キックベースボール

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キックベースボールをプレーする大人。

キックベースボールは、子供の遊び、スポーツの一種で、野球サッカーボール(若しくはそれに近い大きさのボール)を使用して行う物である。略称は「キックベース」(本項も以降キックベースと記す)。「フットベースボール」、「キーベー」、「ケッチ」、「蹴り野球」とも呼ばれる。

歴史

キックベースボールは1917年頃に、アメリカ合衆国オハイオ州シンシナティにあるCincinnati Park Playgroundsの管理者であったNicholas C Seussによって考案された[1]。1920年から1921年頃に、「キックボール」は、若い男女に野球の基礎を教えるために公立学校の体育教師によって使われていた。この頃、ボールにはサッカーボールあるいはバレーボールが使用されていた。10人から13人の選手によって行われ、競技場にはボールがキックされるまで入ってはいけない「ニュートラルゾーン」が設けられていた。ピッチャーはおらず、ボールは3フィートの円でできたホームエリアからキックされた。ボールは5フィートラインを越えて飛ばなければならない。走者は一塁だけ進むことができた。チームの全員がキックし終わった後に攻守交代とされた[2]

この当時は野球と同じ競技場で行われていたが、塁は野球の2塁の相当するものだけだった。そのため、複数の選手が一つの塁の同時に止まることがあったが、最後のキッカーが蹴り終わるまでに全員ホームに戻る必要があった[3]

また、野球のショートに相当するポジションが2つ(1塁と2塁の間、2塁と3塁の間)あった[4]

アメリカ人の第二次世界大戦特派員Ernie Pyleは、1942年から1943年のチュニジア戦線English版の間、合衆国の兵士によってキックボールがプレーされたと伝えている[5]

各国におけるキックベースボール

キックボールは韓国の若者の間で人気がある。「발야구(足野球)」として知られており、小学校の体育の授業で行われる。キックボールはカナダのある地域では「Soccer-Baseball」と呼ばれている。日本では、小学生の間で人気がある。

スペインバダホス、San Vicente de Alcántaraの町では、この競技は「Beisbol pie」あるいは「Veisbol pie」(どちらもフットベースボールを意味する)と呼ばれており、小学校で行われている。

キックベースボールはラテンアメリカでも人気がある。しかしながら、これらの文化では娯楽のスポーツでさえもしばしば男女別であるため、ほぼ例外なく女性によって行われる。例えば、盛況な女子キックベースボールリーグがベネズエラやコロンビアに存在している[6]

日本におけるキックベースボール

概要

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キックベースボールの試合風景

野球とルールは似ている。投手はボールを投げるのではなく転がし、打者はこれを蹴って、野球で言う所のバッティングとするルール[7]もあれば、投手が存在せず、打者が予め本塁に置かれたボールを蹴るといったルール[8]もあるなど、地方によってさまざまなルールが存在する。

発祥は千葉県市川市で、子供会活動を通して普及したとされる。

1992年から1995年にかけてフジテレビ系列で放映された『夢がMORI MORI』では、芸能界等の著名人がチームを編成した「スーパーキックベースボール」のコーナーが人気を集めた。2005年には、日本テレビ系列の『ひらめ筋GOLD』でもキックベース対決のコーナーが設けられていた。

ルール

地方でさまざまなルールがあるが、日本フットベースボール協会が「全国共通ルール」を定めている。ボールも専用のものを定めている。

「全国共通ルール」によると、野球のように、1塁、2塁、3塁、本塁という4つのベースを設け、ボールを蹴ったキッカーは1~3塁を経て、最終的に本塁を目指して走る。野球と同じく、守備者が蹴られたボールをノーバウンドで捕球したり、ゴロを捕球してキッカーより先に1塁に触れたり、ボールを持ってキッカーにタッチしたりしてアウトにすることができる。また、ボールを当てることでアウトにすることもできる(ただし、至近距離から強くぶつけることは禁止)。ドッジボールの能力(捕る・当てる)が守備側に要求される。フォースアウトも存在する。

キッカーは、ファウルボール・ファウル(空振りなど)2回でアウトとなるが、3回でアウトとするルール[9]もある。3アウトで攻守交代。

全国共通ルールでは試合は7回制だが、5回制としているルール[10]もある。

ポジション

「全国共通ルール」は11人制で、野球のポジションにセンターフォワード、ライトフォワード、レフトフォワード(ファースト、セカンド、ショート、サードの選手よりキッカーに近いポジション)を加え、ピッチャーを省いている。このほか、野球と同じ9人制、7人制、5人制などがある。

攻守のコツ

キックベースではサッカーボールほどの大きさのボールを蹴るが、ボールの飛翔範囲は守備者が十分カバーできるため、本塁打は難しい。本塁打を狙ったキックをするとほぼフライになってしまう為、サッカーフリーキックの様な、速くて且つ放物線を描かない直球的なキックが要求される。また、ルールによってはバントも可能。サッカーのトラップと同じように止める感じで打つとセーフになりやすいが、地方によってはバントは試合として面白みに欠けるので、禁止にしているところもある。

守備側としては相手はボールを蹴るため、投手が存在するルール下では、当然投げる(転がす)ボールのスピードは速ければ速いほどよい。打者のタイミングをずらすためにカーブなど回転をかけて投げる場合もあるが、スピードが遅くなるだけでなく、コントロールも難しく、バウンドしやすいためにあまり投げない方が得策である。

地域での独自のルール

地域によってまったく別物のローカルルールが多数存在するのも特徴である。 これは全国大会など、統一ルールの下での大会がないため地域の指導者たちがそれぞれの智恵を絞り、より楽しく、より安全にゲームを行おうと考えた、独自性の表れでもある。

  • 転がって来たボールを足元で止め、そのまま走ると言うルール。又はこれを禁止するルール。野球で言う所のバント。足で"ちょろ"と蹴る事から、「チョロキック(『夢がMORI MORI』のTV番組で森口博子が得意としている)」と呼ばれる。これを阻止するため、ホームベースからインフィールド側に半径2~3メートル程度の「ファウル線」が敷かれ、打球がこの線を越えずに落下、またはゴロ性の当たりで転がった場合はファウル扱いになる。
  • 3回ファウルでアウトにしているルールが多い。
  • 盗塁・リードは禁止される傾向にある。
  • 普通は野球と同じように4つのベース(1塁、2塁、3塁、本塁)で試合を行うが、2塁ベース無しで試合を行うところがある(いわゆる三角ベースグランド)。

脚注

  1. (1917) The Playground. Playground and Recreation Association of America, 240. Retrieved on 2010-04-19. 
  2. (1921) Mind and Body – A Monthly Journal devoted to Phycical Education Vol 27. The Mind and Body Publish Company, 205–206. Retrieved on 2010-04-19. 
  3. (1920) University of the State of New York Bulletin, Issue 724. fortnightly, 131–132. Retrieved on 2010-04-19. 
  4. (1922) School, Church, and Home Games. Association Press, 41. Retrieved on 2010-04-19. 
  5. (1943) Here Is Your War; Story of G.I. Joe. H. Holt, New York, 28. Retrieved on 2012-02-21. 
  6. First to Third - Episode 46 - Colombia”. Kickball365. . 17 May 2012閲覧.
  7. テンプレート:Web cite
  8. テンプレート:Web cite
  9. テンプレート:Web cite
  10. テンプレート:Web cite

関連項目

外部リンク