項証明書・法人印鑑証明書の法務局への交付請求手続(行政書士法に定める業務を行うために必要とされる場合に限る)[50]
  • 不動産登記事項証明書等の法務局への交付請求手続(行政書士法に定める業務を行うために必要とされる場合に限る)[51]

弁理士との共管業務

  • 弁理士法施行令第8条に定める書類以外の書類作成[52]

海事代理士との共管業務

  • 内航海運業法及び船員職業安定法に基づく諸手続は「当分の間」共管業務とされている[53]
  • 小型船舶の登録・検査その他の手続きについて海事代理士・行政書士双方申請を業としてできるとされている。[54]

建築士との共管業務

  • 1ヘクタール未満の開発行為の設計図書を含む開発許可申請書作成[55]
  • 農地転用許可申請手続[56]
  • 住宅金融公庫法に基づく住宅融資申請手続及び現場審査申請等一連の手続[57]
  • 建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当する工作物を除く工作物に係る確認申請手続[58]

旅行業者・旅行業者代理業との共管業務

旅券の受給のための行政庁等に対する手続の代行その他旅行者の便宜となるサービスを提供する行為[59]

業務制限

上記業務に外形上含まれる業務であっても行政書士は、他の法律により制限される業務は行えない[60]。「他の法律」は弁護士法、公証人法、司法書士法、海事代理士法、公認会計士法、税理士法、社会保険労務士法、建築士法等が該当する[61]とされており、他士業の独占業務とされている業務は共管業務として有権解釈で特別に認められている以外は他士業法で制限される業務はできない。具体例は次のとおりであり判例、行政通達など広く規制されている。

  • 就業規則作成(行政書士法昭和55年改正附則2項の行政書士は除く)[62]
  • 労働基準法に基づく告訴・告発状の作成、労働基準法第104条第1項の申告書作成およびこれらの提出代行(行政書士法昭和55年改正附則2項の行政書士は除く)[63]
  • 単なる作成レベルを超える請求書・督促状等の意思表示を内容とする書面[64]
  • 登記や裁判手続きのため法務局、裁判所等に提出が予定される各種書類(契約書、遺産分割協議書、定款、議事録など)の作成やこれらの事務を取り扱う過程で作成されるべき書類の作成[65]
  • 官公署に対する審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続の代理、書類作成(行政書士が書類を作成した許認可等に関して、特定行政書士が行う場合を除く)[66]
  • 将来法的紛議が発生することが予測される状況における書類の作成、相談、助言指導[67]
  • 自賠責保険請求代理や後遺障害の被害者請求代理業務の他、一般の法律事件に関して法律事務を取り扱う過程で作成される書類作成[68]

記名義務

行政書士は、その作成した書面について記名しその職印を押印しなければならない[69]

業務継続義務

行政書士が引き続き2年以上行政書士業務を行わない場合に日本行政書士会連合会はその登録を抹消することができる[70]とされている。

特定行政書士

日本行政書士会連合会が実施する特定行政書士法定研修(行政書士法第1条の3第1項第2号に規定する業務を行うのに必要な行政不服申し立て手続の知識及び実務能力の修得を目的とし、行政書士法第1条の3第2項に規定する研修として、日本行政書士会連合会会則第62条の3の規定に基づいて実施する研修)を修了(全講義の受講及び考査に合格)した行政書士は、行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成することができるように特定行政書士の付記がなされる[71]

なお、特定行政書士法定研修の受講後に実施される考査の結果は下記のとおりである。

特定行政書士考査合格率[1]
年度 研修受講者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率
平成27年度 3,638 3,517 2,428 69.04%
平成28年度 1,453 1,173 766 65.3%
平成29年度 610 617 399 64.7%

行政書士に関する組織

行政書士法人

行政書士は、業務を組織的に行うことを目的として行政書士が共同して設立して法人を設立することができる[72]

行政書士会(単位会)

行政書士は、都道府県の区域ごとに、会則を定めて、一箇の行政書士会を設立しなければならない。行政書士会は、会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする[73]

日本行政書士会連合会

全国の行政書士会は、会則を定めて、日本行政書士会連合会を設立しなければならない[74]

行政書士法成立までの歴史とその後

1951年(昭和26年)に行政書士法が成立するまで、誰でも事務所の所在地を所轄する警察官署の許可を受ければ、代書業を営むことができた。しかし中には三百屋的(でたらめな)代書人もいたため、明治30年代後半ごろからそのような代書人を取り締まるため、各地方レベルで警視庁令、各府県令によって代書人取締規則が発令された。その後、1920年(大正9年)にその各地の取締規則を統一した代書人取締規則が内務省の省令として発令された。

