ニュルブルクリンク

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ファイル:Trazado Nordschleife.jpg
ニュルブルクリンク北コース
(ノルトシュライフェ)。
ファイル:Nürburgring Luftaufnahme 2004.jpg
ニュルブルクリンクGPコース
(写真の一番左上にある道路が北コース)。

ニュルブルクリンク: Nürburgring)は、ドイツの北西部、ノルトライン=ヴェストファーレン州ケルンより南に約60km離れたラインラント=プファルツ州アイフェル地方のニュルブルクにある2つの異なる性格を持つサーキットの総称で、現在は1927年に作られた古い20.832kmの北コース(Nordschleife、ノルトシュライフェ)と、1984年に新設された5.1kmのGPコース(GP-Strecke)の2つのサーキットがあるが、単に「ニュルブルクリンク」という場合は北コースのNordschleifeを指す場合が多い。略称は「ニュル」。

概説

ニュルブルクリンク北コース(Nordschleife、ノルトシュライフェ)は、1927年に豊かな森の中にある古城ニュルブルク城を囲むように建設されたクラシックコースである。山間部の高低差を利用した変化に富むコースレイアウトに加えて、にわか雨や濃霧など天候の変化という要素もあり、世界有数のドライバーズサーキットとして知られる。また、後述する過酷なコース条件により「スポーツカー開発の聖地」と呼ばれ[1]、北コースのラップタイムはスポーツカーの性能を測る指標となっている[2]

2015年レース中に観客が死亡した惨事をきっかけに、危険な区間で速度制限が実施されることになったが、2016年にコースの大幅改修により速度制限は解除された。

古くからF1ドイツグランプリの開催地であったが、コースの安全性が低くF1を走らせるにはあまりにも危険なため、現在は新設のニュルブルクリンクGPコースで開催されている。1995年から1997年にかけては2輪のロードレース世界選手権(WGP)も開催された。耐久レースニュルブルクリンク24時間レースはGPコースと北コースを繋げて現在でも行われている。また世界ツーリングカー選手権(WTCC)でも2015年から2017年にかけて、1ヒート3周のスプリントレースが開催されていた。

モータースポーツの他にも、マラソン大会、自転車レース、ロックイベントのロック・アム・リングなどが行われている。コース脇には0.3平方kmの敷地に設備の整ったキャンプ場がありイベント時には多くのキャンプ客でにぎわう。

ニュルブルクリンクGPコースは1984年に作られた最新の安全設備が備わった5.1kmの近代的サーキットで、F1やドイツツーリングカー選手権レース等に使われている。

歴史

1927年 - 1937年

1900年代ドイツでは自動車開発が盛んになっていたが、研究開発やレースのための常設コースは存在しなかった。1904年に国際レースであるゴードン・ベネット・カップがバート・ホンブルクで行われ大成功を収めるなど、モータースポーツ人気が高まったが、公道でのレースによるドライバーや観客の安全性の問題が浮き彫りとなり、独立したサーキットの必要性が叫ばれることとなった。人口が少なく、起伏に富む山岳地帯であるアイフェル地方にサーキットを建設する案が浮上するものの、モータースポーツ人気は急速に低下し、その後第一次世界大戦が勃発することになり、計画は白紙となった。

1920年代はじめ、ADACアイフェル・レンネン(アイフェル・レース)がアイフェル地方で公道を使用して行われていたが、レースを行うには危険で適切な場所ではなかった。アイフェル地方議会の議員であったDr Otto Creutzが、ADACの支持を得て専用のサーキットの建設を提案、アイフェル地方の失業者対策や、自動車会社にテストコースとして提供すること、観光客を呼び込むことも盛り込まれていた。当時ケルン市長だったコンラート・アデナウアーの賛同も得て政府の支援も取り付け1925年より建設が開始された。サーキットデザインはGustav Eichlerの主導により行われた。当時の重要なレースの一つであったタルガ・フローリオのコースを参考にしている。

ファイル:Circuit Nürburgring-1927.svg
1927年のニュルブルクリンク

1927年にオープン。コース全長が28.265kmで、コーナー数が174あり、コース幅は平均8mから9mであった。このGesamtstrecke(全コース)以外に、22.8kmの北コース(独:Nordschleife、ノルトシュライフェ )、全長7.7kmの南コース(独:Südschleife、ズュトシュライフェ)、全長2.281kmのZielschleife(別名Betonschleife)という3つのレイアウトで使用された。Start und Ziel(スタート/フィニッシュエリア)は共通となっており、Zielschleifeは主にウォームアップ走行などで使用されていた。