代書人タラムトスル者ハ本籍、住所、氏名、年齡及履歴竝事務所ノ位置ヲ具シ主タル事務所所在地所轄警察官署ノ許可ヲ受クヘシ

— 大正九年・内務省令・第四十號 代書人取締規則 第二條

しかし警察等の取締にも限界があり、告訴状の作成を依頼を受けつつ被告人に内通したり、差押に関する書類の作成の依頼を受けつつ差押えを受ける人と内通したりしてお金を受ける代書人もおり、問題となっていた。そこで人間の善悪を監査し、裁判所の許可のもと裁判所構内で代書を営む構内代書人という制度ができた。これが後の司法書士である。[75]

その後、大日本帝国憲法の時代に2~3回行政書士法の成立の試みがなされるが、審議未了となり廃案となった。[76]

1938年(昭和13年)、衆議院議員提出法案として、第73回帝国議会に代書人の地位向上を目的とした行政書士法案が提出されたが成立しなかった。[77]その後、1939年(昭和14年)の第74回帝国議会[78]1940年(昭和15年)の第75回帝国議会[79]に提出されたが成立しなかった。1941年(昭和16年)の第76回帝国議会では「代書人を行政書士と改称」の請願[80]として提出したが、内務省所管において審議することとされ、請願は通らなかった。

戦後を迎え、内務省令であった代書人取締規則が失効する。1947年(昭和22年)、第92回帝国議会で「司法書士は、司法書士法の制定により、行政代書人に比べ地位向上した。行政代理人に関しては、行政書士法の制定がないことは遺憾であり、行政書士法制定が必要である。」旨の趣旨説明[81]のもと、行政書士法制定に関する請願[82]がおこなわれ、その請願が通り行政書士法の成立に向けて前進した。

そして、三百屋的(でたらめな)代書人を取締まることで一般の利益を保護することと、代書人の地位向上とを目的として、議員提出法案として行政書士法案が国会に提出された。第8回国会に衆議院にて成立し、参議院にて審議未了の審議経過となった後、1951年(昭和26年)の第9回国会において行政書士法が成立し、行政書士が誕生した。

1951年(昭和26年)当時、司法書士制度は試験制度を導入していなかったため、その比較において試験制度を導入することの是非が話し合われた。司法書士は、地方法務局の認可を得てその枠内で業務するという制度になっているのに対し、行政書士は一般の人が誰でもやればやり得る仕事ではあった。しかし業務範囲が広く、取扱の点から慎重を期す場合もあるので、行政書士は一定学力をもっている人を前提とし、その中から試験によって適当なる人を選び出す試験制度が必要であるという説明がなされ、試験制度が採用された。

また参議院において、国または地方公共団体の公務員として一定の経歴を持った者であれば、無試験で行政書士たる資格を与えるべきとの意見を受けてこれを加えられた。それによって、国または地方公共団体の公務員の登用試験の格に応じ、行政書士より高度の資格をもっている弁護士、弁理士や公認会計士に対し、当然その資格をもっているということで、無試験で行政書士となる資格を有する者に加えられた。[83][84]

戦後、弁護士会、公証人会、弁理士会を除いて、公共的専門職能団体の強制入会制度は廃止となった。[85]行政書士制度においても、1951年(昭和26年)法では強制入会制度はとられておらず任意入会であったため、入会する者が少なく、活動も低調であった。そのため1960年(昭和35年)の第34回国会に法改正され、行政書士の品位の向上並びに知識技能の向上をはかり、もって公共の福祉に資するため強制入会制度が導入された。[86]

昭和50年代には仕事の四分の一が車庫証明関連の仕事であったが、行政書士連合会と社団法人日本自動車販売連合会等との間に、自動車保管場所証明書(いわゆる車庫証明)の申請業務についてトラブルになった。最終的に車庫証明は原則としてユーザーがこれを記入し、ユーザーが直接記入できないという場合、行政書士に代行させるということで合意をみた。[87]その後、社団法人日本自動車販売協会連合会が、自動車保有関係手続のワンストップサービスで、新規登録や車庫証明等の申請をすることができるようになった。[88]

行政書士試験

  • 受験資格に制限はない。
  • 毎年度11月第2日曜日に、全国47都道府県で行われる。
  • 総務大臣が定めるところにより都道府県知事が行う。都道府県知事は総務大臣の指定する指定試験機関に委任することができ、現在は一般財団法人行政書士試験研究センターが試験を実施している。具体的には総務大臣が試験期日、試験科目、試験の方法、合格発表期日、合格証、試験の公示等の試験の骨子を定め、都道府県知事が合格の決定に関する事務(合格基準の設定)を行い、指定試験機関が試験問題の作成、答案の採点、試験会場の確保、試験監督などを行っている。

試験科目

業務に関する法令等

業務に関する一般知識等

また、平成17年度まで「業務に関する法令等」としての試験科目であった行政書士法戸籍法住民基本台帳法労働法税法等も一般知識等として出題され得るとしている。試験問題は、毎年度4月1日現在施行の法律に準拠して出題される。

  • 出題形式は、5つの選択肢から1つを選ぶ択一式と、40字程度の記述式(法令等科目のみ)の組合せである。
  • 合格基準は、全体で60%以上の得点をしつつ、法令等科目で50%、一般知識等で40%の得点をしていることである(すなわち、全体で(300点満点中)180点以上の得点をしつつ、法令等科目で(244点中)122点以上、かつ、一般知識等で(56点中)24点以上の得点をしていることが必要)。つまり一定の点数をクリアしたものが全員受かる検定試験と同様な試験制度となっており、各年度における合格率・合格者にばらつきがあるのはこのためである。ただし、問題の難易度により、補正的措置が採られることがある。平成26年度試験において行政書士試験研究センターは「試験問題の難易度を評価」し、補正的措置を新試験制度開始(平成18年度)後初めて行い、合格基準点を(300点中)166点(法令等科目(244点中)110点以上、かつ、一般知識等(56点中)24点以上)とした。

合格率

基本的に合格率は例年一桁台で、難関国家資格と言える。

行政書士試験合格率[2][3]
年度 申込者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率
平成元年度 - 21,167 2,672 12.62%
平成2年度 22,406 2,480 11.07%
平成3年度 26,228 3,092 11.79%
平成4年度 30,446 2,861 9.40%
平成5年度 35,581 3,434 9.65%
平成6年度 39,781 1,806 4.54%
平成7年度 39,438 3,681 9.33%
平成8年度 43,267 36,655 2,240 6.11%
平成9年度 39,746 33,957 2,902 8.55%
平成10年度 39,291 33,408 1,956 5.85%
平成11年度 40,208 34,742 1,489 4.29%
平成12年度 51,919 44,446 3,558 8.01%
平成13年度 71,366 61,065 6,691 10.96%
平成14年度 78,826 67,040 12,894 19.23%
平成15年度 96,042 81,242 2,345 2.89%
平成16年度 93,923 78,683 4,196 5.33%
平成17年度 89,276 74,762 1,961 2.62%
平成18年度 88,163 70,713 3,385 4.79%
平成19年度 81,710 65,157 5,631 8.64%
平成20年度 79,590 63,907 4,133 6.47%
平成21年度 83,819 67,348 6,095 9.05%
平成22年度 88,651 70,576 4,662 6.60%
平成23年度 83,543 66,297 5,337 8.05%
平成24年度 75,817 59,948 5,508 9.19%
平成25年度 70,896 55,436 5,597 10.10%
平成26年度 62,172 48,869 4,043 8.27%
平成27年度 56,965 44,366 5,814 13.10%
平成28年度 53,456 41,053 4,084 9.95%
平成29年度 52,214 40,449 6,360 15.72%