オープンよりすぐにアイフェル・レンネンやドイツグランプリ世界選手権自転車競技大会を開催。夕方や週末には一方通行の有料道路として一般開放された。

1931年のドイツグランプリより北コースのみを使用して開催するようになった。全長28kmのフルコースを使用した大きなレースは1939年が最後となっており、フルコースの最速タイムはルイ・シロンのブガッティによるものであった。短くより安全な南コースはマイナーイベントや二輪レースで使用された。当初の名称はNürburg-Ringだったが、1933年にナチスがドイツのモータースポーツ全体に資金援助を行なって改修され、このときに名前からハイフンが取られNürburgringとなった。

1947年 - 1967年

第二次世界大戦後、爆撃による損壊を修復し、1950年代になってレースが再開されるようになり、1951年ドイツグランプリがF1世界選手権に組み込まれ、再び北コースが開催地となった。1954年のヨーロッパグランプリでは観客数が推定40万人を超えたとされる。

1953年、ADAC1000km耐久レースが初開催。1960年のドイツグランプリは南コースを使いF2クラスで行われチャンピオンシップにはカウントされなかった。1961年8月に行われたドイツグランプリでは、プラクティスでフィル・ヒルフェラーリ・156F1で北コースで初めて9分の壁を破る8分55秒2を記録。南コースではロードレースドイツグランプリが開催されることもあったが、主開催地はソリチュードホッケンハイムリンクだった。

1964年F1ドイツGPホンダが日本車として初めてF1に出走した。

1960年代後半にもなると、他のサーキットと同じく高速化するF1マシンでのレースの危険度が増加し、安全性に対する批判も増えていった。1967年、ピットレーンへの進入速度を抑制するため、ホーエンラインシケインがスタート/フィニッシュラインストレートの前に追加され、25m全長が伸びた。

1970年にはニュルブルクリンク24時間レースが始まった。

1970年ザントフォールト・サーキットでのピアス・カレッジの死亡事故を受け、GPDAは前年にスパに対して行ったように、安全性向上のための改修が行なわなければドイツグランプリをボイコットすることを決定。改修は短期間では不可能であったため、ドイツグランプリは既に改修が行われていたホッケンハイムへと舞台を移すことになった。

1971年 - 1983年

コースは改修が行われ北コースはアームコバリアなど安全設備の設置、路面の再舗装によりバンプやジャンプセクションの除去などが行われた。コースレイアウトも調整がされレースラインがより直線的となり、公式なコーナー数も減少した。これらの改修が功を奏して1971年から再びF1の開催を実現した。

1972年、コース幅の狭いHatzenbach(ハッツェンバッハ)とBreidscheid(ブライトシャイト)の橋を掛替え。1973年、入り口が危険でバンピーであったカレンハルトコーナーの速度を落とすため手前のメッツゲスフェルトコーナーの後に左コーナーが追加された。メインストレートのジャンプスポットの除去や、木や茂みの伐採によりセーフティエリアを拡大し安全性を向上させた。

1971年のF1復活後、F1ドライバーや国際自動車スポーツ連盟からの安全性への要求は年々高まっていった。しかしながら北コースは22kmにも及ぶ長大なコースであり、山の麓にある関係で安全エリアを設けるスペースを作ることが困難なこともあり、改修費用が膨大となってしまい、さらなる要求に答えることは不可能となっていった。コースが長いため必要なマーシャル、スタッフの数が通常のF1レースの5倍にも膨らみ、救急車両の到着に時間がかかる問題があった。さらに普及が著しかったテレビ放送では、すべてのコーナーをカバーできない点も問題だった。

1976年、F1ドライバーのボイコットが再び起こり、投票によりレースは行われる事になったが、ニキ・ラウダがレース中にクラッシュしマシンが炎上する大事故が起こった。この事故が決定的となり1976年がニュルブルクリンクでのF1最後の開催であると認識された。1977年よりF1はホッケンハイムに開催場所を移した。

ロードレース世界選手権は1960年代にソリチュードに変わりニュルブルクリンクで再び行われることとなった。当初は南コースが使われていたが、整備不良の問題から、1970年より北コースで開催されるようになった。

1981年より旧ピットエリア周辺でGPコースの新設工事が開始された。これにより北コースはバイパスされ20.832kmに短縮、小さなピットレーンも追加された。このレイアウトは1983年のみ1000km耐久レースなどで使用された。

北コースも1982-1983年に改修が行われ、アレンベルクやブリュンヒェンコーナーのランオフエリアが拡大、点在していたパンプやジャンプスポットが再舗装された。レーシングラインマーカーがコース全域にわたりペイントされた。

南コースは1970-1971年と整備が行われず、安全対策が北コースに比べ大きく遅れていることなどから、数年後に放棄される決断がなされた。現在南コースはコース後半部分の森林区間の一部などを残し、GPコースの新設のためなどに大半が壊されるなどしてなくなっている。

1984年GPコース

ファイル:Circuit Nürburgring-1984.svg
1984年コースレイアウト
ファイル:Circuit Nürburgring-2013-GP.svg
GPサーキット部分のコース図

1984年、ドイツGPの開催権を取り戻すべくGPコース(GP-Strecke)と呼ばれる当時の最高水準の安全性を備えたサーキットがフィニッシュコース(Zielschleife)部分を置き換えるような形で建設された。

5月12日のオープニングイベントではエキシビションレースが行われ、著名なドライバーが多数参加した。レース車両はメルセデス190E 2.3-16ジャック・ブラバム、フィル・ヒル、デニス・ハルムジェームス・ハントジャック・ラフィットニキ・ラウダカルロス・ロイテマンケケ・ロズベルグジョディー・シェクターマンフレッド・シュルツアラン・プロストアイルトン・セナジョン・ワトソンが参加、セナがラウダ、ロイテマンを抑え優勝した。

このGPコースにより1984年のヨーロッパGPと1985年とドイツGPが開催されたが2年間のみしか使用されなかった。

1985年から1987年にかけてビードルシケインが改修され、大幅にスピードが抑えられた。別に2輪用のルートも設置。F1離脱後のGPコースでの主なレースとしては1000km耐久やDTM、二輪、カミオン(トラック)レースやビンテージカーレースなどがあげられる。1986年にADACトラックグランプリ、ロック・アム・リングが初開催。

F1復活

ミハエル・シューマッハの活躍により1995年から2006年までヨーロッパGP(1997年と1998年はルクセンブルクGP)としてF1グランプリが再び開催されることとなった。F1開催復活と共にサーキット施設の改修も頻繁に行われるようになった。カストロールSの5000席のVIPエリア付きメルセデスグランドスタンドやメディカルセンターが新設。

1998年にはビルシュタイングランドスタンドも建て替えられ、初めて大型スクリーンも設置された。ニュルブルクリンクへの新しいアクセス道路も整備された。1999年から2001年にかけてピットビルディングやコントロールタワー、レースコントロール施設を建て替え、最新のメディアセンターも設置された。

2002年、GPコースが大幅改修。オーバーテイクチャンスを増やすため、スタート/フィニッシュストレート後のカストロールSを廃し、タイトな右コーナー(非公式愛称ハウグフック)に変更。それに続きインフィールドセクション(メルセデスアリーナ)を追加、それに伴いパドック横にあったカートコースは廃止された。GPコースの全長は4.556kmから5.148kmに長くなった。2003年、北コースはアスファルトが再舗装、GPコースはNGKシケインなどのデザインを少変更。

2007年からドイツ国内のF1グランプリホッケンハイムリンクと隔年で交互開催することとなったため、2008年はF1グランプリが開催されなかった[3]。2007年のヨーロッパGPを前にして8コーナー、9コーナーのAudi S(又はShell S)がミハエル・シューマッハSに改名された。

2009年のドイツグランプリに合わせて「ニュルブルクリンク2009」という開発プロジェクトがスタート。ホテル、イベントホール、アミューズメント施設、ショッピングモールなどが建設。グランドスタンドも600人収容VIPラウンジ付きの5000席のものに建て替えられた。2009年のドイツグランプリには一部は完成が間に合わず、ジェットコースターring racerは発射装置の不具合により2011年にオープンが延期された。

破産

2009年、遊園地の建設などを含めた大規模な改修によって、3億ユーロ(約300億円)の借り入れを行っていた。これによって経営が悪化した。EU(欧州連合)に対して、緊急の資金援助を求めたがこれを却下されたために2012年7月に破産するに至った。ニュルブルクリンクサーキットのオーナーは株式の90%を保有するドイツのラインラント・プファルツ州である。

2014年3月ドイツデュッセルドルフを拠点にする自動車部品メーカー「カプリコーン・グループ」が経営権を獲得した。なお、買収額は1億ユーロ(約142億円)以上。

2015年

3月、ドイツの国内選手権ニュルブルクリンク耐久シリーズ(VLN)第1戦決勝レースにて、日産・GT-R NISMO GT3が北コースのフルークプラッツ付近で宙に舞い上がってしまい、そのままガードレールに激突し観客席に飛び込み観戦客1名が死亡する事故が発生してしまった[4]。この事故を受けてFIA-GT3クラスのマシンのレース出場が一時的に禁止にされることとなり[5]、全面的ではないものの、北コースに速度制限区間が設けられ1周7分を切るレベルに達していた市販車などを用いたタイムアタック合戦に待ったをかけることになった[5]。このためニュルブルクリンク24時間レースの開催は危ぶまれたが、SP7クラス以上の車両にリストリクターを装着させたり、事故の起こったフルーグプラッツ付近を時速200km、その他危険とみなされた2か所には250kmの速度規制を設けてレースを開催した[6]