脚注・出典

  1. 省庁都道府県市町村警察署消防署海上保安署営林署保健所その他の行政機関など。なお他の法律に制限されている官公署は除かれる
  2. 契約書、議事録、会計帳簿、図面類など
  3. 3.00 3.01 3.02 3.03 3.04 3.05 3.06 3.07 3.08 3.09 3.10 3.11 3.12 3.13 行政書士 B249-01 (PDF)”. 厚生労働省職業安定局 (2011年6月). . 2015閲覧.
  4. 行政書士法第1条「この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することを目的とする。」
  5. 隣接士業・非弁活動・非弁提携対策(業際・非弁・非弁提携問題等対策本部)”. 日本弁護士連合会. . 2015閲覧.
  6. B 専門的・技術的職業”. 厚生労働省職業安定局 (2011年6月). . 2015閲覧.
  7. 日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定)分類項目名”. 総務省統計局 (2009年12月21日). . 2015閲覧.
  8. 日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名”. 総務省 (2013年10月). . 2015閲覧.
  9. 行政書士法2条1号
  10. 行政書士法2条2~5号
  11. 行政書士法2条6号
  12. 行政書士法2条の2
  13. なお、登録の際には登録料や会費として30万円前後が必要となり、その後も会費として毎年6万円前後が必要である。これらの金額は都道府県によって多少の差がある
  14. 行政書士法14条
  15. 18条の6
  16. 行政書士法19条・行政書士法21条2号
  17. 行政書士法第19条
  18. 昭和39年7月7日自治省事務次官通知、昭和62年6月19日行政課長回答、平成16年6月18日内閣衆質159第158号内閣総理大臣答弁、詳解行政書士法p218、行政書士関係法令先例総覧文書番号34及び209
  19. 平成22年12月20日最高裁判所第一小法廷判決
  20. 昭和41年11月24日警察庁運転免許課長宛行政課長回答、行政書士関係法令先例総覧文書番号11
  21. 昭和39年9月15日民事甲第3131号民事局長回答、民事月報19巻10号(1964年)P81、p82、昭和35年11月10日自治省行発第44号行政課長回答、行政書士関係法令先例総覧文書番号2及び46
  22. 昭和51年4月7日法務省民三第2492号法務省民事局長回答、土地家屋調査士会員必携p18
  23. 第46回国会衆議院大蔵委員会議録第54号、日本税理士会連合会編『新税理士法要説』、自治省行政課矢島孝雄『地方自治』昭和59年9月号
  24. 平成23年度最高裁判所判例解説刑事編p271
  25. 行政書士法第1条の3第1項第1号、同法同項第3号、同法19条、同法21条2号
  26. 行政書士法第1条の2
  27. 行政書士法第1条の3第1号
  28. 行政書士法第1条の3第1号
  29. 行政書士法第1条の3第2号
  30. 但し、第2号の業務は当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(「特定行政書士」)に限り、行うことができる。(行政書士法第1条の3第2項)また行政書士法上罰則規定はないが、この業務は弁護士法の法令の別段の定めにあたるため無資格者(特定行政書士の付記がされていない行政書士も含む)が行った場合には弁護士法違反となる。(弁護士法第72条)
  31. 行政書士法第1条の3第3号。
  32. 行政書士法第1条の3第4号
  33. (出入国管理及び難民認定法施行規則 6条の2第4項、19条第3項、59条の6第2項
  34. 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第7条の2第1項、第19条第2項、第19条の2第1項、第19条の11第1項及び第2項、第19条の12第1項、第19条の13第1項及び第3項、第20条第2項、第21条第2項、第22条第1項、第22条の2第2項(第22条の3において準用する場合を含む。)並びに第26条第1項の規定による申請、同法第19条の10第1項の規定による届出並びに同法第19条の10第2項(第19条の11第3項、第19条の12第2項及び第19条の13第4項において準用する場合を含む。)、第20条第4項第1号(第21条第4項及び第22条の2第3項において準用する場合を含む。)、第22条第3項(第22条の2第4項において準用する場合を含む。)、第50条第3項及び第61条の2の2第3項第一号の規定により交付される在留カードの受領に係る業務、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成3年法律第71号)第12条第1項及び第2項、第13条第1項並びに第14条第1項及び第3項の規定による申請、同法第11条第1項の規定による届出並びに同法第11条第2項(第12条第3項、第13条第2項及び第14条第4項において準用する場合を含む。)の規定により交付される特別永住者証明書の受領に係る業務並びに出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律(平成21年法律第79号)附則第16条第1項、第28条第3項及び第29条第1項の規定による申請並びに同法附則第16条第3項、第27条第5項、第28条第4項及び第29条第3項の規定により交付される在留カード又は特別永住者証明書の受領に係る業務をいう。
  35. 行政書士法施行規則第12条の2第1号
  36. 税理士法51条の2 行政書士等が行う税務書類の作成
  37. 同施行令14条の2 行政書士が税務書類の作成を行うことができる租税
  38. その他の租税とは、石油ガス税、不動産取得税、道府県たばこ税(都たばこ税を含む。)、市町村たばこ税(特別区たばこ税を含む。)、特別土地保有税及び入湯税である。