F1GPが開催された年

特記のない年はドイツGPとして開催。

  • 1950年代 1951年-1954年・1956年-1958年
  • 1960年代 1961年-1969年
  • 1970年代 1971年-1976年(1976年までは北コースにて開催)
  • 1980年代 1984年(この年からGPコースにて開催・ヨーロッパGPとして開催)・1985年
  • 1990年代 1995年-1999年(1995年、1996年、1999年はヨーロッパGPとして開催・1997年、1998年はルクセンブルクGPとして開催)
  • 2000年代 2000年-2007年・2009年(2000年-2007年はヨーロッパGPとして開催)
  • 2010年代 2011年・2013年

北コース(ノルトシュライフェ)

ファイル:Circuit Nürburgring-Nordschleife.png
ニュルブルクリンク北コース
(図中の灰色部分)

北コースの愛称は「グリーン・ヘル(緑の地獄、あるいは単にヘルとも)」で、1960年代後半ジャッキー・スチュワートにより名付けられた。特徴として、

  • コース全体で約300mの高低差がある。
  • 超高速から超低速まで多種多様なコーナーがある。
  • コーナーの数が172もある。
  • コーナーの多くがブラインドコーナーとなっている。
  • バンクが付いているすり鉢状のヘアピンがある。
  • ウイングによるダウンフォースがない車両だとジャンプする箇所がある。
  • コース全体の平均スピードが高い。
  • 路面が波打ち、ほこりっぽく滑る。
  • コース幅が狭い。
  • エスケープゾーンが狭い(黄色旗での減速が十分でない車両のルーフをガードレールの外にいるマーシャルが棒で叩いて警告を行えるほど狭い)

などの過酷な条件が揃っており、世界最長、そして世界有数の超難関コースとして知られ、車両の総合的な性能がタイムに反映されやすいことからスポーツカー等の高性能乗用車の開発を行うテストコースとして利用されている。日本の自動車メーカーでもトヨタ日産ホンダマツダスバル三菱スズキキザシのみ)が利用しており、著名な自動車メーカーのほとんどはここでテスト走行を行っている。

唯一ここでテストできないのは「250km/h~300km/hからのハードブレーキングのみ」とも言われる。

ドライバーにも体力面、精神面、双方に多大な負担がかかる。長い上に様々なバリエーションのコーナーを伴ったコースであるため、まずコースを覚えること自体が難しく、そのうえ幅員の狭い荒れた路面を高速で長時間車を走らせなければならない。技術だけでなく、経験や集中力さらには勇気と体力も必要とされ、ドライバーは極限状態にさらされる。

このような過酷な特性を持つ上、コースの長さからマーシャルなどのコース周辺に必要な要員確保の都合などもあり、車の性能が上がるにしたがって、レースなどの極限の速さを競うイベントでは使われなくなっていった。

しかしこのことで今でもこのコースに憧れるドライバーは多数存在しており、セバスチャン・ベッテルは「ニュルブルクリンクの北コースは別格、だってもう走れないからね」と取材に応えている。

現在でもニュルブルクリンク24時間レース等で北コースも使用されている。24時間レースでは、北、GPコースをつなげて使用され、スタート・ゴール、ピットはGPコースが使用される。ただし2002年に新設されたインフィールドセクション(メルセデスアリーナ)部分は最初の数年は使われたが、現在はショートカットされパドックなどに使用される。他にカミオン(トラック)レースも行われている。

なお北コースにおける近代F1マシンの走行は長らく行われていなかったが、2007年4月28日に開催されたイベントのデモンストレーションにおいて、ニック・ハイドフェルドの運転するBMWザウバー「F1.06」が、31年ぶりに北コースを走行した。過酷な北コースの路面を近代F1マシンで走行するのは非常に危険性が伴うため、車高を最大に上げ、タイヤもバースト回避のため非常にハードなものを使用することでマシンを適応させ、コースを3周した。デモンストレーションのための安全重視の走行で、ギア比もショートレシオに設定していたこともあって、ファステスト・ラップは8分34秒、トップスピードは275km/hにとどまっている。