  39. 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第二条第一項第一号及び第二号に掲げる事務
  40. 行政書士法昭和55年改正附則2項
  41. 弁護士法3条、同72条、行政書士法第1条の2、同第1条の3
  42. 昭和53年2月3日自治省行政課決定
  43. 昭和44年10月25日自治行発第82号行政課長回答、昭和47年5月8日自治治行第33号日本行政書士会連合会会長行政課長回答
  44. 弁護士法3条、同72条、行政書士法第1条の3第2号
  45. 出入国管理及び難民認定法施行規則 6条の2第4項、19条第3項、59条の6第2項
  46. 弁護士法3条、行政書士法第1条の2
  47. 昭和37年5月10日自治丁行発第29号行政課長回答
  48. 昭和53年2月3日自治省行政課決定、昭和36年10月14日民事甲第2600号民事局長回答
  49. 昭和14年2月17日警察部長回答
  50. 昭和52年2月7日民事三第855号民事局第三課長回答
  51. 昭和41年2月23日法務省民事局第三課長宛行政課長回答
  52. 弁理士法第4条3項、同75条
  53. 海事代理士法附則第19条
  54. 平成13年6月22日参議院国土交通委員会国土交通省海事局長国会答弁 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/151/0064/15106220064020a.html
  55. 昭和53年2月13日自治省行政課決定
  56. 平成5年3月17日建設省住宅局建築指導課回答
  57. 昭和57年7月13日建指発9号建設省住宅局建築指導課長回答
  58. 昭和53年4月7日建第20号静岡県都市住宅部建築課長回答
  59. 旅行業法第2条第1項第8号
  60. 行政書士法第1条の2第2項
  61. 昭和26年3月1日地自乙発第73号各都道府県知事宛地方自治庁次長通知。その他通関士法に基づく通関士業務、不動産の鑑定評価に関する法律に基づく不動産鑑定士業務、測量法に基づく測量士及び測量士補業務、宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引士業務など
  62. 社会保険労務士法。なお平成7年3月30日労働大臣官房労働保険徴収課長回答、平成23年12月11日厚生労働省労働基準局監督課長回答
  63. 社会保険労務士法
  64. 弁護士法。なお平成26年2月24日最高裁判所判決
  65. 弁護士法・司法書士法。なお平成19年10月2日福岡高等裁判所宮崎支部判決、平成20年1月16日最高裁判所第二小法廷決定、平成26年6月12日大阪高等裁判所判、最高裁判所判例解説刑事編平成12年p15、昭和33年9月25日民事甲第2020号民事局長通達、昭和35年11月10日自治省行発第44号行政課長回答、昭和39年9月15日民事甲第3131号民事局長回答、昭和53年6月15日参議院法務委員会第16号民事局長答弁、平成20年12月8日規制改革会議への要望に対する法務省回答、平成21年1月20日規制改革会議への要望に対する法務省再回答等
  66. 弁護士法、行政書士法第1条の3
  67. 弁護士法。なお平成26年6月12日大阪高等裁判所判決 http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/201609_1.html 平成28年7月30日東京地方裁判所判決
  68. 弁護士法。なお平成26年6月12日大阪高等裁判所判決 http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/201609_1.html http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201609_16.pdf
  69. 行政書士法施行規則第9条第2項
  70. 行政書士法第7条第2項第1号
  71. 行政書士法第1条の3第2項・第7条の3
  72. 行政書士法13条の3
  73. 行政書士法15条
  74. 行政書士法18条
  75. 帝国議会 議事録”. 国会 (1919年3月). . 2015閲覧.
  76. 国会議事録”. 国会 (1951年2月). . 2015閲覧.
  77. 第73回帝国議会 衆議院 刑法中改正法律案外四件委員会 p.9”. 国会 (1939年3月). . 2015閲覧.
  78. 第74回帝国議会 衆議院 人事調停法案委員会議事録 p.7”. 国会 (1938年3月). . 2015閲覧.
  79. 第75回帝国議会 衆議院 裁判所構成法改正法案外一件委員会会議録 p.20”. 国会 (1938年3月). . 2015閲覧.
  80. 第76回帝国議会 衆議院 請願委員会議事録 p.1 p.119 司法省所管「代書人を行政書士と改称の請願 」”. 国会 (1939年3月). . 2015閲覧.
  81. 第92回帝国議会 衆議院 請願委員会議事録 p.1 p.31 内務省所管 行政書士法制定に関する請願”. 国会 (1947年3月). . 2015閲覧.
  82. 第92回帝国議会衆議院議事録(附録)特別報告第60号 p.6”. 国会 (1947年4月). . 2015閲覧.
  83. 国会議事録”. 国会 (1951年2月). . 2015閲覧.
  84. 国会議事録”. 国会 (1951年2月). . 2015閲覧.
  85. 立命館法学 2002年1号(281号)p.7”. 立命館法学 (2002年1月). . 2015閲覧.
  86. 第34回国会衆議院地方行政委員会第18号”. 国会 (2002年1月). . 2015閲覧.
  87. 第80回国会衆議院 交通安全対策特別委員会会議録”. 国会. . 2017閲覧.
  88. 行政書士法19条1項 行政書士法施行規則20条

関連項目

外部リンク