有名なコーナー

Caracciola Karussell(カラツィオラ・カルーセル)
単にカルーセル或いはカルッセルと呼ばれることが多い。北コースでも低速なコーナーの一つで、内側がコンクリートにて舗装された斜面(バンク)になっている。元々は排水溝であったが、ルドルフ・カラツィオラが初めてコーナリングに利用したとされ、多くのドライバーが真似するようになり、その後に再舗装された際に公式に斜面付きのコーナーとなった。コーナー入口は見通しが悪く(いわゆるブラインド)なっており、ファン・マヌエル・ファンジオの「一番高い木を目標にしろ」のアドバイスが有名。このコーナーは斜面があるためイン側を通ってもある程度の速度を保って曲がる事が出来るが、その反面他のコーナーに比べても地面が水平ではなくきつめの凸凹(いわゆるバンピー)となっており、車はいたる所を擦ってしまうため慎重さも求められる。
とはいえそれでもヘアピンカーブであるため車速は遅く、様々なアングルで写真が撮れるため人気のあるロケーションの一つである。
2006年よりカラツィオラの名前が公式に付け加えられた。
Bergwerk(ベルクヴェルク)
重大事故の多さで最も悪名高いコーナー、長い直線の後の右コーナーでカレル・ゴディン・ド・ボーフォールやこの一つ前の左高速ではニキ・ラウダの事故が起こった。
Flugplatz(フルークプラッツ)
かつて近くに飛行場があったことから名付けられている。ニュルブルクリンクにかつて数多く存在したジャンプスポットの中でも有名なものの一つ。クリス・アーウィンマンフレート・ヴィンケルホックの事故が起こった。ここでハンドル操作を誤ると、下手をすればコースを飛び出してしまい森の奥へ吸い込まれてしまうため発見が遅れることも多い(Fuchsrohreも同様の現象が起こる)。
Wippermann(ヴィッパーマン)~Brunnchenn(ブリュンヒェン)~Pflantzgarten(プフランツガルテン)
ブラインドコーナーが連続する超高速S字セクション。ニュルを走るテストドライバー達が「ここが一番面白い」と口を揃える。もっとも、前後左右上下とあらゆる方向からのGに襲われるため、強靭なボディ、足回りあってこその「楽しい」である。

サーキット走行専用車を含む市販車での北コースの主な記録

改修後の全長20.832km(一部の記録は20.600km)での記録

タイム 車両 ドライバー 日付
6分43秒22 マクラーレン・P1 LM[7] ケニー・ブラック 2017年4月27日
6分44秒97 ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ[8]

(公道走行可能な量産市販車レコード)

Marco Mapelli 2018年7月26日
6分45秒90 NIO・EP9[9](EV市販車レコード、タイヤ非公表) ピーター・ダンブレック 2017年5月12日
6分47秒25 ポルシェ・911 GT2 RS Weissach Package[10] Lars Kern 2017年9月20日
6分47秒50 パガーニ・ゾンダ R[11](サーキット走行専用車) Marc Basseng 2010年6月29日
6分48秒 ラディカル・SR8LM[12] Michael Vergers 2009年8月20日
6分52秒01 ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ[13] Marco Mapelli 2016年10月5日
6分55秒 ラディカル・SR8 Michael Vergers 2005年9月28日
6分56秒4 ポルシェ・911 GT3 RS Weissach Package[14] Kévin Estre 2018年4月16日
6分57秒 ポルシェ・918スパイダー Weissach Package[15] マルク・リーブ 2013年9月4日
6分57秒5 スバル・WRX STI「Type RA NBR Special」[16][17]

(サーキット走行専用車)

リッチー・スタナウェイ 2017年7月24日
6分58秒16 フェラーリ・599XX[18](サーキット走行専用車) ラファエレ・デ・シモーネ 2010年4月21日
6分59秒73 ランボルギーニ・アヴェンタドールSV[19] Marco Mapelli 2015年5月16日
7分未満(正式タイム非公開) マクラーレン・P1[20] 2013年
7分1秒3 ダッジ・バイパー ACR[21] Lance David Arnold 2017年9月1日
7分8秒679 2014年式 日産・GT-R NISMO N Attack Package [22][23] ミハエル・クルム 2013年9月30日
7分10秒92 メルセデスAMG・GT R[24][25] Christian Gebhardt 2016年12月
7分11秒57 2009年式 グンペルト・アポロスポーツ[26] Florian Gruber 2009年8月13日
7分12秒13 2010年式 ダッジ・バイパーSRT-10 ACR-X[27] ドミニク・ファーンバッハー 2011年9月14日
7分14秒64 レクサス・LFA Nürburgring Package[28] 飯田章 2011年8月31日
7分19秒63 2012年式 シボレー・コルベット C6 ZR1[29] 2011年6月
7分24秒03 マセラティ・MC12 Marc Basseng 2008年8月
7分25秒03 フェラーリ・エンツォフェラーリ Marc Basseng 2008年8月
7分25秒67 メルセデス・ベンツ・SLS AMG ブラックシリーズ[30] 2013年8月
7分28秒 BMW・M4 GTS ヨルグ・ヴァイディンガー 2015年秋
7分28秒 ポルシェ・カレラGT ヴァルター・ロール 2004年7月2日
7分32秒 アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオ 2017年9月
7分33秒06 ケーニグセグ CCX Marc Basseng 2008年8月
7分37秒47 シボレー・カマロ Z/28[31] 2013年10月
7分38秒 ポルシェパナメーラターボ 2016年7月
7分40秒 メルセデス・ベンツ・SLRマクラーレン Klaus Ludwig
7分40秒 ランボルギーニ・ムルシエラゴ LP640 Giorgio Sanna
7分40秒06 フォードGT Markus Draper
7分43秒80 ホンダ・シビックタイプR[32][33] 2017年4月
7分50秒 BMW・M3 CSL Horst von Saurma
7分51秒07 アルファロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオ 2017年9月
7分54秒 NISMOスカイラインR34 GT-R Z-Tune 田中哲也
7分54秒36 ルノー・メガーヌRS.275トロフィーR[34] ロラン・ウルゴン 2014年6月16日
7分55秒 スバル・インプレッサWRX STI 4Door(GVB)強化パーツ付きプロトタイプ[35] トミ・マキネン 2010年4月16日
7分56秒 ホンダ・NSX-R (NA2) 黒澤元治

レーシングカーでの主なコースレコード

一般開放

北コースはテストや訓練、レースイベント時に閉鎖されるものの、80年近く一方通行の有料道路として一般開放されている。1927年開設当時よりTouristenfahrten(観光ツアー)と呼ばれ、いわゆる違法な車でなければどんな車やバイク、モーターホームやトレーラー、ツアーバスなどでも走行可能である。ドライビングスクールやプロドライバーによる同乗体験も行われている。

一般開放は主に日曜日であったが、土曜や平日午後にも開放されることが多かった。冬の数カ月は補修や天候により閉鎖されることがある。

一般開放時はドイツの道路法が適用される。速度制限は騒音低減などにより一部の箇所で存在する以外はなく、パッシングは禁止、警察がヘリコプターで監視しており、危険な走行をしている車両を取り締まっている。

2011年現在、北コース1周で車、バイクとも24だが、4周チケットは89€、15周チケットが310€、25周チケットで470€とお得になっている。年間パスは1350€。GPコースの20分間チケットは38€。電子マネー「ring°card」が発行されており、チケットの代わりとしてコース入場で使用でき、その他ニュルブルクリンク内のレストラン、ショップなど各施設で使用できる。

約200mの入場ゲートが設置される徐行のピットレーンエリアがGPコースをバイパスして通っているため一般利用者は20.8kmを完全に周回できるわけではない。混雑時にはメインストレートにもゲートが設けられる。北コースで起きた事故に関しては自動車保険が適用されない。

2008年のニュルブルクリンク24時間レースで3位の実績と、 20,000ラップ以上の走行経験で「ニュルブルクリンクの女王」とも呼ばれるサビーネ・シュミッツは、BMW・M5に客を同乗させて北コースを走行する有料サービス“Ring Taxi”を自身の経営する会社で行っている。また彼女はディーゼル仕様のジャガー・Sタイプで9分12秒を、無改造のフォード・トランジット(スリップストリーム有り)で10分8秒を記録したこともある。

またコースのアスファルト上に、テストを行ったメーカーやドライバーなどがチョークで書いた、自動車会社のエンブレムなどの落書きがいたる所に見られる。

GPコース

ホームストレートは大きく下っており、かなり加速してしまうので、ブレーキングエリアで右に曲がりながら1コーナーのカストロールSを迎える。1コーナーは右→左と切り返すS字カーブであったが、2002年の大改修により鋭角なヘアピンに変更され、低速インフィールドエリアであるメルセデスアリーナが追加された。アリーナの2・3コーナーを左に回りこみ、4コーナーを右に切り返して直線へと加速する。

5コーナーのフォードカーブから、オーバーテイクポイントでもある西端のダンロップヘアピンまでは、左にカーブしながら延々と下る。ダンロップヘアピン通過後は一転して急激な上り勾配となり、スピードに乗せて左・右のシューマッハーSを通過する。

90度ターンからビットコーナーを抜けてバックストレッチへ。高低差が激しいバックストレッチの途中には超高速右コーナーのボーゲンコーナーがある。ボーゲンを抜けるとフルブレーキでNGKシケインへ。シケインへの侵入は格好のオーバーテイクポイントとなる。最終コーナーのコカ・コーラカーブを大きく旋回すると、ホームストレートに戻り1周となる。なお、シケインと最終コーナー周辺には北コースへの連絡通路が垣間見える。

南コース

かつて存在した南コースは北コースと同じスタートフィニッシュラインを通り、1コーナーを過ぎると急な下り坂で道路橋をくぐって、森林の中を丘から下っていく。mullenbachという地元の村の名前の付いた90度右コーナーを越えると森林の中を通り丘を上って北コース共有のバックストレートにつながって、最後は南コース用のタイトな右コーナーを通りメインストレートに戻る。コースはほとんどエスケープゾーンが見られない。

1968当時の車載動画 https://www.youtube.com/watch?v=8BndqNQ3GGI

南コースのラップレコードは1970年のカナディアン-アメリカン・チャレンジカップでのHelmut Kellenersによる2:38.6となっている。 現在は一般道となっており、2005年より南コース跡地を使ってビンテージカーイベントが行われている。

テレビゲームにおけるニュルブルクリンク

20km以上にも及ぶ長大さのため、かつては北コースをゲームに収録することは極めて困難であったが、近年家庭用テレビゲーム機の性能向上に伴い、収録されることが増えてきた。その先駆となったのは2003年に発売されたマイクロソフトXbox用ソフト「プロジェクト・ゴッサム・レーシング2」であり、TVゲームで初めて北コースが収録された。続く2004年にはソニー・コンピュータエンタテインメントからPlayStation 2用ソフト「グランツーリスモ4」が発売された。

その後も「フォルツァ・モータースポーツ」シリーズ(マイクロソフト、XboxおよびXbox 360用)、「エンスージア プロフェッショナル レーシング」(コナミ、PS2用)、「3」以降の「プロジェクト・ゴッサム・レーシング」シリーズ(マイクロソフト、Xbox 360用)、「ニード・フォー・スピード シフト」(エレクトロニック・アーツ、PS3・Xbox 360・PC用)など、続々と北コースを収録するゲームが登場、そのリアリティを競っている。また、2009年にはPSP用ソフト「グランツーリスモ」にて、携帯ゲーム機では初の収録がされた。

なお現在F1が行われているGPコースに関しては、1995年の開催以降PlayStation用ソフト「Formula1」(ソニー・コンピュータエンタテインメント、1996年発売、収録データは1995年のもの)を始め、大半のF1ゲームに収録されている。

2010年のPS3用ソフト「グランツーリスモ5」では、北コース、GP(2種類)、連結した耐久レース用(2種類)の合計5種類のレイアウトが収録されており、一部のレイアウトでは、天候/時間変化に対応している。2013年のPS3用ソフト「グランツーリスモ6」では、全てのレイアウトで、天候/時間変化に対応している。 座標: 東経6度56分45.33秒北緯50.3348111度 東経6.945925度50.3348111; 6.945925

2015年5月発売(日本では2016年6月9日発売)のProject CARS(pc ps4 xbox)では北コース、GP(2種類)が収録されていて、天候/時間変化に対応している。

アミューズメント施設

2009年の大改修によって豊富なアミューズメント施設が作られた。

ring°werk
2009年にできた屋内アミューズメント施設。ジェットコースター「ring°racer」や4Dシネマ「ring°kino」を初めとしてモータースポーツに関連した様々なアトラクションが楽しめる。
ring°boulevard
自動車メーカーやサプライヤーのブースやショップが立ち並ぶ。TVスタジオなども存在。kletter°challengeと呼ばれるアスレチック施設もある。
ring°arena
4500席を誇るイベントホール。コンサートやミュージカルなど様々な用途に使用される。
ring°kartbahn
全長400mの屋内カート場。
Eifeldorf
レストランやバー、ホテルが入る複合施設。ディスコなどナイトイベントが年間300回以上開かれている。
RING CASINO
2009年オープンのLindnerホテル内に作られたカジノ

脚注

  1. 【ジュネーブモーターショー13】ホンダ シビック タイプR 次期型、ニュルブルクリンクで開発テストへ e燃費 2013年3月6日
  2. ポルシェ 918 スパイダー、ニュルのラップタイムを公表…7分14秒 Response. 2012年9月20日
  3. 2007年時点でF1での「ドイツGP」の名称の独占使用権をホッケンハイムリンクのレースをプロモートするドイツ自動車クラブ(AvD)が所有しているため、AvDとライバル関係にある全ドイツ自動車クラブ(ADAC)の制御下にあるニュルブルクリンクにF1での「ドイツGP」の名称使用権がない。そのため2007年はヨーロッパGPとして開催された。ただし2008年からは7年契約でスペインバレンシア市街地コースにおいてヨーロッパGPが開催されることが予定されているため、2009年以降の名称がどのようになるのか注目されていたが、2008年10月7日の世界モータースポーツ評議会(WMSC)においてドイツGPとして2009年F1世界選手権カレンダーに記載された。その後、モーターレース管理団体であるドイツ・モータースポーツ連盟(DMSB)の下でドイツF1委員会が設立され、AvDとDMSBがその管理下に置かれることで、2009年はドイツGPとして開催された。
  4. 日産 GT-R、ドイツ耐久レースで大事故…観客1名が死亡[動画] - レスポンス 2015年8月11日閲覧
  5. 5.0 5.1 【レポート】ニュルブルクリンクのラップ・レコード樹立が事実上不可能に - Autoblog 日本版 2015年8月11日閲覧
  6. 【ニュル24hレース特集】速度規制が急遽施行された理由 – WEB CARTOP 2015年8月11日閲覧
  7. マクラーレンP1 LM、ニュル最速ラップ6分43秒樹立 英ランザンテ、映像公開
  8. アヴェンタドールSVJ ニュル量産車ラップ更新 ランボルギーニ
  9. 出力1メガワット、中国EVスーパーカーがニュル新記録…ウラカン 超える6分45秒 - レスポンス 2017年5月17日
  10. 911 GT2 RS world record at the Nürburgring Nordschleife. Full onboard-footage.
  11. パガーニ ゾンダR、ニュルで市販車最速 6分47秒 - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  12. ラディカル SR8LM…これがニュル市販車最速ラップだ!! - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  13. https://www.lamborghini.com/jp-en/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/a-record-super-sports-car
  14. 独ポルシェ、新型「911 GT3 RS」がニュルブルクリンク北コースで6分56秒4のラップタイムを記録
  15. ポルシェ 918スパイダー、ニュルで6分57秒…市販車最速記録達成の瞬間[動画] - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  16. Subaru WRX STI Type RA NBR Special Record Nurburgring Lap
  17. Flat Out Subaru WRX STI Type RA NBR Special Nurburgring In Car -
  18. [動画]フェラーリ 599XX、ニュル最速記録更新の瞬間 - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  19. ランボルギーニ アヴェンタドール に750hpのSV…ニュルで7分切った瞬間[動画] - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  20. マクラーレン P1 、ニュルブルクリンク北コースで7分を切る…公式発表
  21. Dodge Viper ACR Sets 7:01.3 Lap Time in Final Nurburgring Attempt
  22. 日産 GT-R NISMO、ニュル量産車最速記録達成の瞬間…クルム選手渾身のタイムアタック[動画] - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  23. NISMO NISSAN GT-R NISMO 用 NISMO N Attack Packageについて
  24. メルセデスAMGの「GT R」、ニュルアタック…日産 GT-R NISMOに迫る - レスポンス 2017年12月23日閲覧
  25. 【ビデオ】「メルセデスAMG GT R」が、ニュルブルクリンク北コースを7分10秒92で激走! - Autoblog 2017年12月23日閲覧
  26. アポロスポーツ、ニュル市販車最速ラップ…7分11秒57!! - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  27. ダッジ バイパー、ニュル最速記録更新…7分12秒13 - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  28. レクサス LFA、ニュルで7分14秒台を記録か - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  29. シボレー コルベット、ニュルで GT-R 超えた!![動画] - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  30. SLS AMG Coupé Black Series on the Nordschleife
  31. シボレー カマロ Z/28 、ニュルアタック…7分37秒47[動画] - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  32. “新型「CIVIC TYPE R (シビック タイプアール)」がニュルブルクリンクでFFモデルの最速ラップタイムを更新”. Honda. (2017年4月24日). http://www.honda.co.jp/news/2017/4170424.html . 2017閲覧. 
  33. “ホンダ、新型「シビック TYPE R」がニュルブルクリンクFF最速ラップタイム「7分43秒80」を記録”. Car Watch. (2017年4月24日). http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1056638.html . 2017閲覧. 
  34. ルノー メガーヌ R.S. に「275トロフィー-R」…ニュル市販FF車最速ラップ達成の瞬間[動画] - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  35. スバル インプレッサ STI 4ドア、マキネンがニュルで7分55秒 - レスポンス 2015年11月10日閲覧
  36. 驚異の5分台! ポルシェ919ハイブリッドEvoがニュルブルクリンクの新レコード樹立
  37. 【ビデオ】ポルシェ、ニュルブルクリンク最速記録を35年ぶりに更新した「919ハイブリッドEvo」のオンボード映像を公開!

関連項目

  • 本サーキットを由来とする名称

外部リンク